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書籍紹介

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書籍紹介

「忘れものをとりにいらっしゃい」  みつはしちかこ

忘れものをとりにいらっしゃい

 思い出したらいらっしゃい

 九月の高原では
 いま  風が
 忘れものに曲をつけているところ

 みんな
 透明になってうたいだすところ

*******

秋学期がもうすぐ始まる。
リオ・オリンピックも終わった。
男子体操団体の金メダルは12年前のアテネ五輪を思い出した。
栄光への架け橋のメロディが頭の中に流れた。

夏、賑わった山や海にも
今は風が秋の始まりを告げて吹き抜けている。
それでも、夏の思い出や何かやり残したことが
まだ心の中にあったりして、
忘れ物をしているような
心残りの気分でいるかもしれない。
ただ、過ぎ去ったことに
いつまでも想いを馳せていても仕方がない。
ヘレン・ケラーのことばがある。
 「一つのドアが閉まると、
 別のドアが開く。しかし、
 私たちは閉まってしまったドアを
 ずっと後悔して見つめているので
 私たちのために新しいドアが
 すでに開いていることに気づかない。」
秋学期、
新しいドアが開かれる。
そこから吹き寄せる新しい風を
身体いっぱいに受け、秋学期の勉学にいそしもう。
過去に執着せずチャレンジする人こそが、
新しい自分に会える。
「君たちが、私にとっての金メダル」と、
本学での最後の学期になるこの秋学期の終了時にそう言いたい。
(なかい)


2016年

9月の書籍紹介

新刊
『ミライの授業』
瀧本 哲史(著)、266ページ、デ講談社 (2016/7/1)、¥ 1,620

 書店に平積みになっていた一冊を手にとって、さっと読んでみた。みるみる引き込まれて購入した。本書は未来に生きる14歳の中学生に向けて行った特別講義をまとめたものだ。中学生がさっと読めるように、わかりやすい言葉で綴られている。新しい時代を生き抜くための考え方の講義である。中学生が本書を直接読むのがいいと思うが、教員が取り上げられた人々の話を授業や教室でしてやるのもいいのではないだろうか。高校生にも話せる内容である。
 「学校は、未来と希望の工場である――。そしてきみたちは魔法を学んでいる」「21世紀の現代は過去の人たちからみると魔法に満ちた時代である」と綴る著者の言葉は印象的である。
講義のタイトルは「未来をつくる5つの法則」。その中身は、ざっと次のような感じである。ぜひ法則の「?」に入るキーワードを想像してみてほしいとある。
法則1 変革の旅は「?」からはじまる
法則2 冒険には「?」が必要だ
法則3 一行の「?」が世界を変える
法則4 すべての冒険には「?」がいる
法則5 ミライは「?」の向こうにある
その答えは、「違和感」「地図」「ルール」「影の主役」「逆風」。この5時限からなる特別講義はいい気に読みたくなる話でいっぱいである。

新刊
『インタラクティブな英語リーディングの指導』
伊東 治己(著)、208ページ、研究社 (2016/7/20) ¥2,160

 著者は、「英語の授業は英語で」が叫ばれ、トップダウン型のリーディングや和訳先渡し授業阿もてはやされる一方で、「英語が正確に読めない」生徒は一校に減っていない現状を省みて、インターアクションをキーワードに、なりきり音読、発問の工夫、和訳の効果的な使い方などを提案している。特に、和訳の効果として、「教材への認知的負荷を高める」「和訳は自然なフォーカス・オン・フォームの活動」「日本語と英語の違いを理解させる絶好の方法」「和訳は日本人英語学習者に期待されるコミュニケーション技法」をあげている。和訳を英語授業の諸悪の根源と決めつける感のあった昨今の風潮に、冷静に再吟味しようとしている。英語と日本語には言語間の距離があり、英語で理解するには相当のエネルギーがいる。英語の授業で日本語を使うことの意味を再確認したい。

新刊
『最強英語脳を作る』(岩波新書)
茂木 健一郎(著)、224ページ、岩波書店 (2015/8/21)、¥821

 アハ効果など脳科学の茂木健一郎の新書が書店の新刊新書コーナーにあったので、そのまま購入した。「なぜ英語を身につけなければいけないのか?」彼の回答は、一言で言えば、「それは英語がもはや文化ではなく、文明だから」である。社会の組織のされ方、人と人とのコミュニケーションの取り方、ジャッジメントの仕方、そういうものが英語という言語の中でダイナミックに動いている。その現場にいないと現代の人類文明の一番トップにいられない。文明の最先端のるつぼには英語が必須であるというのが彼の主張である。ニュージーランドやオーストラリア二位って英語の勉強をするというのは、趣味の世界だと思うと言い切っている。
 文化ではなく、新しい文明を生み出すために英語が必要であるというのが彼の主張である。そのために最強英語脳を作ろうとするとき、手本とするべきは人工知能のやり方でという。人工知能は、脳の学習則を参考にしている。大量の例をインプットしているのだが、よい例をたくさんインプットさせ、的確な判断をさせるようにしている。英語学習にも良い英語をたくさん読んだり聴いたりすることによって、良い英語とはどのようなものであるかがわかる。その上でアウトプットで書いたり話したりする。その結果を文法的に正しいかどうか、良い英語かどうか問い点からフィードバックを重ねるくんれんがひつようだと説いている。

旧刊

『NHK 考えるカラス―「もしかして?」からはじまる楽しい科学の考え方』
川角 博 (監修), NHK「考えるカラス」制作班、149ページ、Multilingual Matters Limited (2014/5/15)、1,080円

10分のNHK教育番組、『考えるカラス~科学の考え方~』より、話題のコーナー「考える練習」20回分をまとめたもの。
たとえば、
大小2つの風船を用意して、それぞれをパイプの両端につなげます。(説明はありませんでしたが、多分2つの風船は同じ風船のはずです。)そして風船をつないでいるパイプの真ん中には弁がついていて、その弁によって左右が仕切られた状態になっています。この写真の状態で、真ん中の弁を開き空気が行き来できる状態にすると、左右の風船はどうなるでしょう?
1、大きい風船は更にふくらみ、小さい風船はしぼむ。
2、大きい風船がしぼみ、2つの風船が同じ大きさになる。
3、変わらない
この本には、正解が表示されていて、いろんな人が「こうじゃないか」「ああじゃないか」と自分で考えた事が書いてあって、それについての解説が掲載されている。ただし、その正解の根拠は書かれていない。その理由は自分で考えなさいという姿勢である。科学の“考え方"を学ぶことは頭の体操にもなる。授業前に生徒に尋ねたりして、集中力を高めることができる。

旧刊

『外国語を身につけるための日本語レッスン』
三森 ゆりか(著)、218ページ、白水社 (2003/09) ¥1,620

 著者は、大津・鳥飼『小学校でなぜ英語?』(岩波ブックレット)「言語の価値が低い『察し』の文化で育った人間が、言語にこそ価値を於いて主張する文化と渡り合うことはきついものです。しかし他文化時代に生きる日本人は、言語を駆使して主張し、説得し、発信していかなければなりません。日本語で説得力が無いのに英語で外国人と丁々発止やりあうことなど不可能です」を引用し、発想の異なる英語文化に対し、日本語の教育(国語教育)の充実を求めている。ただし「国語教育の弊害」という表現などは日本文化を揶揄している向きがある。説明の場合も、ひと言で通じるでしょうという感覚が日本人にはある。ドイツに留学していた学生が、「ミルヒル(行乳)」と言っただけではホストに喉がかわいいているのでミルクがほしいとは伝わらなかったエピソードなどを紹介している。確かにそうだが、これは高文脈文化を有する日本人の考え方で、決して間違っているというものでもない。それが西洋では通じないのはなぜかを知ればよい。多少気になる表現はあるのだが、言語を見る視点は面白く、英語の授業でものごとを説明したりするのに参考になる書籍である。

旧刊

『脳には妙なクセがある』(扶桑社新書)
池谷 裕二(著)、366ページ、扶桑社 (2013/11/30) ¥907

 脳にはこんなクセがある! 脳のクセを知れば、全ての行動も納得と脳科学による脳の働きを26章にまとめている。
本書のバックボーンは次の3つの章であると著者は前書きで述べている
■11章:笑顔を作る(「まずは形から」で幸福になれる!?)
笑顔を作るから楽しいという逆因果。身体が特定の形(ポーズ)を作ることで、脳の特定の部位が活性化するという知見。
■22章:不自由が心地よい(ヒトは自分のことを自分では決して知りえない)
「自由なこころは」はよくできた幻覚。自由意志は身体的にしみついたクセから反射的に生まれるという知見。
■26章:使い回す(やり始めるとやる気が出る)
ヒトの高度な思考はもともと身体を制御するために設計されたモジュールを転用している。心は身体性を下地にしているという知見。
他には、
◎「行きつけの店」にしか通わない理由
◎何事も始めたら「半分」は終わったもの?
◎脳はなぜか「数値」が苦手
◎「笑顔をつくる」と楽しくなる!?
◎「心の痛み」も「体の痛み」も感じるのは同じ部位
◎歳をとると、より幸せを感じるようになる理由
◎「今日はツイテる!?」は思い込みではなかった!
◎脳は「自分をできるヤツ」だと思い込んでいる
など、ふと読んでみたくなる内容である。

8月の書籍紹介

新刊
『「英語で英語を教える」授業ハンドブック―オーラル・メソッドによる英語授業と文法指導』
杉田由仁(著)、185ページ、南雲堂 (2016/04)、 ¥ 2,160

 著者は中学校英語科教員を18年間勤めて後に大学で教鞭を執って15年になる学校現場経験のある教員である。「英語の授業は英語で」と求められる昨今の英語教育施策へのひとつの対応として、オーラル・メソッドを取り上げている。年配の教員にはパーマーのこの指導法は懐かしい響きがする。オーラル・メソッドを取り上げる指導手順は、”Warm-up”, “Review”, “Presentation”, “Activity”, “Oral Introduction”, “Reading”, “Consolidation”としている。中学校での授業を中心に想定されているのであろう。新教材の文型や文法の提示、練習(presentation & activity)を行った上で、オーラル・イントロダクションを授業の後半始めに位置づけている。オーラル・イントロダクションについては、一時は、生徒に話させることをより求めるオーラル・インターアクションであるべきという議論があった。本書はそのあたりには触れていない。本書の特徴は、オーラル・メソッドを取り上げた中学校や高校での指導案例を示し具体的な展開を理解しやすいようにまとめている。後半はオーラル・メソッドによる文法指導の方法として「知覚(Perception)」「理解(Recognition)」「模倣(Imitation)」「再生(Reproduction)」という「同化の4段階」を勧めている。具体的な手法として、「場面の中で提示する」「気づきを促す」「意味を推測させる」「言語活動に参加させる」としている。文法指導の実例として、be動詞、現在進行形、過去進行形、受動態、助動詞、現在完了形、比較級、冠詞、不定詞などを取り上げている。

新刊
『夏井いつきの超カンタン! 俳句塾』
夏井 いつき(著)、160ページ、世界文化社 (2016/6/25)、¥ 1,512

 テレビのバラエティ番組の毒舌キャラで人気の俳人・夏井先生と脳科学者茂木健一郎との対談と俳句作りの手ほどきをまとめている。もっと民放だけでなく、NHKの俳句講座にも時々出演されている。テレビのイメージが強いが、「100年俳句計画」という志を掲げ、俳句の啓発活動をされている。前書きに「一度俳句を覚えると、毎日が劇的に変わります。人生から退屈という言葉がなくなり、悲しいことや苦しいことそれを乗り越える強大なエネルギーが心の中にみなぎってきます。許容する心が生まれ、想定外なことが起こってもそれを面白がれる人間になれます。家族や周囲の人間関係も変わってくるでしょう。俳句の楽しさに目覚めると、季語をたくさん知りたくなりますから素敵な日本語と仲よくなれます。そして上達するにつれて、俳人というすごく前向きな仲間ができ、俳句談義をするこのうえない愉しみを味わうことができます」とある。読んでいて勇気が湧く言葉である。日本人の誰もが俳句の経験者であり、俳句を味わうことができる。俳句の力を借りて感受性を豊かにし、授業にもその感受性は活かしたいものだ。目次にあるように、第二部は、添削実例を中心に、実作上のテクニックを紹介、第三部では、応募句の中から秀句を選び、選評を添えておられる。 【目次】
1.俳句こそ人生だ! (対談:茂木健一郎氏)
2.《辛口先生の俳句道場》「仕事」を詠む
3・これぞ才能アリ! 秀句を味わう

新刊
『今日の風、なに色? CDブック』
辻井 いつ子 (著), 辻井 伸行 (著)、61ページ、アスコム (2016/6/24)、¥ 1,620

書店で何気なく新刊書を見ていたら、目に入った。全盲の世界的ピアニスト・辻井伸行が演奏したCDブック(全10曲、62分)が発売された。ピアニストへと成長していく人生の節目で、勇気を与えてくれたり、心の支えになったり、コンクール優勝の栄誉を与えてくれたものをセレクトしているとのことである。タイトルにもなっている「今日の風、なに色?」は母・いつ子がパーソナリティを務めるラジオ番組のテーマ曲として辻井伸行自身が作曲したものである。それぞれの曲には、その時々に感じた喜びや苦悩、そして涙があふれるような感動のエピソードがあり、そうしたエピソードを、辻井伸行と二人三脚で歩んできた母・いつ子がエッセイ風に語っている。この夏、辻井伸行のピノ演奏を聴いてみませんか。
CD収録曲
1.辻井伸行:今日の風、なに色?
2.ショパン:英雄ポロネーズ
3.ドビュッシー:夢
4.シベリウス:もみの木
5.ショパン:スケルツォ第2番
6.ショパン:マズルカ op.24-1
7.ラヴェル:水の戯れ
8.リスト:ハンガリー狂詩曲第2番
9.ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番:第3楽章
10.ベートーヴェン:《テンペスト》:第3楽章

新刊
『あらゆる「学」の歴史とつながりがわかる 学問のしくみ事典』
茂木 健一郎(監修)、304ページ、日本実業出版社 (2016/3/19)、¥ 1,728

 夏井さんの対談に登場した茂木健一郎氏監修の事典である。夏休みは何といっても多読乱読の季節である。世の中にはどんな学問があるのか、あの学問は全体からするとどこに位置しているのか、どんな経緯で生まれ、どのように発展してきたのか、どんな人物が支えてきたのかなどを、わかりやすく解説してある本書は、「人文科学」「社会科学」「自然科学」「文化芸術」のジャンルに分け、学問の流れや人物のつながりを系譜図や相関図を使ったりして分かりやすく説明している。
暑い夏の1日、寝そべりながら「そうなのか」と読んでみてはいかがだろうか。

新刊
『おだやかに、シンプルに生きる』(PHP文庫)
枡野 俊明(著) 、229ページ、PHP研究所 (2016/3/3)) ¥ 670

 夏休みには、日頃の忙しさから解放されて自分自身を取り戻したいと思うときである。「心に湧き上がってくる喜怒哀楽。それを素直に受け入れつつ、さっと流していくこと。心に吹いてくるさまざまな風を、さらりとやり過ごすのが大事です」と表紙裏にあったので、思わず購入した。定年退職を控え、穏やかにシンプルに生きたいという思いが募っているのであろう。本書は、平常心の保ち方を「春来草自生」「非思量」「動中静」「水急不月流」「無功徳」「八風吹不動」「対露金風」「喫茶喫飯」「冷暖自知」「日々是好日」「一期一会」「白雲自在」「愛語」「感応道交」「花無心蝶招 蝶無心尋花」「歳月不待人」「一行三昧」「放下着」「閑古錐」「松樹千年翠」「無念無想」など51の禅の言葉で学ぶ一冊である。たとえば、「日々是好日」という言葉。良い一日とか悪い一日とか、つい判断してしまう。でもそれを決めるのは、自分の思い込みからきているのではないか。平常心をたもって、毎日がかけがいのない一日を過ごしていけたら、きっと楽に生きられるはずと説いている。

旧刊

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
加藤 陽子(著)、416ページ、朝日出版社 (2009/7/29)、¥ 1,836

 八月の終戦記念日を今年もまた迎えるにあたり、「戦争」という事態に陥ったのはなぜか、先の大戦でなくなった方々への哀悼の念を新たにするためにも一読を勧める。本書は新潮社 からこの6月に新潮文庫(¥810)として再販されている。2010年に第9回小林秀雄賞を受賞している。栄光学園の中高生への5日間の特別講義をまとめたものであるので、まず読みやすい。「日本近現代史を考える」「日清戦争」「日露戦争」「第一次世界大戦」「満州事変と日中戦争」「太平洋戦争」と章立てているが、日本が置かれた政治経済的な状況だけでなく、アメリカがベトナム戦争にのめり込んだ理由など外国の行動規範となった考えも推論し紹介している。日本がなぜ戦争を選んでいったか、学校の歴史の授業ではここまで多角的な見方をして教えられないだろう。講義のなかで、戦争を生きる。分かりやすくて知的好奇心をかきたてる書である。

旧刊

『これからの子どもたちに伝えたい ことば・学問・科学の考え方』
中島 平三(著) 、149ページ、開拓社 (2015/5/11)、 ¥ 1,512

国内外で活躍する言語学者が、小学校長として、ことばや科学、人間の素晴らしさなどを、易しく熱く語りかける講話・エッセイ集である。教科書化された知識に偏らず「斜めからの教育」を勧めている。学習順序が決まった縦の学習だけでなく、気づいたときになぜと思う学びを行うことの大切さを説いている。「オオカミに育てられた少女」、「なぜ閏年は2月に?」「英語は鏡に映った日本語」、「ひい、ふう、みいに隠された謎」「読と書」「桃太郎は、なぜ桃太郎か?」「種蒔く人」などさまざまな授業でのエピソードを綴っている。「英語は鏡に映った日本語」では、子どもたちがNaCl, CO2など化学式が、日本語ではなぜ塩化ナトリウムや二酸化炭素と順が逆になるのかたずねたエピソードが書かれてる。子どもの不思議に思うことを知ることは、自分の授業でのちょっとした話にも役立つと思う。

7月の書籍紹介

新刊
『英語は「教わったように教えるな」』
若林 俊輔、 小菅 和也 (著)、318ページ、研究社 (2016/6/18)、¥2,700

 帯に、「若林俊輔が生きていたら、今の英語教育にどんなことを言っただろう?――誰よりもラディカルに、誰よりも熱く英語教育について語ることを好んだ故・若林俊輔(東京外国語大学名誉教授、1931-2002)。単行本未収録の雑誌記事を中心に氏が遺した膨大な数の論考から、混迷する現在の英語教育を考えるうえで補助線となると思われる記事を独自にピックアップし一冊にまとめた」とあった。若い頃、若林俊輔という名前は日本の英語教育を語る第一人者の一人であった。歯に絹着せぬ一刀両断の直言は過激と思いながらも得心したものであった。第1章の冒頭は、「英検はやめてもらいたい」である。「英語力を見るためのテストになっていない」が主張の根拠である。「商売でやることに、国立・公立諸学校の教員を面接試験官に動員するな」である。かくいう私も昔、面接試験官の一人であった。付章の「英語の素朴な疑問に答える」の内容は、The Japan timesから『英語の素朴な疑問に答える36章』という単行本(1990年)としてむさぼるように読んだものだ。どう生徒に説明すれば分かりやすくなるか、そんなことばかり考えていた時期があった。
帯にあるように本書は、これまでの若林氏の論評を選んでまとめている。これからの英語教育を考えるための按針として購読されてはいかがであろうか。
第1章 いっとう りょうだん
第2章 つまづく生徒ともに
第3章 英語授業学の視点
第4章 言葉の教科書を求めて
第5章 英語教育の歩み
第6章 英語教育にロマンを
付章  英語の素朴な疑問に答える

新刊
『高校英語授業を知的にしたい −−内容理解・表面的会話中心の授業を超えて』
三浦 孝、 亘理 陽一 (著)、323ページ、研究社 (2016/6/18))、¥ 3,024

 昨今、アクティブ・ラーニングがかまびすしく、ディベートやディスカッションという学習形態を取り入れなければ授業に非ずという潮流を感じることがある。そういう学習形態を導入する前に、もっと授業で生徒に迫ることはあるはずである。本書は、「ふだんの授業を、意見交換の場にしよう!これから求められる世界に通用する英語力とは、読んだ英文をうのみにすることなく、それをもとにした議論に参加する力ではないか。」と問うている。教材の内容理解の先にあることを授業で行うなうべきであると啓発している。グラフィックオーガナイザーの活用などは汎用の型があてはまるものでないが、コンセプトマップを作成することは、リーディング教材の内容をより深く整理して捉えることができるものである。教材の内化という思考・判断の過程を踏まえて、表現という外化、アウトプットにつなげることが求められると考える。
第一章 英文の内容理解だけに終始する英語授業をどう脱却するか
第二章 グラフィックオーガナイザーを用いた内容理解活動の実践
第三章 テキストを深く読むクリティカル・リーディングの授業
第四章 英語が苦手長く生が2分間スピーチを楽しむようになるまで
第五章 生徒が身を乗り出してくるタスクで旧来型教科書の限界を超える
第六章 思考力育成へ向けた授業実践
第七章 スティーブ・ジョブズと頂上タスクで批判的思考力を伸ばす
第八章 小グループが英語で打ち合わせ、英語でプレゼンテーションできる指導
第九章 試作教材『Trinity English Series Book 1』を使った授業実践
第十章 英語を通してより豊かに生きることにつながる授業
第十一章 これからの大学入試が求める英語力
第十二章 現代の大学入試問題はどのような英語力を試そうとしているか

新刊
『英語と日本軍―知られざる外国語教育史』(NHKブックス No.1238)
江利川 春雄 (著) 、288ページ、NHK出版 (2016/3/25)、¥ 1,512

 軍のエリートはいかに「敵国語」を学んだのか? 表紙裏の解説に、「幕末に本格化した外国語教育は近代陸海軍創設に礎となり、日本の帝国主義の道のりを下支えしてきた。一方、その終焉をもたらした一因も外国語教育にあった。陸海軍の制度的問題と教育戦略の欠如が結びつき、現地での軍事行動に支障をきたすまでに至った。はたして軍エリートの養成学校でいかなる教育が行われていたのか。当時の教科書や残された手記の分析、生存者への取材から、その実態に迫るとともに、戦後日本への連続性を明らかにする。」とある。英語教育史の豊富な著者の蔵書・資料から読み解く英語教育の一実態は説得力がある。
昭和6年(1931)満州事変後満州国を建国すると、1993年糊櫛余暇の入試には次のような和文英訳問題が出題された。
「満州事変以来日本は有史以来はじめての南極に立てり。此際本校に入学せんとするものは将来に対し一層の覚悟を要す。
解答例
Since the Manchurian incident Japan had found herself in the greatest difficulties that she has ever met with in her history. The young men who wish to enter this school must, indeed, be prepared for whatever happens in future.
太平洋戦争期にアメリカで刊行されたEnglish-Japanese Phrase Card(1945)
About face! ma-Wa-ray! Meeg-EE! 廻れ右
Advance, one of you DA-rek-ah SHITO-ree MA-yay DAY-ro! 誰か一人前へ出ろ
Can anyone here speak English? Eg-o-no wa^KA-roo mo-no-ga O-roo-KA?
英語の解る者が居るか。
序 章 英語教育の敗戦
第一章 近大陸海軍の創設と外国語
第二章 日本軍の外国語教育はどう変遷したか
第三章 アジア・太平洋戦争来の英語教育
第四章 戦後日本の債券と英語

新刊
『先生、その英語は使いません! (学校で教わる不自然な英語100)』
キャサリン・クラフト(著)【編訳者】里中 哲彦、224ページ、ィーエイチシー (2016/2/22)、1,512円

 「金曜日に彼は学校を休んだ」
Textbook English: He was absent from school on Friday.
Everyday English: He missed school on Friday.
absent は学校側が出欠状況をチェックすることばで生徒同士ではそういう表現は使わない。
「趣味は何ですか」
Textbook English: What’s your hobby?
Everyday English: What do you like to do in your free time? How do you spend your free time?
ネイティブ感覚では、”hobby”は切手を収集したりするなど、一人で黙々と長期にわたって積極的に打ち込んできた活動」で読書、映画鑑賞などは”hobby”に含まれない。
と教科書英語には不自然な表現がたくさん含まれていますと述べている。
いったいどこが不自然かというと……
□ 「話し言葉」と「書き言葉」がごっちゃになっている
□「むかし」と「いま」の表現が混在していてチグハグ
□ 古めかしくてフォーマルな言いまわしが多い
□ イキイキ感に欠ける
 しかしながら、「先生その英語使いません」と大上段で言われると、学校の教員としてはカチンとくる。学校英語は、ネイティブは使わない、こっけいな表現を習っているという響きがある。
外国人の日本語話者に、その日本語、日本人は使いませんよと言っているのと同じだ。実際、口語は話す人によっても違いがあるであろう。ネイティブの英語が善、正解で、それ以外は間違い、許されないというのも英語母語話者絶対主義である。グローバル化の中の国際共通語としての英語は急速に変化するし、ローカライズされることも許容されて行くであろう。学校英語が間違いとまでは言えない。本書は、ただ、ネイティブはそういう風に考えるのかと、文化理解を促してくれると捉えたい。

旧刊

“Teaching Languages to Young Learners”
CAMERON, Lynne Pinter (著) 、274ページ、Cambridge University Press (2001/3/15)、¥ 5,343

 本学の学生の卒論の一つのテーマが「小学校英語と中学校英語の学習の連続性について」である。充分寝指導を行うためにも、こちらも片っ端から関係書を読みこなして、適切なアドバイスを与える必要がある。本書も学生に紹介する関係書籍の一冊である。
小学校英語教育の本格導入が目前になった現在、様々なドリル書が書店にあふれるように並んでいる。しかしながら、早期英語教育に関する理論的な書籍はそう多くない。関西英語教育学会の研究会で聞いた小学校英語教育の実態は、ALTや助っ人の中学校英語教員に丸投げしている状況である。学習指導要領の改訂がすぐに行われる今、本学生が取り上げようとしている小学校と中学校の英語教育の接点の連続性を考えるのは大切な事である。
1 Children learning a foreign language
2 Learning language through tasks and activities
3 Learning the spoken language
4 Learning words
5 Learning grammar
6 Learning literacy skills
7 Learning through stories
8 Theme-based teaching and learning
9 Language choice and language learning
10 Assessment and language learning
11 Issues around teaching children a foreign language

6月の書籍紹介

新刊
『まんがで知る教師の学び これからの学校教育を担うために』
前田康裕(著)、176ページ、さくら社 (2016/3/25)、1,944円

 「教師は一生かかって教師になる」と帯にある。小学校が舞台となっているが、全校種にも通じる内容である。漫画で描かれているので、さっと読める。しかしながら味わい深いセリフが鏤められていて、教育に大切なものを教えてくれる。目次立ては、
第1章 「そもそも思考」で考えよう———そもそも、学ぶとは何か?
第2章 技術的合理主義の限界———省察(リフレクション)をくり返しながら成長する
第3章 リフレクションと自己改善———成長するためには授業観を学ぶこと
第4章 タイムマネジメント———多忙感に負けない仕事術
第5章 学び合いと社会的構成主義———授業形態の真似で終わらせないために
第6章 発達の最近接領域の理論と実践知・学問知———専門家集団がビジョンを共有すれば…
第7章 教師に必要な21世紀型能力———自身の強みを生かした未来設計
第8章 レジリエンスと学習する意識———学び続ける教師とは

新刊
『協調学習とは: 対話を通して理解を深めるアクティブラーニング型授業』
三宅なほみ、東京大学CoREF(著)、201ページ、北大路書房 (2016/4/10)、2,160円

「協調学習」、それは、一人ひとりの生徒が自らの頭で考える、そして、仲間と考えを比較吟味し、より適切な答をつくっていく学習スタイルであるとしている。帯の推薦言葉に、「認知科学,学習科学の研究成果に基づく,グローバル化と21世紀型スキルの時代に最も相応しい授業法の解説書」とある。東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構(東京大学CoREF)が提唱している「知識構成型ジグソー法」という授業の型を使った「協調学習」の実践事例がまとめられている。国語、地歴、数学、化学、英語の授業事例が掲載されている。アクティブ・ラーニングが叫ばれる中、その本質を見極め、自分の授業でどう活かすかを検討するために一読を勧める。

新刊
『アクティブラーニングの評価 (アクティブラーニング・シリーズ)』
松下 佳代, 石井 英真 (編)、145ページ、東信堂 (2016/03)、1,728円

水戸黄門の印籠のように、「一同の者、これが目に入らぬか。アクティブラーニングなるぞ」と、アクティブラーニングという言葉に、初等中等・高等教育界は平伏している感がある。アクティブラーニングとはそもそも何であるかが深くは理解されていない気がする。学校教育法第30条の第2項に、学力の3要素がうたわれている。「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を養うことに,特に意を用いなければならない」である。その中の「主体的に学習に取り組む態度を養う」がアクティブラーニングの金科玉条のようになっている。ディスカッションのようなグループ活動や問題解決の協同学習などの学習形態が提唱されるが、その評価をどうするのかについて言及している書籍は少ない。本書はその数少ない書籍の中の一つと思って購入したが、レポート評価、ポートフォリオ評価、パフォーマンス評価と切り分けた評価の紹介に終わっている。学力の3要素の「基礎的な知識及び技能を習得させる」を含め、体系的な指導と評価の在り方についてなるほどと思う明確な指針や理念は記述されていない。評価の実践は、結局は現場の教員の判断に委ねられているようである。

旧刊

『初めての教育論文―現場教師が研究論文を書くための65のポイント』
野田 敏孝(著) 、124ページ、北大路書房 (2005/07)、 ¥ 1,620

 教職専修の学生のGraduation Project, 卒論の指導に購入した。GP Writingという科目を3年生で履修しているのである。にもかかわらず卒論に対しては感覚的・感想的にテーマの設定を考えているようなので、卒論を書く際には何が大切なのか、さっと説明するために入手した。本書は、現場の教員が、教育研究、教育論文を書くための指針として一定知っておくことが大切と思われることをまとめられていて、読みやすい。学校現場の教育実践の教育論文を書こうと考えている人に勧める。

旧刊

『「頭がいい」とは、文脈力である。』
斎藤孝(著)、236ページ、角川書店 (2004/12)、¥ 1,29

 帯に「現実を把握する力こそが、本当の頭のよさだ。場を読む力ですべてスッキリ」とある。何と本書を古本屋でたったの100円で購入した。斎藤氏の考えは以下の流れである。「頭がいい」状態が訪れると、人は幸福感を感じる。これまでわからなかったことが、理解できるようになる。意味をつかまえたときのすっきり冴え渡った感覚が幸福に繋がる。意味をつかまえるトレーニングとして勉強は一つの有益な方法である。現実の意味がきちんとつかまえられなければ、社会には通用しない。意味をつかまえるとは、その事柄の内容だけでなく、相手の言っていることや 考えていること、その場の状況をわかろうとすること。そして人や場のつながりを把握できる力が文脈力と説いてゆく。文脈力のある人は、頭のよさを活かして自分も、周りも幸せにできる人と述べている。この前振りのあと、文脈力をつかまえる方法を説いている。わかりやすい内容なので、生徒に話してやって、考えさせてみてはいかがでしょうか。

5月の書籍紹介

新刊
『 [新訳]武士の娘』
杉本 鉞子(英文)、 小坂 恵理 (訳) 、347ページ、PHP研究所 (2016/3/19)、¥1,620

  1873年、越後長岡藩の家老の家に生れ、武士の娘として厳格に育てられた杉本鉞子は結婚によりアメリカに住むようになる。アメリカでの激変する生活の中でも「武士の娘」として身につけたものを失うことなく、また自分にとじこもることもなく、女性として見事に生きる。当時の風俗や生活のありさまを知ることができる教養豊かな内容である。1994年にちくま文庫から出版されている。本版はその新版である。原著は“A DAUGHTER OF THE SAMURAI”である。 Chapter I. WINTERS IN ECHIGO JAPAN is often called by foreign people a land of sunshine and cherry blossoms. This is because tourists generally visit only the eastern and southern parts of the country, where the climate is mild all the year round. On the northwest coast the winters are long, snow often covering the ground from December to March or April. In the province of Echigo, where was my home, winter usually began with a heavy snow which came down fast and steady until only the thick, round ridge-poles of our thatched roofs could be seen. Then groups of coolies, with straw mats over their shoulders and big woven hats that looked like umbrellas, came and with broad wooden shovels cut tunnels through from one side of the street to the other. The snow was not removed from the middle of the street all winter. It lay in a long pile, towering far above the house-tops. The coolies cut steps, for they were carrying snow at intervals all winter, and we children used to climb up and run along the top. We played many games there, sometimes pretending we were knights rescuing a snow-bound village, or fierce brigands stealing upon it for an attack. とわかりやすい英文で、アメリカでベストセラーになったものである。古き良き日本を伝える内容で、新渡戸稲造の『武士道』よりはるかに読みやすい内容である。新訳本はこれまでの翻訳版では削除さていた24章を含む初の完全版で、日本の面影をさらりとした文章で綴っている。

旧刊

『英語4技能評価の理論と実践: CAN-DO・観点別評価から技能統合的活動の評価まで』
望月昭彦、印南洋,(著)、307ページ、大修館書店 (2015/5/20)、2,592円

 アクティブ・ラーニングなどの学習形態や指導法は今、教育の世界においては最も注目を浴びるものであるが、その評価となると明快な説明やわかりやすい、納得できる実践的な評価方法はあまり目にしない。今流行りのcan-do評価も到達目標が先行している感がある。本書はcan-do評価の解説から、4領域に分けた評価の例を理論と実践で解説しようと試みている。到達目標としての規準を言葉でどう表せば良いか、自校のcan-do評価を検討している方には参考になる一冊である。ただ、何ができるかを評価するに終始するのではなく、学習者である生徒がどのように学び考え思考するのが良いのか、howに基づく評価、生徒にとって学びの補助になる評価体系を組むことが望ましいようにも思える。

旧刊

『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』
くさばよしみ(編)、中川学(イラスト) 、32ページ、汐文社 (2014/03)、1,728円

 2012年ブラジルのリオデジャネイロで、環境が悪化した地球の未来について話し合う国際会議(国連持続可能な開発会議[リオ+20])が行われた。これといった名案もなく、型どおりのスピーチが行われていった中で、最後に当時ウルグアイの第40代大統領であったホセ・ムヒカ(Jose Mujica)氏が質素な背広にネクタイなしのシャツ姿の出で立ちで登壇しスピーチを行った。最後の演説という順番のせいか聴衆が少なくなった会場で、その演説は終わると同時に大きな拍手を巻き起こした。その演説を日本語訳にしたものの一つが冒頭の絵本である。4月初旬に出版社の依頼で来日し、テレビ番組でも登場し池上氏と「幸せとは何か」について話し合い話題となったムヒカ前ウルグアイ大統領のことばを、環境問題を扱う教材に組み入れてはと思う。元はスペイン語演説であるが、英語版はネットで入手できる。
http://thewanderlife.com/human-happiness-and-the-environment-address-by-uruguayan-president-jose-mujica-at-rio-20-summit/

旧刊

『日英言語文化論考』
山岸勝栄(著)、278ページ、こびあん書房 (1995/01)、¥ 2,400

少し古い書籍である。現在はアマゾンで古書として1400円前後で入手できる。日英語比較から日本文化性までを幅広く論じている。神との契約に生きるキリスト教文化、八百万神、自然と共に生きる日本文化がそれぞれの言語にどう影響しているか、日本語と英語の基盤となっている考え方は、言語文化に関する教養を豊かにしてくれる。教員は対象言語を学ぶことを通して、英語そのものが文化である言語文化を扱い、英語社会において物心両面にわたる活動の様式と内容の総体となっている、ものの見方や価値観を生徒に習得させることも仕事であると考えると、スキル本ばかり読むのでなくこうした原点を捉える本をじっくり読むべきであろう。

旧刊

『100語で学ぶ英語のこころ』
山岸勝栄(著)、197ページ、研究社(2004/10/25)、1,620円

 同じく山岸氏の書籍である。100語の英語を取り上げて、日英の文化的なズレを中心に解説し、英語圏の人々の根本的な意識や考え方を示している。たとえば、「涙」tearsの箇所を一部紹介する。ことばに対するイメージが深くなる。 「(前略…)日本人の人間関係は感情的に結びついたタテの関係(かつての「家」制度や親分子分など)としてしばしばたとえられており、そのような対人関係では情に訴える,すなわち, 「甘え」が介在するのである。したがって,泣くことで水に流したり,忘れたりするということも起こりうるのである。もちろん、そのように人に涙で訴えることができるのも「ウチ」とそれ以外の「ソト(ヨソ)」 という日本特有の社会構造が存在するからであろう。実際, 「ソト(ヨソ)」で涙を見せることは(恥ずかしいので)しない」という思いは多くの日本人がもっていることであろう。
 一方、英米語圏では, tearsはcome out, burst, run down, stream down , shed , swell up with , fill up with などと結びついて、男女を問わず人が自然な感情の表れとしてわき出てくるものと考えられている。これは、キリスト教・ユダヤ教が主流の英米語圏では、自己の感情を抑えることは不誠実であり、涙のみならず、God の前ではあらゆる感情をさらけ出すことで救いが得られると考えられているからだ。
 (中略)
 「涙」が感情的な人間関係を前提に,周囲の状況「ウチ」と「ソト(ヨソ)」に応じてコントロールできるという、いわば日本人特有の対人関係を投影しているのに対し, tears はGodとの契約(contract)を介した宗教的関係に基づく、自然な感情の発露だということが分かるであろう。

4月の書籍紹介

新刊
『本物の英語力』(講談社現代新書)
鳥飼 玖美子(著)、 224ページ、講談社 (2016/2/17)、¥864

 「英語格差」(English divide)という言葉がある。筆者はグローバル時代の進行ともに英語教育に躍起になっている政府の施策に対し、「国をあげて英語に必死で取り組んでいても、母語話者(ネイティブ・スピーカー)との英語力格差はなくなりません。なぜなら、母語と同じように意識せず縦横無尽に英語を使いこなすととは英語が母語でない人びとには難しいので、国際的な場で丁々発止とやったら、たいていは英語のネイティブ・スピーカーに負けるわけです。その上、悪いことに、英語が重要だと、なると、人聞を英語力で測ることが当たり前のようになり、ネイティブ・スピーカーに限りなく近く英語を話せる人が何だか「偉い」ようになり、英語が苦手な人聞は中身がどんなに立派であっても尊敬されないどころか就職もままならない、という歪んだ状況が生まれます。これが『英語格差』です」と述べている。
追い込むような英語学習でなく、英語は楽しみながら学ぶべきであるとして、(1)ネイティブ・スピーカーを目指すのではなく、自分が主体的に使える英語——「私の英語」を目指す。(2)英語を覚えようとするのではなく、知りたい内容、興味のある内容を英語で学ぶ。の基本原則を二つ紹介している。
第一部「英語は基礎力———発音、語彙、コンテクスト、文法」5講構成
第二部「英語の学習法———訳す、スキル、試験、デジタル、そして映画」6講構成
第三部「英語の実践———語学研修、留学、仕事」
が本書の構成である。発音に関しては、「ハチャメチャ英語」の発音では相手に通じないことを危惧し、学校で、発音の基礎指導を受けるべきと述べている。そのため英語教員は発音指導に自信を持って望むべきで、教職課程で「英語音声学」を必修にすべきと考えている。また、語彙力を付けることも大切で、新語が豊富なネット辞書もいいが、説明が豊富なこと、さらには用例の多い「紙の辞書」の活用が大切と述べている。温故知新の学び方である。

