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書籍紹介

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2019年8月

旧刊

A resilient spirit: The voice of Hawaii’s Internees.

Sato, Claire., and Harada, Violet.|100ページ|円
Honolulu: Japanese Cultural Center of Hawaii.()

今回ご紹介する本は、2015年3月に「英語教育巻頭リレーエッセイ」の拙稿で扱った話題と関連しています。第二次世界大戦中、日系アメリカ人(Americans with Japanese Ancestry: AJA)は敵性市民とみなされ、その中でも社会的に影響力が強かったリーダーたちは、収容所に送られました。本書では、過酷な生活を余儀なくされた元収容者たちのオーラルヒストリー、彼らが残した絵、俳句、小物などの小さな芸術作品が、写真と共にまとめられています。
 我々の胸を打つストーリーのなかから、ハワイ島の日本語新聞社および日本語学校で地域に貢献していたOzaki Otokichi氏の俳句を引用します。Ozaki氏は真珠湾攻撃直後に「逮捕」され、ハワイ諸島と本土の収容所を転々とする生活を強いられました。私たちが当たり前のように享受している「人権」や「自由」が長年にわたって不当に奪われ続けるなかで、「我慢」や「誇り」という日系人にとっての重要な価値観が織り込まれて、絶望の中でも希望を抱き続ける「resilience」を端的に表しているように思います。

のびてゆく 豆のつるにも 生きし事の 喜んで深し 朝の大気に
Even the bean vine is glad to be alive stretching its tendrils up into the morning air

(文責 夫明美)

2019年7月

旧刊

『物語 戦国を生きた女101人』

『歴史読本』編集部|351ページ|750+税円
株式会社KADOKAWA(2014年6月)

この著作は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の時代を生きた101人の女性について5章に分けて簡潔にまとめられており、執筆者は21人にのぼる。

 そのうち、岡田秀文(作家)が担当された「徳川と豊臣の和平を追い求めた浅井三姉妹の絆 常高院(じょうこういん)京極高次正室」においては次のように述べられている。

 「女性が歴史を舞台に大活躍をみせる物語は、一つのジャンルとして確立している。因習や常識にとらわれず、天衣無縫に歴史舞台を所せましと駆けめぐる女性主人公に、人々は胸がすく思いで声援を送るが、ごく控えめにいってもそこに描かれているものは多くの場合、歴史事実ではない。民主主義や人道主義が社会の共通の概念となる以前の歴史は、人に、ことに社会的弱者であった女性に苛酷なものであった。それこそ無数の秘めたる才能が、伸ばされも磨かれもせず、日の目を浴びず朽ち果てていったことだろう。」と・・・。

 そして、第5章では「戦国夫人 武将108人の正室・側室」がデータフィルとしてまとめられており、武将名とその生没年に続いて、妻妾名【その父名】等が記されている。しかしである。有名な武将の妻であっても、多くの場合父の名前は記載されているものの本人は「名前不詳」となっているのである。

 「名前不詳」の女性たち・・・。すべてが変転きわまりない戦国の時代に、彼女らは何に希望を託し、何を信じて生きようとしたのだろうか。歴史上、鮮やかな痕跡を残した女性達の軌跡とその魅力を描きたかったのであろうこの著作は、図らずも女性の苛酷な歴史を浮かび上がらせているのではないか。世界を見渡したときに民主主義や人道主義が社会の共通の概念になっていない現実、そしていまだ苛酷な状況におかれている女性達の存在に気づかされる。

 ちなみに、常高院の本名は、お初。浅井長政と織田信長の妹であるお市の方の間に生まれた三姉妹の一人で、茶々(淀殿)、お江(徳川幕府2代将軍秀忠の夫人)の妹である。 (文責 森均)

 

2019年6月

新刊

『教育激変-2020年、大学入試と学習指導要領 大改革のゆくえ-』

池上彰、佐藤優|220ページ|840円
中央公論新社(2019年4月)

過日、「2年後の2021年に迫った大学入試改革。センター試験に代わる大学入学共通テストによって何がどう変わるのか。優れた論客である著者2人が、改革の狙いや現状の問題点などを語り尽くす。特に山本廣基・大学入試センター理事長を迎えての鼎談(ていだん)は、率直な本音にあふれていて興味深い。」という読売新聞のレビューに惹かれて求めた一冊だが、あちこちに問題提起があって面白い。

例をひとつ
 池上:新テストでは・・・英語力を四技能フルで測るという「改革」が行われます。
 佐藤:・・・この試験に「話す」はいらないと思うんですよ。
 山本:私の立場でこんなことを言っていいのかどうか分かりませんが、大学教育の基礎力として四技能を均等に求めるのかどうか、もっと議論が必要だと個人的には思っています。
(文責 中垣芳隆)

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