資料請求

書籍紹介

アーカイブはこちら

2017年12月

旧刊

『今日すべきことを精一杯』

日野原重明|170ページ|864円
ポプラ社(2017年3月)

 時々出かける喫茶店の勘定書の裏に「人生には三つのものがあればいい、希望と勇気とサムマネー」と書かれています。ご存じの喜劇王チャップリンの代表作「Limelight」の中の名台詞 “Yes, life is wonderful, if you’re not afraid of it. All it needs is courage, imagination, and a little dough. の日本語訳の一つです。

 今回は、much money でなくサムマネーでも教えられることの多い本をご紹介します。

 表題から、人生訓を垂れる書物はもう沢山と思われるでしょうか?ご安心ください。読み進めれば、著者自身の生き方そのものが「今日すべきことを精一杯」の言葉に凝縮されていることがお分かりになると思います。

 著者は、敬虔なクリスチャンにして、終末医療の普及や「成人病」に代わる「生活習慣病」という言葉の提言など、医学・看護教育の刷新に尽力したことで知られています。

 本書のあとがきには「今から30年近くも前に出版された私の著書が、みなさんのお目に触れることになりました。・・医療現場でのその当時の思いを、渾身の力を込めて訴えかけたものです。2017年早春」とあります。その数ヵ月後に105歳で亡くなられたことを思うと時空を超えてのlast messageと言えば過言でしょうか。

 以下は本文からの抜粋です。大学を所属されている校種に、患者を生徒、保護者に、医師を教員に置き換えて読んでいただければ幸甚です。

〇・・・なぜ講義の途中にでも質問しないのか。大学というところは知識の結果でなく、学ぶ方法を学ぶところなんだと、いつも学生たちに話してきました。

〇 人間はより愛情を抱いている相手に対しては高いピッチの声を出すものです。・・・私は、友人にも患者さんにも心配させないために、初めの「はい」を高い声で返事できるように努力してきました。

〇 医師の中には、なにか自分が上位の者になったかのように言葉が丁寧でなくなる人がいる。患者をして卑屈にさせるような医師の行動はよくない。そのことは医師が一番警戒しなくてはならないことです。

〇 ヒポクラテスが「判断は難しい、経験は誤りやすい」と言っています。つまり「前にこういう症例にぶつかったが、今度もそうだろう」と思うと、そうはいかないということが多いのです。みんな違うのだと思います。前にはこうだったから、今度もこうだと思うと、大抵失敗します。 

(文責 中垣芳隆)

 

2017年11月

新刊

『テストが導く英語教育改革:「無責任なテスト」への処方箋』

根岸 雅史|180ページ|2,160円
三省堂(2017年7月)

  本書の著者は、先に『無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る』(大修館書店)を若林俊輔との共著で出版している。1993年出版の同書は、そのともすればラディカルなタイトルとは裏腹に多くの教育者や研究者が手にするところとなり、20年以上も版を重ねているという。タイトルこそ前著の流れをくんでいるが、本書はテスティングの第一人者による説得力と示唆に富む一冊である。日本における英語教育改革の潮流の中でテストの問題点が客観的に捉えられており、理論に裏打ちされた論理構成で問題への処方箋が示されていることもありがたい。

 “なぜテストをするのか”を問う「テスト作成の心構え」から始まり、具体的な「テスト作成のつぼ」と、これからを見据えた「テストとつなぐCAN-DOリスト」の3部構成となっている。本書の底流を流れているのは、真のコミュニケーション能力を図るためにはどういったコミュニカティブ・テスティングをすべきなのか、観点別の絶対評価を実践するためには活動の観察に加えてどのようなテストを行うべきなのか、そしてCAN-DOリストの形で設定した学習到達目標の達成度を測るためにはどのようなテストを行うべきなのかといった、現場に課せられた現代的な難問がある。これらの難問に対する筆者の処方箋は「結びにかえて:さよなら、総合問題」に明確に表されている。「総合問題」は中学や高校の定期試験などに多くみられるが、現実的なコミュニケーションを再現するタイプのテストではないこと、一つのテストに様々なテスト・タイプが含まれていて、CAN-DOリストで設定された学習到達目標に照らし合わせた観点別評価のためのテストとして整合性がないことから、この「総合問題」からの脱却を”責任ある”テストづくりの第一歩として挙げている。建前のみならず現場の本音をくみ取りながらの展開は現実的で一読に値する。

(文責 東條加寿子)

2017年10月

旧刊

『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』

堀田隆一|189ページ|2,200円
研究社(2016年12月)

 「なんで英語の不規則変化の過去形なんて暗記して覚えなあかんのか」「英語の過去形には全部edをつけたらいいのちがうのか」英語学習の初心者ならではの質問である。幸いに、現在の勤務校では質問されることはなくなった。数年前、とあるサマースクールに参加した際の講師の先生が中学生の時代の思い出をお話しくださった。「中学校のときに英語の先生にどうして過去形はすべて-edをつければいいはずではないのかと質問をしたら、当時の英語の先生はこうおっしゃった。『英語はそういうものなの。そんな屁理屈を言っていると英語ができなくなるわよ。』と。」かれこれ60年近く前、かの中学校の英語の先生は恐れ多くもそう言い放ち、現在の教え子とも言えるその講師の先生が存在されるのである。その先生はどのような質問にも、ものすごい知識量でお答えくださる。たとえば、どうして三人称・単数・現在形にsがつくのか。どうしてIだけは文章中のどこにあっても大文字なのか。絶対にフリーズしない脳内グーグ○検索かのようである。しかし、私を筆頭にすべての英語科教員がそう素朴な難問にすらすら答えるというわけにはいかない。

 実は、この本を購入するきっかけは教育実習に向かう学生の不安を解消するためにであった。が、私自身も大変勉強になり、そうだったのか!と、「いまさら人に聞けない英語あるある」がわかりやすい説明とともに書かれている。日々の研鑽に、また、中学生、英語学習の初心者だからこそ持つ疑問にスマートに答えてこそ!という場面に、お役立ちいただければ幸いである。

(文責 福島知津子)

Scroll To Top