新刊
『資質能力 理論編』(国研ライブラリー)
国立教育政策研究所(著)、256ページ、東洋館出版社 (2016/2/9)、¥2,160

  本書は、「国立教育政策研究所によるプロジェクト研究の成果として整理された「21世紀に求められる資質・能力」を、さらに学術的に精緻化・構造化し、教育目標や内容、学習・指導方法、評価等の一体的・実証的な検討を行う中でまとめられた、言わば「理論編」として位置づけられるものです。それゆえ、平成28年1月現在、中央教育審議会において進められている次期学習指導要領改訂に向けた議論の参考となっています」とある。「誰も正解が分からない世界で、みんなが少しずつ考えや知恵を持ち寄って、答えを作り出し、それを現実に適用した結果も見守りながら、更により良い答えを求めていく」時代において、求められる資質・能力は何か。自分とは異なる、ズレのある考えや意見をどう理解・共有して新しい考えを生みだしていくか、そうした力を育成するにはどうすれば良いか、「学びの構造」を読み解こうとしている。資質・能力の教育として、① ある対象を学ぶスタート時点では、その対象の内容(知識)と資質・能力を分けて考える。前者を新しく学ぶために、後者を使って効果的な学習に従事する。②学習が進むにつれて、その対象が子供の中の「生きて働く知識」となり、資質・能力の支えや重要な要素となってくる。③ この内容知と方法知とが融合した資質・能力が、更に高次な学習のスタートに使われる。上記の①における「資質・能力」は、子供が新しいことを学ぶ際に使える「「潜在的な学ぶ力や考える力」③ における「資質・能力」は、「教科等の質の高い知識やその学び方に関するメタ認知、ものの見方・考え方を含む総体」になるとしている。

新刊
『アクティブ・ラーニングとしての国際バカロレア―「覚える君」から「考える君」へ』(日本標準ブックレット)
大迫 弘和(編著) 、78ページ、日本標準 (2016/02)、¥ 972

  アクティブ・ラーニングという言葉が書名にあるので、購入した。ただ、他の日本標準ブックレットに比べて、中身が薄いように思われた。「覚える君」から「考える君」へと記し、「考える君」がアクティブ・ラーニングの姿で、国際バカロレア(International Baccalaureate=IB)の学習者像はそれにあてはまるものだと述べている。Inquirers(探究する人):私たちは、好奇心を育み、探究し研究するスキルを身につけます。ひとりで学んだり、他の人々とともに学んだりします。熱意をもって学び、学ぶ喜びを生涯を通じてもち続けます、Thinkers(考える人):私たちは、複雑な問題を分析し、責任ある行動をとるために、批判的かつ創造的に考えるスキルを活用します。率先して理性的で合理的な判断を下します。Knowledgeable(知識のある人):私たちは、概念的な理解を深めて活用し、幅広い分野の知識を探究します。地域社会やグローパル社会における重要な課題や考えに取り組みます、communications(コミュニケーションができる人:私たちは、複数の言語やさまざまな方法を用いて、自信をもって創造的に自分自身を表現します。他の人々や他の集団のものの見方に注意深く耳を傾け、効果的に協力し合います、Principled(信念のある人):私たちは、誠実かつ正直に、公正な考えと強い正義感をもって行動します。そして、あらゆる人々がもつ尊厳と権利を尊重して行動します。私たちは、自分自身の行動とそれに伴う結果に責任をもちます、Open-minded(心を開く人):私たちは、自己の文化と個人的な経験の真価を正しく受け止めると同時に、他の人々の価値観や伝統の真価もまた正しく受け止めます。多様な視点、を求め、価値を見いだし、その経験を糧に成長しようと努めます、Risk-takers(挑戦する人):私たちは、不確実な事態に対し、熟慮と決断力をもって向き合います。ひとりで、または協力して新しい考えや方法を探究します。挑戦と変化に機知に富んだ方法で快活に取り組みます、Caring(思いやりのある人):私たちは、思いやりと共感、そして尊重の精神を示します。人の役に立ち、他の人々の生活や私たちを取り巻く世界を良くするために行動します、Balanced(バランスのとれた人):私たちは、自分自身や他の人々の幸福にとって、私たちの生を構成する知性、身体、心の八ランスをとることが、大切だと理解しています。また、私たちが他の人々や、私たちが、住むこの世界と相互に依存していることを認識しています、Reflective(振り返りができる人):私たちは、世界について、そして自分の考えや経験について、深く考察します。自分自身の学びと成長を促すため、自分の長所と短所を理解するよう努めます。
 アクティブ・ラーニングという学習形態に関わらず、学びの本質は「考える」である。本書は概念の記述が多く、具体的にどうすることが大切なのか、IBとアクティブ・ラーニングの実際については書かれていないのが残念である。

旧刊

『 MP3 CD付 人を動かすことば Inspiring Words【日本語訳 解説付き】』
寺沢 美紀、 増澤 史子(著)、238ページ、IBCパブリッシング (2012/10/25)、¥1,944

 スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、ボブ・ディラン、ジョン・レノン、ピーター・ドラッカー、ココ・シャネル、ダライ・ラマ14世など心に響く名言、人生に前向きになる名言100選ばれている。本書の特徴は、名言とその背景・解説の英文が付いていることである。たとえば、Audrey Hepburn の名言、“For beautiful eyes, look for the good in others; for beautiful lips, speak only words of kindness; and for poise, walk with the knowledge that you are never alone.” に解説として、What is true beauty? It is not the beauty of the face or body. True beauty comes from inside-from the spirit. It comes from our thoughts and actions. Other people can see true beauty... it shines through our physical bodies. This inner beauty makes even the plainest people beautiful. We can all aspire to this inner beauty, no matter who we are or how old we are. Movie actress Audrey Hepburn was one of the most beautiful women in the wor1d. She had both outer and inner beauty. Most people have seen photos of Hepburn when she was young-and yes, she was very, very lovely. But take a look at a photo of Hepburn in her later life... You'l1 see that she was even more beautiful. As she grew older, her inner beauty shone brighter and brighter.
とある。MP3の音声が付いているので、PPTのスライドに名言、解説をタイプ打ちして、音声を張り付けると、「1日1名言」の日々の教材としても活用できる。

旧刊

『中学英語でスラスラ読める! 長文読解トレーニング 泣ける英語』
デイビッド・セイン(著)、224ページ、泰文堂; A5版 (2013/5/21)、¥1,404

「アメリカで古くから語り継がれている話から、ごく最近の本当にあった話まで珠玉の泣ける、感動する物語を選りすぐって収録。珠玉の感動ストーリー46話」とある。
授業で時々、教員が地声でストーリーテリングとして読み聞かせで使える。難しい内容のものでなく、心に響く話の方が聞く気になるのではないだろうか。第一話のhandsの最終部分は、He realized that his success had been built on the sacrifice of Hans. He felt a deep sin for stealing Hans's life as an artist. Hans would never hold a brush again. He felt he could never meet Hans again. He was too ashamed. But in deep sadness, Durer returned to Hans's home to ask for forgiveness.
A dim light came from his room. Peering into the room, he saw Hans praying with his heart and soul with his rough hands placed together.
“Dear God" Hans prayed, “Durer is saddened because of me, but I am not sad. I am happy with my life --- I can walk with Durer. Please bless Durer so that he doesn't blame himself. Please always bless him.”
Albrecht Durer is one of the most famous painters ever. His works hang in museums around thee world. But his most famous painting is a simple one called The Praying Hands.
The hands aren’t the delicate hands of an artist. They are the rough hands of a miner in sincere prayer --- the hands of someone who worked and prayed only for the success of a friend.
である。読んでみたくなりましたか。

3月の書籍紹介

新刊
『生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後』(岩波新書)
小熊 英二(著) 、352ページ、岩波書店 (2015/6/20)、¥1,015

 昨年発行の書籍である。「新書大賞 2016」が『中央公論』3月号において発表され、本書は第2位に選ばれた。書店に並べられているのを気にはしていたのだが、『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫)を読んでいたので購入するまでには至らなかった。しかしながら、新書大賞に選ばれた本は読んでおきたいと考え手にした。小熊謙二という普通の日本人が往時のギリギリの生活状況や家族環境で過ごしている中で応召され、武器や装備もほとんどない軍に配属、すぐに終戦シベリアに捕虜として抑留・強制労働、戦後3年経ってやっと日本に帰還、国内では「シベリア帰り」という偏見の目がある中、ヤミ屋のような不安定な仕事をしている際に結核を発症、5年間の療養、その後スポーツ用品の販売を手がけ成功する。そうした彼の人生が、分かりやすく淡々とした言葉で綴られていく。往時の日本人がどのような気持ちで過ごしていたかをうかがい知ることができる。第8章や第9章にある戦争を扱った書籍や小野田寛郎帰還兵への率直なコメントや、日本兵として抑留された朝鮮系中国人の保障問題への協力など、人間としての小熊謙二の生き様は心に残る。「人生の苦しい局面で、最も大事なことは何だったのかを聞いた。シベリアや結核療養所などで、未来が全く見えないとき、人間にとって何がいちばん大切だと思ったか」という息子でもあり著者である小熊英二の問いに、「希望だ。それがあれば、人間は生きていける」と答えたという言葉で、最後のページが締めくくられている。戦後70年と言われ、先の大戦のことを過去のことと遠ざけていく風潮があるが、戦争とは、平和とは、戦後日本とは、いったい何だったのか。戦争体験は人々をどのように変えたのか。しっかり見つめておく必要がある。

旧刊

『教養の力 東大駒場で学ぶこと』(集英社新書)
斎藤 兆史(著) 、192ページ、集英社 (2013/4/17)、¥756

 専門知・実用知こそが求められるべきものであると、最近の文系学部廃止論に見られる実学重視の傾向に対して、文系科目を含めた教養を忘れてはいけないのではないかという思いで本書を紹介する。東大駒場での教養教育の実態を述べるのではなく、古典英語を読める読解力に「知」「情」「意」(真・善・美)といった教養ある人格が形成されるが本書の内容である。今、アクティブ・ラーニングが金科玉条のように取り上げられ、英語教育への改善もこの指導法を基にという声が大きいが、著者は以下のように述べている。「現在の英語教育でははなはだ評判の悪い英文和訳・和文英訳にしても、日本語と英語の間を、その文化的な意味合いも含めて正確に行き来する言語訓練として、教養教育の一端を担っていた。そして本来であれば、異文化理解の重要性が説かれ、ヨーロッパを中心として多言語・多文化主義が奉じられるようになったいまこそ、そのような訓練が行なわれるべきなのである。現在の中学・高校での英語教育は、完全に教養教育としての側面を失ってしまった。最近、中高で授業参観をする機会が増えたが、「学習者主体」「facilitator(まとめ役、世話役)としての教師」「発見型の学び」 などという聞こえのいい理念の下に、生徒同士で作業をさせることを絶対条件とするような英語の授業が増えた。なかには、「合体ロボ」か、映画の「トランスフォーマー」、あるいはマスゲームさながらに、一時間の授業のなかで二人組、四人組、六人組とガチャガチャ机を組み替えながら作業ややり取りをさせる授業もある。もちろん授業の工夫自体は大いに結構だが、もともとろくな英語力を持ち合わせぬ生徒同士が英語(らしきもの) でやり取りをしたところで、英語力が伸びるものではない。やはり教師が英語使用の手本を示したり、ときに教養を披露して生徒を刺激しでほしいものだと思う。中等教育の英語の教養こそ、その先の教養の基礎の重要な部分を成すべきものだ」教えて学ばせる、「教える」と「学ぶ」は切り離せないものとして捉えるべきものと考える。

旧刊

『サムライと英語』(角川oneテーマ新書)
明石 康(著)、236ページ、角川書店 (2004/05) 、¥843

江戸時代の三浦按針から、ペリー来航の時に応対にあたった通訳堀達之助の奮闘の様子などを通して日本人の英語との出会いから始まり、新渡戸稲造の『武士道』が英語で書かれた意図を通して、サムライと英語の関わりを述べている。深い教養と崇高な精神性を 持つ人格者としてのサムライがどう英語に向き合ってきたかが、明石さんの目を通して分かりやすく綴られている。授業の中で逸話として紹介したりして、生徒に英語をどう向き合うかを考えさせる一教材としてもいいのではないかと思う。

旧刊

『<学級>の歴史学』(講談社選書)
柳 治男(著) 、278ページ、講談社 (2005/3/11)、¥1,620

表紙裏に、「我々はどうして席に座って教師の話を聞いていたのか? それは教育の普遍的システムなのか? 〈崩壊〉という事態は何なのか? 近代の発明品〈学級〉の歴史性と限界を暴き、自明視された空間で暮らす子どもと教師を救済する!」とある。確かに、我々教育者は、「学級」を当たり前のものとして捉え、「学級づくり」という集団生活の中で、社会生活への順応を育むということが教育の任務の一つと考えている。したがってイジメ報道が過熱すると「教師の力量」が問われることになる。著者は、学級をパックツアーと比較して、
①指導する者と、指導される者から構成される集団である。
②期間が限定されて成立する集団である。
③参加者の選択の自由度が少ない集団である。
と共通点を挙げたあと、
①人々が自発的に集まった集団と、強制的に集められた集団という違いがある。
②参加者の年齢が問われない集団と、参加者の年齢が統一された集団という違いがある。
③参加者の相互関係が非競争的状況にある集団と、競争的集団という違いがある。
④参加者による集団形成が短期間で終了する集団と、長期間にわたる集団という違いがある
⑤大人が主として利用する集団と、青少年が主として利用する集団という違いがある。
という違いがあると指摘している。そのうえで、
①学習意欲のない子どもも受け入れねばならないという使命を学級集団は背負っている。
②学習の順序を、子どもが自分で決定することができない。
③年齢が無理に統一されることにより、子どもの中で比較的年長者が支配するという自然の秩序が存在しない、いびつな集団が形成される。
④ある程度均質な集団の中で、児童・生徒は数字でメリハリのついた成績をめぐる競争状態に常に置かれる。
⑤仲良しの友達ができれば幸いだが、どうしても仲良しになれない同級生と、1年間あるいはそれ以上の長期間にわたって付き合わねばならない。
と問題点を指摘している。学級集団への所属をめぐる課題や問題に目を向けずに、学校で起こる問題に対処できないことは確かなことと考える。

2月の書籍紹介

新刊
『名高き海賊船長シングルトンの冒険一代記』
ダニエル・デフォー(著)、 織田 稔・藤原 浩一 (翻訳)、 357ページ、明石書店 (2015/11/30)、3,564円

 直接習ったことはないのだが、教員になって以来著書を通じて尊敬する織田稔先生が大学教員を退職されてからもなお、英語に対する情熱も持ち続けておられ、本書を訳された。案内をいただいてすぐに購入した。『海賊船長シングルトン』は『ロビンソン・クルーソー』で有名なダニエル・デフォーの姉妹編物語である。「全体を章や節に区切ったり対話部分に「」を加えたりすることなく、出来るだけデフォーが書いたままの文章で読んでいただけるように努めた。物語は途切れることなく次々と展開し、また長いパラグラフが改行もなく延々と続き、最初は戸惑われるかもしれないが、これが十八世紀初頭の文章であり、当時の読者に立ち返って読み進んでいただければ、すぐに慣れられることと思う」と訳者の言葉がある。確かに読み始めると長井文章のオンパレードである。ただ冒険活劇なのでその方がどうなるのだろうと思わせる。少年の頃、冒険小説を読みあさったころに戻るような気がする。最近、やたら実学偏重で文学を軽視するかのような風潮があるが、教養は文学にもある。東寺の小説の文明論、文化論として読めばまた異なる読みができるのも文学の味わいである。

新刊
『語彙力こそが教養である』(角川新書)
齋藤 孝(著)、244ページ、KADOKAWA/角川書店 (2015/12/10)、907円

 『教育力』など著者の新書は「力」が付く言葉が多い。本書は「語彙力」である。語彙力は、あなたの知的生活をも豊かにするが著者の主張である。「豊かな日本語を声に出して読めば、それがそのまま貴方の語彙になる」と述べている。名言名句を暗誦して諳んじられると、そこに使われている語彙が意味を持って口に出てくる。それは一つの教養の形である。豊かなインプットが語彙力を増やす。そのためには読書がまず必要だ。名著を読んで、そこに使われている語彙や表現を自分のものにすることであろう。読書離れが進み書籍の売り上げが減っているとのことであるが、教員は自身の読書量を増やすとともに、生徒に読書を迫ることが大切である。

新刊
『音とことばのふしぎな世界――メイド声から英語の達人まで』(岩波科学ライブラリー)
川原 繁人(著)、128ページ、岩波書店 (2015/11/6)、1,296円

  この書籍は一気に読んでみたくなる。「あ」と「い」はどっちが大きい? こんな質問をされたら、どう答えるであろう。文字そのものには大小がないはずなのに、音で聴くと母語が何であるかにかかわらず大小を判断する。「ガンダム」といえば強そうだけど、「ファフナー」ってあんまり強そうじゃない。そんな音の不思議さについての楽しい話がいっぱい。夢中になって読みました。音のイメージって大切だと再認識。商品のネーミングはこれを考えておかないといけないですね。どうですか、興味が湧きませんか。英語の授業で一つ二つ紹介されてはいかがでしょうか。音に対する認識は、人類共通なのかと思える。それを知れたことがまず面白いと思った感想である。

旧刊

『新版 日本人と英米人: 身ぶり・行動パターンの比較』
ジェイムズ カーカップ、 中野 道雄(著)、 208ページ、大修館書店; 新版 (2014/1/15)、1,944円

帯に「ロングセラー『日本人と英米人』(1973)には、日本人の「駅で見送る」「おんぶをする」といった行動パターン、「そろばんで勘定をする」「めしをかきこむ」などのジェスチャーが、イギリスの詩人の新鮮な目で観察されていた。それは40年でどう変わったか」とある。それがどう変わったか、40年後の新版として出版された。「身振りとイディオム」では、We put heads together.「額を集めて相談した」の意味で、日英ほぼ同じ。He showed his teeth. 日本語では「笑った」という意味で捉えらが英語では「怒った」のイメージ、扇を振る(shakes her fan at him):閉じて立てた扇子を人に向けて、指の代わりに左右に振る動作。相手への不同意、非難の気持ちを表すなど、英語表現が日英で同じもの異なるもの・同じものなどがまとめられている。

旧刊

『英語国民の頭の中の研究』
副島 隆彦(著) 、239ページ、PHP研究所 (2014/9/17)、1,728円

 何だかインパクトのある書名であったので、購入した。This is my pen.と英語では言うが、通常、形容詞として扱うことが多いthisがなぜ主語になるのかなど普段意識しない英語の表現を取り上げ、説明している。be動詞やhave動詞使う原始的な英文、I have a child. I am here.などを取り上げ、「英文のしくみ」とその本当為の意味を論述している。

旧刊

『教育力』(岩波新書)
齋藤 孝(著) 214ページ、岩波書店 (2007/1/19) 799円

 教師に求められる力について,著書ならではの視点で語られている。 たとえば、「教師という仕事に就いたとしても、自分自身が学ぶことをとうにやめてしまっている人も少なくない。それは教壇に立っている人を見れば、ほとんど即座にわかるものだ。 教師が学ぶことをやめると、教育力は落ちる。というのは、生徒の側はその先生の勢いのようなものを感じとり、それを学ぶ動機に代えるからである。その先生がやる気に満ちていて、自分もまだうまくなりたい、もっとこの世界をよく知りたいという勢い、遠くへ向かっていく強い力を見せたとき、その力に反応して、「ああ、自分ちそういうふうになってみたいな」と生徒も思うものなのだ」とある。教員なら、そうだなとしみじみ思う、教育の在り方、教師の在り方を著者は綴っている。reflectionとして一読を勧める。

1月の書籍紹介

新刊
『英語で大学が亡びるとき―「英語力=グローバル人材」というイデオロギー』
寺島隆吉(著)、 357ページ、明石書店 (2015/11/30)、3,024円

 グローバル化の進展と共に日本に「英語の世紀」の荒波が押し寄せる中、かなり批判的なタイトルの書籍である。著者は元岐阜大学の教授で、先年、『英語教育が亡びるとき』 で英語教育に警鐘を鳴らした人である。本書は、京都大学などでの講演資料や京都大学新聞のインタビュー記事などを再構成してまとめている。
 「英語力=研究力、英語力=経済力、英語力=国際力という神話がまかり通っている」「外国からの留学生は英語による授業を望んでいない、日本の文化・考え方を学びたい」「アメリカを蝕む大学ランキング競争――なぜアメリカの大学教育は劣化しつつあるのか」など刺激的な論考である。鈴木孝夫氏の考えに同調されている寺島氏の主張は、ややもすると現状の英語教育改革の波に流されそうとする際に、自身が考える英語教育の展望と見通しを定かにし、進むべき方向の意味と価値を再確認するための灯台の光となるものである。様々な考えをしっかり認識し、生徒や学生への英語教育に望みたい。

新刊
『教育プレゼンテーション 目的・技法・実践』
渡部 淳、 獲得型教育研究会(著)、264ページ、旬報社 (2015/11/16)、2,700円

  アクティブ・ラーニングが巷で騒がれる中、プレゼンテーション能力の育成を図る活動が学校で取り組まれ、様々なプレゼンテーション活動が行われている。本書は。プレゼンテーションの技術を学ぶ理論書ではなく、教育現場で使える“プレゼン"技法や活動例を網羅している。主な目次は、
第1部 教育プレゼンテーションのねらいと技法の活用
第2部 30の技法
・はじめの一歩
・「ことばモード」に重点をおいたプレゼンテーション
・「ものモード」に重点をおいたプレゼンテーション
・「身体モード」に重点をおいたプレゼンテーション
第3部 応用編
・お天気さいばん
・お天気のかみさま、おねがいきいて!(小学2年生)
・全校で取り組む「国際理解の日」(中学1-3年生)
・高校生プレゼンフェスタ海外の高校生に伝えたい日本!(高校1-3年生)
・教師たちのプレゼンフェスタニュース・ショー形式で考える東京大空襲(小大学教員)
である。プレゼンテーション活動を具体的にどのようなテーマや課題で行えばよいのか、その参考になる書籍である。

新刊
『カリキュラム・イノベーション: 新しい学びの創造へ向けて』
東京大学教育学部カリキュラム・イノベーション研究会(著)、 253ページ、大修館書店 (2014/6/20)、3,672円

  少子化、価値観の変容、産業構造の激変のなかで、次の学習指導要領が策定される。戦後型社会の構造転換を踏まえた、21世紀型の公教育の新しい方向性はどうあるのか。序章にあるように、教科学習にのみ目を向けるのでなく、社会生活を視野に入れた、社会的意義(レリバンス)を有する学力の形成を重視し、カリキュラム・イノベーション(革新)として本書をまとめようとしている。Relevance:
«…との» 関連(性) «to» ; 適切(さ), 妥当性という言葉を使っているように、獲得する学力が社会との関わりを持ったものであるべきであるという視点がキーである。「文化遺産の伝達を重視するエッセンシャリズム」「子どもの経験を重視する進歩主義」など2項対立的に見るのでなく社会とのの関わりの中でその意義を見いだそうとしている。主な目次は以下のとおりである
第I部 カリキュラム・イノベーションの原理
1章 21世紀型の学校カリキュラムの構造(佐藤 学)
2章 カリキュラムの社会的意義(レリバンス)(本田由紀)
3章 「社会に生きる学力」の系譜(市川伸一)
第II部 基幹学習
4章 言語力としてのメタ文法能力の育成(秋田喜代美)
5章 リテラシーをどう育むか(藤村宣之)
6章 探究学習のあり方と学校図書館(根本 彰)
第IV部 社会参加の学習
12章 シティズンシップ教育のカリキュラム(小玉重夫)
13章 正義とケアの編み直し(川本隆史)
14章 社会における学びと身体性(牧野 篤)
15章 職業的意義のある教育とその効果(本田由紀)
16章 バリアフリー教育とは何か(白石さや)
17章 バリアフリー教育を授業に取り入れる(星加良司)

新刊
『アクティブ・ラーニングとは何か (教育フォーラム)』
梶田叡一、 人間教育研究協議会(著) 、224ページ、NHK出版 (2014/10/9)、2,592円

本書は英語教育に特化したものでなく、本書曰く、「学校で学ぶ子どもたちを未来社会からの留学生として捉え」、未来社会に主体的に生きる力を付ける学習形態の一つとしてアクティブ・ラーニングを取り上げている。梶田叡一はあとがきに、「アクティブ・ラーニングとは、文字どおり能動的な学習ということである。学習者を受け身のままにさせない、といいたことであり、教師が一方的に語り続けたり、活動の支持を続けたりする、といいた指導の在り方からだ脱却することである。ここで目指されているのは、思考を活性化させ、具体的な課題解決に対して積極的に取り組んでいく対処性(コーピング)の姿勢と力の獲得である。これは、主体的に思考すること、自分事として(自我関与して)課題に取り組み考えていくこと、と言ってもいいであろう」と述べている。アクティブ・ラーニング関係の書籍が次々に発刊となっているが、アクティブ・ラーニングは思考の活性化がキーワードであると思う。そのために必要な、課題意識の喚起のさせ方、多様な発想・アプローチへの目の開かせ方、粘り強い課題取組みの支援、課題解決の結論の検討や再吟味の促しといったさまざまな働きかけなど、深い意味での学びを促す指導の実際を提示してくれる本書のような書籍が望まれる。

旧刊

“Issues Now In the News Third Edition Student's Book with MP3 CD”
Adam Worcester (著) 126ページ、Compass Publishing Japan (2014) ¥ 2,160

本書は、東京に出張に出かけた際に新宿にある大型書店に立ち寄り、英語教育のテキストのコーナーで見つけたものである。Voice of Americaから厳選された全世界の様々な国の問題や文化についての記事を扱ったリーディング強化のテキストで、背景知識の説明から始まり読解問題だけでなくボキャブラリー、イディオムや要約などの問題が用意されている。
International Concernsとして “Safe Water”, “Wold Population Growth”など, World Affairsとして “Human Rights Watch Campaigns Against ‘Killer Robats’”, “New Europe” Goes Globalなど, Lfe & Trendsとして “America’s Changing Family”, “A Limit to Free Speech”など、Environment & Healthとして “Hero of the Planet”, “Global Trade and Pests”など, Culture & Entertainmentとして “Comfort Foods or Cures”, “Violence & Video Games”など20の現代の課題のトピックを取り上げている。社会問題のテキストを読み、社会に関する一般教養(リベラル・アーツ)を身に付けてもらいたいとおもう。

旧刊

“Hot Topics Japan 1 Student Book with MP3 CD”
Angella Cooze (著) 144ページ、Continuum (2006/5/23) ¥ 2,376

 本書も東京出張の際に購入したテキストである。日本人にとっては当たり前の事でも、海外の人々には不思議に思える現代日本の文化・習慣をテーマにディスカッションをする英語教材である。日本の若者が興味を持つ今(2014年)日本で話題となっているトピックを扱っている。たとえば、日本を訪れる多くの人々にとって、日常的にマスクをつける姿はとても不思議にみえる。ディスカッション用のテキストである。
How Close Is Too Close?
People communicate in many different ways. Obviously, people talk to each other. However, it is also possible to “talk" without ever saying a word. Eye contact, facial expressions, and personal space can also“say” things the speaker may not even know about.
Personal space refers to the distance between two people. It differs among countries. What is comfortable in one culture may be seen as something that is known from birth. It is learned. Personal space in Middle Eastern or Latin American countries is very small. However, because Japan is a small country with many people, space is important.
(後略)

旧刊

『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫)
辺見 じゅん(著) 214ページ、岩波書店 (2007/1/19) 562円

  戦後70年賀過ぎた。先の大戦のの敗戦から12年目に遺族が手にした6通の遺書。ソ連軍に捕われ、極寒と飢餓と重労働のシベリア抑留中に死んだ男のその遺書は、彼を欽慕する仲間達の驚くべき方法により厳しいソ連監視網をかい潜ったものだった。
「最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである」という言葉は、シベリアの収容所で倒れた山本幡男さんの魂の叫びである。遺書の一部はこうである。
『4人の子どもたちよ、お互い団結し、協力せよ。君たちが立派に成長してゆくであろう事を思いつつ、私は満足して死んでいく。
さて、君たちは、之から人生の荒波と闘って生きてゆくのだが、君たちはどんなつらい日があろうとも光輝ある日本民族の一人として生まれたことを感謝することを忘れてはならぬ。日本民族こそは将来、東洋、西洋の文化の融合する唯一の媒介者、東洋のすぐれたる道義の文化・・・・人道主義を以て世界文化再建に寄与し得る唯一の民族である。この歴史的使命を片時も忘れてはならぬ。
また君達はどんなに辛い日があろうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するという進歩的な思想を忘れてはならぬ。偏頗で矯激な思想に迷ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基く自由、博愛、幸福、正義の道を進んで呉れ。‥最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである。(後略)』

2015年

12月・冬休みの書籍紹介

新刊
『サバイバル英文法―「読み解く力」を呼び覚ます』
関 正生(著)、248ページ、NHK出版 (2015/10/9) 842円

『世界一わかりやすい英文法の授業』を執筆した人気塾講師の新書版である。ただ、すべての文法項目を扱っているものではない。いくつかの文法項目のキーイメージをシンプルに説明している。授業で文法を説明する際のチェックリストして説明のポイントを確認するのに重宝である。通勤時間の往復で読み切れる内容である。書店でさっと立ち読みをして、必要な文法項目説明の参考にされることも可能な、コンパクトな文法解説書である。

新刊
『学校にはない教科書—いま、必要な5×5(GoGo)の学習法』(岩波ジュニア新書)
岩波 邦明、 押田 あゆみ(著)、240ページ、岩波書店 (2015/10/21)、 907円

表紙裏に「さまざまな問題に直面したときに自分の頭で考えて解決できる力を養おう!」とある。「1人の深い友」力、「深い思考」力、「If」力、「本気議論力」、「英語LOVE力」など25の力について述べている。「英語LOVE力」では気後れしないことが一番大切と英語が上手でない友達と英語で話し合うことを提唱している。英語の得意な人と話す方が上達するとお洩れていることに対する逆説を説いている。まずは気後れしないことが大切であるという考えである。「本気議論力」では、「史上最高の野球選手は誰か」「一番のアニメキャラクターは誰か」「真に最強の動物は何か」のようなテーマは皆が楽しめる議論のテーマではないかと述べている。

旧刊

“Thinking with Feeling: Fostering productive thought in the classroom”
Douglas P. Newton(著)、204ページ、Routledge (2014/3/4)、5,209円

表紙裏の解説に “Are emotions good or bad for thinking and learning? Have you ever wondered why a good lesson of one year falls flat in another? Why do students behave the way they do?”とある。思考力の育成は機械的にタスクをこなすことで達成されるものではないだろう。学習者の感情が活かされてこそ学習意欲に繋がる。より良い理解のための関わりもその一つである。著者は、“Engagement is a matter of motivation, an outcome of the student's appraisal of matters of personal consequence. People,generally engage willingly in an activity if it seems to offer the satisfaction of some personal need or promises to advance some valued goal. If the appraisal, unconscious or otherwise, is positive, the student is likely to be attracted to the activity and show interest. If engagement is rewarding, interest may deepen and extend over time.”と述べている。学習目標の価値観を共有し、達成感を持たせることが、思考力育成に必要なことである。

旧刊

『私のジョン万次郎―子孫が明かす漂流150年目の真実』
中浜博(著) 287ページ、小学館 (1991/02)、1,365円

秋の古書市で100円で購入したものである。本書は平成3年ジョン万次郎漂流150年を記念して、ジョン万次郎の曾孫(4代目)が中浜家に代々伝わる秘蔵の資料と、永年かけて調べあげた事実を初公開してまとめられたものである。万次郎の生涯とその業績を、他書では見られない豊富な写真と図版で浮き彫りにしている。帰国後直参旗本にまでなるが、和漢の才がないと漂流漁民扱いであった万次郎。官民だけが国際を担うのでなく、民間人の国際にこそ人の心と心を結ぶ絆が生まれるのではないだろうか。私が購入した古本には、平成3年のジョン万次郎に関する新聞記事の切り抜きがたくさん挟まれていた。本書の元の所蔵者の熱心な収集である。古本購入の思わぬ特典を得た。

旧刊

『国を興すは教育にあり―小林虎三郎と「米百俵」』
松本健一(著)、245ページ、麗沢大学出版会 (2002/10)、1,680円

これも秋の古書市で100円で購入した書籍である。書名に心惹かれ手に取ると、帯に「「米百俵」の小林虎三郎と師佐久間象山、ライバル河井継之助との思想的ドラマを激動の幕末維新を背景に生き生きと描く」とあった。「米100俵」と言えば長岡藩の河井継之助が先に浮かぶのだが、実は戊辰戦争後の長岡藩を立て直しに尽力した小林虎三郎がその鍵となる人物である。なんとなく読みたくなって購入した。アマゾンでも235円と安価に入手できる。本書が発行された平成14年、今から13年前においても「グローバリゼーション」という言葉が世間を賑わしていた。本書は、その国際化を「開国」として捉えている。幕末維新時の第一次開国、戦後の再出発時の第二の開国、そしてこの時の第三の開国である。今では、グローバル化を「開国」としてのみ捉えることはできない。しかしながら、そうした時の観点からものごとを見ることも大切で、本書が述べる「遠望するまなざし」をもつこは今でも大切な事である。

旧刊

『日英比較ことわざ事典』
山本忠尚 創元社編集部(著)、394ページ、創元社; 新版 (2007/01)、1,620円

英語のことわざ、日本のことわざを対比しながら、1230項目収蔵している。12月の巻頭エッセイにも記したが、「ことわざとは「昔から人々の間で言いならわされた,風刺・教訓・知識・興趣などをもった簡潔な言葉」であり、またproverbは “a short, well-known pithy saying, stating a general truth or piece of advice”で、どちらにしても、生活から生まれた「人生の知恵」であることに変わりない。日英のことわざには類似しているものもあれば、相違しているもののもある。すなわち、ことわざの背景となっている考え方や行動形態を知ることで、それぞれの国の言語文化に触れることができる。ことわざという簡潔な一文に、一国の文化や叡智が込められているのである」英語のことわざには聖書からの出典も意外に多いことも勉強させられる。比較文化の面白さを生徒にちたえてもられてはどうであろうか。

11月の書籍紹介

新刊
『たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」』
ロスステイン,ダン、 サンタナ,ルース(著) 吉田 新一郎 (翻訳) 、289ページ、新評論 (2015/9/4)、2,592円

“Make just One Change”が原著である。
訳者は、生徒達が退屈する授業として、「ワクワクしない授業・自分が主役になれない授業・教科書をカバーする授業」→「テストのための授業、教師の発問・正解に焦点をあてた授業」→「暗記という苦役」→「テストが終わったら覚えた内容を忘れる」そしてもとのパターンになるというサイクルと考え、生徒達が輝く授業は、「ワクワクする授業・自分が主役になれる授 業・教科書を結果的にカバーする授業」→「テストを過剰にいしきしない授業、自分たちの質問に焦点をあてた授業」→「楽しい探究=自分の質問を解き明かす学び」→「テストが終わっても残る、身につく」として、生徒に「質問づくり」をさせることの重要性を意識して本書の訳に望んだ。
本書では、質問づくりの7つの段階として、
①質問の焦点:創造性と想像性を活かして、教師の発問から生徒が質問を作り出す引き金とする
 (教員)質問づくりを使うにあたっての目標を設定し、質問の焦点を考える
②質問づくりのルール:たくさんの質問をする、意見や主張は疑問文に直す
 (教員)質問を作る際のルールを紹介し、全体を進行する
 (生徒) 質問づくりのルで使う際の難しさについて話し合う
③質問を作る:たくさんの質問でよりたくさんの考えが浮かび、学びの助けとなる
 (教員)生徒達にやり方を説明し、質問の主点を提示し、やりとりを観察しながら、必要に応じてサポートする
 (生徒) 小グループになって、質問の焦点から思い浮かぶ質問を出し合う
④質問を改善する:yes, noで応える質問の意図、オープンエンドの質問の意図を明確にする
 (教員)閉じた質問と開いた質問を簡単に説明し、それらを相互に変換する際のやり取りを見守り、サポートする。
 (生徒) |閉じた質問と開いた質問、それぞれの長所と短所を出し合ったうえで、相互に質問を書き換える
⑤質問に優先順位をつける:焦点を何に当てるか
 (教員) 生徒たちにやり方を説明し、やり取りを観察しながら、必要に応じてサポートする
 (生徒) 出された質問を比較し、評価し、話し合って、最も重要な三つの質問を選び出す。選んだ理由も言えるようにする
⑥次のステップ:
 (教員) 質問の使い方についてのやり方を指導する
 (生徒) その質問を使って、教師が設定した目標を達成する計画を立てる
⑦振り返り
 (教員) 振り返りのプロセスを進行する
 (生徒) 学んだことは何か? どのようにして学んだか? 今は何を知っていてそれについてどう感じているか? 学んだことをどのように応用できそうか? について話し合う
とある。

新刊
『50トピックでトレーニング 英語で意見を言ってみる』
森秀夫(著)、 255ページ、ベレ出版 (2015/5/19)、2,052円

  これからの時代、英語で論理的に考え、相手を納得させるための「英語の発信力」が求められている。本書では「喫煙者の権利の是非」「男性メークの是非」「新聞?インターネット?」など50のトピックをとりあげ、ダイアローグ形式で掲載されている。50のテーマからいくつか選んで、授業では賛成反対に分かれて主張させ合う疑似ディベート活動として利用できる。対話の音声CDが付いており、リスニングをさせて内容整理をさせる活動にも使える。

旧刊
『考える力をつける3つの道具』
岸良 裕司、 きしら まゆこ(著) 、176ページ、ダイヤモンド社 (2014/6/20)、 1,512円

   人は社会に出ると、教科書に載っている問題とは異なり、正解のない問題に取りくまなければならない。そこで著者はまず初めに、次の項目で、必要だなと思うものにチェックマークを付けて下さいと尋ねている
▢教科書に載っていない問題を解決する力
▢ものごとをちゃんと考える力
▢ものごとをシンプルに解き明かし、解決する力
▢もめ事、ジレンマによる悩みをスッキリと解決する力
▢みんなと協力しながら、ものごとを成し遂げる力
▢相手の立場になって考える力
こうした力はすべて将来に亘って必要な力である。そこで著者は、考える力を付ける道具は、
「ブランチ」:ごちゃごちゃした現実をスッキリと整理する道具
「クラウド」:ジレンマの構造を分かりやすく整理し、モヤモヤを解消する道具
「アンビシャス・ターゲットツリー」:目標を実現する道筋を見つける道具
としている。ブランチとは物事のつながりを見極めることである。因果関係(原因・結果)などを論歴的に考えることである。クラウドは、空白ボックスをつくり、在る項目の共通目的があるとして、要望、行動などを並列的に対立項目を考えながら整理することである。アンビシャス・ターゲットツリーとはアンビション(野心)ターゲット、つまり夢と考える目標を設定しそれを叶える方法として、障害となるもの、行動すべきことなどを整理してツリーにまとめることである。
これらの道具が効果的であるかどうかは別として、整理して考えることは有用である。

旧刊
『学習意欲の理論: 動機づけの教育心理学』
鹿毛雅治(著) 456ページ、金子書房 (2013/8/26)、6,048円

   受け持っている学生の卒論のテーマが「よくわかる授業・楽しい授業と動機付け」に関するもので指導に役立てようと購入した。ゾルタン ドルニェイの”Motivational Strategies in the Language Classroom”などの書籍もあるが、本書は、学習意欲に関して体系的にまとめている。学習の主体は生徒・学生であるが、学びへの意欲をかき立てるために教育者として教員として何を考えることが必要かを、その要素や要因をしっかり考え直して望むことが大切である。教員は、明日から使える教材を求める傾向が強い。ただ簡単に手に入るものは簡単に捨てる。アプリを追い求めるのでなく、OSをしっかりとさせることが教育には必要である。学習意欲とは何か、そのOSを身につけることで、様々な展開を考えることができるであろう。

旧刊
『企業・大学はグローバル人材をどう育てるか』
本名信行、 竹下裕子(著)、256ページ、アスク; 初版 (2012/12/5)、2,592円

   兵庫県の教育研究所から「グローバル化する社会への対応」というテーマで2ページほどの随想執筆を依頼された。グローバル化とは何かそのイメージを整理するために、手許にある書籍や本学図書で数冊ほど借りた。その中の一冊が本書である。「国際コミュニケーションマネジメントのすすめ」と副題があるように、本書はビジネス書である。しかしながら、第1部「今、なぜ国際言語・文化・コミュニケーションか」第2部「企業の言語対応」第3部「異文化間コミュニケーションと多文化マネジメント」第4部「国際コミュニケーションマネジメントの実践に向けて」と英語というコミュニケーションツールに言及する内容が多く、またわかりやすい文章で書かれているので、さっと読める。英語表現でもなるほどと思うことも記述されている項もあり、またビジネスのサイドから見ていることもあり、英語科教員に英語という言語をより深く知るために参考になる書籍である。

10月の書籍紹介

新刊
『アクティブ・ラーニングとは何か』
梶田叡一・人間教育研究協議会(編著) 、169ページ、金子書房 (2015/8/18)、 ¥ 2,592

  続々と、アクティブ・ラーニングに関する書籍が出版されている。本書はその中の近々のもので、英語教育に特化したものではなく、「大学教育から初等中等教育に降りてきたアクティブ・ラーニング」「アクティブ・ラーニングによる言語力の育成」「国語科におけるアクティブ・ラーニング」「主体的な読みの学習」「アクティブ・ラーニングとチーム学習」「裁判員制度の学習を主体的追究学習で」などの項目を扱った、梶田氏を含め13名の分担執筆の書籍である。アクティブ・ラーニングに関する様々な人の実践や考えを知ることを通して、自身のアクティブ・ラーニングへの理解を深めることが大切であると思う。講義型授業の排斥と単純に二項対立としてアクティブ・ラーニングを捉えるのでなく、バランスのとれた学力の実現をめざすことが基底にある。
表表紙裏に、「アクティブ・ラーニングで目指すのは、思考を活性化させ、具体的な課題解決に対して積極的に取り組んでいく対処性(コーピング)の姿勢と力の獲得である。このために必要な、課題意識の喚起のさせ方、多様な発想・アプローチへの目の開かせ方、粘り強い課題取組みの支援、課題解決の結論の検討や再吟味の促しといったさまざまな働きかけ、指導の実際を具体的に提示する」とある。

旧刊
“The Teaching for Understanding Guide”
Blythe, Tina (著)144ページ、Jossey-Bass; 1版 (1997/11/14),¥ 4,400

  この夏、丸善京都書店が再開され、洋書の棚で最初に手にした書籍である。受け持つ学生の卒論が「理解力の向上」に関するテーマを扱っているので参考になると思い購入した。”What is understanding? Good answers to this question are not at all obvious. Consider the difference between understanding and knowing. We all have a reasonable conception of what knowing is: when a student knows something, he or she can bring it forth on demand -- tell us the knowledge or demonstrate the skill. Understanding is a subtler matter. It goes beyond knowing, but how? To answer this question, the Teaching for Understanding Project formulated a view of understanding, called the performance perspective that is consonant with both common sense and a number of sources in contemporary cognitive science. The Performance perspective says, in belief, that understanding is a matter of being able to do a variety of thought-provoking things with a topic, such as explaining, finding evidence and examples, generalizing, applying, analogizing, and representing the topic in new ways.”
理解の深まりは継続する過程で、生徒に理解のレベルの期待を明確にすることが大切であるとまず説いている。とても読みやすい書籍である。
"This handbook will both encourage and assist those teachers who take on the important challenge of helping their students to think deeply and resourcefully and to use that intellectual power constructively."と表紙裏の書評にもある。

旧刊
“How Learning Works: Seven Research-Based Principles for Smart Teaching (Barron's Painless Series)”
Mayer, Richard E. (著) 336ページ、Jossey-Bass; 1版 (2010/5/17)、 ¥ 5,449

  同じく京都丸善書店で次に手に取った洋書である。学校現場の教員は、得てして明日から役立つできあがりの教材を求めることが多い。しかしながら、学びとは何か、理解するとはどういうことか、必要な要素は何かなど、その原理(principle)や物事の見方(perspective)をしっかり持っていないと、個に応じた展開や先を見通した展開、自身の教材開発は望めない。表紙裏に、”Any conversation about effective teaching must begin with a consideration of how students learn. However, instructors may find a gap between resources that focus on the technical research on learning and those that provide practical classroom strategies. How Learning Woks provides the bridge for such a gap. 後略”とあり、本書は学びに関して7つの原理を述べている。
1. How does students’ prior knowledge affect teaching learning?
2. How does the way students organize knowledge affect their learning?
3. What factors motivates students to learn?
4. How do students develop mastery?
5. What kinds of practice and feedback enhance learning?
6. Why do student development and course climate matter for student learning?
7. How do students become self-directed learners?
図解をもとに、どのような学びの原理が働いているかをまとめている。

旧刊
“ Teaching Thinking: Philosophical Enquiry in the Classroom”
Robert Fisher (著) 253ページ、Bloomsbury Academic; 4版 (2013/12/5)、 ¥ 4,598

  この9月に、教職フィールドワーク(英国)の引率で英国へ行ったときに、書店のteacher’s referenceのコーナで手にした書籍である。introduction冒頭に、”Philosophy for me means having adventures in ideas with children. I know it can be done. The problem is: how can I do it, and how can I do it better!”とある。なぜこれを教えるのか、教育には哲学が必要である。それは、考えることから始まる。アクティブ・ラーニングもその根底は思考力の育成が課題である。「考える」ということはどういうことなのか、「考える」とどうなるのかを教員が生徒に分かりやすく聞かせてやったり、体験させてやったりすることに、指導の基本がある。考えることに関して実際的なことに言及してあるので、教員に役立つ一冊であると思う。

旧刊
『深呼吸の必要性』
長田弘(著) 208ページ、晶文社1984年 ¥ 1,620

  この夏、京都の鴨川納涼古書市で、今年の5月に亡くなられた長田弘の『深呼吸の必要』を見つけ、30年以上前の本であるが再び手にして読見直した。なにげないもの、さりげないものを通して、透明な言葉で自分の心に語りかけてくる本だ。著者は言う、「言葉を深呼吸する。あるいは、言葉で深呼吸する。そうした深呼吸の必要をおぼえたときに、立ちどまって、黙って、必要なだけの言葉を書きとめた。そうした深呼吸のための言葉が、この本の言葉の一つ一つになった。」
本書の一章はこういう問いかけから始まる。
 「きみはいつおとなになったんだろう。
  きみはいまはおとなで、子どもじゃない。
  子どもじゃないけども、きみだって、もとは一人の子どもだったのだ。
        中略
  きみはある日、突然おとなになったんじゃなかった。
  気がついてみたら、きみはもうおとなになっていた。
  なった、じゃなくて、なっていたんだ。ふしぎだ。
  そこには境い目がきっとあったはずなのに、
  子どもから大人になるその境い目を、
  きみがいつ飛び越しちゃってたか、
  きみはさっぱりおぼえていない。」
 誕生日を迎えることは、また一つ大きくなることと思っていた頃は幸せだ。まだ子どもだったんだろう。いつしか誕生日のことを自分の口からは言わなくなって、ひとり心の中で、歳をとったなあって、思うときが来る。それでも、家族のものや周りの人が、自分の生まれ日のことを祝ってくれると、生きていてよかったと思う。これまでの人生、ちゃんと歩んで来たんだと思う。それはうれしいことだ。また、明日からも頑張ろうって気になる。自分を見てくれるいい家族がいて、いい友達がいる。それには、自分が人のためになっていることが必要だ。それでこそ、いつまでも成長しているということなのだろう。

旧刊
『なつかしい時間』(岩波新書)
長田弘(著)、256ページ、岩波書店 (2013/2/21)、¥ 864

  『深呼吸の必要』を読み直した勢いで、長田弘の岩波新書の『なつかしい時間』を読んだ。表紙裏に「この国の未来にむかって失われてはいけない大切なもの。20世紀の終りから21世紀へ、そして3・11へという時代に立ち会いつつ、再生を求めて、みずからの詩とともに、NHKテレビ「視点・論点」で語った17年の集成」とある。短い一章ごとが読みやすい。それは著者の言葉に読者の心が浄化されるという作用が働いているからかもしれない。「大切な風景」での章末に、「いまは、何事もクローズアップで見て、クローズアップで考えるということが、あまりにも多いということに気づきます。クローズアップは部分を拡大して、全体を斥けます。見えないものが見えるようになった代わりに、たぶんそのぶん私たちは、見えているものをちゃんと見なくなった。風景の中に在る自分というところから視野を確かにしてゆくことが、いまは切実に求められなければならないのだと思います」とある。1996年の文章であるが、今更ながら心にしみ込む。遠くを見る眼、「眺め」の大切さ、風景という価値観を知っただけでも、昨日までとは違う日となるであろう。

9月の書籍紹介

新刊
『「学力」の経済学』
中室 牧子(著)、199ページ、ディスカヴァー・トゥエンティワン (2015/6/18)、¥ 1,728

  「思い込みで語られてきた教育に、科学的根拠が決着をつける」と表紙帯にある。本書の「はじめに」には、テレビ番組で、教育評論家や子育ての専門家と呼ばれる人たちは、満場一致で次のような見解を述べていたが、
・ご褒美で釣っては「いけない」
・ほめ育てはしたほうが「よい」
・ゲームをすると「暴力的になる」
教育経済学者である著者は、親しい友人に贈るアドバイスとしては、それとは正反対のものである。
・ご褒美で釣っても「よい」
・ほめ育てはしては「いけない」
・ゲームをしても「暴力的にはならない」
と我々が常識と考えていることを覆すような考えを述べている。その根拠が第二章に書かれている。
目次は、
第1章 他人の〝成功体験〞はわが子にも活かせるのか?
    - データは個人の経験に勝る
第2章 子どもを〝ご褒美〞で釣ってはいけないのか?
    - 科学的根拠に基づく子育て
第3章 〝勉強〞は本当にそんなに大切なのか?
    - 人生の成功に重要な非認知能力
第4章 〝少人数学級〞には効果があるのか?
    - エビデンスなき日本の教育政策
第5章 〝いい先生〞とはどんな先生なのか?
    - 日本の教育に欠けている教員の「質」という概念
 たとえば、「読書」と「学力」には因果関係があるように考えられているが、同時にそれらの現象が起こっているという相関関係を表しているだけで、読書をしているから「学力が高くなる」という因果関係があると特定することはできず、学力の高い子どもが読書をしているのに過ぎない)相関関係の可能性があるだけではないか。とちょっと考えさせられる内容である。

新刊
『英語学習は早いほど良いのか』』(岩波新書)
バトラー 後藤 裕子(著)、224ページ、岩波書店 (2015/8/21)、¥821

 表紙裏の帯に、「こどもは語学学習の転載であるかのような思い込みは、保護者はもちろんのこと、一部の教育関係者や政策立案者の間でも根強い。そこで、外国語の習得について、科学的になにがわかっていて何が憶測なのかを、一度きちんと整理してみたいと思ったのが、この本を執筆することになった直接の動機である」とある。
「こどもの英語学習は早く始めるほど良い」という神話はどこからきたのか? 大人になったら手遅れなのか?日本では、小学校に英語教育が本格的に導入されようとしている。アジアの国でも英語教育の開始年齢はどんどん下がってきている。中国では、「妊娠したら、すぐに英会話に勉強を始めよう」という英語教育の広告が表れたとある。こうした英語教育のフィーバーぶりに、著者は「本当に子どもは言語習得の天才なのだろうか」と問いかける。動物の「刷り込み現象」を基にした言語習得の臨界期、言語の臨界記は第一言語(母語)を基本に考えられている。第二言語習得も同じような経過を辿るのであろうか。
第1章 逃がしたらもう終わり?——臨界記仮設を考える
第2章 母語の習得と年齢 ——言葉を学ぶ機会を奪われた子どもたち
第3章 第二言語習得にタイムリミットはあるか
第4章 習得年齢による右下がりの線 ——先行研究の落とし穴
第5章 第二言語学習のサクセス・ストーリー
第6章 外国語学習における年齢の問題
第7章 早期英語教育を考える
思い込みで英語教育を捉えてはいけない。

旧刊
“Key Topics in Second Language Acquisition”
Vivian Cook、(著) 、149ページ、Multilingual Matters Limited (2014/5/15)、3,616円

  裏表紙に、“This textbook offers an introductory overview of eight hotly-debated topics in second language acquisition research. It offers a glimpse of how SLA researchers have tried to answer common questions about second language acquisition rather than being a comprehensive introduction to SLA research.”とある。
大学での英語科教育法のテキストとして使われることがあると思われる書籍である。学生に議論をさせるための資料として読ませるに使いやすい。
Topic 1: How do different languages connect in our minds?
Topic 2: Is there a best age for learning a second language?
Topic 3: How do people acquire the words of a second language?
Topic 4: How important is grammar in acquiring and using a second language?
Topic 5: How do people learn to write in a second language?
Topic 6: How do attitude and motivation help in learning a second language?
Topic 7: How useful is second language acquisition research for language teaching?
Topic 8: What are the goals of language teaching?
Topic 4では、①Learning the grammar of a second language, ②Three areas of grammarとして Grammatical morphemes, Word order and processing, Articlesを取り上げている。様々な言語の基本的な文法の構造や違いなどから説明され、主語が無くても意味が通じるpro-drop languagesとして、イタリア語、中国語、アラビア語、ギリシャ語、ポルトガル語、スペイン語、ヘブライ語、日本語などがあげられ、主語の脱落が無いNon-pro-drop languagesとして、ドイツ語、フランス語、英語、オランダ語などを挙げている。英語では語順が非常に大切である。次の語順がばらばらな3文の主語に下線を引く場合、語順が主要な文法要素であるだけでなく、3単元のsのような主語と動詞の約束事が語順より重要な意味を持つことがあると解説している。そういう教え方も理解を深めることになるのではないだろうか。
・The horse the rock kisses.
・The cows the cat watches.
・Pats the pigs the giraffe.

旧刊
『世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業』
狩野 みき(著)、222ページ、日本実業出版社 (2013/6/22) ¥1,512

 自分なりの答えを出すこと、想定外の事態で新たなシナリオを見つけ出すこと、意見に説得力を持たせること、いずれも「きちんと考える」ことができなければ、うまくはいかない。本書はそのための「考え抜く力」伝授すると述べている。
自分の意見を作るための考える手順は、Step 1理解を広める→Step 2視野を広げる→Step 3未来から、より現実的なアクションを考える→Step 4「意見」ができる→Step 5 批評・反論を自分のものにして意見を磨き上げる としている。
目次は、
Lesson 1 「自分の意見」の作り方―なぜ、私たちは「想定外」に弱いのか
Lesson 2 理解を深める―「事実らしきもの」を前に考えをとめない
Lesson 3 視点を増やして発想を広げる
Lesson 4 未来のシナリオで現実的な選択肢を手に入れる
Lesson 5 上手に「意見を交換する」ために欧米人が持っているルール
Last Lesson 「?」に気づくことが「考え」のはじまり
で、Lesson 1の導入対話は次のとおりである。
「自分の意見を作る授業」
先生     「リーダーってどんな人だと思う?」
生徒     「偉い人!」「人気のある人!」「頭のいい人!」
先生     「そもそも、リーダーって何で必要なのかな?」
生徒     「だってリーダーがいないと、みんなバラバラになっちゃう」
先生     「じゃあ、みんながバラバラにならないために、リーダーがしなければいけないことって何だろう?」
生徒     「みんなをまとめること!」
先生     「どうやって?」
生徒     「力づくでまとめようとするリーダーもいるよ」
先生     「じゃあ、みんなが知っているリーダー像を書き出してみよう」
先生     「リーダーについて、わからないこと、もっと知りたいこと、疑問に思うことって何がある?」
生徒     「どうしたらリーダーになれるの?」
生徒     「昔からリーダーっているの?」
生徒     「悪いリーダーって最初から悪い人だったの?」
先生     「リーダーについてみんなが疑問に思うことを挙げてみようよ。それから、みんなで調べて疑問を解決しよう」
先生     「リーダーについて、わかったところで、みんなに質問。理想のリーダーってどんな人だと思う?」
生徒     「一人一人のことをきちんと考えてくれる人。みんなを人間として扱わずに失敗したリーダーは、今までたくさんいたから」
生徒     「そうは思わないな。だって、一人一人のことをいちいち考えてたら、何もできなくなっちゃうと思う。私は、自分はこういまやり方でいくんだっていう、しっかりとした態度の人が理想のリーダーだと思う」
自分の意見の作り方3ステップとして、
ステップ① :この事態について自分が理解していることは何か、確認する
ステップ② :この事態をもっと理解するために調べなければならないことは何か、を把握して調べる
ステップ③:この事態をどう切り抜けるべきか、という「自分の意見」を持つと示している。

旧刊
『自分の考えを「伝える力」の授業』
狩野 みき(著)、238ページ、日本実業出版社、 (2014/6/10)、¥1,512

 「自分の意見をきちんと持ち、それを伝え、議論することができなくなれば、プレゼンス(存在感)がなくなってしまう。そういう時代になってきました」と著者は言う。
「意見とは何か」を考える授業を考える対話は次のように展開する。
先生     「これからディスカッションをしてもらいますが、その前に、みんなに質問。『意見』って、何?」
学生     「人間の考え」
学生     「事実は、誰に聞いても同じだけど、意見は、ー人ひとり違うもの」
生生     「じゃあ、さらに質問。『正しい意見』『間違った意見』って、ある?」
学生     「ないと思います。意見は一人ひとり違うもので、その遣いは尊重されるべきものだから」
学生     「でもそれ、きれいごとじゃない?『このとき主人公はどんな気持ちだったでしょうか』っていう国語の問題があるけど、意見を尋ねる問題にも正解があるっていうことは、『正しい意見』もあるし、『間違った意見』もあると思う」
生生     「じゃあ仮に、『正しい意見』『間違った意見』があったとして、『間違った意見』を言った場合、その人はどうなっちゃうんだろう?」
学生     「批判される?」
学生     「私、意見を言う前に、『間違ってるかもしれないんですけど』って言うクセがあるんです。何が正しいかわからないから、ビクビクしちゃって:::」
生生     「それは辛いね。ところで、『これが正しい意見です』って本当にわかっている人なんて、この世にいるんだろうか」
学生     「いないはずです。『これは正しい意見だ』と思うこと自体、思い上がりじゃないでしょうか。国語のテストには『正しい意見』もどきの問題はあるけど、あれはテストだから、正解・不正解を作っておかないと困るってことでしょ。正しい意見だから言ってもいい、間違った意見は言えないなんて、おかしいよ」言論の自由からしても、おかしいよ。
生徒にはこうした対話を読ませて考えさせることも大切ではないだろうか。
プレゼンのコツとしては、
1.聴衆とのアイコンタクトは後ろに座っている人から
2.自分の言葉で、本音を語る
3.「語る資格があること」をアピール
4.数字は、聴衆がイメージしやすいものに加工する
5.一に練習、二に練習
6.イントロは、「おもしろさ」より「全体の予告」にすることが大事
7.聴衆と自分を同じレベルに置く
8.原稿は、読まない、持ち込まない
9.メモには、キーワードだけをのせる
10.スライドには文字を詰め込みすぎないで
11.「自分に関係ある話」と思わせる
12.ジョークは必須ではない
13.服装は、「どう見たられたいか」を考えて
と述べている。

旧刊
『日本文化のゆくえ』
河合 隼雄(著)、336ページ、岩波書店 (2013/1/17) ¥1,339

 本書は単行本として2000年に刊行された。2013年岩波教養文庫として復刻刊行されている。15年前の書籍であるが、今でもうなずける。単行本を170円で古本市にて買った。グローバリゼーションの強い波にさらされている日本文化はどこへ行くのか、混迷・錯綜する現代日本文化の方向性を現在の日本社会の急速な変化を日本文化の深部から考察し,個と普遍,伝統的価値と現代的価値をいかに再構成するかを河合隼雄が切り結んでいる。ものごとを表層的、単層的に見ないように心がけたいと思う。目次は以下のとおり。
一 「私」探し
二 家族の未来
三 学校のゆくえ
四 仕事づくりの構図
五 豊かな消費を求めて
六 科学技術のゆくえ
七 異文化体験の軌跡
八 夢見る未来
九 現代人と芸術
十 「私の死」と現代
十一 宗教と宗教性
十二 アニミズムと倫理

旧刊
『ことわざで英語を学ぶ 文法・表現・文化』
奥津文夫(著)、208ページ、三修社; 初版 (2008/5/28)¥ 2,376

10年ほど前に出版された本であるが、「本書は、英語の基礎を学習した人が、ことわざを学びながら英語の主要構文と文法を総復習し、同時に英米の風物と英語の発想や文化を楽しく学べるよう構成されている」とはしがきにある。英語教員の中には「ことわざ」を学ばせながら、英語全般を教えている先生が少なからずいる。「5文型で学ぶことわざ」「いろいろな文の種類とことわざ」「様々な動詞の形によることわざ」「準動詞を用いたことわざ」「ことわざの中の句と節」など、文法授業の例文として紹介できる。ちなみに5文型では、
第一文型 S+V
 Time flies. Money talks. A wonder lasts by nine days. Old habits die hard.
第二文型 S+V+C
 Time is money. Love is blind. Beauty is only skin-deep. Art is long, and life is short.
第一文型 S+V+O
 Walls have ears. Haste makes waste. Too many cooks spoil the broth.
第一文型 S+V+0+0
 You cannot teach an old dog new tricks. Don’t teach your grandmother to suck eggs.
第一文型 S+V+O+C
 Every horse thinks its own pack heaviest. Call a spade a spade.
などを紹介している。

旧刊
『英語はほんとに単純だ!―』』(小学館101ビジュアル新書)
西巻 尚樹(著) 、191ページ、小学館 (2010/10/1)、¥ 1,512

「英語は極めて単純な言語で、{S+V+O}+Pというパターンに言葉を当てはめて使っている」だけなのに、既存の英文法理論が元で間違えていたので難解で分かりづらくしていたのです。この考えを使えば、難解な文法用語は必要なくなり、文頭から英文が理解していけます、と VSOP(Very, Simple, One, Pattern) 英文法を奨励している。
基本型の考え方は、「主語+動詞+いろいろな言葉+伝えたいメッセージ」において、「主語・動詞・いろいろな言葉」が基本3要素で、そのあとの修飾語などは伝えたいメッセージで話し手の思いはここを理解することとしている。もちろん、主語・述語が基本理解されなければならないが、伝えたい想いやメッセージは文尾にあるということを教えることは大切であると考える。

8月/夏休みの書籍紹介

新刊
『英語の害毒』(新潮新書)
永井 忠孝(著)、208ページ、新潮社 (2015/6/17)、 ¥ 778

  表紙裏の内容紹介に「日本人の多くは英語を必須能力と捉えている。会話重視の教育はさらに低年齢化し、「日本語禁止」の企業まで登場する始末だ。それが「自発的な植民地化」への道だとも知らず―。」とある。小学校での英語教育の正規科目化など昨今の英語教育推進一辺倒の風潮の中で、データに基づき英語の脅威を徹底検証するという本書に興味を持ってすぐに手にした。英語教育に従事していると、英語教育を善として授業等を進めてく傾向が生まれる。ものの見方としては大きな観点を持つべきである。
・これからグローバル化が進むから英語ができないと生きていけない
・従来の読み書き中心の英語教育は失敗だった。会話中心にやるべきだ。
・なるべく早くから英語を学ぶべきだ。
・ネイティブ・スピーカーに英語を学ぶべきだ。
・アメリカ、イギリス英語を学ぶべきだ。
 著者はこうした英語に関してかなり画一的な考え方が行き渡っていることに対してもう一つの見方があるのではないかと警鐘している。
一章 英語の誤解…英語は本当に必要か
二章 英語の幻想…どんな英語をどれだけ学ぶべきか
三章 英語の損得…日本人はなぜ英語が好きなのか
四章 英語の危険…日本が英語の国になったら
五章 英語教育への提言
目を通してみたくなるタイトルが並んでいる。「その国は、英語だけが足りない」という英会話学校の広告文をどう見据えるか考える書籍である。

新刊
『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』(集英社新書)
施光恒(著)、256ページ、集英社 (2015/7/17)、¥ 821

  立て続けに新書版の書籍で、現在の英語重視主義を問うものが出た。「社会の第一線が英語化されれば、知的な活動を日本語で行ってきた中間層は没落し、格差が固定化。」と英語化社会を糾弾する。国際競争力の向上が英語化推進派のお題目とされている。本書は、「英語化を推進すれば、英日本経済は急速に力をなくすだろう。多数の国民が母国語で活躍してこそ国家と経済が発展していくという現代政治学最前線の分析から逆行することになるからだ」と訴えている。本書は教育論の観点からでなく、政治力学的な観点から英語化政策が進められることに危惧を抱いている。「効率化」を重んじる新自由主義は、議論し検証することなく、施策を推し進め、従わぬ者は排除する考え方を有する傾向が強い。英語科教員として、自職の原点である英語を見つめ直すことも必要であろう。
【目次】
はじめに 英語化は誰も望まない未来を連れてくる
第1章  日本を覆う「英語化」政策
第2章  グローバル化・英語化は歴史の必然なのか
第3章  「翻訳」と「土着化」がつくった近代日本
第4章  グローバル化・英語化は民主的なのか
第5章  英語偏重教育の黒幕、新自由主義者たちの思惑
第6章  英語化が破壊する日本の良さと強み
第7章  今後の日本の国づくりと世界秩序構想
おわりに 「エリートの反逆」の時代に

旧刊
『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』
溝上慎一(著)、196ページ、東信堂 (2014/10)、¥ 2,592

 アクティブラーニングが次期の学習指導要領の基本指導概念であると文部科学省から発信されている。新聞紙上にもよく取り上げられる。その際のコメンテーターに溝上氏が良く登場する。先行研究者の考えから学び、今夏の授業デザインスキルアップ演習で取り上げる「アクティブラーニングとは何か、その方略を考える」で、現職教員とこの指導法を共有したいと考えた。著者が言うパラダイム転換は、「知識伝達という教授的視座に学習的視座へのパラダイム転換」を図るもので、 知識だけでなく、現代的な技能・態度(能力)をも身につけ、経験を組織化して成長することを願うものである。協同学習することだけが、アクティブラーニングでなく講義形式の授業にもアクティブラーニングの要素をと入れられるとしている。アクティブ・パッシブ(インアクティブ)と2元的なものではないとしている。ラーニング・ピラミッドを用いて、講義型の授業では定着率がわるいのでアクティブラーニングを推奨するというのは、本質的でなく軽薄な考え方でもあるとしていることに同意する。アクティブとはどういうことなのかを考える出発点になる書籍である。

旧刊
『ディープ・アクティブラーニング』
松下佳代(編著) 、274ページ、勁草書房 (2015/1/22) ¥ 3,240

 『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』に続いて京都大学高等教育研究開発推進センターから刊行されたのが本書である。アクティブな学習形態を実践すれば学習効果が得られるというものはなく、学習形態に重点をおく単なるアクティブラーニングではなく、学習の質や内容を問うディープなアクティブラーニングが必要ではないか、その質の深みを求めることが学びの本質ではないかとしている。つまり、思考力を高め深い学習を進めるには何が必要か、その理念や協同学習をデザインする際に意識すべき点などをまとめている。豊富な実践例を示している書籍ではないが、アクティブラーニングを実践しようと考える教員は、それを実践するための確固とした理念が必要である。アクティブラー人に対して自分自身の考えを明確にするための書である。

旧刊
『現役東大生が実践している「勉強法」のきほん』
東大家庭教師友の会(著)、168ページ、翔泳社 (2014/10/10)、¥ 1,404

 書店で何気なく手にした。東大生の実践スキルだからというものではない。諸理論を項目毎に並べな直してまとめているだけのものである。ただ、見開き2ページで左ページに図解、右ページにコンパクトな解説と端的にまとめているので大変読みやすいという書である。たとえばpp.42-43のコアイメージではtakeという単語の図イメージを左に、右ページには、イメージは記憶を促進する、言葉だけの暗記は効率が悪い、コアのイメージで本質をつかむとリード文があり、あとそれに関する解説を付している。指導スキルの確認に教員として読むことができると思う。
 【本書の構成】
第1章:「勉強計画」のきほん
 →「挫折しない勉強計画の立て方」「計画通りいかなかった場合の修正法」etc
第2章:「覚える」きほん
 →「記憶のメカニズム」「効果的な記憶法」etc
第3章:「問題を解く」きほん
 →「解答時間短縮のテクニック」「ミスを減らすコツ」etc
第4章:「続ける」きほん
 →「やる気を高める発想の転換法」「やる気が出ないときの対処法」etc
第5章:「勉強する時間と場所」のきほん
 「スキマ時間の活用法」「図書館とカフェで勉強するメリット」etc
第6章:「勉強道具」のきほん
 「東大生が好むのは単語帳?赤シート?」「勉強がはかどる文房具」etc
第7章:「参考書選び」のきほん
 「タイプ別の参考書の選び方」「参考書はたくさん買う?1~2冊で十分?」etc

旧刊
『英語を通して学ぶ日本語のツボ』(開拓社言語・文化選書)
菅井三実,(著) 、202ページ、開拓社 (2012/10)、 ¥ 1,944

 書名に反して、「日本語を通じて英語に親しむ」と思う書籍である。言語を比較してみてこそ、なるほどと思うことがたくさんある。本書は、その表紙裏の内容解説にあるように、「中学校・高等学校レベルの英文法に対して、日本語の言語現象と照らし合わせることで、英文法に関する知識を増やし、一方で、日本語に関する理解を深めることを目指すもの」である。S+V+Oが定型の英語表現とS+O+Vが定型表現の日本語、英語ではVをOとつなぐためにOの前に「前置詞」が必要となり、日本語ではOをVにつなぐ際、Oのあとに「助詞(後置詞)」を必要とすることになるなどの解説は、読んでいてなるほどと思える。こういうさりげない言語知識は授業にも役立つと考える。楽しく読める書籍である。
ちなみに章立ては、
第1章 国語と英語の相互理解に向けて
第2章 英語から日本語の動詞・形容詞を考える
第3章 英語から日本語の名詞・代名詞を考える
第4章 空間と時間を超えて英語と日本語を知る
第5章 英語の表現と日本語の表現
第6章 学校国文法の標準化に向けて

旧刊
『協同学習を取り入れた英語授業のすすめ』(英語教育21世紀叢書)
江利川 春雄(著)、272ページ、大修館書店 (2012/11/13)、¥ 2,160

 今夏の教員講習で扱うアクティブラーニングの教育理念をまとめて紹介するさいに、協同学習をどう捉えるべきか考える一冊として読んでいる。本書は江利川氏が一人でまとめたものでなく、小学校から高等学校までの学校教員が実践事例を紹介し、協同学習を進める際のポイントを提示しようとしている。協同学習の学習理論は、主体的で自律的名学びの構え、確かで幅広い知的習得、仲間と共に課題解決に向かうことのできる対人技能、他者を尊重する民主的な態度といった「学力」を効果的に身に付けていくための基本的な考え方であって、グループ学習というもので同じでないとしている。
第1章 協同学習の基本的な考え方
第2章 英語授業での協同学習の進め方
第3章 小学校外国語活動での協同学習
第4章 中学校英語授業での協同学習
第5章 高校英語授業での協同学習
第6章 大学英語授業での協同学習
第7章 学校全体で協同学へ
第8章 英語科協同学習QAQ
協同学習は効果的な学習方法の一つであるとは思うが、その学習理論として明示している内容がそのまま身につくのであろうか。仲間との協同作業が、英語が苦手な生徒にも学びに有効であるという確証まではなかなか得にくい。ただ、指導の場面や内容に応じて教員は様々な指導法を試みることが大切なのであろう。

7月の書籍紹介

新刊
『今求められる学力と学びとは―コンピテンシー・ベースのカリキュラムの光と影』(日本標準ブックレツト)
石井 英真 (著) 、78ページ、日本標準 (2015/1/27)、¥ 972

 次期学習指導要領の改訂は、内容ベースから能力ベースの教育課程になるといわれている。「何を」学ぶだけでなく、「どのように」学ぶのか、「どのように」評価するのかというこれまでにない改訂になりそうである。コンピテンシー・ベースといわれ、思考力・判断力・表現力の育成が求められるがそう簡単に成就するものはないだろう。生徒の能力や学習活動の階層性には一律に対応できるものではない。学力の質的レベルをどう評価するべきかも課題である。本書は、社会の変化およびそれに伴う学校に期待される役割を背景に、今どのような学力や学びをめざすべきなのかをコンパクトにまとめている。

新刊
『授業を磨く』
田村 学(著)、153ページ、東洋館出版社 (2015/4/9)、2,106円

 次期学習指導要領の改訂では、「アクティブ・ラーニング」が大きなキーワードとなっている。今後は、アクティブ・ラーニングを通した授業を行っていくことが求められる。本書では、文部科学省調査官である著者が、アクティブ・ラーニングを通した授業をめざす中で、教員はどのようなビジョンをもち、そしてどのように授業を磨いていけばよいかについて、「探究・協同」「21世紀型学力」「イメージ力」「課題設定」「思考ツール」をテーマに具体的に紹介している。同じ教師でも同じ授業を再現することが難しいという「再現性」が低く、単純にマニュアル化できない授業を構築するにあたっては完璧な指導案はない。指導者である教員が描いたとおりに強制的に進めるteacher-centeredでは学びが深まらない。授業を生徒の創造性と協調性、積極性に委ね生徒主体の授業を支援し方向付けることがこれからは教員に必要な資質能力なのだろう。「アクティブ・ラーニング」が全てを解決するものではないが、取り入れることは多いに考える必要があるだろう。

新刊
『ネイティブはこう使う!マンガでわかる形容詞・副詞』(河出文庫)
デイビッド・セイン (著)、224ページ、西東社 (2015/4/24)、¥1,404

本書はシリーズで刊行されており、すでに「冠詞」「動詞」『前置詞』は既刊で既に発行されている。
形容詞・副詞のビジュアル図解
PART1 基本の形容詞・副詞
PART2 身近な形容詞・副詞①
PART3 身近な形容詞・副詞②
PART4 できると思われる! 形容詞・副詞か」
体系的に学ぶというものではないが、つい日本語訳で定着してしまっている日常よく使う英単語の意味合いをマンガで説明している。一例を挙げると、 big/largeのちがい
 This report is based on a (large/big) amount of data.
 平均・基準を超えて大きい:数量 服のサイズ
 Believing you was a (large/big) mistake.
   程度を表す:大きな間違い 感情が入る
quick/fastの違い
 Arthur made a (fast/quick) decision.
   連続しない・短時間での行動が迅速なこと
 I was planning to ride the (fast/quick) train.
   スピードが速い。連続した移管の流れの継続的な速さ

新刊
『コモエスタ・ニッポン! ~世界で最も読まれているスペイン語ブログのひとつは日本ガイドだった』
エクトル・ガルシア、 濱田 真由美 (著)、263ページ、宝島社 (2015/3/9)、¥ 1,512

「世界で最も読まれている10大スペイン語ブログ」にランクインし、現在5カ国で翻訳されている人気ブログ本『A GEEK IN JAPAN』に待望の日本語版とある。英国人・米国人が見た日本文化紹介は比較的多いが、スペイン人が見た衝撃の日本文化の本音を読みたいと思って購入した。普段当たり前で何とも思っていないことに対する日本の再発見になる。第1章「歴史」、第2章「美術」、第3章「文化」、第4章「伝統」、第5章「会社」、第6章「社会」、第7章「現代」、第8章「漫画」、第9章「音楽」、第10章「映画」と幅広い分野を扱っている。謙遜の美徳は西洋人にはすぐには理解できないだろう。捉えようによっては美徳にも嫌みにもなる謙遜を日本人は上手く使い分けているようだ。

旧刊
『英語で楽しむ英国ファンタジー』
安井 泉(著)、240ページ、静山社; 初版 (2013/9/11)、¥2,268

 有名な英国ファンタジー『ハリー・ポッターと賢者の石』『メアリー・ポピンズ』『チャーリーとチョコレート工場』『ピーター・パン』『不思議の国のアリス』の5作品を取り上げ、英語の細部にこだわって読み解く。英語の仕組みがわかれば、物語をより深く理解できるというのが本書の狙いである。英文法を生きた文章の中で味わうことになる。
A breeze ruffled the neat hedges of Privet Drive, which lay silent and tidy under the inky sky, the very last place you would expect astonishing things to happen. 『ハリーポッターと賢者の石』
第一章の最後のパラグラフ。the inky sky:インクをこぼしたような漆黒の闇、expectはそうなると「予測する」であって、「期待する」ではない。the last placeとあるのでこの上なく平穏であると予測する場所である。これがかえって嵐の前の静けさになっている。

旧刊
『CD付 心に響く英語のことわざ・名言100 Inspirational Proverbs and Sayings』(IBCオーディオブックス)
レベッカ・ミルナー、 松澤 喜好(著)、184ページ、IBCパブリッシング (2012/2/25)、¥3,562

 英語の授業で、日本のことわざと英語のproverbを比較紹介させる活動を行っている教員は意外に多い。
本書は、やさしい英語を聴いて読む、多聴・多読用のオーディオブックスである。レベル3: レベル1の単語+使用頻度の高い単語 約600語(TOEICテスト400点以上)
リスニングと朗読の練習として以下の使用法を推奨している。
・30回程度、テキストを見ないで、ひたすらリスニングをおこなう。
・次の30回は、テキストを見ながら、内容を理解する。
・次の30回は、CDに続いて、自分でも声を出して発音する。
・次の10回で、テキストを見ないでリスニングが100%になった状態を確認する。
名言・ことわざは現代の生活にも通じ、我々にその教訓や戒めを再認識させてくれるので、なるほどと思ってきくことができるであろう。また、日本語の表現と英語の表現が異なることわざに関しては、文化の違いを考えてみるのも学びである。

6月の書籍紹介

新刊
『アクティブラーニング入門 (アクティブラーニングが授業と生徒を変える)』
小林昭文(著)、144ページ、産業能率大学出版部 (2015/4/25)、1,620円

 表紙裏に「英語を理解するということは、単に単語を覚えればいいのではなく、英語ネイティブたちの頭の中にある、英語によって切り取られた世界の成り立ち、そのイメージを捉える必要がある」とある。単語や文法は英語でコミュニケーションをするための基礎体力であるとし、名詞、動詞、前置詞を取り上げ、それらの根本的な働きや使われ方をわかりやすい言葉で記している。取つきにくいと思われる英語、それは日本語と英語の言葉の仕組み、発想の違いから生まれている。言語の働きの本質を知ることは、教室の授業で役立つことと思う。

新刊
『cuteとprettyはどう違う?』(青春文庫)
ジェリー・ソーレス(著)、192ページ、青春出版社 (2015/3/10)、799円

  cuteとprettyは「かわいい」、smallとlittleは「小さい」、Thank youとthanksは「ありがとう」と日本語に置き換えただけで覚えていると、その微妙な違いに本意が伝わらないことがある。通勤電車の行き帰りに読む文庫本であるが、授業で時々そうした言葉の違いを話してあげることが、英緒への興味をかき立てるのではないか。既知のことばの意味合いを確認するようなつもりで気軽にさっと読める。通勤の疲れを忘れさせてくれることでしょう。

旧刊
“Foreign Language Teacher's Guide to Active Learning”
Deborah Blaz(著)、189ページ、Routledge (1999/4/1)、6,337円

 夏季の授業デザインスキルアップ演習でアクティブラーニングを取り上げるので、アクティブラーニングの書籍を読みあさっている。溝上氏の『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』を始め数冊手許に置いている。
表紙裏の内容紹介には、“The easy-to-implement activities and strategies in this book will help middle and high school foreign language teachers enhance their students' success. It shows how to create a classroom in which students can actively experience, experiment and discover a foreign language. It applies brain research, multiple intelligences, alternative assessment, technology and other educational innovations to the foreign language classroom.”とある。
内容目次は、
1. Incorporating Research on a Daily Basis
2. Activities that Appeal to Multiple Intelligence
3. Revitalizing the Basics
4. Celebrations
5. Getting over the Rough Spots
6. Instruction and Alternative Assessments in Literature
7. Incorporating technology
で、授業で実際に使える指導の在り方も記載されている。

旧刊
『プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく』
鈴木敏恵(著)、189ページ、教育出版 (2012/02)、2,484円

 「意志ある学び」を実現し、「自立」をかなえる「プロジェクト学習」の基本と手法をまとめた書籍である。
章立ては、
1章 「意志ある学び」をかなえるために
2章 プロジェクト学習とポートフォリオの基本と機能
3章 実践への理論と手法――目標設定・知の再構築・総括的評価
4章 実践の手順とポイント――プロジェクト学習の基本フェーズ
5章 プロジェクト学習の実践事例と活用
6章 スタートするための基本フォーマット
となっている。
大切なことはビジョン(願い)とゴール(具体的な目標)。それに至るコンピテンシーとして、課題設定力、目標設定力、戦略的に計画する力、情報を見極める力、分かりやすく表現する力、コミュニケーション力、論理的に表現する力をあげている。評価としては成果(達成)だけを見るのではなく、そのプロセスを評価する有用性を述べている。そのため、ポートフォリオの活用も合わせての評価を重視している。6章にある基本フォーマットは生徒が活用するテンプレートとして利用できる。

旧刊
『反転授業が変える教育の未来――生徒の主体性を引き出す授業への取り組み』
芝池宗克、 中西洋介(著) 、202ページ、明石書店 (2014/12/18)、 ¥ 2,160

  教室は教わる場から自ら学ぶ場へ。「21世紀を生き抜く力」の育て方 とのキャッチフレーズが表紙に踊る。「反転授業」は自宅で動画教材を使って予習し、教室では復習や応用、協働学習で理解を深める。アクティブラーニングに通じる授業方法である。本学の6月勉強会でも『反転授業』を取り上げる。動画を事前に提示し、学校外で自分のペースで課題に取り組んでおく必要性がある。教材の事前準備などには時間がかかるであろう。生徒が事前学習をどれほど丁寧に取り組んでいるかが重要な鍵となりように思われる。

旧刊
『日本の感性が世界を変える: 言語生態学的文明論』
鈴木孝夫(著)、261ページ、新潮社 (2014/9/26)、¥ 1,404

 論争より情緒、対立でなく融和。世界には「日本らしさ」が必要と解く筆者。日本の共生的自然観を西欧文明と対比させつつ、繊細だが強靱なこの国の感性を文明論となっている。フランス語のtatamiserという言葉は、「畳」という言葉をフランス語の動詞にしたもので、「日本かぶれする」「日本びいきになるという意味である。日本語を学ぶと礼儀正しくなったと感じる外国人がいるとのこと。英語に携わる仕事をすると得てして、英語至上主義になる傾向がある。が、言語文化に優劣を作るものではない。日本語の発想のすばらしさも同時に生徒に伝えたいものである。

旧刊
『研究発表のためのスライドデザイン』(ブルーバックス)
宮野公樹(編) 、176ページ、講談社 (2013/4/19)、¥ 972

 思考力・判断力・表現力を育成する手法として、ディベート、プレゼンテーション、スピーチを英語の授業に取り入れるようにという提言が行われている。プレゼンテーションにはパワーポイントという手段・媒体を使ってが定番になりつつある。英語教員は、英語そのものだけでなく、プレゼンテーション力を身につけ、またそれを効果的に指導することが望まれる。そのためにはプレゼンテーションの技法を身につけなければならない。その技法の一つにスライドの作り方がある。分かりやすいスライド、テーマが整理されたスライド作成には思考力・判断力・表現力が必要である。日々忙しい教員の研修は底がない。本書は、スライドづくりの技法について図示で説明しているので分かりやすい内容となっている。本書は、「口頭説明なしでもメッセージが伝わる」「見た瞬間に発表者の伝えたいことを理解できる」「メッセージが自然と伝わってしまう」スライドづくりを教えてくれる。

旧刊
『反論の技術―その意義と訓練方法』(オピニオン叢書)
香西秀信(編) 、184ページ、明治図書出版 (1995/08)¥ 1,901

 自分の意見を作りあげるプロセスとして反論を取り上げている。反論は議論の本質である。必要があるからと考える認識を主張する意見に対し、その論証・根拠が正しいか反論することで、お互いが納得ゆくものが生まれる。したがって、誰も反対しないことを主張する文章や意見を教材として取り上げていては、議論にならない。多くの場合、それは感情的な意見である。意見の主張部分だけに目を奪われるのではなく,主張の「根拠」(論拠を含む)に注目することが大切だと説いている。

旧刊
“The Reason I Jump: One Boy's Voice from the Silence of Autism ”
Naoki Higashida (著), David Mitchell (翻訳)、192ページ、Sceptre (2014/4/24)、1,652円

  先月紹介した『跳びはねる思考』の著者、東田さんの別著『自閉症の僕が跳びはねる理由』の英語版である。比較的易しい英語で書かれているので、高校生には難なく読める。一つを紹介する。是非読んでみてください。
Q.11 WHY DON'T YOU MAKE EYE CONTACT WHEN YOU'RE TALKING?

True, we don't look at people's eyes very much. 'Look whoever you're talking with properly in the eye,’ I've been told, again and again and again, but I still can't do it. To me, making eye contact with someone I'm talking to feels a bit creepy, so I tend to avoid it.
Then, where exactly am I looking? You might well suppose that we're just looking down, or at the general background. But you'd be wrong. What we're actually looking at is the other person's voice. Voices may not be visible things, but we're trying to listen to the other person with all of our sense organs. When we're fully focused on working out what the heck it is you're saying, our sense of sight sort of zones out. If you can't make out what it is you're seeing, it's the same as not seeing anything at all.
What's bothered me for a long time is this idea people have, that so long as we're keeping eye contact while they're talking to us, that alone means we're taking in every word. Ha! If only that was all it took, my disability would have been cured a long, long time ago…

5月の書籍紹介

新刊
『日本人のための英語学習法』(講談社学術文庫)
松井力也(著)、192ページ、講談社 (2015/3/11)、778円

 表紙裏に、アクティブラーニング研究者の第一人者である京都大学の溝上慎一氏が、「アクティブラーニングの伝道師」である小林先生による待望の入門書です。長年の現場経験に基づいた実践的かつ理論的な内容になっています。イメージだけでアクティブラーニングをとらえるのではなく、本書でアクティブラーニングの意義・実践方法・効果などについて正確に理解してください。具体的な記述から読者は多くの示唆を得られると確信します。と推薦の言葉を書いている。
 次回の学習指導要領改訂では、このアクティブラーニングという用語必ず使われるであろう。「能動的な学習」が学ぶ力を育成するというしかけはどこにあるのだろうか。物理の教員の著者は越谷高校で自身の授業を紹介しながら説明している。授業は、①学習内容の説明(pptスライド・プリント配布、インターアクティブ・インストラクション)、②問題演習(問題の解答・解説、プリント配布、ピア・ラーニング)③振り返り(確認テスト、相互採点、リフレクションカード記入)という構造である。こうした試みが、放課後にも生徒が自主的に集まり、物理の学習会が行われた。友達と協力して学ぶ楽しさと効果を味わったという。自分の授業に拡がりを持たせるために、その考えを学んでみることが大切である。

新刊
『ちゃんと伝わる英語が身につく 101動詞』
阿部一(著)、205ページ、ダイヤモンド社 (2015/2/20)、1,620円

 「日本人が知らないニュアンスが一目でわかるイラスト」「超頻出の重要構文」「使える英語に変わるワンポイント」を1単語=見開き1ページにまとめ、1冊で頭のなかでホコリを被っている英語を活用できるようにしてあることが本書の売りである。例えば、 “earn”のコアイメージは、「努力の対価として、何かを手に入れる」ことで、He earned a bachelor’s degree at UCLA. He has earned the respect of his colleagues through his hard work. など、「稼ぐ」というイメージが日本人にはこびりついているが、お金以外の物に対して、努力によって手に入れるという意味を持っている。などの解説がある。挿絵もついて分かりやすい説明となっている。

新刊
“How to Design Ted-worthy Presentation Slides: Presentation Design Principles from the Best Ted Talks, Black & White Edition”
Akash Karia (著) 、206ページ、Createspace; 3版 (2015/02)、¥1,296

  本書は、TED Talkにおけるスライドデザインのため書籍である。裏表紙に、 How to Design (and Deliver) TED-Worthy Presentation Slides is a short, practical and step-by-step guide to creating sexy slides. Learn how to breathe life into your slides, instead of draining it out of your audience.
内容としては、
•The most common mistake most presenters make – and how you can avoid it
•The one principle that will make you better than 90% of most speakers
•How to quickly create a presentation storyboard
•Bill Gates’ trick for transforming his slides from dull to dashing
•The Seth Godin presentation formula
•The importance of contrast
•Locating and using sexy fonts
•Spicing up your presentations with video
•Displaying data without being dull
•Ensuring consistency between slides
TEDで行われたプレゼンテーションのスライドとスピーチ内容の一部を紹介しながらスライドづくりのスキルを説明している。

旧刊
『跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること』
東田直樹(著)、224ページ、イースト・プレス (2014/9/5)、¥ 1,404

帯には、「僕は、二十二歳の自閉症者です。人と会話することができません。 僕の口から出る言葉は、奇声や雄叫び、意味のないひとりごとです。普段しているこだわり行動や跳びはねる姿からは、僕がこんな文章を書くとは、誰にも想像できないでしょう。」とある。「自閉症」は、乳幼児期に発症する発達障害の一つである。言語発達の障害、対人関係社会性の障害、常同行動が特徴で先天的な脳の障害によるとみられる。本書の著者の東田直樹さんが抱える「自閉症」は、生まれつきの脳機能障害で、コミュニケーションや日常生活にさまざまな難しさが生じる。自閉症スペクトラム(自閉症と、その近縁の障害)の人は「百人にひとり存在する」ともいわれる一方で、症状や程度が非常に多様なことなどもあり、一般の人には理解されにくい障害でもある。そのような東田さんは、小学生の頃から絵本やエッセイなど、多くの作品を執筆してきた。東田さんは、文字盤を指差しながら言葉を発していく「文字盤ポインティング」という方法で会話されている。それは、話そうとした時に頭の中が真っ白になり、そのために、言いたかった言葉を思い出すきっかけとして、文字盤を使っているとのことである。
 本書は、自閉症の著者が「生きる」ことの本質を鋭く、清冽な言葉でとらえた珠玉の一冊である。
 本文の中で、東田さんの「夢」とは、何でしょうかの問いに、東田さんは「僕は皆さんに自分の幸せに気づいてもらいたいのです。人はつらいことや悲しいことがあると、自分の思いで心がいっぱいになり、他の考え方ができなくなってしまいます。いろいろな見方をすることで、人は自分がそれほど不幸ではないと気がつくのではないでしょうか」と答えている。
 これは必読の書じゃないかと思う。

旧刊
『ビートルズ英語文法ガイド(増補版)』
秋山 直樹(著)、303ページ、イツーソリューション; 増補版 (2012/11/28)、2,743円

ポールマッカートニーが再来日し、講演活動を行っている。今回は最後のステージが、あの伝説の日本武道館である。1960年代の音楽市場を席巻したビートルズ。60歳以上のものには、青春時代のエネルギーであった。そのビートルズ・オリジナル作品209曲の歌詞を規範となる英文法の項目、品詞、句、文の要素、五文型、文の構造、節、文の種類、動詞、時制・・・とオーソドックスな章だてごとに、例文としてずらりと並べている。文法としての解説がわかりやすいとか、丁寧であると言うものではないが、あのこと夢中になった歌はこういう文法表現を使っていたのだとしみじみ思う。歌の世界で文法表現を味わう参考書である。

旧刊
『日本人はなぜ日本を愛せないのか』
鈴木孝夫(著)、272ページ、新潮社 (2005/1/24)、¥ 1,404

 前書きに、「戦争とテロの嵐が吹き荒れる21世紀に、世界第二の経済力を持つ日本が、指導的大国としてアピールできる「長所」は何だと思いますか?」の回答として、「一つは、異質な物や文化を自分の社会に平気で取り入れ、他の国から見れば呆れるほどの混合文化社会をつくる才能、もう一つは、日本人の深層心理にある「アニミズム的な世界観」です。やさしく言えば、生きとし生けるものすべて、いや山や森といった無生物にさえ魂や精神性を感じる世界観」と述べている。グローバル化がかまびすしい現代社会において、西洋中心主義の考え方が世界を席巻しようとしている。そこに宗教が絡むと、紛争やテロまで起こっているようだ。英語教員は、英語を教えることを生業としている。得てして英語偏重主義に陥る傾向があるように思われる。言語学者の鈴木氏が、地理的・歴史・文化の面からみた比較文明論として、日本を再考している。

旧刊
『日本の思想』岩波新書
丸山真男(著)、192ページ、岩波書店 (1961/11/20)、¥799

 本書は50数年前のかなり昔の古い岩波新書であるが、優れた知見がまとめられており、現在でも新鮮な考え方を提示していると多くの人が薦める一冊である。現代日本の思想が当面する問題は何か。その日本的特質はどこにあり、何に由来するものなのか。日本の思想のありかたを浮き彫りにした文明論的考察の書である。
「思想のあり方について」の章では、「われわれが作るいろいろなイメージというものは、簡単に申しますと、人間はイメージを頼りにして物事を判断する人間が自分の環境に対して適応するために作る潤滑油の一種だろうと思うのです。つまり、自分が環境から急激なショックを受けないように、あらかじめ個々の人間について、あるいはある集団、ある制度、ある民族について、それぞれイメージを作り、それを頼りに思考し行動するわけであります。」とある。
 そして、「われわれの日常生活の視野に入る世界の範囲が、現代のようにだんだん広くなるにつれて、われわれの環境はますます多様になり、それだけに直接手のとどかない問題について判断し、直接接触しない人間や集団のうごき方、行動様式に対して、われわれが予測あるいは期待を下しながら、行動せざるをえなくなってくる。つまりそれだけわれわれがイメージに頼りながら行動せざるをえなくなってくる。しかもその際われわれを取り巻く環境がます複雑になり、ますます多様になり、ますます世界的な拡がりをもってくるということになると、イメージと現実がどこまでくい違っているか、どこまで合っているかということを、われわれが自分で感覚的に確かめることができない」と述べている。
 個人や集団は、勝手なイメージを基に、物事を判断しているのかもしれないというこの識見は、今の社会の出来事や教育における施策においてもイメージ先行で判断されているのではないかと考えさせるものの見方である。

4月の書籍紹介

新刊
『頑張らない基礎英語』
西澤ロイ(著)、 197ページ、あさ出版 (2015/2/20)、¥1,404

書店で、何か良い本はないかなと漁っていたとき、帯に書かれてある「学校で習う英語の疑問がなくなりました!」に出くわした。学校でなら英語は疑問だらけというイメージなのかと思い手に取った。確かに教員の中には自分が中学・高校時代に習ったように文法用語でルールを説明することに終始する人もいる。本書は、イメージ文法、レキシカルグラマーの流れの文法解説書である。文法の全体の体型の一部を切り出して易しく説明している。たとえば、
I will stay home if it rains tomorrow. (もし明日雨が降ったら、家にいる予定です)
通常の文法書では「時や条件の副詞節では、未来のことでも現在形を用いる」と説明されていることが多いが、本書は『未来のことであっても「実際にあること」と考えるから現在形で表すのである』と記載されている。未来であっても事実として捉えているの現在形を使うと。時制や助動詞の働きなどについて、なぜそのような文章になるのかを、理解し、納得し、最後は感覚で捉えられるように、英語構造を楽しく易しく説明している。著者の既刊に『頑張らない英文法』があり、ここでは冠詞や前置の働きを説明している。

新刊
『発信型英語 類語使い分けマップ』
上田一三(編著) 、333ページ、ベレ出版 (2015/2/23)、¥ 2,052

 「日本人が英語のスピーキングやライティングをする時に、一番厄介なのが文脈に合った類語の使い分けです。本書ではスピーキングや英作文をする際によく使われる、最も重要な類語のグループを約100(動詞・形容詞・名詞)取り上げ、その使い分けやニュアンスを学びます。」とある。本書は、動詞では「~系の動詞」として日本語のことばの多様な意味をまとめて英単語グループを分類し、違いを解説するというアプローチをとっている。たとえば、「わかる」系動詞の使い分けをマスターでは、understand, know, recognize, appreciate, identify, catch, figure outなどそれぞれの動詞が持つニュアンスや使われ方を説明している。日本語の「わかる」は、「分かれる→はっきり区別できる→理解できる」と変化したので、「区別できる」「見つける」『判断する』などの意味合いを含むので、英語のundrestandではそぐわないと解説している。文脈に沿った単語を使えることに参考になる書籍である。

旧刊
『みんなの楽しい英文法―「スタンプ例文」でわかる英語の基本』
阿野 幸一(著)、224ページ、NHK出版 (2014/12/11)、¥1,512

 最近、昔の教え子からもらうメールやメッセージにかわいらしい絵が貼り付けてあることがある。スタンプといわれるものであるらしい。言葉でなく絵として感覚的に和ませるコミュニケーションの媒体である。本書の帯に「コミュニケーションアプリでおなじみの「スタンプ」の特性と、英語教育の新しいスタンダード「CAN-DO」を組み合わせ、中学英文法の要点と使い方がひとめでわかる超実践型の英文法書」とある。章立ては、1.自分のことを伝えてみよう、2.誰かと関わってみよう、3.自分の気持ちを伝えてみよう、4.誰かに説明してみよう、5.ことばのセンスを磨こうとなっているが、それぞれの章は時制や助動詞、動名詞、不定詞など文法項目毎に見開き2ページにスタンプとなる挿絵と例文でその使われ方を簡単に説明している。英文法の形、しくみ、使い方をイラストで理解することで、効率的かつ感覚的に英文法の使い方をつかんで欲しいとするのが本書の趣旨であろう。

旧刊
『ずるいえいご』
青木 ゆか(著)、191ページ、日本経済新聞出版社 (2014/7/26)、¥1,296

日本語をそのまま英語にするのではなく、その意味合いをやさしく言い換えて英語にすることを提唱しその例を挙げている。たとえば、日本語の「いまいち」という表現は、
・十分じゃない   It's not good enough.
・まあいいけれど、もっと期待していた  I think it is OK, but I expected more.
・もっとできると思うだけど  You can do better than this.
・これが一番だとは言えない  I cannot say it is the best.
などと言い換えて英語にすることができるとしている。ちなみに、「いまいち」を“lack something”と言っても良いし、仮定法を使って、“Could be better.”もある。「正解に近いが賞品の葉巻はあげられない」という俗語表現で、“close but no cigar”などもある。日本語を直訳すると英語の文構造と異なるので無理があるが、日本語の言い回し、そのものも分かりやすい表現に言い換えて英語にする方がいいだろう。そうした例を数十挙げている。

旧刊
『ネイティブが教える英語の動詞の使い分け』
デイビッド・セイン(著)、290ページ、研究社 (2012/6/26)、¥2,160

帯に、次の1~5の例文の空白には、acquire, get, obtain, gain, earnのどれを入れるのが一番適当でしょうか?
1. Young people should try ________ skills that will help them find work.
2. Paul _________ enough money working after school to travel around the world.
3. She __________ the respect of the community with her honesty.
4. I __________ 30 inquiries into the construction project.
5. It took him three months to _________ a work permit in Canada.
とある。一つの問いに一つの正解とういものでなく、複数の語を当てはめることができるが、この言葉はこの文脈では使わないなど、この状況、文脈にふさわしい動詞を説明している。

旧刊
『カラー改訂版 CD付 日本のことを1分間英語で話してみる』
広瀬直子(著)、191ページ、KADOKAWA/中経出版; カラー改訂版 (2014/11/15)、¥1,728

教員免許状更新講習でのプレゼンテーション活動用として購入した。なじみの深い日本のことを1分間でと端的に英語で述べるというのはいい訓練になると考えた。本書は、日本語では話せても英語で話そうとすると出てこない! そんな現在の日本に関する80項目の話題を、1分間程度で説明できるやさしい英語でまとめてある。生徒に例示として紹介するのにも役立つと思う。

旧刊
『日本のことを英語で話そう』
シーラ・クリフ(著)、222ページ、中経出版 (2012/3/21)、¥1,512

本書も、教員免許状更新講習でのプレゼンテーション活動用として購入した。 Why are sumo wrestlers so fat? と外国人からの疑問に答える形式でまとめている。同時に英国人の著者からみた印象が書かれてあって、授業で紹介することができる。上記の問いに対し、「力士はとても太っていて、私たちには奇妙に思えます。しかし、実際の相撲の取り組みは、とてもダイナミックで楽しいです。江戸時代には、力士が現代のボップスターのように、女性に大人気だったと聞いて、大変驚きました。相撲を外国人に見せると、きっと驚いたり喜んだりすること間違いなしです。」と解説している。

旧刊
『英語に強くなる本: 教室では学べない秘法の公開』(ちくま文庫)
岩田一男(著)、334ページ、筑摩書房 (2014/6/10)、¥972

 岩田一男と聞いてすぐに分かるのはある程度の年齢の教員であろう。テレビやラジオの英語講座の番組でも活躍された。本書のオリジナルは、1961年の発売時わずか3カ月で100万部を突破した昭和を代表するベストセラーである。50年以上も前に書かれながら今なお新鮮な発見を与えてくれる一冊である。
1.どうして英語ができないのか
2.日本人はなぜ発音に弱いのか
3.科学的な単語のおぼえ方
4.やさしい言葉がきらいな日本人
5.生きている英語・死んだ英語
6.先生も教えてくれない英語のルール
7.英語を話すコツ
8.英語を読む秘訣
9.英語の底を流れるもの
10. 外国へ行く方法
目次を見ただけで、読んでみたくなると思いませんか。

3月の書籍紹介

新刊
『もしも、こんな英語の授業に出会っていたら? (英語の「なぜ?」を解き明かす50の秘話)』
各務 行雅(著) 、210ページ、三恵社 (2014/12/20)、¥2,160

文法は覚えるためにあるのでなく、「なぜ」がわかるためにある。言葉の持つ文化や奥深さを教えることが大切である。50の秘話では、挨拶、語彙、大文字小文字、冠詞など英語の表現や文法に関するちょっとした話がまとめられている。授業で受け持つ生徒にも、ちょっとこんなこと知っていますかという感じで話すネタになる。全ページ、秘話であればいいのだが、総ページのうち半分の100ページほどが資料集となっている。

新刊
『残念な教員 学校教育の失敗学』(光文社新書)
林 純次(著) 、261ページ、光文社 (2015/2/17)、¥864

書店で本書に手を伸ばすと帯に、「「教え方を知らない教員」が8割、鈍感教員、学ばない教員、学べない教員、コミュニケーション不全教員、理念欠如型教員――「残念な教員」を量産する学校教育現場の「失敗のしくみ」を踏まえ、過去の教育実践の蓄積と著者自身の取り組みをベースに、未熟練教員と生徒を共に成長させる方法を提示する」と過激な言葉が並んでいた。
「第1章 教育現場の実状、第2章 教師の技術、第3章 教育現場における「評価」、第4章 教員の成長、第5章 授業について、第6章 教員が技術を身に付ける順序、第7章 身に付けてほしい3つの力」の構成である。第1章の現状で、鈍感教員、学ばない教員、学べない教員、コミュニケーション不全教員、理念欠如型教員、マイナス査定の学校とそれに怯える教員をぶちまけ、学校現場を憂いている。第2章ではどうすればいいのか、教師が身につける技術について述べている。振り返りの書として一読するのがいいのでは。

旧刊
“How to Deliver a Great TED Talk: Presentation Secrets of the World's Best Speakers”
Akash Karia(著)、198ページ、Createspace (2013/03) 、¥ 1,266

先月紹介した『TED 世界を魅了するプレゼンの極意』の原書である。TEDトークのプレゼンテーションを成功させる秘訣をまとめている。英語の表現などを確認するのにはやはり原書の方がわかりやすい。入手するのに1ヶ月以上かかったが手許に置いておきたい一冊である。

旧刊
『英文翻訳術』(ちくま学芸文庫)
安西徹雄(著) 、278ページ、筑摩書房 (1995/05)、¥950

『英語の発想』の著者として紹介したシェイクスピア研究の第一人者の安西氏の訳文指南書である。学習英文法の枠組みに沿って英文を分解し、分解してできた項目ごとに、訳文作成のルールを提示していくという「翻訳英文法」として、短文を読み解きながら、翻訳の秘訣を伝授している。20年前の古い著書であるが、翻訳をめざす人にとっては、「一読三嘆」の書であろう。

旧刊
『親と教師にとって、すごく大切なこと』
ロン・クラーク(著) 松本剛史(訳)、254ページ、草思社 (2005/2/26)、¥1,510

「50のルール」で知られる全米最優秀教師が、みずからの失敗談、成功例をすべて明かし、子どもを導く大人に必要な資質を11あげる、感動をよぶ迫真の実践録。
子供を導く大人に必要な11の資質が挙げられている。「熱意」、「冒険」、「創意」、「反省」、「バランス」、「思いやり」、「自信」、「ユーモア」、「常識」、「感謝」、「回復力」の11の資質である。1番目に取り上げているのは「熱意」で、「あなたの熱意は、周囲の目に魅力的に映り、おおきな刺激となって、伝わっていくだろう。そしてみんながあなたに引きつけられ、そばにいたがるだろう」とノーマン・ピールの引用から始まる。熱意は周りに伝染するが、これを一番に据えた理由としている。大村はまさんは、教員に熱意は当たり前と言っていたが、教員として自分を振り返るための書籍である。

旧刊
『二人が睦まじくいるためには』
吉野弘(著) 、157ページ、童話屋 (2003/10)、¥1,350

「 ハルキ文庫の『吉野弘詩集』が最近、書店で平積みになっていてブームであるようだ。「祝婚歌」は、新郎新婦のみならず列席者にも深い感銘を与える結婚式の引き出物と言われる詩である。
『祝婚歌』 吉野 弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい

英語教師には、「I was born」という詩がいいのでは。受け身形になっていることを認識させてくれる。
詩は、ストレスのたまった気持ちをそっとほぐしてくれる働きがある。

旧刊
『手のひらの音符』
藤岡陽子、259ページ、新潮社 (2014/1/22)、¥1,520

「京都出身の作家のバブルから現在へ、時代の荒波をひたむきに乗り越えた40歳代の女性(水樹)の人生を描いた、瑞々しい長編小説である。登場人物それぞれが、恵まれた環境で育っていない。何かを抱えながらも、それでも人を思いやり、そして思いやられ、精一杯生きている。ところどころ、いい表現内容だなと思うところがあった。 「最近よく考えるんだ。いまの日本は、昔のような右肩上がりの状態ではないかもしれない。でもだからといっておれたちの世代が走ることをやめると、次の世代はもう走る気を完全になくすんじゃないか。おれたちの親の世代はたしかにものすごい速さで走ったけど、それをどうしょうもない時代の背景が勢いにストップをかけた。でもその走りを見て育ったんだから、これ以上この国が伸びるあてはないと世界中が冷笑したとしても、自分たちが力を抜くわけにはいかないんじゃないか。 たとえばいま全力で何かをやって、それがことごとく失敗したとしても、次の世代を走る人には自分たちが見せる全力疾走が残るんじゃないだろうか。何とかしようとあがいている姿を見ていた、もっと若い誰かが、自分たちよりうまく賢いやり方で何かを成功させたなら、それはおれたちの成功ではないだろうか。」

旧刊
『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』
佐々涼子(著)、 288ページ、早川書房 (2014/6/20)、 ¥ 1,620

2011年3月11日、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場は津波に呑みこまれ、完全に機能停止した。当時の震災現場で何が起きていたのか、その証言の書である。懸命に復興・再生に向けて働いてきた人たちの記録である。この工場の工員には紙生産の誇りがある。手触り感、文庫本の紙の質、週刊誌などの紙の肉厚感と軽さ、こうした紙の質を意識して今まで本に接してこなかった。震災から4年が経つ。これからは、本を買う度に紙の手触り感を確認してみたい。

2月の書籍紹介

新刊
『英語のプレゼンテーション〈スキルアップ術〉』(祥伝社新書331)
田中 真紀子(著)、192ページ、研究社 (2014/11/18) ¥ 1,944

大学での授業を基に、「トピックの選定、リサーチ方法、草稿の書き方、パワーポイントの作成、質疑応答の対処方法など」、プレゼンテーションのスキルをまとめている。プレゼンテーションでよく使われる「英語表現」が掲載されている。プレゼン指導の方法がまとめられてはいるが、明日からさっと使えることを望む高等学校教員が求める具体的実践的な指導ワークシートやその活用方法までは踏み込んでいない。

新刊
『おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか?』NHK出版新書
池上彰(著) 、240ページ、NHK出版 (2014/4/9)、¥ 842

目次は、
序 章 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?――現代の教養七科目
第一章 宗教――唯一絶対の神はどこから生まれたのか?
第二章 宇宙――ヒッグス粒子が解き明かす私たちの起源
第三章 人類の旅路――私たちは突然変異から生まれた
第四章 人間と病気――世界を震撼させたウイルスの正体
第五章 経済学――歴史を変えた四つの理論とは?
第六章 歴史――過去はたえず書き換えられる
第七章 日本と日本人――いつ、どのようにして生まれたのか?
となっている。高校生や学生に一般教養が身についていないことを常々危惧している。現状を嘆くのでなく、学生にもこうした新書を紹介し、教養として最低限知っておいた方が良いことを身につけさせていくことが必要だと痛感する。「現代の科学的な考え方では、物事は何でも明らかにする方が望ましいとされますが、人間には、知らない方が望ましいことも、実はたくさんあるのです…。」(『生きがいの創造[実践編]』)と、解き明かすことを鵜呑みに金科玉条のように捉えるものでないという態度の育成も必要だと思う。

新刊
『「日本人と英語」の社会学−−なぜ英語教育論は誤解だらけなのか』
寺沢拓敬(著)、300ページ、研究社 (2015/1/17)、¥ 2,808

 「日本人と英語」にまつわる様々な通説・俗説を、豊富なデータを使い社会科学的な手法を用いて、批判的に徹底検証している。明日からの授業に直接役立つ書籍ではないが、「これからの社会人に英語は必要不可欠」「日本人は世界で一番の英語下手」などの通説はいかに生まれたか、真であるのかの検証を読むことを通して、自分の英語学習に対する考え方の芯を築く一助になると思う。

新刊
『野蛮な読書』(集英社文庫)
平松洋子(著) 、301ページ、集英社 (2014/10/17)、¥ 648

 表紙裏に、「“本の海”めがけてざぶんと飛び込み、泳ぎだす。手にした一冊に始まり、次から次へと思いがけず繋がっていく本の世界。時間や場所を問わず、興味の趣くままに読み進めた全103冊、読書の真髄と快楽を余すことなく綴った一冊。」とある。本学の教職課程論を担当していただいているM先生より本書をいただいた。13編の随想に103冊をジャンルや時代に囚われず次から次へさっと紹介していく。端的に紹介されていく本を読みたいと思う気持ちに駆られる。口語が多用されている軽やかな文体と大胆な比喩、鋭い分析と弾けた妄想が「野蛮な読書」というタイトルを生みだしたのか。海を泳ぐように読み進めた本、味わいがある。食文化と暮らしのエッセイストとして活躍する著者がほんの味を紹介している。第28回講談社エッセイ賞受賞作の文庫版である。

新刊
『TED 世界を魅了するプレゼンの極意 How to Deliver a Great TED Talk : Presentation Secret of the World's Best Speakers』
アカッシュ・カリア(著) 月沢李歌子(訳)、240ページ、SBクリエイティブ (2014/3/24)、¥ 1,512

3月にプレゼン指導に関して教員免許状更新講習を行うので、まだ手許にないプレゼン関係の書籍を数冊買い求めた。その中の一冊である。書店で見つけ購入した.その際、原文もと思い原本もアマゾンで注文した。1ヶ月以上経つがまだ手元に届いていない。いわゆるTEDトークのプレゼンテーションを成功させる秘訣をまとめているのだが、英文の紹介が他のプレゼンテーションのハウツー書籍と異なり、場面に応じて役立つ英文例ではなく、どのような英語の修辞法が役立つのかその例を挙げたりしている。各章の最後には、まとめが書かれていて、テクニックを整理するのに役立つ。本学の教職ネットのメンバーにトーストマスターズのスピーチの訓練を受けている教員がいる。本書はTEDだけではなく、そのトーストマスターズについて触れている。

旧刊
『プレゼンテーション・パターン: 創造を誘発する表現のヒント』
井庭崇(著)、168ページ、慶應義塾大学出版会 (2013/2/3)、¥ 1,512

多くの人が陥る問題には傾向が、良くなるアドバイスにもパターンがある。ということで、創造的なプレゼンテーションがどんなものか、創造を誘発するヒントがまとめられている。各項毎最初にそこで何を表すか纏めとイラストが掲載されている。引用されている識者のことばは観念的であり、具体的にどうするべきかという直接のメッセージではない。プレゼンテーションのどの書籍にも書かれているが、メインメッセージを聞き手に届ける→ストーリーテリング→メリハリ→驚きの展開→はてなの扉(次々なぞ解明の爽快感)というプレゼンのあり方を示めしている。160数ページと比較的にさっと読める参考書籍である。

旧刊
『ことば絵本 明日のカルタ』
倉本美津留 (著) 、103ページ、日本図書センター (2013/6/13)、¥ 1,404

 新聞の書評に紹介されていたので、購入した。この「50音かるた」は子ども向けかと思いきや意外に含蓄のある生き方教本にもなっている。心の癒しの絵本の新バージョンか。生徒に紹介してもいいだろう。ちょっと解説を加えることで、HRの今日の教えになるのではないだろうか。「あ 明日は明るい日。足の明日はもっと明るい日。だから未来はすごく明るい」「い 犬と、自由に生きよう」「う 嘘つきはつかまらない。ドロボーはつかまるのに。へーんなの。」「え 遠足も楽しいけど、近足も楽しいよ。」「お 落ち込んじゃってブルーな気分。いえいえブルーは空の色」と綴っている。

旧刊
『考えることの科学―推論の認知心理学への招待』(中公新書)
市川伸一(著) 、186ページ、中央公論社 (1997/02)、¥ 713

表紙裏に、「日常生活での思考は推論の連続といえる。その多くは論理形式に従うより、文脈情報に応じた知識を使ったり、心の中のモデルを操作してなされる。現実世界はまた、不確定要素に満ちているので、可能性の高さを直観的に判断して行動を決めている。推論はさらに、その人の信念や感情、他者にも影響される。推論の認知心理学は、これら人間の知的能力の長所と短所とをみつめ直すことによって、それを改善するためのヒントを与えてくれる。」とある。すこし古い本であるが、市川氏の書籍はどれも読みやすく分かりやすく書かれている。人は推論しながら物事を考えゆく。その際、間違った根拠で判断したりすることがある。感情的な事に左右されることもある。本書は例題を用いながら人はどう推論するかを解説している。

1月の書籍紹介

新刊
『親子で学ぶ英語図鑑』
キャロル ヴォーダマン(著)、255ページ、創元社 (2014/9/5)、3,024円

 帯にある「日本の学校では教えない“大切なこと”が満載!おとなの自習書としても最適」ということばに惹かれて購入した。図やイラストを多用したカラフルな紙面とユーモラスな例文で、英米での文法指導方法が具体的にわかるほか、句読点の正しい使い方や発音とつづりとの関係、さらに英語を「読み・書き・聞き・話す」ための効果的なコミュニケーション方法をくわしく解説している。「なぜ綴り方を学ぶの?」の章では、「規則は文字を綴るのに役立ちますが、例外も多く、綴るのにやっかいなこともあります。しかし書き手が意味をはっきり伝えるためには、綴り方をきちんと学ぶことは十分値することです」と述べている。alphabet問い雨後がギリシア語の最初の2文字、alphaとbetaに由来しているや、キーボードの文字の並び「QWERTYキーボード」と呼ばれ、よく使われる文字が接近しないように、この順に大文字が配列された(1882年)。その結果、昔のタイプライターで文字の打ち損じを避けることができたなどのティプスが書かれている。文字の語根(root)をしっておけば文字を綴るのに役立つと述べている。

新刊
『中村修二の反骨教育論: 21世紀を生き抜く子に育てる』(小学館新書)
中村修二 (著)、287ページ、小学館 (2014/12/1) 、821円

青色発光ダイオードの開発で「ノーベル物理学賞」を受賞した中村修二の教育論。我々の世代は、「反骨」という言葉にまず惹かれる。それで手にしてみた。「親だからこそできる教育」「日本の教育制度批判」「米国の教育システムに学ぶこと」の3章構成で、「みんな一緒じゃなくていい」「“洗脳教育”から子どもたちを解き放て」等、すべての親たちに向けた「日本の子どもの“生き伸びる力”を育てる」など23の提言をまとめている。2005年の『日本の子どもを幸福にする23の提言―LOOK FORWARD!』にノーベル賞受賞後に加筆したものである。
子どもに一番近く長く接しているのは親である。だからこそ、親が子どもの教育に責任を持つべきとしている。コンピュータゲームに明け暮れる子どもたちは、与えられた遊びしか知らないので創造性が生まれない。「大草原の小さな家」にあるような家庭教育こそ大切だといている。
哲学的な内容でなく、自分の幼少期から発明にたるまでの経験を基にした軽く読める内容である。

新刊
『外国語教育研究ハンドブック―研究手法のより良い理解のために』
竹内 理・水本篤(著)、380ページ、松柏社; 改訂版 (2014/08)、 ¥3,780

 外国語教育学や第二言語習得の論文において多く使われている手法を紹介し、実際に論文を書くときに活用できるよう、データ収集から分析方法まで、統計的手法がわかりやすく丁寧に述べられている。英語教育の第一線で日々の授業を行っている先生が実践活動をまとめられるときに役立つ書である。たとえば、「ある生徒の中間テストの英語の得点が50 点,期末テストの英語の得点が40 点だとします。この場合,当該生徒の学力は低下傾向にあるといえるでしょうか」…「この段階ではいえない。各テストの平均点や標準偏差といった情報が追加され,この生徒の置かれている相対的な位置やテストの難易度がわかった時点で,判定が可能となる」、「ある英語リーデイングテストとある英語語彙テストのスコアの相関がr = .55 であったとします。2 つのテストがスコアの散らばりを共有している割合はいくらになるのか計算してみましょう」…「r = .55 を二乗して, r2 = .30,つまり30% の共有率であることがわかる」など、統計の使い方に慣れていない先生方の味方になってくれるだろう。

旧刊
『くまのこうちょうせんせい』
こんの ひとみ(著) いもと ようこ(イラスト)、金の星社 (2004/06)、1,296円

神奈川県茅ヶ崎市の浜之郷小学校の初代校長、大瀬敏昭先生は医者に「あと3ヶ月の命です」といわれたあとも、学校に通い続けて「命の授業」を開いた。本書は、「命の授業」を続けた実在の校長先生をモデルにした絵本である。
毎朝、学校の門に立って子供達に「おはよう」と元気な声で挨拶をしていた校長がある時、病気になって気付いたこと。それは“子供達の中には大きな声を出すことの出来ない子供もいる”ということであった。「子どもはあかるく元気が一番と、大人は思い込んでしまいます。でも本当は、子どもは小さくて弱いものなのです。子どもたち痛みを分かち合うのが、大人の役目だと思います」(大瀬校長)
「あとがき」でシンガーソングライターの著者は、「だれでもみんな命をもっています。これまでわたしは、それぞれの命に限りがあると考えていました。でも今はこう思うのです。『おはよう』を言えなくなっても、一緒に遊べなくなっても、いつか訪れるさよならの日まで精一杯に生きたとしたら、その人はずっと誰かの心の中で、生きられるのだって。だからこそ私たちはその日まで、一生懸命生きていくのだと思います」とある。
道徳の授業で紹介するのも良いが、こうした絵本を英語に翻訳するのも「英語表現」の良い活動になるだろう。心に届く文章は生徒に翻訳してみたいと思わせることだと考える。

旧刊
『失敗学のすすめ』
畑村洋太郎(著) 、256ページ、講談社 (2000/11/20)、 1,728円

2005年に文庫化されている。明治以来、欧米のマネをすることで失敗を避け、効率よくキャッチアップしてきたために、失敗を真摯に見つめ謙虚に学ぶ文化やシステムが生まれなかったことが、失敗を恐れる、恥じる、またそれに学ばない気風を生んだのではないかと言う。失敗は、未知との遭遇による「良い失敗」と、人間の怠慢による「悪い失敗」の2種類に分けられる。不可避である「良い失敗」から物事の新しい側面を発見し、仮想失敗体験をすることで「悪い失敗」を最小限に抑えることが重要である、と筆者は説いている。
数々の発明をしたエジソンが、8000回の試作を通して、やっと電灯を生みだした。7999回の試作は単に失敗という言葉で片付けられるものだろうか。その失敗があったからこそ、理想的な電灯を生み出すことになった。創造的な仕事をするには、多くの失敗が必要である。常に正しいと思われることをまねするだけでは、本当に意味のある活動はできないであろう。授業においても、失敗はある。でもそれは挑戦し続ける姿勢の表れでもある。

2014年

12月の書籍紹介

新刊
『英語上達12 のポイント』(開拓社言語・文化選書)
門田 修平 (著)、240ページ、コスモピア (2014/11/22) 1,728円

 表紙に、「英語学習のみならず外国語学習を成功に導く秘訣を、最新の科学的理論に基づいてわかりやすく解説」とある。日本人の英語学習の不安や疑問を、
●英語は聞いているだけでいいの?
●単語や文法を間違えたら恥ずかしいし
●そもそも耳がネイティブとは違うのでは
●大人になってからではやっぱり無理?
●自分には語学の才能がない
とカテゴライズし、これらの不安や疑問に対する回答として、
1.大量のインプットが必須
 ・意味が理解できる英語を聞くこと
2.効率よく記憶に定着させるコツをつかむ
 ・音韻ループは2秒以内
3.発音できることがリスニングの前提
 ・シャドーイングの貢献
4.間違うことを恐れるな
 ・自身の間違いを客観的に観察すること
5.こころの中の音声が英語習得の決め手
 ・内的リハーサルの高速化
6.ことばを習得に導く脳の仕組みを理解する
 ・「英語耳・英語脳」は神話
7.英語能力の自動化を目指そう
 ・顕在的知識を潜在的知識に変貌させる
8.はじめて見る未知語の発音ができるようにする
 ・絵本とフォニックスの活用
9.幼児の母語獲得から学ぼう
 ・臨界期を過ぎてもトレーニング次第
10.英語力の土台をつくる母語能力を大切に
 ・不必要なことは言わないのが美徳?
11.多読で留学並みの潜在学習を実現
 ・大量インプットの確保
12.英語力の基礎になる語彙力・文法力をつける
 ・「知っている」から「使える」になるには何が必要か
をあげている。
「使える」 語集力とは?:語彙力再考のページでは、語彙力といっても従来から、語彙知識の広さ(breadth)と深さ(depth)から成る単語検索の正確性(accuracy) と、単語検索の流暢性(fluency) という両面がある。ある単語を聞いたり見たりした際に、あるいは、ある単語を発話したり、書いたりする際に、第二言語学習者の脳内のメンタルレキシコン(mental lexicon)から、必要な語葉情報を、正確に取り出せるか、またどれだけに素早く取り出せるかという両方が、語棄の基礎力ではないかと述べている。「メンタル・レキシコンとその中に保存されている情報イメージ」など図示して分かりやすくしている。単語の意味概念は、互いにネットワーク的に結びついた形で保存されており、そしてある単語を見聞きして処理すると、それと関連のある意味概念を持つ単語にも伝播して活性化される仕組みになっているということで、旧刊で紹介する『言葉をおぼえるしくみ: 母語から外国語まで』(ちくま学芸文庫)に今井氏と同じ考えである。単語は逐語訳を与えるだけでは定着しないということである。

新刊
『日本人の英語はなぜ間違うのか』(知のトレッキング叢書)
マーク・ピーターセン (著)、176ページ、集英社インターナショナル (2014/11/26)、1,080円

 書名が「日本時は英語をなぜ間違うのか?」というEnglish Native目線の言葉が気に入らないとまず思った。また表紙帯の、「英語が通じない理由は、中学校の教科書にあった!?」という過激なフレーズに、思わず購入し、何を言いたいのだろうと読んでみようと思った。目次は、第一章「英語教科書が抱える問題」、第二章「時制が足りない日本人の英語」、第三章「冠詞theと数への無関心」、第4章「基本動詞・助動詞を使いこなす」、第五章「仮定法の基本を理解する」、第六章「人気者”so”の用法に関する誤解、第七章「itとthatを使い分ける、第八章「単語の無意味な繰り返し」、第九章「論理の飛躍が多すぎる」、第十章「自然な英語を書くために」である。ちょっと挑発的な章立て内容である。過激に煽って気を引こうとしているのだろう。「こうすればもっとよくなる」などという教育的表現を避けているようだ。
学生が以下のように書いた英文に対し、
Last year, I bought a bicycle. The bicycle was expensive. But I wanted the bicycle very much. If I work hard at my part time job , I will make a lot of money. So, I worked hard at my part-time job. By the way, I like the bicycles of Italy such as Billato and Bianchi. In the future,I want to try running around Tokyo by the bicycle of Italy
1. 代名調を使わず、同じ名詞を繰り返して使う(bicycle,job)
2. 過去の話なのに、突然「未来形」が登場する(will make)
3. 不適切な動詞を使う(run)
4. 定冠詞the を、それに続く名調に与える意味まで考えないで使う(the bicycles of Italy)
5. 日本語の助調「の」を英語に置き換えるとき、条件反射的に前置詞「of」 を使う(bicycles of Italy)
6. 1文にまとめても大して長くならないのに、複数の短い文に切って書く(2 文目と3 文目)
7. 「したがって」という意味で文頭に置く接続詞So の後にコンマを打つ(So,I worked hard)
8. 文中の「such as …」の節の前に、コンマを打たない(the bicycles of Italy such as Billato and Bianchi)

確かに、指摘のとおりだと思う。自転車で走るにはrunを使えない。自分が走るのでないから。日本語で考えるから間違えると言うことが言える。ただそれは、言語文化がもたらす影響であって、「間違い」と突き放すものでもない。その違いから、英語というものがわかればと思う。反面テキストとして読めば、悔しくもないし、nativeにその域に達しているのかと思わせるための勉強になるだろう。

新刊
『英語学習者のための Google・英辞郎検索術』(開拓社言語・文化選書)
衣笠 忠司 (著)、183ページ、開拓社 (2014/10/18) 1,944円

 Googleを用いて英文検索する際に使える20の技を紹介している。具体的にはどのような単語や言葉が使われるのか、その用例を探すための方法を示している。
たいてい前後それぞれ2から5語くらいで検索をかけて、考えている語句の用法があるかどうかを調べたりするが、本書ではアスタリスクを用いる方法を詳しく説明している。たとえば、
I can’t ( ) to buy a new car. の(     )に入りうる語句は、
“I can’t * to buy” site:edu で検索します。
すると、
I can't afford to buy health insurance
I can't bring myself to buy all the symbology
I can't figure out how to buy vegetables without a barcode on them.
I can't decide whether to buy this book
I can't bring myself to buy a station wagon at this point in life
など9,880,000 resultsがあることが示される。
次に紹介する「英辞郎」による検索方法も記されている。用例検索が必要な方に、授業で例文を考える時になどその方法を知って億と便利である。

新刊
『英辞郎第八版』(辞書データVer.141/2014年8月8日版)
アルク; 第8版 (2014/10/7)、3,024円

 日常会話で使われる一般用語はもちろん、ビジネス、法律、理化学、医学、IT、文化などの専門用語から新語や俗語まで、幅広い分野をカバーする、英和・和訳対訳データベース。収録項目195万である。紙ベースの辞書は語義や用例、語法の解説に価値がある。携帯の電子辞書は簡易であるが、そうした用例などが少ないように思われるし、見づらい。この英辞郎はネット辞書・デジタル辞書で、語彙数も多く「コロケーション・用例」本位の用例辞書である。辞書は複数使う必要があると思う。一つの辞書で得心のいく説明があればいいが、併せて調べて読むと納得することが多い。特に例文は重宝することであろう。windows版、mac版それぞれソフト・アプリケーションが付いている。
たとえば、和英辞書として、「よく考える」とすると。
よく考える
give careful consideration to●put on one's thinking cap / put one's thinking cap on〔【直訳】考える帽子をかぶる〕●use one's head [brain]
自動consider
他動revolve●weigh
よく考える〔~のことを〕
think over
よく考える〔~を〕
reflect deeply on●
よく考える〔実行する前に〕
think twice
よく考える人
chewer
などが表示される.
thinkを検索すると、thinkの意味以外に、
think __ moves ahead
〔チェス・将棋など〕_手先まで読む[考える]
think ~ has its place
〜にはいいところもあると思う
think ~ indicates that a revolution will take place
〜は革命が起こる前兆[前触れ]ではないかと考える
など、よく使われる表現が豊富に出てくる

新刊
『屋久島発、晴耕雨読』
長井三郎(著)、258ページ、野草社(2014/7/20)、1,800円

 高校での教え子から本が届いた。ご主人の先輩で屋久島のローカルバンドのリーダーでもある方が執筆された書籍である。まえがきを読むと、感性溢れる文章が並んでいた。屋久島という閉鎖空間で暮らす思い、それでも束縛されない思い、大切なものは何かと人生、生き方を問う言葉に感動した。まえがきの一部を紹介する。
水平線とは、なんとも不思議な存在である。
果てしなく高い空と、果てしなく広い海。その果てしなく広がる、二つの青き世界の境界。
浜辺に立って眺めていると、港を出た船はいつか水平線の彼方へと消えてしまう。だからそれは、数キロほど先に確かに存在している。だがいざ船に乗ってたどりつこうとしても、どこまで行っても決してたどりつくことはできない。
在るけど無い。
無いげど在る。
水平線は、ぼくらが日々暮らしている場所のどこから眺めても、つねにぼくらの目の高さに位置している。標高2000 メートル近い宮之浦岳の山頂から眺めても、やはりぼくらの目の高さに位置している。
近視眼的に見れば、直線。
大局に立って見れば、曲線。
なんと不思議な、まっすぐな曲線!
日々、そんな水平線を眺めて暮らす島人たちと、日々地平線を眺めて暮らす人たちとでは、きっとものの見方や考え方に大きな違いがあることだろう。

旧刊
『言葉をおぼえるしくみ: 母語から外国語まで』(ちくま学芸文庫)
今井 むつみ、 針生 悦子(著) 、409ページ、筑摩書房 (2014/1/8)、 1,512円

 子どもはいったいどのようにして、言葉を覚えていくのだろうか?その仕組みを気鋭の認知心理学者が膨大な実験を通して、発達期の子どもがさまざまな概念を言葉と結びつけ、脳内の地図に瞬時に書き込んでいく驚くべきメカニズムを徹底的に解明する。こうした考えを外国語学習の効果的な方法について応用し提言している。
「一般に,外国語の授業では,同じ意味領域において語は互いにどのような基準でその領域を切り分けているのかといったことが系統的に教えられるようなことはほとんどない。たいていは,教科書に新しい単語が出てきたら,その辞書的な意味とその文脈で用いられる意味を確認するくらいだろう。そもそも日本での外国語の語葉学習教育では主にどうしたら語彙数が増えるか,という観点が主であった。学習者の習熟度の測定においても,語彙数の多さが習熟度の直接の反映であるという考えの下,辞書の語義を与え,多肢選択の形で複数の語の候補から語義に合うものを選ぶという形式のテストが標準的に行われていた。他方,学習者がひとつひとつの語の意味をどれだけ深く理解し,的確に運用できるか,という観点はほとんど考慮されていない。
確かに語集の豊富さは重要である。例えば外国語でテキストを読むとき,ほとんどの語を知らないという状態で,一語ずつ辞書を引かなければならないのでは,恐ろしく時間がかかり,内容を理解する以前に挫折してしまいそうだ。」と述べている。そして、「外国語の語の意味を学習するときに,学習者は文脈から当該の語の意味を推測する。それでわからなければ辞書を引く。しかしこの作業によって得られた意味はあくまでも子どもが即時マッピングで得るのと同じ意味領域全体の地図の上の「点」に過ぎない。意味領域全体の地図の中で,その領域に属する他のことばと塗り分けられた「面」としての意味を習得するためには,その語と同じ意味領域でその語と境界を接する他の語を学習し語同士の関係を理解することによって意味の修正をしていかなければならないのである。」と述べている。なるほどと思う次第である。

11月の書籍紹介

新刊
『英会話不要論』(文春新書)
行方昭夫(著) 、190ページ、文藝春秋 (2014/10/20)、 756円

 文部科学省は2011年以降、小学校5年から英語を必須科目とし、さらに20年までに、小学校3年から英語教育を導入する方針を打ち出した。そんな風潮に対し、英語教育の第一人者が本書で、「英語が話せなくて何が悪い」と異議を唱える。このようなことを唱えれば、「時代に乗り遅れた奴、と呆れられるかもしれません。でも私に言わせれば、辛抱強く学び意欲もないのに、また語るべき内容を持たないのに、何が何でも英語を喋りたい、ということこそ可笑しいのです」と筆者は前書きで述べている。第一部「英語と日本人」第二部「異文化交流の壁」で構成されているが、行方氏のエッセイ的な主張の書籍である。「アメリカの赤ちゃんが文法知らずに喋っているのを真似したい」、「昔の英語教育は役立たなかった」、「よい教材で学べば、聞いているだけで喋れるようになる」、「小学校で英語を教えれば、早期教育の効果が大きい」、「文法と訳読の教え方は役立たず」、「受験英語は英語学習の敵」、「帰国子女は英語がペラペラで羨ましい」、「大学センター試験でのリスニング導入で会話力が飛躍的に向上」、「漱石はロンドンで会話が出来なくてノイローゼになった」、「相撲取りが日本語をモノにした方法を真似したい」、「オリンピックで来日する観光客のために英語が喋れねば」などを取り上げて。縦横無尽に今の英語教育の在り方を断罪している。

新刊
『逆転の英文法―ネイティブの発想を解きあかす』(NHK出版新書)
伊藤 笏康(著) 、224ページ、NHK出版 (2014/10/9)、799円

 表紙裏に、「`yes'が「いいえ」の意味になったり、動詞の進行形が「している」の意味にならなかったりと、日本語と英語はピタリと一致しないもの。ならばお決まりの訳語を手放して、ネイティブの発想そのものをさぐってみよう。日本人がとくに陥りやすい誤解を取り上げながら、英語の核をなす名詞と動詞の正体に迫る。大人の学びなおし層に贈る、新感覚の“通読できる英文法書"の誕生!」とある。
 帯にある、「He came back ≠ 彼が戻ってきた」は、英語の過去時制はある過去の時点事実を述べているだけで、今もいるのかどうか分からない。日本語の場合、さっき戻ってきたような感覚で捉える。こうした日本語と英語の感覚の違いを説明している。英語教員の文法知識の再確認のために一読を。

新刊
『英語教師のための文法指導デザイン』
田中 武夫、 田中 知聡(著)、 253ページ、大修館書店 (2014/6/20)、2,376円

 「文法指導で何をどのような順序で教えたらいいか?指導方法にはどのようなバリエーションがあるか?コミュニケーションの中でどう文法指導をするか?英語教師の尽きぬ悩みに具体例とともにお答えします」と帯にあったので購入した。
 本書は、第一章 コミュニケーションを支える文法の指導、第二章 文法指導のための教材研究をしよう。第三章 生徒把握と指導目標について、第四章 文法指導のステップについて考える、第五章 文法指導の展開をシンプルにする、第六章 タスクを使った文法指導を考える、第七章 コミュニケーションのための文法をテストする、の七章で構成されている。第一章のサブ項目「文法指導のゴールを意識する」では、文法を身につけていれば、▢情報を正確に伝えることができる(例文:I have lived here for eighty years.)、▢話し手の態度や感情を伝えることができる(例文:She might come to the party.)、▢効率よく情報を伝えることができる(例文:The movie is about a man who traveled around the world.)など、文法指導の目的を教員も生徒もしっかり認識して指導することが寛容としている。ラーセン・フリーマンの言うように、form, meaning, useのとくにuseを指導しないとコミュニケーションには役に立たないだろう。規則を教えるのではないことを教員が意識しないと生徒の文法嫌いは増えるばかりであろう。本書を参考に文法授業がおもしろい授業になることを願う。

旧刊
『学力とは何か』
諏訪 哲二(著) 190ページ、洋泉社 (2008/12/6)、¥900

 学力とは何であろうか。入試に合格する知識であろうか。近頃、「見える学力」『見えない学力』ということばが使われている。梶田叡一は、学力を氷山にたとえて、水面にでている見える部分が「知識・理解」と『技能』であり、この見える学力を支えているものが、「思考力・判断力」と「関心・意欲・態度」という「見えない学力」であると述べている。発達段階においても、学びの中でのこれらの要素が占める割合は異なるであろう。小学校段階では、この「見えない学力」でも、「関心・意欲・態度」が大きな比重を占めるだろう。年齢が上がるにつれて、「知識」「技能」の割合が高まるであろう。学力を一つの定義で考えず、発達段階で考えて行くことが大切である。筆者は、学校は、「学習」と「生活」で構成されているので、その両方を考えて児童生徒にあたることが必要と述べている。担当している生徒の学力とは何であるか、考えてみてはどうであろう。

旧刊
『教育力』(岩波新書)
斎藤孝(著) 214ページ、岩波書店 (2007/1/19) 840円

 前書きにあるこの一節、「私の考える教育の基本原理は,「あこがれにあこがれる関係づくり」だ。新しい世界にあこがれ,燃えて学んでいる人は,魅力を放っている。その人の「あこがれ力」に触発された人は,自分も学びたくなる。教育の基本は,学び合い刺激し合う友情の関係だ。」がこの書籍を言い表している。2007年出版され、ベストセラーの一つになった。「質問力」「読書力」「考える力」など「力」シリーズの著書が多い筆者の文章は、わかり安く書かれている。教員への投げかけとして一読さてはいかがでしょうか。

旧刊
『学力を育てる』(岩波新書)
志水宏吉(著)、224ページ、岩波書店 (2005/11/18)、861円

 初めに個人のプロローグから始まる本書は何だろうと思う。著者は、学力は英語で言うなら、academic achievementになるかとしながらも、一つの言葉で捉えるものでなく、「学力の樹」としてA学力を「葉」、B学力を「幹」、C学力を「根」と樹にたとえ、その総体として捉えている。「学力とは「わける力」と「つなぐ力」である」物事をちゃんと分けて捉え、その分けられた個々の要素を関連づけて把握し、部分部分を「つなぐ」ことによって、ひとつの全体を理解することが学力となる。「根」というC学力を育成する方法と「葉」というA学力を育成する方法は異なる。根には水を、葉には日光が必要である。そうした指導と支援が必要になる。それには教師が集団として働きかけ、地域との連携も視野に入れてと著者は述べている。

10月の書籍紹介

新刊
『「なんで英語やるの?」の戦後史 ——《国民教育》としての英語、その伝統の成立過程』
寺沢拓敬(著) 302ページ、研究社 (2014/2/22) ¥ 3,024

 書籍の帯に、「私たちが受けてきた「英語」は必修教科ではなかった!必要に応じて履修すればよい選択科目だったにもかかわらず、英語は事実上の必修教科として扱われてきた。一体なぜそういう現象が起きたのかを検証しながら、国民教育としての英語教育の成立過程を分析する。「なんで英語やるの?」を問い続けてきた日本の戦後史を教育社会学的手法によって浮き彫りにして、あらためて国民教育としての英語教育の存在理由を問い直す。社会学的アプローチによる、まったく新しい実証的英語教育論」とある。英語を教えることを生業としている英語教員にとっても盲点である、「なんで英語をやるの?」に対して、本当はしっかりした識見を持っている必要があるのではないだろうか。グローバル化という言葉のもと、英語力が将来の職業への重大な要件であるとされるときこそ、しっかりと考えておきたい。スキルを偏重するのか、英語という言語の文化を学ぶことを視野に入れて学ぶのか、英語教員として指導理念の矜持を持っておきたいものである。
序章  《国民教育》としての英語教育
第一章 「事実上の必修科目」の系譜
第二章 「英語=《国民教育》をめぐる論争史
第三章 高校入試・進学率上昇の影響
第四章 英語の必要性は増大したか
第五章 関係者の必修科運動
第六章 人口動態の影響
第七章 二つのジレンマ—大衆性と戦後教育思想
第八章 「社会の要求」の読み替えと「教養」言説
第九章 正しい英語学習vs.社会の要求
終章  自明性の起源と新たな英語教育目的論の創出に向けて

新刊
『IN KYOTO: うつろいゆく、京の景色』
神崎 順一、中田 昭、田口 葉子、 大道 雪代(写)191ページ、光村推古書院 (2014/8/27)¥ 1,922

  京都で活躍する6人の写真家が、それぞれの感性で「京都」を切りとった写真集である。満開の桜、初夏の緑、盛夏の日差し、紅葉の赤、降り積もる雪、そしてまた春へ…。京都人の私にとってはなじみのある光景・風景がかくも美しく切り取られている写真に改めて京都っていいなあと思う。同時に、外国人にもこの古来から育まれてきた日本の美を分かってもらえたらと思う。高校では、日本紹介をするプレゼン活動が多いと聞く。ここにある写真を説明したり、その写真から英文俳句や日本紹介ショートエッセイを書かせたりする活動を取り入れてみてはどうだろうか。私は自分の写真技術向上の指導書の一つにしようと思っている。

旧刊
『即戦力がつく英文ライティング』
日向清人(著) 208ページ、ディーエイチシー (2013/2/8) ¥ 1,620

 英語が話せるかという英会話力が世間では注視される傾向があるが、効果的に自分の考えを伝えるのは英文を書く力であろう。話し言葉なら許される誤りのある英文も書き言葉となると信頼をなくすことになりかねない。本書はビジネスマン向けではあるが、「なぜの説明を伴わない」「表現の良い例と悪い例をあげて英語らしい表現の説明をしない」など「教室英語」「受験英語」の域では、学び取れない英語表現の教科書として一読を勧める。
△ I was late for the meeting, and I missed the most important part.
○ As I was late for the meeting, I missed the most important part.
二つのことを言いたいときにいずれかを前面に出したいなら、もう一方を従属節にしてウエイトを落とす方法をとる。
など、単なる文法知識ではなく、英語表現が持つ意味合いを知ることが大切である。

旧刊
『近代日本の小学教科書―おもしろ図像で楽しむ』
樹下 龍児(著) 206ページ、中央公論新社 (2011/07) ¥ 2,052

 明治初期、この国には歴史上経験したことのない勢いで西欧文化。新知識が流入した。今のようにラジオもテレビもなければ、インターネットもない、新聞でさえ普及していない時代にあって、こうした知識の啓蒙に大きく力を発揮したのが教科書である。その教科書において小学児童の理解を深める役割を果たしたものの一つが挿絵である。寺子屋時代に使われた「往来物」という教科書の絵図に習ったものである。第一章は「地球は丸い、ほんとうに」である。明治初頭より小学生にしつこく教えられたことの一つが、地球は丸いということなのだろう。挿絵を見ていると、当時の子どもたちがその絵を見て思いを馳せていたのであろうと感じる。挿絵に未来を見ていたのであろう。今の子どもたちにはどんな挿絵でなければならないのだろうか。

旧刊
“Painless Writing (Barron's Painless Series)”
Jeffery Strausser(著) 288ページ、Barrons Educational Series Inc; Revised版 (2009/6/20) ¥ 1,110

英語で魅力的な文章を書くための基本が分かりやすく書いてある。表紙には、 “If you think learning to write effectively is dull and difficult, open this book --- and think again!”とある。日本でも小学校のときに作文をよく書かされるが、作文の書き方を細かく教わることはない。中身のメッセージや感性に重きがあるのかも知れない。昔、英語学習も文学を中心とした読解が多かった。そういう学び方が日本人にはあっていたのかも知れない。冗長な表現を避けるとか,効果的な単語を使うを分かりやすく教えてもらうことを通して生徒は簡潔で分かりやすい文章を書くことができるようになるのだろう。
First Attempt
Technology and capital investment are bringing Brazil into the next millennium. As it changes from socialism to capitalism, the economy is moving some reluctant Brazilians into the next millennium, which other’s are agreeing with the sweeping changes. The stated good of Brazil’s planners is to control the South American continent within five years.
Better
Technology and capital investment are propelling Brazil into the next millennium. As it progresses from socialism to capitalism, the economy is dragging some reluctant Brazilians into the next millennium, which other’s are embracing with the sweeping changes. The stated good of Brazil’s planners is to dominate the South American continent within five years.
というように、曖昧な意味の動詞より意味が鮮明な動詞を使うことを薦めている。それによってより読者に響く文章になる。
たとえば以下のようにvividな動詞を使い分けることによってより鮮明なメッセージとなるとしている。こうしたことまでは、中高の英語授業では触れていないと思う。英語教員に勧める一冊である。
walk: stroll, traipse, ramble roam, meander
talk: chat, belittle, debate, cajole, prattle
look: glance, gawk, gaze, stare, peep
think: meditate, picture, ruminate, contemplate, imagine

旧刊
“Painless Junior Writing (Barron's)”
Donna C. Oliverio(著) 164ページ、Barrons Juveniles; Act Csm Wk版 (2006/11) ¥ 1,022

Painless Writingは高校生以上に、junior Writingは中学生以上にと思う。
Turning writing into funがモットーである。最初のkey Points!には、
In some ways, writers are like scientists. They observe the world around them and ask a lot of questions. Often they jot down notes about their findings.
In many ways, writers are like artists. They keep their artists’ eyes wide open, and notice the little happenings or goings-on in their lives.
Good writes turn small ideas into big writing treasures.
そして、やってみようで、
Look at the world around you. Write down eight ideas from your own life that you care about. Each time you think of another idea, add it to your list. Your list does not have to be written complete sentences.
Try looking back at this list whenever you feel stuck and don’t know what to write next.
と、日常の観察から作文をすることの心構えから説明している。

9月の書籍紹介

新刊
“Poems to Learn by Heart”
Caroline Kennedy, 192 ページ,Hyperion Book CH (2013/3/26)、 2,095 円
『キャロライン・ケネディが選ぶ「心に咲く名詩115」』
キャロライン・ケネディ(編・著) 、192 ページ、早川書房 (2014/6/20)、 4,212 円

ジェフリー・チョーサー、ウィリアム・シェイクスピア、ウィリアム・ブレイク、ビリー・コリンズ、ラングストン・ヒューズら古典からの現代詩まで、珠玉の名作を選び、子供から大人まで楽しめる一冊に駐日アメリカ大使のキャロライン・ケネディ氏まとめた。母ジャクリーンの教えにより、幼い頃から詩に親しんできた詩だそうだ。英語版が昨年刊行され、柳瀬尚紀の訳詩がこの6 月に刊行された。日本語版には英語の原詩は掲載されていない。introduction にキャロラインさんはこう書いています。
“People often ask me why they should learn a poem by heart. In today’s world, where it is so easy to look things up, we discount the value of memorization. For example, kids don’t see the point of learning the multiplication tables when they have a calculator. But it makes us feel empowered to know that we have the knowledge to solve a problem, rather than having to depend on a device to do the work for us. It’s the same with words. Poets distill life’s lessons into the fewest possible words. But those tiny packages of thought contain worlds of images and experiences and feeling. If our circumstances change and things seem to be falling apart, we can recall a poem that reassures us. If we find ourselves in unfamiliar or frightening surroundings, a poem can remind us that others have journeyed far and returned safety home. If we learn poems by heart, we will always have their wisdom to draw on, and we gain understanding that no one can take away.”
とても分かりやすい、「詩を覚えませんか」のメッセージである。その気になりませんか。生徒にも伝えたい英文です。

新刊
『10歳から身につく問い、考え、表現する方法』(NHK出版新書 439)
斉藤 淳(著)、256ページ、NHK出版 (2014/7/9)、 842円

先行き不透明な時代を生き抜く、不動の「学ぶ力」をいかに身につけるか。それが本書の出発点。
序章  「グローバル時代」に必要な知力とは
第一章 日本の子どもが得意なことと苦手なこと
第二章 「問う」ための環境づくり
第三章 「考える」ための学問の作法
第四章 「表現する」ための読書法
第五章 学問として各教科を点検する
第六章 英語を学ぶときに覚えてほしいこと

 第一章では、「グローバル人材」として必要な資質を、「日本人としてのアイデンティティ」「広い教養と専門性」「相互理解に努めるコミュニケーション能力」「新しい価値を創造できる能力」「社会貢献意識」とし、英語ができればそれでよいというものではないと断じている。肝心なのはその中身、つまり英語を使って「何を問い、考え、表現するか」がなければ、意味がないのです。日本語を母語にするものにとっては、何が自らの価値の源か、よく考えてみる必要があると述べている。更なる課題は、こうした理想的な資質を「どのように」みにつけるのかについての具体的な議論が見えてこないとしている。教員の教育に対する教養を深めるために役立つ一冊である。

新刊
『ものの言いかた西東』(岩波新書)
小林 隆、 澤村 美幸(著)、240ページ、岩波書店 (2014/8/21)、842円

ものの言い方には地域差が存在する。「ありがとう」と言う地域・言わない地域など、具体的なデータをもとに、ものの言い方の地域差と、それを生み出す社会的背景を明らかにしようとしている。

「喧嘩をするにも決まりがある」として、相手に言いがかりをつけるとき、近畿では次のような言い方をすると、真田信治・友定賢治編『県別罵署雑言辞典』を引用して説明している。

三重県「なんぞ文句あるんか」
滋賀県「なんか文句あんのか。なんやねん」
京都府「なんか文句あんのか」
大阪府「なんやねん、おまえ、なんか文句あるんか」
兵庫県「なんどぇ文句あんのか」
奈良県「なんか文句あんのか」
和歌山県「なんど文句あんのかえ/ あんのけ」

皆さんは、これらの表現の違いに納得しますか。コミュニケーションの摩擦を避けるためにもその違いを知っておくことが良いのではと本書は述べている。

旧刊
『なぜかミスをしない人の思考法』(知的生きかた文庫)
中尾 政之(著)、213ページ、三笠書房 (2013/11/22)、617円

 この夏の特別講座で講師をお願いした南先生が本学の学生に話されたエジソンの失敗についてが非常に印象的であった。「エジソンは数々の発明をしているが、その一つの電灯を発明するのに何度実験を行ったか知っていますか。80 回、800 回、8000 回?答えは8000 回です。すると、7999 回は失敗であった訳です。でもこの7999 回は単に失敗という言葉で片付けられるものでしょうか。この失敗があったからこそ、発明が生まれたのです」
これを聞いて、「失敗」ということばが残った。意味のある失敗もあるだろう。意味のない失敗もあるのではないか。書店で偶然この文庫を見つけて買った。表紙裏に、「人間は必ず失敗する。それも性懲りもなく、同じような失敗を繰り返す。しかし、自分のミスをきちんと知識化、教訓化することがミスの再発を防ぐだけでなく、逆にミスしないようなスキルやノウハウを積み上げる。そして、それが質の高い仕事をするための絶好のチャンスに変わる。すべては、「仕組み」で解決できる!」とあり、完璧な仕事を実現する「20の黄金ルール」を述べている。多少大げさの表現であるが、「大丈夫と思ったときこそ、丁寧に動く」「失敗を隠すと10 倍返しを食らう」など日頃気にかけていないことを意識することで失敗を予防するという自戒の書である。

旧刊
『英語の感覚〈上〉』『英語の感覚〈下〉』(岩波新書)
大津栄一郎(著)、208ページ、岩波書店 (1993/4/20)

  20年前の少し古い本である。古本屋で見つけた。「英米人と日本人とでは、物の見方や感覚そのものに根本的な違いがあるのではないか」と認知文法の走りとなる書籍であろう。「見えるもの、見えないもの」「動かない自己、動く自己」「存在界のことか、非存在界のことか」「物事を動的にとらえる」「言葉を組み合わせる」「表現の姿勢」というくくりで2巻にわたって英語の感覚を述べている。著者の出発点は、ある先生から「日本人が英語に上達するには、なにより、世界観を変えなければ」と言われたことにあるようだ。この「世界観」とは、「ものの考え方」である。故に、英語の感覚を身につけないと、覚える英語では身につかないということであろう。文法事項や慣用表現の中に、実は納得しうる理屈や根拠が貫かれているというかんがえである。現在、認知文法の書籍は溢れるようにある。さきがけとしてよんでみてはいかがであろうか。
アマゾンでは一冊1円で中古本として購入できる。

旧刊
『世界の日本人ジョーク集』(中公新書ラクレ)
早坂隆(著) 、238ページ、中央公論新社 (2006/01)、¥ 821

タイトルどおりに世界で実際に話されているジョークかどうかは別として、ちょっとした笑いを得たいときによんでみてはいかがであろうか。続編も出ている。

○青いキリン
ある酔狂な大富豪が言った。「もしも青いキリンを私に見せてくれたら、莫大な賞金を出そう」
それを聞いたそれぞれの国の人たちはこんな行動をとった。
イギリス人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、徹底的に議論を重ねた。
ドイツ人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、図書館へ行って文献を調べた。
アメリカ人は、軍を出動させ、世界中に派遣して探し回った。
日本人は、品種改良の研究を昼夜を問わず重ねて、青いキリンをつくった。
中国人は青いペンキを買いに行った。
などと、ふと微笑む内容である。
アマゾンでは一冊1円で中古本として購入できる。

旧刊
『かさなりあって―島田陽子詩集』
水内 喜久雄、島田 陽子、 橋本 淳子、93ページ、大日本図書 (1999/12)、1.296円

 先年亡くなられた島田陽子氏。万博音頭の作詞者でもある。大阪弁のかわいらしい、時にたくましい詩を多く残された。昔、I高校で教頭を務めているとき、PTAの文化講座に来ていただいたことがある、ご本人は大阪の出身ではないが、豊中に在住され、大阪を愛された詩人である。かわいらしい詩が載っているこの詩集、英語日本訳させるのに使ってみててはいかがでしょうか。

「せっけん」

せっけんが
せっけんの
せなかにのって
おやがめこがめ はなれない
のって かわいい
ちいさな せっけん
うすくなった せっけん
のせて どっしり
おおきな せっけん
あたらしい せっけん

せっけんが
せっけんを
せなかにのせて
いっしょに しろいあわのなか

アマゾンでは一冊1円で中古本として購入できる。

8月の書籍紹介

新刊
『キー・コンピテンシーの実践―学び続ける教師のために』
立田慶裕(著) 、210ページ、明石書店 (2014/03)、 3,240円

キー・コンピテンシーは、次の3つに集約される。
1. 道具を相互作用的に用いる力Using Tools Interactively
A. 言語、記号、テクストを相互作用的に用いる力
B. 知識や情報を相互作用的に用いる力
C.技術を相互作用的に用いる力
2. 自律的に活動する力Acting Autonomously
A. 大きな展望の中で活動する力
B. 人生計画や個人的活動を設計し実行する力
C.自らの権利、利害、限界やニーズを表明する力
3. 異質な集団で交流する力
A. 他者と良好な関係を作る力
B. 協力する力
C.争いを処理し、解決する力
 立田は、こうした力を生徒に育成する教員の3 つのコンビテンシーとして、①道具活用力(言葉の力、科学的思考力、テクノロジー)②人間関係力(対話力、協働力、問題解決力)③自己啓発力(展望力、物語力、表現力)をあげて、本書でそれぞれの力について説明している。展望力では、フレームとレンズを変えることでビジョンを明確に持つことの大切さを述べている。読みやすい本である。

新刊
『反転授業』
ジョナサン・バーグマン、アーロン・サムズ(著)上原由美子(訳)、224ページ、オデッセイコミュニケーションズ; 第1版 (2014/5/20 ¥ 1,620

 2000年代後半から米国の初等中等教育を中心に反転授業というキーワードが草の根で広がり、教育関係者の間で注目されている。反転授業は一般に「説明型の講義など基本的な学習を宿題として授業前に行い、個別指導やプロジェクト学習など知識の定着や応用力の育成に必要な学習を授業中に行う教育方法」を指す用語である。さらに序文の中で、山内、大浦は、「反転授業の実施や普及に向けての懸念や課題も指摘されている。まず、オンライン学習コンテンツにアクセスするためのデバイスとインターネットアクセスをすべての学習者に確保する必要がある。日本はアメリカと違って家庭においてインターネットを利用して学習する環境が未整備であり、学校側もインターネットを利用した宿題を出す習慣がないため、特に初等中等教育においては大きな課題になるだろう。
 また、オンライン教材の整備も重要な課題である。著者らのように、学習者に適した自作教材を作れればよいが、そうでない場合は流通している教材を利用することになり、カーン・アカデミーやMOOCのような教材の流通が進んでいない日本においては、今後何らかの対策が必要である。
 また、反転授業の成功の鍵は対面でどのような活動をデザインするかにかかっている。教員はテクノロジーを活用したオンライン学習の支援に加えて、知識の定着や応用力の育成を重視したインタラクティブな教授法を学ぶ必要がある。教員の専門性の根幹に関わることであるだけに、教員養成や研修等の組織的な取り組みが求められるようになるだろう。」
と記述している。いわゆるFlipped educationとはどのようなものかを知るに読みやすい書籍である。

新刊
『日経ビジネス Associe (アソシエ) 2014年 08月号』
日経ビジネスアソシエ(編) 、日経BP社; 月刊版 (2014/7/10)、¥ 700

 【特集1】で「TOEIC200点アップ」のための最強の英語勉強法と表紙にあったので思わず購入した。「英語をマスターするのに、お金は不要です。すぐに実践できて効果の高い「勉強法」さえ押さえれば、英語力は自然に上がります。この特集では、ビジネスパーソンに必須のTOEIC攻略法をはじめ、様々な英語勉強法をご紹介。「英語教材をいくつも買ったが大きな結果が出なかった」そんな方、必読です。がキャッチフレーズであるが、それぞれのパートの攻略法なども書かれている。結局、自分で単語を覚え、英文になれることが必要なのであるが、こうした書籍・雑誌はいつも一定売れるものなのだろう。

新刊
『元気が出る俳句』(幻冬舎新書)
倉阪 鬼一郎(著)、226ページ、幻冬舎 (2014/3/28) ¥ 864

 「なんだか心に力が湧かないとき、ほっこりしたいとき、癒されたいとき、打ちのめされたとき、夢見る気分に浸りたいとき、誰かにそっと背中を押されたいとき……ここで紹介される総数1000を超える俳句の中に、きっと言葉のハリが向こうからあなたの心に突き刺さる一句があります」とあったので、すぐに購入した。「クレパスの72色春を待つ」「黒板にそろってでて書く『こいのぼり』」「君美しかりし五月メロンパン」などと楽しい俳句がいっぱい詰まっている。電車の行き帰りに愛読する。数ページ読んで、うたた寝する。目が覚めると最寄り駅である。解説も楽しく、心地よい思いになる俳句集である。夏の充電期間に美しい気持ちを培っておきましょう。

新刊
『春を背負って』(文春文庫)
笹本稜平(著)、361ページ、文藝春秋 (2014/3/7)、637円

 最近、売れ筋の本などはすぐに映画化される。この小説も松山ケンイチで感動の映画化された。先端技術者としての仕事に挫折した長嶺亨は、山小屋を営む父の訃報に接し、脱サラをして後を継ぐことを決意する。そんな亨の小屋を訪れるのは、ホームレスのゴロさん、自殺願望のOL、妻を亡くした老クライマー…。など様々な東條人物が現れるが、美しい自然に囲まれたその小屋には、人の悩みを癒やす力があるようだ。山に生活する人たちのピュアな思いが伝わる。新しいタイプの山岳小説である。暑い夏、研修の合間にこうした小説で癒やされよう。

新刊
『川あかり』双葉文庫
葉室麟(著) 、386ページ、中央公論新社 (2012/5/24) ¥ 777

本書は単行本で、2011年に発刊され、この4月に文庫版が出版された。私もこの文版を楽しんだ。葉室麟の作品は割と読んでいるが、これはさわやかであった。
藩で一番の臆病者と言われながら刺客の使命を帯びた伊藤七十郎、川止めのため、仕方なく木賃宿で相容れぬ者たちと一緒にいるうち、少しずつ気持ちの道筋がついていく。夏の昼下がり、ごろんとしながら読むにはもってこい。読後感がさわやかであった。思いもかけぬ市井の人々との触れ合いは心地よい川風である。人情味ある小説は疲れを癒やします。

旧刊
『異文化間コミュニケーションの技術―日米欧の言語表現』(講談社プラスアルファ新書)
鈴木寬次(著)、196ページ、講談社 (2003/06)、780円

 少し古い本である。異文化を行事や仕草などの違いから理解を深めるものでなく、英語の言葉の遣い方の違いを通して、言語文化を理解しようとする事の大切さが本書の趣旨である。欧米人から見た日本語の難解さが冒頭に書かれている。その一つの「否定か肯定か最後までわからない」では、日本語は否定に関して原則がないとし、
「あの人は明日来ルと思いまセン」≒「あの人は明日来ナイと思いまス」
「あの人は明日来ルと思いまスJ ≒「あの人は明日来ナイと思いまセン」
つまり、否定語は挿入しうるところどこにきてもいい。ただし、ふつうの場合、文末が多いだろう。そのため日本語は文の最後まで聞かないと意味が理解できない。英語では次の表現が可能である。
I think he will not come tomorrow.
I do not think he will come tomorrow.                                                                                                                                                    
しかし、前者は一般的ではない。あえて「彼は来ないJことを主張したい場合には可能であるが。ふつう、英語では否定は可能な限り文の前の部分でするのが原則である。
とまとめている。進行形を多用する英語、「本音と建て前」の日本語に対し、「本音」文化の英語など、読みやすい内容で、昼寝前に読む書籍である。

7月の書籍紹介

新刊
『かないくん』
谷川俊太郎、松本大洋(著) 、48ページ、東京糸井重里事務所 (2014/1/24)、¥ 1,728

ある日、ともだちのかないくんが学校を休んだ。かないくんは親友じゃない。ふつうのともだち。日常に訪れた、はじめての“死”。死ぬって、ただここにいなくなるだけのこと?「きょう、となりのかないくんがいない」ではじまる谷川俊太郎の詩に漫画家松本大洋が絵を描いた。「死」をテーマとする絵本は、子どもにも大人にも心通わせるものが必要だ。death educationは命を大切にする教育である。道徳の授業の教材になるだけでなく、命を扱った教材を使っているときにも、さりげなく読み聞かせたい。英訳にして紹介する。生徒に英訳をさせてみるのも一つであろう。

旧刊
『キャラ化する/される子どもたち―排除型社会における新たな人間像』(岩波ブックレット)
土井隆義(著)、63ページ、岩波書店 (2009/6/5)、540円

  帯に、『価値観が多元化した社会で感じる閉塞感。気遺いに満ちた「優しい人間関係」のなかで圏外化におびえる恐怖感。ケータイやネット、家庭から学校といった日常は、過剰な関係依存と排除で成り立っている。子どもたちにとって、現実を生き抜くための羅針盤、自己の拠り所である「キャラ」。この言葉をキーワードに現代社会の光と影を読み解き、「不気味な自分」と向きあうための処方箋を示す』とある。人間は自分に心地よい相手とのみ繋がる傾向があるので、そこに新たに成立する親密圏は、異分子を排除しようとする働きと一体のものであり、排除される者の孤独や絶望をつねに生み出し続けるという、「優しい人間関係」が「排他型社会」に通じるという逆説的な考えに妙になるほどと思ってしまった。コミュニケーション至上主義は、繫がることを目的としているのに、かえって人を阻害する要因にもなっている。担当している生徒達の一面を見据えるための一冊であろう。

旧刊
『ドイツは脱原発を選んだ』(岩波ブックレット)
ミランダ・A・シュラーズ(著)、64ページ、岩波書店 (2011/9/8)、540円

 2011年3月の福島第一原発事故をうけて6月上旬に行われた講演会をもとに編集された。ドイツは自国の原子力発電政策を変更した。現在日本では、原子力発電所の再稼働を求める電力業界、推進しようとする政府が勢いを得てきている。事実として、現在日本では原子力発電所が一基も稼働してないのである。
今年の全国高校英語ディベート大会の論題は、「The Japanese government should abolish nuclear power plants.日本政府は,原子力発電所を廃止すべきである。是か,非か」である。脱原発の期日を前倒しにしたドイツの決断を、歴史的背景を踏まえてコンパクトに解説した本ブックレットも参考になるであろう。

旧刊
“Incredible Quotations: 230 Thought-Provoking Quotes With Prompts to Spark Students' Writing, Thinking, and Discussion”
Jacqueline Sweeney(著)、62ページ、Scholastic Prof Book Div (1999/1/1)、2,048円

  英語表現の教材を探していたところ、230 thought-provoking quotes with prompts to spark students’ writing, thinking, and discussionと表紙にあった本テキストを購入した。日本人にはなじみのない人の名言引用もあるが、含蓄のある言葉は、それ自体に意味があり考えさせる素材としては良いのでは何かと考えた。また、一文から数行以内の名言なので時間をかけずにインプットはできる。
“If I am not for myself, who will be?" -- Pirke Avoth
What’s one thing you'd like to do more than anything in the world? Convince yourself that you can do it. What problems does this raise? How can you solve them?
“If you don't have confidence, you'll always find a way not to win."
- Carl Lewis (Olympic track star, winner of nine gold medals)
What do you think Carl Lewis means by this statement? Give an example of someone you
know (it could be even be yourself!) who talked himself or herself out of winning because of
self-doubt.

旧刊
『改訂合本 ネイティブの感覚で前置詞が使える』
ロス典子(著)、699ページ、ベレ出版; 改訂合本版 (2010/11/22)、¥ 2,592

  3500枚を超えるイラストをどんどん目にすることで、前置詞の核となるイメージとそのクライテリア(選択基準)を、ネイティブの子どもと同じプロセスで身につけることができるようにが、本書のねらいである。イラストを通して、前置詞のイメージを生活の中で自然に身につけたプロセスを疑似体験死、単に暗記でない前置詞の理解を身につける本である。前置詞は毎授業の英文の中に必ずある。毎授業、前置詞のイメージを生きた英文の中で取り上げ、こうしたイラストを使って説明することで、useの感覚をより強固なもにできるのではないだろうか。

旧刊
『ヘタな人生論より「寅さん」のひと言』(河出文庫)
吉村 英夫 (著)、285ページ、河出書房新社 (2008/8/4)、¥ 691

  現在、BSで土曜日寅さんの映画が流されている。あの音楽を聴くだけで、旨がきゅっとする思いになる。甥の満男に「人間は何のために生きてんのかな」と問われ、困惑した寅さんの言葉。「難しいこと聞くな、お前は。…何と言うかなあ、あー生まれて来てよかった―そう思うことが何べんかあるだろう。そのために生きてんじゃねえか」…『男はつらいよ』全四八作に詰まっている「人は生きるにたる」「人間ってすばらしい」と実感できる珠玉の言葉、これは私の座右の銘である。教師も同じである。いつも教師であることの喜びに打ち震える日々であるはずがない。でも、時に心から嬉しく思うときがある。そのためは教員は教師という職業に就いていると思う。疲れた時に、電車のなかで1〜2ページ読んでみよう。それだけで、心の疲れが取れるかもしれない。

6月の書籍紹介

新刊
『英語とはどんな言語か: より深く英語を知るために』(開拓社言語・文化選書)
安井 稔(著)、212ページ、開拓社 (2014/3/20)、2,052円

表紙裏に、「英語学習の実が上がらないのは、英語を易しいほうに見誤っていることに大きな原因がある、と著者は主張する。英語を身につけるためには、なによりも英語という言語の「くせ」を知る必要があるとの考えに立ち、気むずかしそうな綴りや文法にひそむ性質を明らかにし、加えて、英語をなだらかに使えるようにする表現や心得の数々を盛り込んで、英語とのよりよいつき合い方を教えてくれる一冊。」とある。
安井氏の書籍で最小に購入したのが『英文法総覧』(1982)である。文法をどう教えるのがいいのだろうか、自分自身が学んできた教室文法をそのまま教えて意味があるのかと思ってのことである。フリーズの構造言語学やチョムスキーの変形文法など学生の頃のころ導入的に習ったが自分のものになっていないし、そのまま高校生に話したところで意味はないと思っていた。
 本書は体系的な文法書でなく、コラム記事を読むかのように英語の持つ特性が語られている。第一章などは、「英語でくしゃみができますか」である。欧米人は人前くしゃみはしてはならないとされている。であるので、くしゃみをすればすぐに "Excuse me." と言わねばならない。読んでみたくなる本でしょう。

新刊
『そして、星の輝く夜がくる』
真山 仁(著)、274ページ、講談社 (2014/3/7)、1,575円

 書店でたまたま平積みになっていたこの本を手に取った。読み終わって、すぐ日本学の図書館に寄贈した。中高生に読んでもらいたいと思ったからである。 東日本大震災による被災地へ応援教師として神戸から小野寺徹平が赴任した。
被災地の子供が心の奥に抱える苦しみと向かい合う「わがんね新聞」、福島原子力発電所に勤める父親を持つ転校生を描いた「"ゲンパツ"が来た!」、学校からの避難の最中に教え子を亡くした教師の苦悩と語られなかった真実を描いた「さくら」など、そこでの小学校を舞台に描かれる6つの物語。それは希望と祈りの物語であった。教師の一言が勇気づけることもあるし、心の傷となることもある。平穏でない緊急事態での一言は本気のことばであるべきで、気遣いのことばであってはいけないと強く感じた。教員の方にも一読を勧める。

旧刊
『レキシカル・グラマーへの招待―新しい教育英文法の可能性』(開拓社言語・文化選書)
佐藤芳明、田中成範(著)、229ページ、開拓社 (2009/04)、1,944円

 大修館の英語教育雑誌『英語教育』(2007〜2008)の「コア理論で文法指導を」を単行本としてまとめられたものである。本書表紙裏には、「「前置詞toと不定詞toの関係は何か」「疑問詞と関係詞はどう関係しているのか」「現在完了形のhaveの役割は何か」等々、英文法への素朴な問いに真正面から取り組んだ意欲作。have, be, to, make, what, which, willなど基本語彙の本質的な意味(コア)を説明原理とし、各々の語彙が関係する文法構文を統一的に解明する。新しい教育英文法の可能性を具体的に示す本書は、英語学習者と英語教師の必携の書である。」とある。認知的な文法学習が今注目を集めている。どのような意識で文法表現をいつどのようにまたなぜ使うのかを知ると生徒も納得感が生まれる。なるほどと思って学ぶ文法学習がコミュニケーションの基盤としての文法であろう。

旧刊
『英語の使い方』(テイクオフ英語学シリーズ)
今井邦彦(著) 、184ページ、大修館書店 (1995/03) ¥ 1,728

 ちょっと古い本であるが、今回の文法書紹介の中に入れておく。書名にあるように、本書は「英語の使い方」についての書籍である。
第一章 Was it tomorrow that we were to meet?
第二章 Ugh! You've been drinking again.
第三章 must=have to?
第四章 Hey, you jumped the line.
第五章 I wouldN7t worry so much about it.
第六章 Who the dickens d'you think you're talking to?
第七章 Are you saying that men are smarter than women?
第八章 I'll bring a little something for you.
第九章 You have lovely eyes.

と、おもしろい章のタイトルで始まる。時制、完了形と進行形、法助動詞、命令、依頼、批判、警告などについて語用論的な視点から興味深い用例をあげて説明している。

旧刊
『Presentations in English』
Jaquie Mary Thomas (著)、128ページ、Haufe Lexware Gmbh (2008/05)、¥ 987

 ドイツで出版されている新書サイズの英語のプレゼンのミニ指導本である。非常にコンパクトで鞄にいつでも忍ばせておくことができる。最近、高等学校でも英語のプレゼン活動を行う学校が増えている。効果的なプレゼンをするにはどうすれば良いのか、その指導を英語の先生をしてゆかねばならない。先生自身がプレゼンの本質など、効果的なプレゼンに必要なことをしっかり知識として持ち、生徒達の実例を持って教えていくことが必要であろう。比較的安価に入手できる本書を読むべきプレゼン書籍の一冊にしてみられてはいかがだろうか。

旧刊
『Pros and Cons: A Debaters Handbook』
Debbie Newman(編) 、304ページ、Routledge; 19版 (2013/9/27)、¥ 3,286

 ディベート教育の導入が求められている。それはディベートの試合をすることではなく、ディベート的に賛成反対の立場で論理的に思考し自分の意見が言えるかであろう。本性は様々なトピック扱い、各トピックごとに賛成と反対の立場で論旨をいかに展開させていけば良いかまとめてある。それぞれの主張の論理展開を学ぶこともできるし、両方の立場について自分がどう考えるかをまとめさせることにも使える書籍である。

旧刊
『やなせたかし 明日をひらく言葉』((PHP文庫)
PHP研究所(編) 、189ページ、PHP研究所 (2012/7/4)¥ 617

先日亡くなられた、大人気キャラクター「アンパンマン」や国民的唱歌「てのひらを太陽に」の父、やなせたかしさんの詞集である。生きることを生徒に話しかけたいとき、一遍を読んでみてはどうだろうか。
一例
「昨日は過去で、明日は未来。今だけ現実なんだけれど、過ぎてしまえば夢だから、一秒きざみに夢になる」
——— 『やなせたかし メルヘンの魔術師 90年の軌跡』
小学校のときはよかった成績が中学になると急降下し、進学もおぼつかない態になってしまった。
数学がまるでダメだったし、受験雑誌を読んでも、開くのは雑文と漫画のページだけで、学科のところは飛ばしてしまうのだ。これではお話にならない。
絵に関係した学校に進みたいという気持ちが強くなった。
クラスメートのお姉さんが人気漫画家の奥さんになっていて、写真を見せてくれた。撮影所のセットで笑っていたり、女優さんと肩を寄せ合っていたりして、「漫画家はおもしろそう」と、たちまちあこがれてしまったのだ。
でも、親代わりの伯父から「田舎の中学で少し絵がうまいくらいでは、一生えないだろう。図,案(デザイン)ならなんとかなるかもしれない」とアドバイスされ、美術系の学校を三校受験した。そのうちの二校は落ちて、一番難関と思われた学校に合格したのだから、人生はわからない。合格発表の日、掲示板に自分の番号を見つけたときの感動は、七十年以上たった今も忘れられないくらいだ。
こんなふうに、一瞬一瞬は、夢のように過ぎ去りながら、でも、その夢の足跡は確かな道になっていき、ぼくの人生になっている。

5月の書籍紹介

新刊
『学力と学習支援の心理学』(放送大学教材)
市川 伸一(著)、225ページ、放送大学教育振興会 (2014/03)、2,160円

放送大学の教材である。昨今、認知心理学話題に上ることが多い。市川氏はその方面の第一人者の一人である。「学習・教育に関わる認知心理学の基礎概念を理解し、それを通して、教育現象の説明やコミュニケーション、教育方法の評価・立案などができるようにすること。具体的には、授業を設計し、事後の検討会などを通じて改善を図ること、学習者の理解状態をとらえ、学習改善を図れること」を放送大学では授業の目標・目的としている。
 その中の一章に「英語力を育てる」がある。学習の目標のポイントに、「日本人の英語力が低いことは昔から指摘されてきた。かつては、文法、語彙指導、英文読解に重点が置かれすぎることが批判され、コミュニケーション重視の方向に転換された。しかし、結果的には、聞く、話す、読む、書くという4技能全般にわたってせいかがみられていない。今回の講義では、英語教育にの基本的な方法と、それらが心理学的にどのように裏付けられるかを概観し、それらの長所と問題点を探る。また、発音、綴り、単語学習、文法、英文解釈方略などの明示的指導と豊かなコミュニケーション体験を融合させた指導の在り方を考えていく」とある。中身はこの書籍を読んでみてください。

新刊
『英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし』
渡部 昇一(著)、206ページ、李白社 (2014/3/11)、1,080円

帯には、「幼児はリスニングを重視!ビジネスマンは語彙を増やせ!日本人が教える英会話は役に立たない!日本屈指の英語学者が自らの体験を赤裸々に語る「救国の勉強法」」
と過激な言葉が並ぶ。思い起こせば、平泉・渡部の「英語教育大論争」から40年ほど経つ今、話せる英語が英語教育界を席巻する。懐かしさを覚えるこの論争。早期英語教育という妖怪が徘徊しているという章から本書は始まる。英語を習得するのに必要なのは、自国語(母国語)である日本語をしっかりと理解する事と、漢文を解釈するような地道で堅実な努力が必要だとしている。

新刊
『それでも僕は夢を見る』
水野敬也・鉄拳(著)、168ページ、文響社 (2014/3/18)、1,065円

10分もあれば立ち読みできるマンガをベースにした本である。ただ、内容は今の消極思考の若者を警鐘するものであろう。 「夢」はずっと僕のそばにいた。けれど、いつまでも「夢」を追うのが辛くなった僕は、ある日彼を捨てた――。老いた主人公がひとり病室で横たわるとき、捨てたはずの「夢」が戻ってくる。「夢」に励まされ、主人公が最期に書き上げた一通の手紙とは?動き出しそうになめらかなモノクロの絵と、静かな余韻を残す物語。ほんわか温かくなれる一冊である。

新刊
『How to Deliver a TED Talk』
JEREMEY DONOVAN (著) 、208ページ、McGraw-Hill; 1版 (2014)、¥ 2,001

本書は、Revised and expanded new editionである。TED Talkのプレゼンノウハウ本である。
表皮裏には、
DELIVER THE PRESENTATION OF YOUR LIFE--AND LAUNCH YOUR CAREER
A nonprofit dedicated to ideas worth spreading, TED challenges the world's most fascinating thinkers and doers to give "the speech of their lives" in 18 minutes or less. The more than 14,000 talks on TED.com have been viewed over 1 billion times and include those by such luminaries as Tony Robbins, Dan Pink, and Sheryl Sandberg.
Now you can learn how to give a TED-style talk to achieve your personal and business goals.
How to Deliver a TED Talk provides more than 100 invaluable tips--everything from opening with an explicit statement of audience benefits to framing your idea as an action-outcome response to a question worth asking. Whether you're presenting to an audience of 1 or 1,000, this book is an indispensable resource for any public speaker.
とある。
Tip 1は、Everybody has an idea worth spreading,
Tip 2は、Choose your persona based on whether your primary objective is to educate, entertain, or inspire.
Tip 3は、Frame your idea worth spreading as an action-outcome response to a question worth asking.
Tip 4は、Slow a single speed of inspiration.
Tip 5は、Connect with people's deep-rooted needs for belonging, self-interest, self-actualization, hope for the future.
と113のティップが述べられている。

旧刊
『ランドセル俳人の五・七・五』
小林 凜(著)、80ページ、ブックマン社(2013/4/9) ¥ 1,296

 いじめられ行きたし行けぬ春の雨--11歳、不登校の少年。生きる希望は俳句を詠むこと。いじめられ不登校になった少年を支えたのは俳句だった…。「朝日俳壇」で話題を呼んだ天才少年が紡ぎ出す、優しくて残酷な世界。
今年の2月14日の朝日新聞の記事に、
「凜は超低出生体重児で生まれた。小学校に入っていじめを受け始め、あまりにひどい時は自主休校した。いつも傍らにあったのは幼時から絵本で親しんだ俳句。作った俳句は朝日俳壇に投稿した。
ゆっくりと花びらになる蝶々かな
抜け殻や声なき蟬の贈りもの(ともに9歳)
春嵐賢治のコートなびかせて(10歳)
生まれしを幸かと聞かれ春の宵
いじめられ行きたし行けぬ春の雨(ともに11歳)
 いじめを受けたつらさを表す一方、大好きな昆虫や植物をじっくり観察した。
 作りためた俳句と、共にいじめと向き合った母と祖母の手記をまとめた本は、昨年の出版直後から俵万智や高橋源一郎らが取り上げた。
新聞やテレビなどでも紹介され、8万部になった。俳句関連書としては異例の売れ行きだ。」
とあった。

旧刊
『考え方の論理』(講談社学術文庫 45)
沢田 允茂(著)、195ページ、講談社 (1976/6/4)、¥ 756

 1976年発行とかなり古い本であるが表紙裏の紹介には、「人間がものを考えたり、互いに意志を伝えたりするとき、その媒介となるのはことばである。しかしながらコミュニケーションに際しては、往々にして相互の誤解や行きちがいが起こりがちである。ことばを使う上で大事なことは表現内容を論理的に整えることである。本書は、ことばで考えることのいちばん中核にある「理づめ」の世界を、分析哲学の権威が平易な文章で展開している」とある。「考える」という言葉は、多田見たり聞いたりしているものや事柄について簡単なことを知る<知覚の判断>や、一つ一つの知識、たとえばアルキメデスの原理や空気と鉄の比重のことや、不じぇの形になどの間に、どのような関係が鳴り合っているのかを見つけることを意味したりする。考えるということをしっかり考えて本書を読もう。

旧刊
『「ぐずぐず」の理由』(角川選書)
鷲田清一(著) 、246ページ、角川学芸出版 (2011/8/25)、¥ 1,728

 表紙裏の解説に、「ぎりぎり」「ぐずぐず」「ふわふわ」「なよなよ」。ドイツ語で「音の絵」と訳される擬態語(オノマトペ)には、「ぶつぶつ」など音と意味が類似するものから、「しぶしぶ」などふるまいや感覚の抽象によるものなど、さまざまな言葉の手ざわりがある。なぜその擬態語ができたのか、「のろのろ」は動作の擬音ではないのになぜぴたりとその佇まいを伝えるのか。オノマトペの特性と表現を現象学的に分析し、現代人のいのちの息遣いや存在感覚を描きだす、「鷲田哲学」の真骨頂とあって購入した。鷲田氏の文章表現は非常に分かりやすく的確な言葉が使われているといつも思う。にほんごの擬音語が持つ意味を知る豊かな時間を過ごしてみませんか。

4月の書籍紹介

新刊
『しぐさの日本文化』(講談社学術文庫)
多田道太郎(著)、 272ページ、講談社 (2014/2/11)、 ¥966

ふとしたしぐさ、身振り、姿勢―これらは個人の心理の内奥をのぞかせるものであると同時に、一つの社会に共有され、伝承される、文化でもある。身体に深くしみついた、人間関係をととのえるための精神・身体的表現といえる。あいづち、しゃがむ、といった、日本人の日常のしぐさをとりあげ、その文化的な意味をさぐる「しぐさ研究」の先駆的著作。初版は、筑摩書房から1972年7月に単行本として刊行されている。それが今年、講談社学術文庫として再版された。
「しゃがむ」のエッセイには、「しゃがむというのは、どうにも格好のとれない姿勢であるらしい。トイレの中は別として、少なくとも公衆の面前でしゃがむのは不体裁この上も姿勢とされている。いわば文明によって禁圧されている姿勢、それがしゃがむ姿勢である」と冒頭にある。あのヤンキー座りも不体裁この上もない姿勢ということである。「文明は、人に立つか歩くか、それとも座るか寝るか、を命じている。しゃがむというのは、ネルでモナク、龍でモナク、その中間にあって京都弁でいう「アアシンド」に当たる身体表現であろう」と加えている。ヤンキー座りは、「アアシンド」と思っている座りかたのだろうか。トイレも今では様式がほとんど、駅や公園などでしか和式トイレを見かけることはない。Japanese Style ToiletというよりSquat Toilet と伝える方が分かりやすいと娘から聞いた。

新刊
『意見・考え重視の視点からの英語授業改革』
大下 邦幸(著) 、349ページ、東京書籍 (2014/3/1)、¥ 2,310

表紙裏に、「我々の日常生活でのコミュニケーションは、その大部分が意見・考えのやりとりである。それにもかかわらず英語授業では、学習者の意見や考えのやりとりは十分とは言えない。それはなぜか。本書は、その理由を明らかにすると共に、コミュニケーション能力の養成には、意見・考えを重視する視点が欠かせないこと、意見や考えを重視することで学習者のコミュニケーション意欲が活性化し、授業の質が大きく変わることを、理論と実践の両面から示す」とある。理論編では、第一章コミュニケーション能力の養成をめぐって、第二章なぜ意見・考え重視の授業が大事なのか、第3章意見・考えの定義と構成要素、第4章意見・考えを重視する授業の工夫の構成となっている。Reading for Languageという英語知識の学習だけに終始する授業では、たしかに学習意欲の高まりは期待できない。Reading for Meaningを通して本文メッセージをどのように考えるかなど、生徒の考えや意見を問うことで内発的な学習動機が強化される。ただし、この指導には授業構成力・発問力など教員の資質能力が不可欠である。教材を読み込む力に欠ける教員には負の効果を生み出すこともある。実践編も加えられており、教員一人ひとりにとっても参考となる活動例をもとに自分の授業を点検・改善するための参考になる。

新刊
『ずるさで勝る水平思考トレーニング』(SB新書)
木村尚義(著)、176ページ、SBクリエイティブ (2014/3/18)、¥ 767

ロジカル思考が正解を導くためのロジックを掘り下げることから「垂直思考」と呼ばれるに対し、正解を導く順番や過程をあまり重視しないで発想の枠を広げて考えるのが「水平思考」(ラテラルシンキング)。本書は54問の質問を用意し、その「水平思考」による解法のずるさを通して思考をトレーニングするものである。
Q2の例は、航空会社では、機内食に小さな袋に入った醤油やソースを付けていました。
しかし、上手く破らないと飛び散って、お客様の服(飛行機に乗るくらいですから、
よそ行きのよい服です)を汚したり、機内のシートを汚したりします。
これをある工夫によって改善しました。
といっても、味の濃さには好みがあるので、醤油やソース自体をなくしたわけではありません。
いったいどんな方法を考えたのでしょうか?
Q3は、新規にお店をオープン。しかし、新店は、なかなかお客様の信用を得るまでは苦労します。ドラッグストアのマツモトキヨシでは、千葉県松戸市小金に開店した1号店を、お店が沢山あるように見せかける工夫をしました。いったいどんなことをしたのでしょうか。
【解答は本書で】

新刊
『英語リスニング聴き取れないのはワケがある』(青春新書インテリジェンス)
デイビッド・セイン(著)、192ページ、青春出版社 (2014/3/4)、¥ 860

I'll sign Sunday.
I'll sign someday.
これを聴き違えたら大変です。と帯にある。
以下のような目次立てになっている
PROLOGUE くやしいけど押さえておくと後が楽! 日本人の3大弱点
1)「ローマ字読み」「カタカナ英語」でないと受け付けない
2)スピードについていけない
3)ボキャブラリー不足
CHAPTER1 知らないと聴こえてこない ネイティブ発音「5つのルール」
まぎらわしい音/消えてしまう音/聴き分けにくい音/変わる音 etc.
CHAPTER2 100%聴き取れなくても大丈夫! キーワードを逃さずキャッチする
重要ポイントだけ聴き取る/文の出だし/キーワード etc.
CHAPTER3 イライラさせない・バカにされない とっさのコミュニケーション術
わからないとき/5W1Hで質問する/聞き返しテクニック etc.
CHAPTER4 「読めばわかるのに」から卒業できる リスニングの学習ポイント
CHAPTER5 海外でのやりとり 【音声データ対応】
CHAPTER6 来日した外国人とのやりとり 【音声データ対応】
CHAPTER7 ビジネスに強くなる 【音声データ対応】
1.発音表記に気を遣い正しい発音を学ぶこと2.語彙力も必要3.重要な箇所を意識する。(漫然と聞くのではなく、重要箇所をピックアップするというリスニング方法)とあるが、最近セイン氏の新書は軽い内容が多い。聞き取りの例文が書籍の大部分を占めていて、リスニングのコツ自体をもっと丁寧にページを割いて説明して欲しいと思う。

3月の書籍紹介

新刊
『驚くべき日本語』(知のトレッキング叢書)
ロジャー・パルバース(著)、 早川 敦子(訳)、192ページ、集英社インターナショナル (2014/1/24)、 ¥ 1,050

宮澤賢治の作品の英訳をする著者が、比較言語論や自らの体験をもとに、日本語のすばらしいところを簡単なこと、柔軟性があること、豊かな表現が可能なことにおいてすばらしい言語であるとし、世界に誇る日本語独自の魅力と「世界共通語」としての可能性を説いている。 京都新聞の書評(2014年2月16日)に、「日本語は曖昧だと言われるが、日本語自体が合間なのではなく、自己主張よりも集団の和を優先する日本人の表現方法が表面的に曖昧なのだと著者は言う。言語と言語使用を区別して論じている点が説得的である」とあった。わかりきったことを述べる方が相手に失礼になると考えて言葉を省略する日本語の曖昧性は高度な言語であると私は思う。

新刊
『伝える極意』(集英社新書)
長井 鞠子(著) 、176ページ、集英社 (2014/2/14)、¥ 714

通訳という仕事は非常に責任のある仕事である。どういう意図で話しているのかつかめない演説やコメントを即座に通訳しなければならないことがある。特に日本人の演説やコメントは流れが唐突であったり、前提の説明を省いて述べたりすることがあり、それを外国に通訳するときはそのギャップを埋めなければならない。現首相はその発言で物議を醸すことが多い。自分の思いを文脈状の前提が乏しいまま述べる傾向がある。先日も尖閣諸島問題で中国と日本の関係を述べている際に、第一次世界大戦前の英国とドイツも互恵関係があったにも関わらず戦争を起こしたと述べた。通訳者はそれを we are in a similar situationと加えて通訳したそうである。この表現が一層の緊迫感産みだしたと言われる。不用意な発言にどう通訳するかは大きな社会問題になりかねない要素を持つ。筆写はスピーカーと聴衆をつなぐ場を作ると考えている。正確に訳すことだけでなく、話し手の思惑や感情も表現して伝えないといけない。そのために原発言をどの程度まで加工して伝えて良いのかということを常に悩みながら仕事をするそうである。
 本書の紹介に、「日本人のコミュニケーション下手が言われて久しいが、加えて昨今はメールやSNSなどの普及によって、相手に面と向かって対峙したときの「伝達力」がさらに劣化している。言語を超えたコミュニケーションの普遍的「法則」を紹介する。相手が外国人であっても日本人であっても、単に「発言する」だけでなく、しっかりと相手に 「伝える」ためには、なにが必要なのか。「話す・聞く」のプロが、国内外の著名人との貴重なエピソードをまじえながら「心を伝える」極意を語る」とあった。
目次は、はじめに
第一章 会議通訳の現場
第二章 通訳者への道
第三章 通訳者の生活とその技術
第四章 国際会議の日本人
第五章 言葉を伝えるための「五つのヒント」
おわりに である。

旧刊
『考えるとはどういうことか』(知のトレッキング叢書)
外山 滋比古(著)、160ページ、• 集英社インターナショナル (2012/1/26) 、¥ 1,050

外山流・思考術「知識と思考は反比例の関係にある」と前書きにある。小学校低学年の頃自由にのびのびと書いていた作文が、高学年になるにつれうまく文字は並べているが何かいききとした勢いが失われた文章になる。知識が増えれば増えるほど思考が弱体化するのはないかと考えられた。不用意に知識を増やせば知識メタボリック症候群の症状を呈するのではないかということである。過剰な知識でなく整理された知識を持つことが大切であるということになる。今の子どもたちは情報過多の社会にいる。確かに判断選択して整理しないと一方的に与えられ、考えることをしない受け身的な人間を育てることになるであろう。「平面思考から球面思考へ」「触媒思考」「選択の判断力」「曖昧の美学」「民族論理学」「二次的創造」と6つのテーマについて外山氏が自由思考されたエッセイである。非常に読みやすく、新たなものの見方を教えてくれる良書である。

旧刊
『PENGUIN READERS2: AUDREY HEPBURN 』
Pearson Education、28ページ、Pearson Education ESL; 2版 (2008/9/7)¥ 739

「ローマの休日」のオードリーを見てから彼女の虜になった。最後のシーンの"I have every faith in it... as I have faith in relations between people." "Each, in its own way, was unforgettable. It would be difficult to-- Rome! By all means, Rome. I will cherish my visit here in memory as long as I live."あのセリフには心が震えた。オードリー・ヘップバーンの生い立ちから晩年までを描いた読み物である。晩年はユニセフで慈善活動をおこなった。教員好みになるが、PENGUIN READERSレベル2の中で語数が少なく生徒には非常に平易な表現が多く、読み易いリーディング教材である。

2月の書籍紹介

新刊
『7カ国語をモノにした人の勉強法』(祥伝社新書331)
橋本陽介(著)、235ページ、祥伝社 (2013/8/2) ¥ 840

7カ国語をモノにするって、シュリーマンのような人だなと思って手にした。「言葉のしくみがわかれば、語学は上達する」と帯にある。「わたしは彼にプロセスを証明した」は"I explained the process to him."が正しく、"I explained him the process."は間違いとあった。文末焦点か?思わず買った。
「ちゃんと覚えた言葉は忘れない」「リスニングには、コメディドラマが最適」「なぜ、音声学習が必要か」「日本人には聞き分けにくい音がある」「辞書にはなぜたくさんの意味が載っている?」など、授業で話せるネタがある。「リスニングには、コメディドラマが最適」は、コメディはセリフの量が多く、話すスピードも速く(自然なスピード)であり、また日常的によく使われる表現が多いからとあった。

新刊
『中学英語を一瞬でネイティブ英語に変える法―――会話力が10倍高まる50のテクニック』
ロス・パーディ、 伊東 明(著) 、228ページ、ダイヤモンド社 (2013/11/22)、¥ 1,575

書店で手にした本書の帯にこう書かれていた。
中学英語をきちんと身につけることが、英語上達の最短・最速の近道。
たとえば、こんなふうに言うと、知的な大人の英語に早変わりする。
・私はペンを持っています。 × I have a pen. → ○ I've got a pen.
・お腹が空いてますか? × Are you hungry? → ○ Have you eaten?
・カラオケって面白い。 × Karaoke is interesting. → ○ Karaoke is fun.
■「中学英語+プラスアルファ」という発想こそが、英語力向上のカギ。
このコツさえ知っておけば、中学校で習った基本の英語を活かして、 さらにレベルアップできる!
短期間で効率よく英語力を向上させる50のコツを紹介。
英語タイトルは"How to change childish English into intelligent, adult English"。childishにむっとし、intelligentでこの言葉に言いすぎじゃないかと思ったが、日本語をそのまま英語に置き換えようとするところに実は問題点がある。そんな感覚の違いは意識しないと思いつかないかと、読んでみることにした。ビジネスパーソンの英語学習書だが、知っていて悪くない。My hobby is ~よりI like~のほうがナチュラルと言わればそうだなと思う。

新刊
『ネイティブはこう使う! マンガでわかる動詞』
デイビッド・セイン(著)、224ページ、西東社 (2013/11/29)、¥ 1,365

いつもながらのデビッド・セインの書籍。この種の学習参考書はよくある。日本人が苦手としがちな、日常的によく使われる「動詞」の使い分けについてマンガで楽しく解説している。イメージ文法が効果的な学習につながると最近よく言われる。語法として単語そのものの使われ方を絵で描いて説明すると生徒にも分かりやすいと思う。
"What did you eat?" "What did you have?"では尋ねている人のイメージが異なる。前者は、たとえば医者が患者に尋ねる、母親が子どもに一体何を食べたのというイメージ。haveは楽しむイメージがある。

旧刊
『ネイティブはこう使う! マンガでわかる前置詞』(朝日新書) [新書]
デイビッド・セイン(著)、224ページ、西東社 (2013/4/5)、¥ 1,365

『ネイティブはこう使う! マンガでわかる動詞』の前に出版されたシリーズ本。『in』と『on』の使い分けなど、悩みがちな前置詞の使い方をマンガで楽しく解説している。前置詞のイメージは英文理解の要の一つ。通勤の電車の中で、ダイニングに置いておいてなど気軽に読めばと思う。

旧刊
『絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編』
Nobu Yamada (著) 、174ページ、学習研究社 (2011/8/3)¥ 1,680

帯に、「自分でビデオカメラを持っているような一人称視点のイラストを見て、場面に合った簡単な英文をパッと組み立てる実践的トレーニング。文字だけの和文英訳と違い、リアルなイメージを伴ってシミュレーションできる」とある。込み入った内容を伝える練習ではなく、相手の問いかけに対して最初の一言を返す練習書である。英会話の瞬発力を鍛えるものであろう。

旧刊
『よりみち英単語』
しぎょういつみ(著) 、174ページ、学習研究社 (2011/8/3)¥ 1,344

河合塾の人気ベテラン講師が、生徒に楽しんで学んでもらうために授業で話す、英語のネタ帳。「男の子もgirlと呼ばれていた…など、英単語のストーリー175本を収録!」と表紙にあったので思わず買った。storyが階を意味するのはなぜと思っていたが、そうなのかと思った。
「男の子もgirlだった」
「男」「女」にかかわる単語でちょっとおもしろいのがgir1。15世紀までgirlは、男女問わず「子ども」を意味する語だったのです。両者を区別する必要があるときには、「男の子」をknave girl(knaveは「下男」)、「女の子」をgay girl(「華やかな子ども」という意味)と称しました。では、boyはどうかというと、「男の召使い」という意味で使われていたのです。16世紀にboyを「男の子」の意味で使うようになって以降、ようやくgirlは「女の子」に限定されました。girlの語源については、「晴れ着」を意味する語だったとも言われていますが、実はよくわかっていません。ちなみに、「男の子」を表す語が同時に「召使い」を意味するのは、ヨーロッパの言語には広く見られる現象です。イタリア語の旧gazzoや、ブランス語のgarçonなどもそう。飲食店の従業員をボーイとかギャルソンと呼ぶのは、その名残りです。
「4階建てにはstoryが4つ」
storyには「(建物の)階」という意味があります。これは、その建物が何階建てかを表すときに使う語です。たとえば、a three-story houseなら「3階建ての家」。The building has nine stories.は「その建物は9階建てだ」という意味です。storyに「階」という意味があるなんて、ちょっと意外な感じがしますよね。実は、中世ヨーロッパでは、教会などの建物の外壁や窓に、各階ごとに違う歴史物語を描く習慣がありました。つまり、4階建ての建物なら4つのstoryが描かれていたのです。これが、storyが「階」という意味を表すようになった由来と言われています。一方で、同じように「階」という日本語に相当するfloorは、建物の特定の階を指すときに使います。live on the third floorは「3階に住んでいる」という意味。同じ「階」でも、全体の階数か特定の階か、使い分けに注意する必要があります。

1月の書籍紹介

新刊
『ネイティブが使う英語・避ける英語』
佐久間 治(著)、260ページ、研究社 (2013/10/23)、1,890円

学校で習った英語表現が、英語圏でどれくらい使われているか、あるいは使われていないかをミシュラン方式でわかりやすく提供してある。インターネットを駆使して、アメリカやイギリスなど世界の英語圏に住むネイティブスピーカーから広く意見を集め、時代による使用頻度の変遷をグラフ化して一目でわかるように示してあるところがミソ。
If I won the lottery, I would purchase a house. ★★★★★
If I should win the lottery, I would purchase a house. ★★
If I were to win the lottery, I would purchase a house. ★
と、星印で頻度を表記している。これと別に時代別の頻度が折れ線グラフで表されている。
確かに授業では、仮定法未来表現とか言って、if shouldは「万一」という意味ですと伝えるだけのことが多い。実際はそうでないにしても、仮定法過去の方が気持ち的に可能性に対する思いが伝わる。
ただし、If you should have further questions, please feel free to ask us any time you like.にはshouldが用いられ、あり得ない想定を連想させる。それでも主節の方は直接法のfeelを使い、現実感のある動詞表現を使っている。
言葉を生きた文化表現として捉えることが大切であろう。

新刊
『英語はまず日本語で考えろ!』
本城 武則 (著)、320ページ、ディスカヴァー・トゥエンティワン (2013/9/22) 1,260円

帯に、英語を話せるようになるために、TOEICの勉強」「単語の暗記」「英語脳」は必要ないどころか、今すぐゴミ箱に捨ててしまっていいのです!とあったので、どんなことが書いてあるのだろうかと思い購入した。「英語は知識を詰め込んで話すものではなく、今のあなたの英語の知識のままで、工夫しながら智慧を使って、自分の意志を伝えるものです。」と著者は言う。「日本語で考えないから幼稚な内容しか話せない。…英語で話せる・話せない以前に、多くの人はすでに日本語ですらも『話したいこと』が浮かんでいない状態なのです」と。さて皆さんはこの本を読んでどう思われるでしょうか。難しく考えないで英語を使うことには賛成できますが、語彙力も文法力もないと話せないことも事実。日本語で中身のあることを考えられる人は、英語も使えるレベルにあるかも知れない。

新刊
『表現英文法』(文春MOOK)
田中 茂範(著)、682ページ、コスモピア (2013/11/27)、1,890円

イメージ文法を唱える田中茂範氏のこれまでの著書を一冊に集大成した文法参考書と言えるだろう。本書の特徴として、●文法項目の羅列や断片的な説明ではなく、全体像から体系化している。1.「名詞の文法=モノ 的世界」、2.「動詞の文法=コト的世界」、3.「副詞の文法=状況世界」、4.「情報配列と構文」の4つに 有機的なつながりをもたせ、従来の文法を再構成。 ●学習者の「なぜ?」に答える説明がどの文法書よりも充実。説明のための説明ではなく、英語を 使って表現する視点から、本質的な部分を解説している。巻末に往年の『英語語法大辞典』クエスチョン・ボックスの形式を取り入れ、how about ...?とwhat about ...? の違い、almost とnearly の違い、at night と in the night の違い、前置詞on とon doing のon の関係、などに関する150個ぐらいの「質問インデックス」がある。『英語語法大辞典』は当時としては高価であったが、いつもそばに置いていた。本書はその点安価である。説明の詳しさに偏りがあるかも知れないが、入門期の生徒や学生に英文法を教えるのには重宝できる。

新刊
『英語は「インド式」で学べ!』
安田 正(著)、296ページ、ダイヤモンド社 (2013/9/28)、1,575円

加古川駅前の書店で、大河ドラマ黒田官兵衛に敗北するご当地の別所一族のことをご当地出身の玉岡かおるが書いた『虹、つどうべし 別所一族ご無念御留』を購入するときに、ふと目に留まった。派手な表紙であった。インド式の英語って何なんだ!インド式の算術は聞いたことがあるけれどと思いながら、買ってしまった。単純に動詞を三つのカテゴリーに分類し、 "sound"の仲間の動詞、 "find"の仲間の動詞、 "give"の仲間の動詞と分け、それを基にした英文のパターンを理解すれば良いという考えだ。要するに、S+V+C, S+V+O, S+V+O+C, S+V+O+(O)のパターンの英文構造を簡単に理解させたいということだ。また、英語がかっこよく話せるコツとして、「声量を2倍にする!」「最後まではっきりと!」「首は痛くなるまで振る!」「視線はここに!」「ジェスチャーは右手に注意!」「切るのは動詞の後で!」「先を予測して聞く!」などとあった。コツと言ってよいのかどうかわからない。英語を話す人の数は、非ネイティブの方が多いということが、「インド式英語学習法」ということなのか、インドの人たちの勉強法がほとんど書かれていない。話の種になるかどうかと思った。

旧刊
"Nelson Mandela Long Walk to Freedom"
Nelson Mandela(著)、896ページ、Little, Brown and Company (2008/6/2)、975円

先日亡くなったネルソンマンデラ氏の自叙伝である。Mr Mandela, 95, led South Africa's transition from white-minority rule in the 1990s, after 27 years in prison.である。彼の言葉の中で、"Education is the most powerful weapon which we can use to change the world."は教育者の胸に一番染み入る。手許に置いておきたいと思って、アマゾンから買った。
内容紹介に、 "Nelson Mandela is one of the great moral and political leaders of our time: an international hero whose lifelong dedication to the fight against racial oppression in South Africa won him the Nobel Peace Prize and the presidency of his country. Since his triumphant release in 1990 from more than a quarter-century of imprisonment, Mandela has been at the center of the most compelling and inspiring political drama in the world. As president of the African National Congress and head of South Africa's anti-apartheid movement, he was instrumental in moving the nation toward multiracial government and majority rule. He is revered everywhere as a vital force in the fight for human rights and racial equality. The foster son of a Thembu chief, Mandela was raised in the traditional, tribal culture of his ancestors, but at an early age learned the modern, inescapable reality of what came to be called apartheid, one of the most powerful and effective systems of oppression ever conceived. In classically elegant and engrossing prose, he tells of his early years as an impoverished student and law clerk in Johannesburg, of his slow political awakening, and of his pivotal role in the rebirth of a stagnant ANC and the formation of its Youth League in the 1950s. He describes the struggle to reconcile his political activity with his devotion to his family, the anguished breakup of his first marriage, and the painful separations from his children. He brings vividly to life the escalating political warfare in the fifties between the ANC and the government, culminating in his dramatic escapades as an underground leader and the notorious Rivonia Trial of 1964, at which he was sentenced to life imprisonment. Herecounts the surprisingly eventful twenty-seven years in prison and the complex, delicate negotiations that led both to his freedom and to the beginning of the end of apartheid."とあった。

旧刊
『暇と退屈の倫理学』
國分 功一郎(著) 、402ページ、一声社 (2002/12)、 1,890円

「何をしてもいいのに、何もすることがない。だから、没頭したい、打ち込みたい……。でも、ほんとうに大切なのは、自分らしく、自分だけの生き方のルールを見つけること。」と表紙にある。まえがきに、おそらくNHKテレビ番組の「プロジェクトX 挑戦者たち」とその番組の主題歌中島みゆき「地上の星」について言及してある。戦い抜いた企業戦士に見送りもされないとするその歌詞に違和感を感じたようだ。その番組の特番で定年退職した人たちが、無心にこの歌を歌っている様子を見てとても悲しくなったと。「ヘッドライト・テールライト」も同じ主題歌であった。「語り継ぐ人もなく 吹きすさぶ風の中へ 紛れ散らばる星の名は忘れられても ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらないヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない」自分の人生の時間の使い方を考える本である。人生の意味は、暇の克服であろう。生活に追われて暇がないときは、お金も時間にも余裕はない。ただ、著者が言うように、企業などによるテレビの宣伝の影響を受け、暇の過ごし方を与えられて、それが暇を活かす最善の方法と思い込まされている。企業は人の暇をどう過ごさせるかを儲ける企業戦略として根底に据えている。自分の考えを振りかえさせる良い本だと思う

12月の書籍紹介

新刊
"I am Malala: The Girl Who Stood Up for Education and Was Shot by the Taliban"
Malala Yousafzai、 Christina Lamb ¥1,825 13.99ポンド

女性が教育を受ける権利を訴えて、イスラム武装勢力に銃撃された16歳の少女マララ・ユスフザイさんの手記。
Prologue: The Day my World Changed は次のように始まる。
I come from a country which was created at midnight. When I almost died it was just after midday.
One year ago I left my home for school and never returned. I was shot by a Taliban bullet and was flown out of Pakistan unconscious. Some people say I will never return home but I believe firmly in my heart that I will. To be torn from the country that you love is not something to wish on anyone. Now, every morning when I open my eyes, I long to see my old room full of my things, my clothes all over the floor and my school prizes on the shelves. Instead I am in a country which is five hours behind my beloved homeland Pakistan and my home in the Swat Valley But my country is centuries behind this one. Here there is any convenience you can imagine. Water running from every tap, hot or cold as you wish; lights at the flick of a switch, day and1 night, no need for oil lamps; ovens to cook on that don't need anyone to go and fetch gas cylinders from the bazaar. Here everything is so modern one can even find food ready cooked in packets.

This book will make you believe in the power of one person's voice to inspire change in the world.金原瑞人、 西田佳子 (2013/12/3)の訳本として『わたしはマララ: 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女』が発行の予定。

新刊
『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』
ジェレミー・ドノバン、 中西 真雄美 (訳)、204ページ、新潮社 (2013/7/18) 1,260円


TEDとは、 Technology Entertainment Design の略で視覚的・聴覚的な要素がかなり入ったプレゼンのスピーチフォーラムである。この世界的に有名なフォーラムでは、Ideas worth spreading(拡散するにふさわしいアイデア)というテーマをもとに、スピーカーが規定された短い時間(5~18分)で質の高いプレゼンテーションを行っている。これらは動画共有サイトYouTubeでほぼすべて公開されている。また、NHKのEテレで毎週月曜日夜11:00-11−25にSuper Presentationとして放映されている。
 このTED Talks、聴衆を魅了するスーパープレゼンテーションのテクニックをジェレミー・ドノバンがまとめてあなたに伝授する。英語原本は入手に時間がかかるが、訳書はすぐに手に入る。
すぐにでも使えるTEDトークのテクニック
・聴衆が最も注意を傾けているのは、スピーチが始まって最初の10秒から20秒間
・「論理的な事実」と「感情に訴えかけるストーリー」を組み合わせる
・キャッチフレーズは最低3回繰り返そう
・プレゼンターは決して聴衆より優位に立ってはいけない
・スピーチはしょせん普段の会話の拡張版である
・話すときは、誰かに1対1で熱心に語りかけるように
・小学6年生が理解できるレベルの言葉を使う
・あなたが経験したことや見たものから引き出したストーリーを語ろう
・エゴを見せてはいけない。ほんの少しでも自己宣伝の匂いがすれば、聴衆は興味を失う
・一気に話し、適度に間を置く。「間」が聴衆の注意を引きつける
・ユーモアを駆使する。ユーモアの根は「驚き」にある
・話している間、まず両手は楽にして脇に下ろしておく。腰から上、首から下の部分で自然なジェスチャーをしよう
・スライドを使わないプレゼンがベスト。使うとしたらシンプルに、色は5色まで
・きちんと検証できる環境で、最低3回はスピーチの練習をしよう
・聴衆は、あなたのプレゼンがうまくいってほしいと思っている

新刊
『文藝春秋オピニオン2014年の論点100』(文春MOOK)
303ページ、文藝春秋 (2013/11/13)、1,365円

英語か教員として、英語の指導法だけを考えておればいいのではない。教員として、様々な問題に対する認識を生きるという観点から生徒に問いかけることが必要であろう。今年も様々な問題があった。それらを見る視点の参考として一読を勧める。

新刊
『日本の農業を破壊したのは誰か 「農業立国」に舵を切れ』
山下 一仁(著)、258ページ、講談社 (2013/9/18)、1,680円

今年の全国高校生英語ディベート大会の論題は、 "Japan should remove the tariff on the rice import."である。TPP交渉が日本の農業の聖域を守るのか、自由化にした方が日本の農業を救う事になるのか、これは日本の命運がかかったことであるが、消費者である我々はあまり意識していない。農業就業者が大幅に減少するのに、なぜ「農協」は組合員が増加し続け、日本第二の"メガバンク"として繁栄しているのか?謎の裏にあるカラクリとは!?「日本農業は競争力のない弱者」「日本の農業保護率は低い」という誤った常識を打ち破り、歪められた農政を改革せよ!というのが著者の主張である。海外との貿易による利益が望めなかった鎖国政策の江戸時代の日本、三千万人の人口を養っていた日本の農業、今は様変わりした。専業農業従事者の平均年齢は66歳という。若者がやりたいと思う農業はどういうものだろうか。

新刊
『成長から成熟へ さよなら経済大国』(集英社新書)
天野祐吉(著)、224ページ、集英社 (2013/11/15)、777円

先日亡くなったコラムニストの天野祐吉さんのコラムのまとめ。60年間広告に関わった著者が語る成長至上主義の限界と新時代の希望をまとめている。朝日新聞につい先日まで投稿されていた「CM天気図」は欠かさず読んでいた。
目次は
プロローグ 世界は歪んでいる
第一章 計画的廃品化のうらおもて
第二章 差異化のいきつく果てに
第三章 生活大国ってどこですか
エピローグ 新しい時代への旅
あとがき
とてもやさしい語り口で非常に読みやすい時代批評は教員としてもものの見方を拡げる一冊であると思う。これからの時代に生きる若者を育てるやめにも、社会の価値観をしっかり持っているべきではないかと思わせる書籍である。

新刊
『99歳一日一言』(岩波新書)
むの たけじ(著)、224ページ、岩波書店 (2013/11/21)、756円

発行されたばかりの新刊。書店で手にとって、すぐに買った。99歳を目前にした現役ジャーナリストによる示唆に満ちた知恵のことばである。こちらの歳を重ねたのか共感することが多い。『くじけないで』の柴田トヨさんとはまた異なる人生の歩みの言葉が365日、一日一言で並んでいる。心が軽くなる一冊である。
1月23日
あなたはこの地球にあなたきり。
わたしはこの地球にわたしきり。
どこの誰もが唯一人。
お日さま一つと同じこと。
輝け、人間、人たちよ、かけがえのないいのちたち。

旧刊
『絵本で育てる情報分析力―論理的に考える力を引き出す〈2〉』
三森ゆりか(著) 、231ページ、一声社 (2002/12)、 2,310円

内容紹介に「世の中に溢れる情報を適正に分析し、解釈し、批判する力を、絵本を読み聞かせる段階から、子どもの大好きな絵本を用いて育てる具体的な方法を提示「絵を読む力とテクストを読む力を引き出す」「絵本を読む技術『絵の分析』」「絵本を読む技術『テクストの分析と解釈・批判』」「絵本『手のなかのすずめ』」「解答例」の5章構成。練習用口絵付き。」と合って購入した。英語の授業でも、絵本をどう読み取るかを英語で行う授業などで使えるのではないかと思う。この人は何をしようとしていると思う?季節は?など絵にある情報を読み取って答えていく活動は、根拠・理由を述べる思考力の育成にもなるので、素材として活用できると思う。

11月の書籍紹介

新刊
『中央公論 2013年 11月号』雑誌
中央公論新社; 月刊版 (2013/10/10) ¥900

特集で「英語の憂鬱─日本人最大のコンプレックス」を扱っていて、それをテーマに各氏が考えやエッセイを綴っている。非常に面白い内容である。教職ネットで一部その内容を紹介した。
・どうして、こんなにしゃべれないのか 明治以来の憧れと敗北のDNA 対談 鳥飼玖美子×斎藤兆史
・ユニクロ、楽天現役社員に聞く 「英語公用語化」がもたらしたもの 西川修
・こんな英語力では日本の逸失利益は拡大する 北城恪太郎
・「タフ・ネゴシエーター」が教える 国際会議で外国人を言い負かす方法 小松正之
・2020年東京五輪決定で、復活!? 実験番組「英語でしゃべらナイト」の舞台裏 対談 パトリック・ハーラン×丸山俊一
・覆面座談会●先生はこんなに大変 小学校英語教育問題はここだ! 外国語指導助手ほか
・エッセイ 英語とわたし 天野篤/いっこく堂/荻上直子/桂かい枝/青木功

新刊
『科学者が人間であること』(岩波新書)
中村桂子(著) 256ページ、岩波書店 (2013/8/22) 840円

朝日新聞(平成25年10月 20日)に本書の書評があった。『中村は「科学的とは多くの場合数字で表せる」から、お金で測った豊かさが手に入るようになる変化を「進歩」と呼び、そのような社会を「先進国の象徴として評価」するようになったという。しかし、「人間は生きもの」であるという観点で見た時には、これこそが「生きることの否定になる」。速くできること、手を抜くことが、時間を紡ぐ、すなわち生きることに逆行するからだ。そして、地球全体を一律にするグローバルな科学技術文明は多様性を否定するので、あきらかに文明の定義から外れていく。』この文章を読んで、手を伸ばしきれていなかった本書を買って読んだ。
科学的にものを考えることは一定の想定のもとに行う。しかしこれが「想定外」という弁解を生む。数値化は、「性能=数値を上げて効率を良くすること」に基づき対象を機械的に見ることになる。朝起きて食べる朝食が美味しいと思うことを数値化することに意味はないだろう。教育も同じようなことを孕んでいる。数値化に基づく成果主義と本来正解のない人の生き方に関わる教育とは相容れない部分がある。そうしたことを考える上で自分の頭を整理してくれるように感じた。

新刊
『論理的に解く力をつけよう』(岩波ジュニア新書)
徳田雄洋(著)、224ページ、岩波書店 (2013/8/22)、861円

表紙裏に、「うそつきか正直か不明な人から、質問1回で必要な情報を正確にもらう――そんな方法、知ってますか? この本で、論理的な解き方を身につければ、一見むずかしそうな問題もかんたんに解けるようになったり、新しい解決法を発見できたりします。数学や論理、情報科学はもちろん、日常おこる問題にも適用できますよ。」とあって、購入した。英語の授業は英語を教えるだけではいけないようい思う。ディス火ション、ディベートに必要な力は、論理的考える力である。授業でちょっとしたクイズで考える力とは何なのかを体験させていくことが大切だと思う。お題目として、「思考力を伸ばさないといけない」という言うことは誰にでもできるが、どう考えていくべきか、どのような視点を持つべきかを授業で取り上げないと、生徒は納得、得心して理解することはないだろう。学校の先生はあらゆる知識に目を向け研鑽に務めないといけないだろう。

新刊
『その英語、こう言いかえればササるのに!』(青春新書インテリジェンス)
関谷英里子(著)、233ページ、中央公論新社 (2013/6/24)、860円

裏表紙帯に帯「お時間とらせません」 「ご心配おかけしました」―――英語で言えますか?It will not take your time.だと「あなたの時間を奪うものではありません」と伝わる! ⇒◎ I promise it won't take long. I'm sorry for your worry. だと「心配してくれて残念です」と伝わる! ⇒◎ Thank you for your concern. とある。
ビジネスパーソンがついやりがちな間違いを簡単な英語でどのように言えば良いのかをまとめている。英語教員も授業の投げ込みに1日一つずつでも紹介していけば、英語に対する感性を少しずつ持たせる支援になるのではないだろうか。

新刊
『中国人の誤解 日本人の誤解』(日経プレミアシリーズ新書)
中島 恵(著)、 240ページ、日本経済新聞出版社 (2013/10/9)、893円

背表紙に、『えっ、「日本は中国と戦争したがっている」って?日本を知らない中国人、中国を知らない日本人が、互いの悪印象を増幅させる。「抗日ドラマ」を見ているのは誰か?「愛国教育」の影響力とは?中国現地の多くの人々に本音の話を聞き、日中関係を覆う「不幸の構造」を解き明かす。』とあり、購入した。本書は、著者の丁寧で内容の濃いインタビューを中心に構成されている。現在、日中関係は冷え切っている。なぜここまでに至ったのであろうか、中国人はけしからん人なのか、お互いの誤解の部分の根っこの考えはどこにあるのか、現代を生きる人間として、幅広く知ることも大切であろう。中国国内に蔓延る社会問題、中国で現に起きている「事実」の記述もあり、単に「相互の誤解」を解くことだけを解決の糸口にはしていない。中国に5年ほど現地の社員と共にする仕事をする会社に赴任していた息子の中国観と併せ考えてみようと思う。

旧刊
『はじめて学ぶ言語学―ことばの世界をさぐる17章』(朝日新書)
大津由紀雄(著) 、336ページ、ミネルヴァ書房 (2009/10)、 2,940円

言語学の入門書である。音声学、音韻論、形態論、統語論、語用論などといった言語学での基本的な用語は使わず、「ことばの世界をさぐる」「発音の仕組みをさぐる」「語の仕組みをさぐる」「文を作る仕組みをさぐる」「ことばの意味と法則をさぐる」「言語獲得のメカニズムをさぐる」「比喩の世界をさぐる」「ことばと教育の関連をさぐる」などと「…をさぐる」と平易に、読者の興味を最も惹きつけるだろうと考えている内容を読者に紹介し、言語学の世界に誘おうと試みている。読みたいところから読めばいいようになっている。英語を教える者として言語に目を向けた話を生徒に聞かせることも大切なことだ。

旧刊
『高校生のための評論文キーワード100』(ちくま新書)
中山元(著) 230ページ、筑摩書房 (2005/6/6)、819円

評論文が読めるようになるために、最新の入試傾向を踏まえて、読解上欠かせない100語を厳選してある。「アイデンティティ」「アイロニー」「アウラ」「アナロジー(類推)」「アプリオリ/アポステリオリ」「アレゴリー」「異端」「一元論と二元論」「イデオロギー」などことば選び、辞書どおりの意味では汲み取りきれない用語を分かりやすく説明している。授業でこうした言葉の意味をしっかりと伝えていくことも、教養を深めるのに役立つのではないかと思う。
たとえば、「イメージ」の項を見ると、
「イメージという語は広がりの大きな語だ。像、表象、印象などさまざまな意味で使われるので、注意が必要だ。イメージは、ほんものでは「ない」という否定的な意味をそなえている。「イメージだけでものを言う」というように使われると、本質を理解せずうわべだけを見ていると非難していることになる。イメージは表層にすぎず、本質はその背後に隠されているというわけだ。しかしぼくたちが何かを認識するとき、物そのものを把握することはできない。外界の事物を認識する手段は「像」としてのイメージなのである。
あと、 [摸像]、「印象」「思考停止」「情報操作」などもこの項に含まれて解説があり、複合的に言葉を理解することができる・

10月の書籍紹介

新刊
『教師の資質 できる教師とダメ教師は何が違うのか?』(朝日新書)
諸富祥彦(著) 、184ページ、朝日新聞出版 (2013/8/9)、 819円

「教師の不祥事が取りざたされる今、本当に優れた教師は何をしているのか?いじめへのずさんな対応、体罰、暴言…教師の問題が注目されている現代で、本当に求められる資質とは何なのか。「教師を支える会」代表として、全国の学校の問題に取り組んできた著者が、最先端の教師像を説く。」と表紙裏に内容紹介がある。
【目次】
第一章―お子さんの担任の先生は、大丈夫?
第二章―教師を取り巻く過酷な現状――壊れていく教師
第三章―学校空間で追いつめられる子どもたち
第四章―担任教師に求められる「学級経営力」
第五章―教師としての使命
第六章―新たな時代に求められる「教師の資質」
第五章の中で「教師に必要な6つの授業構成力」として、
・「ねらい」を明確に設定する力  ・展開を考える力  ・導入で子どもの心をつかむ力  ・発問力  ・子ども同士の対話を深めていく力  ・アドリブ力——教師の実力が試される場面
をあげている。教師としての自分を振り返る本であり、教員志望の学生が教職をより具体的に知る本であろう。

新刊
『NHKカルチャーラジオ 詩歌を楽しむ サイモン&ガーファンクルの歌を読む』
飯野 友幸(著)、170ページ、NHK出版 (2013/9/23) ¥950

私たちが若い頃、映画「卒業」が大ヒットした。そのテーマ曲がThe Sound of Silence,誰もがこのメッセージ性のある歌詞を口ずさんだ。1960年~70年代にかけて、ポピュラー音楽の世界で印象的な活躍をしたサイモン&ガーファンクル。半世紀を経た現代においても、その深い味わいは色褪せることがない。NHKカルチャーラジオ、10〜12月のテキストである。「明日に架ける橋」「サウンド・オブ・サイレンス」「コンドルは飛んで行く」など代表的な楽曲を取り上げている。その歌詞を詩として鑑賞することを通して、往年の思いに浸るだけでなく、授業での歌の紹介に役立ててみてはいかがだろうか。

新刊
『英文法の楽園 - 日本人の知らない105の秘密』(中公新書)
里中 哲彦(著)、212ページ、中央公論新社 (2013/8/25)、777円

I'm into English! Ditto!!と表紙帯にある
intoはtoよりも突入感を持つ語である。方向を表すtoはそこまで行ったなど野意味を持つが、中に入ったかどうかはわからない。内部への移動を表す突入の感覚を持っていることを頭に入れておくと分かりやすい。そうした、日本人が知らない、ネイティヴに通じる実践的な英文法を、Q&Aの形で楽しく学べるこの一冊である。通勤途中の頭の体操として読んでみるのはいかがだろう。豊富な例文がちりばめられた105の項目で英語のセンスが増すのではないだろうか。

新刊
『言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学』(中公新書)
野矢 茂樹、 西村 義樹(著)、233ページ、中央公論新社 (2013/6/24)、882円

「昨日財布に落ちられました」はどうしておかしいんだろうと帯にある。「雨に降られた」は言えるのに、どうしてであろう。「受苦」「諦念」「他者性」の3つの条件がそろっているとこうした迷惑受け身が成り立つ。しかるに財布は自分でコントロールできるからとある。認知言語学という考え方で、豊富な例文を用いた痛快な議論が展開される。日々慣れ親しんだ日本語が揺さぶられる、知的探検を楽しもう。

旧刊
"How to Improve Your Critical Thinking & Reflective Skills"
Kathleen McMillan & Jonathan Weyers(著)、296ページ、Pearson Education Limited (2012/10/12)、£11.99 1901円

New to the highly successful Smarter Study Skills series comes this essential guide to thinking and writing critically. This easy-to-use guide identifies and addresses the key areas where most students need help in developing and enhancing the critical thinking and writing skills that are crucial to successful academic study, and provides practical tips and solutions. The authors use real life examples to illustrate common mistakes and demonstrate how to avoid them. They provide solid advice on enhancing analytical and argumentation skills by adopting best practice with critical thinking and reflective writing.とある。海外の大学への留学生が新年度参考にする書籍の一つ。Key Approach to Thinking, Critical Thinking in Practice, Evaluating the Ideas of Others, Putting your Thinking into Wordsがtipsを豊富に分かりやすく書かれてある。

旧刊
『雑学科学読本 身のまわりのモノの技術』
涌井 良幸、 涌井 貞美(著) 、285ページ、中経出版 (2012/7/27) ¥ 680

書店で平積みになっているので何となくページをめくってみた。見開き2〜4ページで簡単にその原理が説明されていた。本書は、家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」である。教員は雑学にも強くないといけない。教室での話題提供にはこうした雑学も必要であろう。
1章がエスカレータ、飛行機など、街で見かけるものの技術
2章がカーナビ、バーコードなど、外出先で触れるものの技術
3章がボールペン、使い捨てカイロなど、身近にあるものの技術
4章が曇らない鏡、リンスインシャンプーなど、生活で使うものの技術
5章がデジカメ、立体テレビなど、ハイテク時代のものの技術
を扱っている。
第2弾が、今年6月に刊行された。
第1章:家電に見るモノの技術(全15例)
第2章:乗り物に見るモノの技術(全10例)
第3章:暮らしに見るモノの技術(全16例)
第4章:実用アイテムに見るモノの技術(全16例)
第5章:インフラに見るモノの技術(全9例)
を扱っている。

9月の書籍紹介

新刊
『英語教育、迫り来る破綻』(岩波新書)
大津由紀雄、江利川春雄、斎藤兆、鳥飼久美子(著) 、184ページ、ひつじ書房(2013/7/5)、 1000円

5月1日付け朝日新聞の「争論」での論争は記憶に残っている。
自民党が大学入試にTOEFLを導入と言いだして、争論を巻き起こした。
提案者の自民党の遠藤氏の主張は、必要とする理由:necessity, うまく機能するという信頼性妥当性:reliability, validityに欠けた感情論のように思われる。
「6年間英語を習っても、英語が話せないから」がその理由の一つであった。自分が会議の前の挨拶くらいのことばを話せないのは、ご本人が生徒の時に邪魔くさいと思ってそちらの方を軽視していたからでないでしょうかと言いたい。おじさんが習った英語の授業と今の英語の授業はかなり異なる。この議論、平泉・渡部論争と似たり寄ったりかもしれない。ただ、あの時の渡部さんより江利川さんの方が、筋が通っているように思える。黒船理論で何かをぶつければ、日本は変わるというのは旧日本軍の戦略思想と同じで、敵の背後に回るという旧来の戦法を金科玉条のように信じて同じ行動に出るという発想と変わりはない。精神論・感情論でこのグローバルの時代うまくいくわけがない。
本書背表紙には、「大学の入試や卒業要件にTOEFL等の外部検定試験を導入する案が、自民党教育再生実行本部や政府の教育再生実行会議によって提案された。しかし、もしそれが現実となれば、学校英語教育が破綻するのは火を見るよりも明らか。危機感を持った4人が、反論と逆提案に立ち上がった……。」とある。

新刊
『世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業』
狩野みき(著)、222ページ、日本実業出版社 (2013/6/22) ¥1,470

自分なりの答えを出すこと、想定外の事態で新たなシナリオを見つけ出すこと、意見に説得力を持たせること、いずれも「きちんと考える」ことができなければ、うまくはいかない。本書はそのための「考え抜く力」伝授すると述べている。
自分の意見を作るための考える手順は、Step 1理解を広める→Step 2視野を広げる→Step 3未来から、より現実的なアクションを考える→Step 4「意見」ができる→Step 5 批評・反論を自分のものにして意見を磨き上げる としている。 目次は以下のとおりである。
Lesson 1 「自分の意見」の作り方―なぜ、私たちは「想定外」に弱いのか
Lesson 2 理解を深める―「事実らしきもの」を前に考えをとめない
Lesson 3 視点を増やして発想を広げる
Lesson 4 未来のシナリオで現実的な選択肢を手に入れる
Lesson 5 上手に「意見を交換する」ために欧米人が持っているルール
Last Lesson 「?」に気づくことが「考え」のはじまり

新刊
『a big a cheeseは「大きなチーズ」ではありません』(ディスカヴァー携書)
黒木登志夫(著)、192ページ、ディスカヴァー・トゥエンティワン (2013/6/27)、1,050円

ネイティブらしい英語表現を扱っている。 ・a blue rose (存在しないもの、無理な相談)・a bus girl (食堂のテーブル後片付け係・black sheep(一家の恥さらし、変わりもの) ・Say When.(どのくらいでいいのか適量の時にそれで良いと言って) ・No sweat.(汗もかかない。楽勝だ) ちなみにa big cheeseは「重要人物」 これらはいくつかの中学校で習ったやさしい単語からなっているが、直訳しても意味をなさないものである。本書は、なぜそのような意味になるのかを解説している。英語の文化であろう。

旧刊
『言葉の海へ』(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)
高田宏(著)、237ページ、新潮社 (1978/07)、中古品

本書は、MLメンバーの小梶先生に紹介して頂いたもので、本書単行本は、1984年に文庫本にもなった。比較的最近洋泉社新書MCで発行されている。大佛次郎賞受賞作をとったこの作品は、賊軍であった仙台藩の大槻一族、大槻文彦が明治時代の日本の文化支柱を紹介するために、『言海』を17年の月日をかけ編んだ物語である。政治的に活躍することがヒーローに思われがちだが、蘭学者の系譜を持つ大槻文彦の文化的偉業もヒーローが成せることである。本書では、近代国家日本の確立のため献身した一人の明治人の姿が激動の時代にあわせて感動的に描かれている。のちに『大言海』と改編された。現在では、新しい語彙をまとめた『広辞苑』『日本国語大辞典』『辞林』などが発行され辞書的価値は薄れているが、『言海』に記された例文は、大槻の苦心そのものであり、一読の価値がある。『言海』はちくま学芸文庫から復刻されている。

旧刊
『コクヨの1分間プレゼンテーション』中公新書
下地寛也(著) 、189ページ、中経出版 (2011/8/26) ¥ 1,500

「1分間で「疑問」を投げる,「結論」を述べる,「理由」を説明するのがポイント」と1分間スピーチの極意を解説している。端的に相手に納得してもらえる身近な説明ができる技術はマスターした方が良い。授業でも、だらだら説明するのではなく、ちょっと疑問を与えて、答えをだし、その理由を述べる.そうして説明技術も効果があると思われる。最近、TVで流行した「いつやるの?今でしょう。」も似たような形式の語りである。

旧刊
『Art 1 誰も知らない「名画の見方」』(小学館101ビジュアル新書)
髙階秀爾(著) 、191ページ、小学館 (2010/10/1)、¥ 1,155

秋は芸術に親しみたくなる季節である。心豊かにありたいと願う。美術館で名画と向き合い、クラシックが流れる喫茶店で暫し休憩する。心地よいときの流れがそこにはある。人生の潤いでもある。そんな「名画」にも、絵画鑑賞をより楽しく充実させるための、「見方」がある。本書は、八つのテーマに分類された「名画の見方」に基づき、日本を代表する美術史家である著者が、巨匠たちの手になる名画の数々を例に、具体的にわかりやすく解説している。たとえば表紙絵画のフェルメール、「目の白い点ひとつで生命観を生みだしている」とある。そうだなあと納得する。名画をのよいところを見過ごさないように、より深く見てみたいものだ。

8月の書籍紹介

新刊
『先生!』(岩波新書)
池上彰(編) 、272ページ、岩波書店 (2013/7/20)、 861円

たまたま、書店に飛び込んで見つけた最新刊本。「先生!」――〈この言葉から喚起されるエピソードを自由に書いてください〉。池上彰さんの呼びかけに、学校現場で教えている人、作家、医師、職人、タレントなど、各界で活躍の27名が応えた。
池上氏がエッセイ執筆依頼をお願いした呼びかけ文が前書きにあった。
教育現場をめぐっては、このところ心痛む事件が相次いでいます。事件を受けての学校や先生、教育委員会、首長の対応にも首を傾げることが多く、一段と情けない思いが募っています。
こうした状況もひとつの原因なのでしょうが、安倍政権は「教育再生会議」を再開させました。でも、この名称に、私はひっかかるのです。「再生」と銘打つということは、いまの教育が「死んでいる」と決めつけているようにも思えるからです。 それは、本当でしょうか。海外と日本の教育現場を見てきた私からすると、日本の教育レベルは、まだまだ世界に誇っていいことがたくさんあると思うのです。まだまだ日本の教育は死んでいないと思うのです。それは「学力」に関しても同じです。「学力」とは何かを考えることなく、安易に「学力低下」という言葉を使ってほしくないと思ってしまいます。
おっと、思わず悲憤懐慨してしまいました。
日本の教育が厳しい状況になっていることは確かでしょうが、現場の先生たちの頑張りで、かろうじて高いレベルを維持できているのも事実です。そんな先生への期待が高いがゆえに、先生への批判も高まるのでしょう。先生への批判は、高い期待の裏返しでもあると思うのです。 そんな先生たちを励ます本を世に出したい。これが、私と編集部の共通の認識です。この本のタイトルは『先生!』です。「先生!」と呼びかけるのは、生徒の立場からでしょうか、保護者の立場からでしょうか、同僚の先生の立場からでしょうか、あるいは、自分自身に向かってでしょうか…。
いろんな思いの詰まった本ができれば、こんなにうれしいことはありません。
この本の企画を、編集部は「冒険に出る」と表現しました。きっと、私を編者にしてしまったことが「冒険」なのでしょう。どうせなら、あなたも、この「冒険」に参加してくださいませんか。素敵なエッセイをお待ちしています。

【執筆者】太田光、押切もえ、しりあがり寿、乙武洋匡、天野篤、平田オリザ、山口香、パックン、武田美穂、武富健治、鈴木邦男、山口絵理子、関口光太郎、鈴木翔ほか

新刊
"The Strategy Factor in Successful Language Learning (Second Language Acquisition)"
Carrol Griffiths(著) )、220ページ、Multilingual Matters (2013/5/15) ¥4,561

本書の表紙裏の内容紹介には、This book addresses fundamental questions regarding the relationships between successful language learning and strategy use and development according to learner, situational or target variables. It considers strategy effectiveness from an individual point of view and discusses pedagogical issues, especially relating to teacher perceptions and training, classroom and learner factors, methodology and content. The book begins by discussing underlying theoretical issues and then presents evidence from empirical studies; in addition to presenting a quantitative view, the book also takes a qualitative look at strategy use by individuals. Rather than focusing on strategies divorced from the "real world" of the classroom, this book explores the issues from the teaching/learning point of view.とある。
イントロダクションとして、A personal perspectiveにあるようにthe potential of strategies to enhance learningがその出発点である。

旧刊
『知的文章とプレゼンテーション―日本語の場合、英語の場合』(中公新書)
黒木登志夫(著)、242ページ、中央公論新社 (2011/04)、840円

帯に、「40年にわたって論文執筆と審査に携わってきたがん研究者が、卒業論文から学会発表まで、説得力あるドキュメントと惹きつけるプレゼンテーションの極意を指南する。文系、理系を問わず、知的三原則"簡潔・明解・論理的"がその秘訣。三原則にしたがって論文、申請書をどう書くかを具体的に説明する。グローバル化が進む21世紀、英語とのつきあい方、学び方についても実践的に説く。待望の知的表現力講座開講」とある。第二章の日本語は非論理的かでは、「雨にも負けず」の詩を用いながら、その英語訳の苦労話を元に、日本語の主語を省く表現の妙味を語っている.第7章の英語の世紀を生きるはなかなか見識ある著者の考え方が次々に繰り広げられている。理系の人が読むだけでなく、英語教員にとっても示唆的である。

旧刊
『よくわかるコミュニケーション学』(やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)
板場良久、池田理知子(著)、201ページ、ミネルヴァ書房 (2011/04)、2,625円

コミュニケーションを豊かにすることは、伝え合うスキルを磨くことを必ずしも意味しない。個人や集団、国家などの様々な次元においては、話し合えば話し合うほど、わかり合えないという事態に陥ることもある。わかり合うためのコミュニケーションでなく、わかり合えないからコミュニケーションをする。伝え合えないコミュニケーションはいけないのか。そうしたことからコミュニケーションをとらえていく必要があるだろう。広く深くコミュニケーションを考えるための基本的なことを示している。 Ⅰコミュニケーションという力 Ⅱメディア  Ⅲ個人・家族  Ⅳジェンダー・セクシュアリティ  Ⅴ文化  Ⅵ記号の力  Ⅶ教育   Ⅷ精神  Ⅸ社会思想としてのコミュニケーション

旧刊
『The Debatabase Book: A Must-Have Guide for Successful Debate』
International Debate Education Association(著)、227ページ、Intl Debate Education Assn; 5版 (2011/03)、3,020円

私自身は学生時代ESSのディベーターで、京都の大会や西日本の大会で鍛えられ、以来debate的な発想、判断力の速さなどを大切にしている。その際、何について考えるか適切な論題リストがあると、その訓練ができる。本書は、各種幅広いテーマについてのPro/Conの意見がわかりやすく載っている。本来はnative用に編纂されたものだが、外国語として英語を教える際の教材準備にも役立つ。そのまま教材として提示し、論点などをまとめさせる作業を行うことで、生徒の思考を育成することができるのではと思う。This book provides background, arguments and resources on over 130 debate topics in areas as diverse as business, science and technology, environment, politics, religion, culture and education. All topics have been updated and new topics added for this edition.

旧刊
『英文法の魅力- 日本人の知っておきたい105のコツ』中公新書
里中哲彦(著) 、212ページ、中央公論新社 (2012/5/24) ¥ 777

帯には、「英語の骨格を身につけよう」とある。してその解説に、日本人にはなかなかピンとこない、ネイティヴ・スピーカーの感覚。なぜ仮定法は過去形を使うの?「あのね」「ノッてる?」「クール・ビズ」を英語でいう と?英文法についての一〇五の質問・疑問を、「語源」「語彙」「語感」「語法」「語義」「誤解」の六つのカテゴリーに分けて回答しました。文法の秘密をひもとけば、奥深い英語の文化が見えてくる。こなれた英語、ツウな英語を身につけたい人必見の一冊。
前著『英語の質問箱』の続編である。ジャンルを6つ(語源、語彙、語感、語法、語義、誤解)に分類している。左ページの最初に読者からの短めの「質問」があり、その後に著者の「答え」が続く構成となっている。"I'm the coffee."の解説は、ネイティブにそのとおりなのか訊いてみたいと思った。

旧刊
『いちばんやさしい教える技術』
向後千春(著)、192ページ、永岡書店 (2012/4/16)¥ 1,050

現在、和歌山の那賀高校の加藤先生教えていただいた一冊である。学校の先生だけでなく、ビジネスマンの上司として指導する人のためのスキル本である。教員は、往々にして「教えたつもり」になっていることが多くないだろうか.それを解消することをねらいとしている。
1章:「おしえること」を学ぶ前に知っておきたいこと
2章:「おしえる」ってどういうこと
3章:あなたの「教えたいこと」はどのパターン?
4章:押さえておきたい「教える」の基本
5章:学ぶ人を納得させる教え方
6章:相手に理想的な態度を教えたいときは
で構成されている。

旧刊
『消える学力、消えない学力 算数で一生消えない論理思考力を育てる方法』ディスカバー新書
田中保成(著)、252ページ、ディスカヴァー・トゥエンティワン (2008/8/18) ¥ 1,050

表紙裏には、「受験が終われば消えてしまうような暗記だけの学力とは違って、論理的に考える力を鍛えれば、算数ができるようになる。そしてそれは、将来、自分の頭だけを使って考えなければならないときにも不可欠となる「消えない学力」なのだ。ーー30年にわたり、学習塾で小学生に算数を教えてきた著者はこう考えます。では、この論理思考力はどのように鍛えればいいのでしょうか?算数問題を解く場面ごとに10のスキルに分け、それぞれの活用法と養成法を紹介した本書は、これまでの算数教育書では得られなかった目を見はるような効果を、あなたのお子さんにもたらすこと」と紹介しています。英語はさておき、「算数はひらめきではない、論理思考力だ」というが、英語教員としても数学的な発想は多いに役立つであろう。

旧刊
『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』
飯間浩明(著) 、320ページ、日経ナショナルジオグラフィック社 (2011/12/15)、¥ 3,990

著者は、「自分の考えたことを文章にして、読者に間違いなく伝えるには、どうすればいいのだろうか?そのためには、「クイズ文」という〈問題〉〈結論〉〈理由〉という形式に従った文章を書けばいい。なぜなら、この形式は、読者と一つの問題意識を共有し、かつ、読者を一つの結論に導くためのものだから」と述べている。これが、著者が一番力説していることである。物事を考えるには「問い」が必要であるということであろう。何を述べたいのか、そのthesis statementは何なのか、それを見極めなければ、後は続かない。本書は、ディベート的な考え方を学ぶ入門書としても活用できる。

旧刊
『くまのプーさん 心がふっとラクになる言葉』
PHP研究所(著) 、128ページ、PHP研究所 (2012/5/2)、¥ 560

夏休み、やはり精神的にも一休みしたい。好きな小説を読むことも息抜きになるが、こうした癒やし系のミニ本も寝そべりながら読んでみるのもいい。本書は中国古典の『老子』『荘子』の言葉、いわゆる道教の無為の自然の教えを拾い集め、英語表記もしている。プーさんの挿絵とそぐわないようだが、頑張りすぎて疲れてしまったとき、うまくいかないことがあったときに、つらい気持ちを、一人でかかえこんでいる人にはお勧めしたい一冊である。
★のんびりするの、忘れてない?
★できないことがあって当たり前
★こころがよろこぶことが、いちばん
★すべての出会いは、必然だ
★小さな世界を、大きく楽しむ
プーさんと一緒に一休み。

旧刊
『面白すぎて時間を忘れる心理テスト: 気になること全部! 心の「ヒミツの扉」を開ける50問』
中島真澄(著)、234ページ、三笠書房 (2012/8/30)、600円

まじめに読む本ではない。頭の柔軟体操として軽く読む。異種の癒やし系の本と私は考える。Test 20では、スカイツリーと東京タワーが話をしています。問い1、スカイツリーは東京タワーに何と言っているでしょうか。思いつくままに応えてください。問2、東京タワーはスカイツリーに何と言っているでしょうか。思いつくままに応えてください。これでライバル意識度を測ることになっている。言葉遊びの一つと思ってさっと読まれてみてはいかがですか。

7月の書籍紹介

新刊
『学校では教えてくれなかった英語「ごちそうさま」を英語で言えますか?』
ディビッド・セイン(著) 、252ページ、アスコム (2013/3/22)、¥ 1,000

「ごちそうさま」は英語で何と言うでしょうか。 "I finish eating." でいいかな。何でもかんでも日本語を直訳する癖が抜けません。日本文化と英語文化の違いがあります。"That was delicious!" と表現すれば、相手の方も喜んでくれます。いつもならのセイン流の通勤での英語用法の読み物として、頭の体操になる。他にも、
「行ってきます」
「おかえりなさい」
「とりあえず、ビール! 」
「おかわり! 」
「割り勘にしよう」
「おかまいなく」
「お先にどうぞ」
「これ、ほんの気持ちです」
読むだけで楽しめる。

旧刊
『ニッポンには対話がない―学びとコミュニケーションの再生』
北川達夫・平田オリザ(著)、207ページ、三省堂 (2008/04)、1,575円

帯に、『大切で美しいメッセージでも、対話のプロセスがなければ、人を説得する力は生まれない。「違い」を前提として互いの考えを粘り強くすり合わせていく対話の発想を軸に、気鋭・奇才のふたりが、教育と社会の再生を語り合う』とある。同調性が強い日本の社会では、教え込んで画一化した答えを求めがちである。日本人は、精神性を重んじ、武道に代表されるように「型」を大切にしてきた。統一された価値観を持つこと学びやすいことであるが、異質な価値観とのコミュニケーションが苦手になるという結果ももたらす。世界の中での日本は、わかり合えないこと前提に、だからこそ様々な考えや意見と対話することが必要なのであろう。これから何年か先、今より密度の濃い多民族国家に日本もなっているかもしれない。わかり合うコミュニケーション、察するコミュニケーションでは、対話にはならないであろう。コミュニケーションを教える英語科教員として必読の書である。

旧刊
『使える学力 使えない学力』
田中保成(著)、216ページ、ディスカヴァー・トゥエンティワン (2009/3/15)、1,050円

帯に、「自由作文の宿題が出たのだが、子どもが1行も書けずに困っている、という相談をよく聞きます。学校では、読解ほどは『書く技術』『話す技術』を教えてくれないのだろうか?」とある。今、求められている「思考力・判断力・表現力の育成」におおいに示唆となる書籍である。「自分の考えをまとめ、人にわかりやすく伝える」という高度なスキル、具体的には、1 十分な語彙を持ち、2 目の前の事柄を思考・判断して、3 自分の考えを筋道立てて話す(書く)であると、分かりやすく説明している。
InputからすぐにOutputというプロセスは無理である。そこにIntakeという段階が入る。思考のプロセスである。これが生徒にとってはlearningであり、教師にとってはteachingの段階である。その考えるという作業をどうしどうするか、我々教員の一番の仕事である。

旧刊
『日本人のための教養ある英会話』CD付
クリストファー・ベルトン(著)、285ページ、ディーエイチシー (2012/6/8)、1,995円

帯には、「幅広い知識と教養を英語で吸収する。スマートシティ、党議拘束、冤罪と刑事司法、食糧難、アルツハイマー、ターミナルケア、夫婦別姓、ルネサンス、テロ撲滅、動物の権利、宇宙開発、経済成長と豊かさの矛盾…国際人として知っておきたい40テーマを厳選」とあり、購入した。グローバル人材育成と世間はやかましい。単に書かれてあることのfactを回答するfact-findingの質問をしたり、information gapレベルの会話をしたりすることで、国際人に慣なれるものでない。knowledgeやwisdomを元にintellectualなやりとりができることが求められる。それには、幅広い知識屋見識が必要である。global人材の育成は英語科だけで考える問題ではない。リスニングだけで理解するのはやや難しいが、知的レベルのある教材として活用できるであろう。日本語ででもこのようなレベルの内容はしないであろう。そこに知的好奇心がうずく

旧刊
『すぐに役立つ! 365日の英語授業づくりガイドブック 授業の基本・文法指導編』
笹達一郎(著)、132ページ、明治図書出版 (2012/7/13) ¥ 2,268

週4時間となる英語授業で押えておきたいポイントを、実物ワークシートとともに詳しく解説したガイドブック。本書では、語彙やノート指導、板書、家庭学習指導、教科書の扱い方、テストなどの授業の基礎基本、生徒指導、文法指導など、中学校英語科教員向けの書籍である。
★授業の基本・文法指導編★
授業の基本編
(1)単語,語彙
(2)辞書の活用
(3)予習
(4)板書
(5)ノート
(6)復習・宿題
(7)教科書の扱いについて
(8)テスト
(9)ルーティン化の効用
生徒指導編
(1)英語授業の生徒指導について考える
(2)学ぶルールを身につけさせるために―ちゃんと授業を受けられるようにするために―
(3)学ぶ意欲をもたせるために―やる気をもって授業を受けさせるために―
(4)「やる気をもってちゃんと授業を受けられる」,その先(の先)へ
文法指導編
(1)中学生に文法を説明することは難しい
(2)ワークシートによる文法説明の「落とし穴」
(3)授業中のドリルをどうするか
(4)「楽しい文法説明」は可能か
(5)英語授業の新しいスタンダードを目指して

6月の書籍紹介

新刊
『学力幻想』(ちくま新書)
小玉 重夫(著)、221ページ、筑摩書房 (2013/5/7)、798円

「ゆとり教育による学力低下批判の出所は、経済産業省であり、省庁間ヘゲモニー抗争での文科省パッシングである」とのっけに書かれている。各教科の学力低下の元凶と「総合的な学習の時間」がやり玉に挙げられたが、今求められている活用型の授業の原点は、ゆとり教育推進に生まれたこの「総合的な学習の時間」である。これは自分で考え手課題などを設定し、リサーチしたりして学ぶ時間である。考える力が要る授業である。「総合的な学習の時間」という総合学習は減らして世論のバッシングをうまくかわして、思考力・判断力・表現力の育成を各教科に課したのである。また、この「総合的な学習の時間」は学力格差を生んだとされている。親が指導したり、インターネットの扱える環境がある子どもなどは学力が伸びたが、不十分な環境の子どもは差が付いたとあった。衝撃的な発言にびっくりしながら、「学力幻想」は子ども中心主義、やればできるとおもうことにあるとしている。授業は、「受業」になってはいけないという観点からだけで、教育を見るのではないとしている。「学びの社会性」「教えの公共性」など教育の本質を見ていくことが必要である。

新刊
『英対話力 コミュニケーションで出会うあたらしい自分』
宮永國子(著)、198ページ、青土社 (2013/4/24)、1,470円

帯に、「TOEICでは測れない本当の英語力のために―人類学者にしてライシャワー研究所(ハーバード大)研究員、英語塾も経営する著者が教える、英語でいちばん大切なこと&最先端の発想法」とある。
最初にアメリカでのエピソードを語っている。ハンバーガーショップでレジ前で並んでいたとき、2番目に並んでいたが、となりのレジが空いたのでそちらへまわったら、Ⅰ番目に待っていた女性が、I'm first.と割り込んできた。並んでいた列のレジ係がなにかの都合で離れclosedになったからであった。事態に気がついたので彼女に順を譲るが、それでも怒りの顔はおさまらない。このままで不愉快と思い、彼女にこう告げた。
日本人:"I said sorry. I did not mean it."
女性:(silence.)
日本人:"Why are you looking at me? Any more problems?"
女性:"Problems? How dare you ask me?"
日本人:"I know what you are thinking. But as I said, I didn't mean it. I could not catch what they were talking to each other. That's why I …"
女性:"Oh my Gosh! Crazy!"
と言ったきり怒って帰って行きました。
さてどうしてそうなったのでしょうか。理由が分からない人はこの本を読んでみてください。

新刊
『コミュニケイションのレッスン』
鴻上尚史(著)、288ページ、大和書房 (2013/5/19)、1,575円

「コミュニケイションは技術」という視点から、どうやったら、あなたのコミュニケイションのレベルが向上するかを伝え、練習方法をアドバイスした本です。30年間、演出家をやりながら、ずっとコミュニケイションに関して考え、実践してきたことをまとめたと著者は述べている。  冒頭に「世間」と「社会」の概念の違いをもとに日本人と西洋人のコミュニケーションの取り方の違いを解説していることを読んで、ちょっと読みたくなって立ち読みから購入した。「世間」とは、あなたトリガイ・人間関係があるか、将来、利害・人間関係が生まれる可能性がある人たちのこと。一方、「社会」とは。今現在、あなたと何の関係もなく、将来も関係が生まれる可能性が低い人たちのこと、とし、日本人は「世間」は気にして話したりするが、「社会」となると無関心になり、公共の空間では相手とは無関係な世界に入り込む。電車の中で化粧をする、年配の方に気を遣わないなど、「社会」にいると思えば気にならなくなるという傾向がある。西洋では「社会」しか存在しない。コミュニケーションはそうしたことも考えて取り扱うべきである。

旧刊
『ビジュアル 1001の出来事でわかる世界史』
ダン・オツール(著) ナショナルジオグラフィック(編)、
420ページ、日経ナショナルジオグラフィック社 (2012/2/23) ¥ 3,990

帯に「人類の起源から2011年まで―1001の出来事で世界がわかる。ほかに類をみない歴史書。世界史を7つの年代に分け、さらにオリジナル年表で時代の概観を一目瞭然に把握。376点の写真と図版。「腕時計は誰が発明したか?」「最初の地図は?」どこからでも読める話題が満載」とある。
■世界史の歩みを7章に分け、各章毎に4ページの概説と詳細な年表を加え、歴史の流れを概観。2011年の東日本大震災を追加。
■年代順に配列した1001項目の解説により、数千年の歴史的な出来事を要約。
■373枚の写真、図版を掲載。
■336点の「補注」で、出来事に関する追加情報を提供。
■20点の「もっと詳しく」コラムで、見開きの図版を使ってビジュアルに解説。
■41点の「歴史の断面」コラムで、一連の出来事の関係を解説。
■48点の「歴史の一節から」コラムで、歴史上の人物の記録や文学作品を紹介。
している。分厚くて、オールカラー。色鮮やかな絵や写真が満載。科学技術や文化的な偉業を高く評価する傾向がある。日本の「源氏物語」が絶賛されているところや、「歌舞伎の始まり」もある。教員の一般教諭として読む価値のある書籍である。

旧刊
『ピュリツァー賞 受賞写真 全記録』
ハル・ビュエル(著) ナショナルジオグラフィック(編)、
320ページ、日経ナショナルジオグラフィック社 (2011/12/15)、¥ 3,990

本書の帯に、「アメリカで最も権威ある賞のひとつ、ピュリツァー賞。最初の受賞写真は、自動車工場でのストライキを写したものだった。その後70年間に受賞作が伝えたのは、ベトナム戦争、冷戦、アフリカの紛争、イラク、アフガニスタン、噴火、地震、津波。写真家が全身全霊をかけて切り取った1枚の写真に、時代のすべてが映し出されている。」とある。
<収録内容>
第一期(1942-1961年) 大判カメラの初期とピュリツァー賞受賞作品
第二期(1962-1969年) カメラの小型化、ベトナム戦争と公民権運動
第三期(1970-1980年) 新たな賞、特集写真部門の創設
第四期(1981-2002年) カラー写真、デジタル化、女性写真家、アフリカ
第五期(2003-2011年) デジタル革命
写真から何かを表現させたり、背景知識の補助資料になったりする。三省堂の中学校の教科書にある、「はげわしと少女」を撮影したケビン・カーターの最後はちょっと悲しい。写真をじっくりと読む本である。

5月の書籍紹介

新刊
『東日本大震災—3.11あの日を忘れないでほしいー』
土木学会誌編集委員会(編)、588ページ、丸善株式会社、3,990円

責任編集者の坂井康人君は、直接教えたことはないがN高校での教え子のひとりである。現在、阪神高速道路株式会社に勤務する。毎日遅くまで働く彼の姿はFACEBOOKで知ることができる。さて、この書籍は土木学会が2014年に創立100周年になることを記念して出版されたものである。いわゆるジャーナリストが震災を綴ったものでない。土木・建設関係の学者や建設会社の人々、被災地の市長村の関係者、被災地域の人々らがその人達の観点ら見た、復旧から復興への取組をまとめている。初動体制から応急復旧にどう取り組んだか、建設会社の現地支援、岩手・宮城・福島三県の復興状況やこれからの土木を見据えた社会基盤施設の復旧・復古のあり方など、「現場の生の声」を拾い集め記録としてまとめている。書店には並ばない東日本大震災の復興を捉えた1冊である。
 阪神大震災も途方もない災害であったが、東日本大震災は津波の襲来により広範囲にわたった大災害となった。遺体捜索中のなか、津波で吹き飛ばされた三陸鉄道の橋梁、市街地に乗り上げた状態の船や無残にも積み上げられた瓦礫、更に散乱した衣服や写真アルバム、一瞬に壊滅した状況を目の当たりにして言葉を失ったと4月に現地に入った坂井君はあとがきに書いている。東日本大震災が、甚大な津波、地震による災害とともに、福島原発事故による放射能汚染という目に見えないものとの戦いと災害の性格が異なるものへの対応の困難さを指摘している。震災後2年、震災のことの風化が懸念されるなか、現地でまだ戦っている人々に思いを馳せ、震災を忘れないためにも、またこれからの対応を考えるためにもまとめた記録誌と綴っている。

旧刊
『言葉と発想』(放送大学教材)
伊藤笏康(著)、294ページ、放送大学教育振興会 (2011/03) ¥ 3,150

「言葉がわかる」ということはどういうことなのか、それが放送大学のテキストでもある本書の出発点である。言葉を見つめる目として、仕事言語と生活言語からはじまり、話し言葉と書き言葉のそれぞれの有用性を捉えることで、言語とは何かを根本的に考えさせようとしている。国際共通語である英語を話せるようにという一方的な方向に流れるのでなく、英語という言語持っている言葉の捉え方をしっかり知ることによって、「言葉がわかる」という実感を持たせようと、英文法の概念を解説している。良書である。

旧刊
『コミュニケーション学―その展望と視点』
末田清子、福田浩子(著)、203ページ、松柏社(2003/04)、¥ 1,995

本書は10年前の放送大学のテキストである。高等学校では、「英語の授業は英語で」と本年度から学習指導要領が施行された。まず英語を話すことありきから、議論が始まっているが、コミュニケーションそのものに対する概念をしっかり認識せずに「英語の授業は英語で」ということに流れていくことに、その効果に対し懸念を抱く。本書は、「コミュニケーションとは何か」「コミュニケーションとニーズ」「コミュニケーションの4つの視点」「文化に対する視点の多様化」「言語コミュニケーション(1)(2)(3)」「言語と文化の相互作用」「コミュニケーションの場と背景」「非言語コミュニケーション」「コミュニケーションの実践」と幅広くコミュニケーションをとらえ、その重要性を説いている。

旧刊
『心理学の本』(講談社現代新書)
渋谷昌三(著) 、319ページ、西東社 (2009/11)、¥ 1,365

本書の構成は2ページで一つの表題が完結していて、右ページには大まかなあらすじ、左ページにはまとめの図があり、重要用語は太線で記述されている。心理学のことをあまり知らない初心者が、浅く広い知識を得ることができる書籍である。教職という仕事は時に精神的なストレスを感じたり、生徒のことで悩んだりすることの多い職業である。気持ち、性格、考え方、記憶力、心の病…人それぞれに異なる心の世界を知ることを通して、自分の気持ちの切り替えや、そうなのかと気を楽にすることができる気軽に読める一冊である。

旧刊
『英語で人生を変える』(じっぴコンパクト新書)
三浦 哲 (著) 、175ページ、サンマーク (2007/9/18)、¥ 1500

「生きた言葉の力をもつ英文を集めた」と著者は述べている。先生の中には教室に名言を週単位で掲示されている方も多いと思う。日本文よりも、時に英文がその明確な表現で潜在意識の奥の奥までしみこむ時がある。
Without a sense of urgency, desire loses its value. Jim Rohn
ポイントはこの "desire"——言い言葉だ。 "wish" や"hope"だと少し弱い感じがする。「一刻も早く手に入れたい」そういう喉の渇きにも似た感覚が "desire"。身体の細胞すべてがそれを星買っているような渇望間のことだ。この感覚を呼び起こしたかったら、「達成したいこと」に「期限」をつけてみよう。「今すぐ!」の感覚を出すことで、心から「やりたい!」という気持ちが高まる。そして、この気持ちであなたの身体の中を満たすと、それを手に入れるためにやるべきことが、自然と目の前に表れてくる。
こうした英語語句の解説も分かりやすくてよい。先生自身が気の滅入っているときなどに読んでも言い。 暗唱用文例にほどよい金言・格言を付録のCDを聴いて、今日のひと言英文と教室で紹介してもよい。

4月の書籍紹介

新刊
『アメリカ一日一言』(NHK出版新書 395)
大村数一 (著), 寺地五一(著)、255ページ、ジャパンブック (2012/07) ¥ 1,575

1年365日、一日一つ、アメリカの歴史に残り、生活の中に生きている言葉を掲載している。会話のスパイスになるエピソードを英語教員としても知っておいたほうがよいだろう。また、時々教室で披露するのもいいであろう。
ちなみに4月4日 (1968年のこの日として)
Robert F. Kennedy キング牧師の暗殺を伝えるロバートケネディ  Ladies and Gentlemen, --- I have some---some very sad news for all of you--- Could you lower those signs, please? --- I have some very sad news for all of you, and, I think, sad news for all of our fellow citizens, and people who love peace all over the world; and that is that Martin Luther King was shot and was killed tonight in Memphis, Tennessee.
インディアナポリスで民主党の大統領候補指名選挙の演説を行おうとしていたロバートケネディが、飛び込んできたキング牧師暗殺のニュースを聴衆に伝えた言葉である。このあと彼は、「私の兄も白人によって殺されました」と語りながら、黒人と白人の融和を呼びかける即席の演説をした。この演説のおかげで、他の60以上の年では暴動が起こったが、ここインディアナポリスでは起こらなかった。しかしながら、わずか2ヶ月後このロバートが暗殺された。
4月14日 リンカーン暗殺
有名俳優のJohn Wilkes Boothは南部連合の熱狂的支持者だった。 暗殺後、シーザー暗殺のブルータス気取りで舞台に飛び上がって言った言葉:
Sic semper tyrannis! (Thus always to tyrants!) The south is avenged! ラテン語だった。
12日後、農家に潜んでいるところを発見され射殺された。

新刊
『異文化コミュニケーション論グローバル・マインドとローカル・アフェクト』
八代智子、久保田真弓(著)、320ページ、松柏社; A5版 (2012/10/20)、¥ 1575

帯に、「固定的な捉え方を超えて、文化やコミュニケーションのダイナミクスに注目し、多文化を生きる力、グローバル・マインドとローカル・アフェクトを提案する」とある。 internationalizationは、国と国との関係が緊密になる状況、globalizationは経済や社会の活動が国家や地域の境界を越えて地球規模に拡大していくことによって引き起こされる様々な現象と捉えている。「ピアノを弾いてその音色をYou Tubeにアップしたところ、それを聞いたスイス人から連絡があり、メールのやりとりが始まった。その後日本に遊びに来た」「大手家電量販店では、中国人や韓国人の店員が、中国や韓国からの観光客の対応をしている。日本人職員も毎朝中国語の挨拶を練習する」など、コラムに様々な例を挙げて、身近な異文化との出会いに必要な感性としてのローカル・アフェクトの大切さを伝えている。アクティビティやディスカッションなどの差し込みが中学・高校の授業で使える活動であろう。

新刊
『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か』(講談社現代新書)
平田オリザ(著) 、232ページ、講談社 (2012/10/18)、¥ 777

近頃の若者に「コミュニケーション能力がない」というのは、本当なのか。「子どもの気持ちがわからない」というのは、何が問題なのか。いま、本当に必要なこと。現在、企業が要求するコミュニケーション能力とは、「グローバル・コミュニケーション・スキル」=「異文化理解能力」。つまり、グローバルな経済環境 の中においても価値観や文化が異なる人の意見を理解した上で、自らの考えを主張して説得したり、妥協点を見いだしたりすることができること」と、劇作家であり、阪大のコミュニケーションデザインセンター教授である著者は語る。「対話」する力はわかり合えないことから生まれる。自然とわかり合ったりするものでなく、言葉を尽くしてもわかり合えないことを少しでもわかり合うようにする対話こそ語今本当に必要なことと著者は述べている。

新刊
『This is a pen.からやり直す カンタン上達、英語のツボ 』(じっぴコンパクト新書)
大山昌宏 (著) 、208ページ、実業之日本社 (2013/3/14)¥ 800

中学校の基本的な内容で、理解できていそうで理解できていないポイントを押さえ、ここが分かったら理解が一気に深まるだろうと解説している。後半やや公式的な説明の部分もあるが、中学生に文法を教える際のツボとして目を通しておくと役立つであろう。

新刊
『一生モノの英語勉強法――「理系的」学習システムのすすめ 』(祥伝社新書312)
鎌田裕毅、吉田明宏(著)、280ページ、祥伝社 (2013/3/2)、¥ 861

「本書では、英語の学習そのものを「理系的」に解体して、効率的に上達するためのコツをわかりやすく提示します。つまずきの場所やステップアップの勘所をつかめば、一生モノの英語力を身につけることができるのです」を売りに英語の勉強法をあの人気京大教授が語っている。理系的学習法というのかどうかは別として、英語の勉強の仕方を著者の考えで整理している。
The man made for the exit. これはどのような意味か?makeを作ると概念で縛っているとわからない。前置詞の意味合いとどう絡むのか、そうした構造的な理解も大切である。

旧刊
『英語の感覚・日本語の感覚―"ことばの意味"のしくみ』(NHKブックス)
池上嘉彦 (著) 、249ページ、日本放送出版協会 (2006/08) ¥ 1,019

John showed Mary a photo.とJohn showed a photo to Mary.この2つの意味の差はどこにあるのか?一見同じような英文でも、場面や文脈によってニュアンスに差が出る。認知言語学の視点から、日本語との比 較をふまえ、文法書や辞書だけでは決してわからない、英語の豊かな意味の世界に分け入る。英語らしさ・日本語らしさといった、言語に固有の感覚を明らかに しながら、ダイナミックに変化することばの本質を鮮やかに示すとある。
 確かに中学・高校での英語の授業では上記の英語はどちらも同じ意味ですとやってしまいがちである。文末焦点の英語では、What did John show Mary? とWhom did John show a photo?に対する回答という意識がある。言葉の本質を知ることは言語文化を知ることで、学びには欠かせない要素であると思う。

3月の書籍紹介

新刊
『知の逆転』(NHK出版新書 395)
ジャレド・ダイアモンド (著), ノーム・チョムスキー (著), オリバー・サックス (著), マービン・ミンスキー (著), トム・レイトン (著), ジェームズ・ワトソン (著), 吉成真由美 (その他))、304ページ、NHK出版 (2012/12/6) ¥ 903

元NHKのディレクターのサイエンスライターによる、『文明の崩壊』の著者ジャレド・ダイアモンドや言語学の世界的第一人者チョムスキーなど6人の知の巨人たちへの質の高いインタビュー集
・現在のように消費量の格差がある限り、世界は不安定なままです。ですから安定した世界が生まれるためには、生活水準がほぼ均一に向かう必要がある。たとえば日本がモザンビークよりも100倍も豊かな国であるということがなくなり、全体の消費量が現在より下がる必要があります。(p30)
・重要なことは先生と生徒の間のポジティブな関係だと思います。そして、もちろん情報を教えることも重要ですが、最も生徒を生き生きと興奮させるのは、先生の情熱です。たとえば私の生物の先生から何よりもわれわれ生徒に伝わってきたのは、その先生がいかに自然や動物が好きか、どんなにそのことを話すのが楽しくて仕方がないかという彼の情熱でした。(p156)
・本来、人はみなそれぞれ異なっているのに、同じだとみなさなければいけなくなってきている。同時に、あるもののほうが別のものよりもいいという言い方は避けて通るようになってきてもいる。だから、どの花も全て同じように咲くんだという。ごまかしです。(p274)

新刊
『ほんとうの英語の冠詞の使い方』
デイビッド・セイン、森田 修、 古正 佳緒里(著)、166ページ、研究社 (2013/1/23)、¥ 1575

冠詞の参考書は山ほど出版されている。本書は、冠詞の意味合いを「感覚的」に身につけ、そのルールを(暗記ではなく)直感的に判断しようと試みるものである。
以下の3つの文を「冠詞のニュアンスを出して」日本語に訳してみる。
1. John has a cat.
2. John has the cat.
3. John has cat.
1は「ジョンはネコを飼っている」
2は「ジョンはネコのほうを持っている」
3は「ジョンはネコ肉を持っている(?!!)」
こうした意味合いを教室でさっと簡単に説明すれば、冠詞への抵抗感は少なるなるのではないか。

新刊
『英語のロジック』
一般社団法人 日本論理検定協会(著) 、224ページ、研究社 (2013/1/23)、¥ 1575

学校英語で世界と戦え!と帯にある本書の「はじめに」には、
ロジック力は論理力と訳されています。論理というと難しい印象を持たれるかもしれません。しかし、難しく考える必要はありません。情報を切り取り、つなぎ、そして発信する。この一連の活動を根底で支える考え方一それがロジックです。ロジックをこのように捉えると、実はロジック力はコミュニケーション力だということがわかります。コミュニケーションとは相手との情報のやりとりだからです。
ロジック力は能力というよりも技能です。技能は訓練によっていくらでも伸ばすことができます。実は、私たちはすでにこのロジック力という技能を、頭の中のいろいろな引き出しに断片的に詰め込んでいます。学校の各教科でこの技能を学んでいるからです。ただ、はっきりとした形で言語化し、体系的に学んでいません。引き出しに無造作に詰めこんであるだけです。この知識を自分のツールとして活用するためには、体系的に整理する必要があります。ただし、この作業は、単に頭の中で知識を整理するだけでは十分ではありません。実例で繰り返し練習し、知識の使い方を身につけることが必要です。
世の中には、一見もっともに思える大げさな議論が少なくありません。このような議論に接したときこそ、ロジックの出番です。ロジックを駆使して、議論の本音の部分をえぐり出す必要があります。そのためには、まずロジックの使い方を習得しなければなりません。最近、グローバル化の条件としてロジックの必要性を強調する意見を耳にします。しかし、ロジックの必要性の議論をしても、習得方法の議論をしなければ、そこからは何も生まれません。合理的な訓練によってロジックの基礎力を鍛えることで、初めてロジックは自分のものになるのです。
とあった。
「章単語ではなく構造」「論証の評価」「自分自身の論証の構築」「ロジックの基本」「ロジック力の測定」「ロジックの学習」がその内容である。

新刊
『英語はもっと科学的に学習しよう SLA(第二言語習得論)からみた効果的学習法とは』
白井恭弘 (著) 、207ページ、中経出版 (2013/1/31) ¥ 1,470

表紙カバーの裏に、英語が使えない人の理由は2つ。
「やり方が間違っている、効率が悪い」⇒"学習法"の問題
「学習にかける時間が不足している」⇒"動機づけ(モチベーション)"の問題
とある。
第4章は、「SLAの観点から答える英語学習法Q&A」には32の質問があり、それに答える形になっている。たとえば、「音読は効果があるか」には「意味を考えながらの音読でないと効果が無い」としている。原則的なことをまとめているが、少し具体例を出して説明してあると現場の教員にはもっと分かりやすいものになるのではないかと思う。

新刊
『生きた英語表現を楽しく学ぶ絵辞典』
マイケル バートン、Michael Barton、マーク テーラー、 テーラー 幸恵(著) 、104ページ、東京書籍 (2013/1/31)¥ 1.365

本書はもともと、自閉症スペクトラム障害の人とその周りで彼を理解し、支援しようとする人たち向けに英国で作られたものである。彼らが英語のイディオムやさまざまな表現をどのように捉えているかを視覚化し、また、どのように理解してもらうべきかを示している。
 視覚的に英語特有のフレーズを理解しようとするものである。教材提示機で生徒に見せたら生徒たち喜ぶ、一目で理解すると思われる。
It's raining cats and dogs. (It's raining really hard.)
You're pulling my leg! (You're joking.)
He went bananas. (He went crazy.)
I was over the moon. (I was very pleased.)
It's a piece of cake. (It's really easy.)
You're burning the candle at both ends. (You're getting up early and going to bed late.)
などと70個の英語イディオムが、ページごとにイディオム、そのイディオムを文字通りに解釈した場合の滑稽な絵、イディオムの意味を説明する英文というセットで紹介されている。

2月の書籍紹介

新刊
『ことばの発達の謎を解く』(ちくまプリマー新書)
今井 むつみ(著)、239ページ、筑摩書房 (2013/1/9) ¥ 903

単語も文法も知らない赤ちゃんが、なぜ母語を使いこなせるようになるのか。「子どものことばの発達の過程をたどることは、ことばを「使う」ためにことばの意味について何を知らなければならないのかを、私たちに教えてくれます。それはとりもなおさず、私たちが外国を学ぶときに、一つ一つの単語について何を知らなければならないかを教えてくれる、ということです。」と「はじめに」にある。昔、クラッシェンのinput hypothesisが発表されたあと自分の子どもがどのように言葉を覚えるかを研究していた学者がいたが、言語知識を無の状態からどう獲得していくのかそのプロセスを知ることは意味がある。外国語の、母語に置き換えて暗記した単語の意味と子どもが母語で習得した意味はどのように違うのか、それを知ることは外国語学習に役に立つはずである。
第1章 アラミルクガホシイノネ――単語の発見
第2章 ヘレン・ケラーのwater事件――ことばの世界の扉を開ける
第3章 歯で唇をフム――動詞の意味の推測
第4章 血圧がヤスイ――モノの性質、色、位置関係の名前の学習
第5章 ことばの発達の謎を解く――発見、創造、修正
第6章 言語が思考をつくる

新刊
『その返事、ネイティブはイラッとします 成功するビジネス英会話の極意』(朝日新書)
デイビッド・セイン(著)、224ページ、講談社 朝日新聞出版 (2013/1/11)、¥ 798

いつもながらのデビッド・セインの新書・文庫シリーズ。How are you doing? と言われて、 "I'm fine."とだけ答える日本人は多い。コミュニケーションとして会話と続ける意志がないと思われるこうした応答してしまうのは、次に何と言えば良いか思い浮かんでいないのだろう。本書は、返事のあとに続くワンランクアップのビジネス英会話フレーズを紹介している。
1章―挨拶のYES/NO
2章―電話のYES/NO
3章―オフィスのYES/NO
4章―休憩時間のYES/NO
5章―商談でのYES/NO
6章―クレーム対応のYES/NO

新刊
『間抜けの構造』(新潮新書)
ビートたけし(著) 、187ページ、新潮社 (2012/10/17)、¥ 714

高文脈文化に生きる日本人が持つ、「間」の感覚は英語には置き換えられないだろう。space, distanceではない独特の感覚である。この「間」をとれないことが間抜けということである。ビートたけしが、貴重な芸談に破天荒な人生論を交えて、この「間」を語っている。歌舞伎でも踊りでもその出来を左右するものは"間"であって、芸時を活かすも殺すも、"間"次第。
それだけ"間"というものは重要なんだけど、同時に怖い物でもあって、"間"を外せば、"魔"ともなる。そんな含蓄のある言葉と解説している。● すべての勝負事に必要なのは、相手の_間″を外すこと ●成功の秘訣は、時代の_間″をいかに読むか ●政治家はいつからこんな_間抜け″ばかりになったのか ●間抜け″とは、自分を客観視できない奴のこと、などさっと読める。

新刊
『きみはいい子』
中脇 初枝(著) 、318ページ、ポプラ社 (2012/5/17) ¥ 1,470

昨年末、滋賀県の新採の英語の先生の忘年会に招かれた。新任の先生だけでなく、彼らが信頼を置く先輩の先生や教頭先生も参加されたりする、オープンな集いであった。その時に知り合いになりました中堅のK先生から紹介していただいたのが本書である。紹介に、「ある雨の日の夕方、ある同じ町を舞台に、誰かのたったひとことや、ほんの少しの思いやりが生むかもしれない光を描き出した連作短篇集。夕方五時までは帰ってくるなと言われ、雨の日も校庭にたたずむ生徒と新任教師との心のふれあいを描く「サンタさんの来ない家」をはじめ、娘に手を上げてしまう母親とママ友との物語、ひとり暮らしが長くなった老女と、家を訪ねてきたある男の子との物語など、胸を打つ作品を五篇収録。人間の優しさとその優しさが生む光が、どれほど尊くかけがえのないものかをあらためて感じさせる感動作。」とある。K先生も涙無くしては読めなかったとおっしゃっていた。小学校の新米の教師が次第に子どもの本当を見つめていく姿など読むと、自分が教員になったころ目の前の生徒に熱くなって向き合っていたことを思い出す。

旧刊
"Doing Task-based Teaching"(Oxford Handbooks for Language Teachers)
Dave Willis、Jane Willis (著) 、278ページ、Oxford Univ Pr (Sd) (2007/4/26) ¥ 3,470

Jane Willis は、"A framework for Task-based Learning"でタスクベースの学びを紹介している。その指導法を夫婦でまとめた。"Gives a clear explanation of the basic principles of task-based teaching Contains many examples of tasks and lesson plans from teachers around the world Provides sample materials and lesson plans showing how to focus on meaning, language, and form Includes guidance on adapting existing course materials to include a task-based element Suitable for teacher training courses or for individual teachers Authors are leading world experts on task-based teaching"と紹介されている。

1月の書籍紹介

新刊
『学びの心理学 授業をデザインする』放送大学叢書
秋田喜代美(著)、244ページ、左右社 (2012/9/21) ¥ 1680

「はじめに」の冒頭に以下のような言葉がある。
人生で最も伸び盛りの児童期や青年期の大半の時聞を、子どもたちは学校という制度的な場で過ごす。その中で最も長い時間が授業である。だからこそ、どの子どもたちにとっても、授業は、仲間や教師と共に新たな世界と出会い、他者と対話する時間であり、新たな自分の可能性を見出し、自己を形づくる時間であってほしい。学校教育に関わる者なら、誰もがそう願っているのではないだろうか。
教師は、授業が子どもたちにとって意味ある内容となるように、学びの質をよりよくするべく知恵を絞り、教育の専門家として、多忙な日々の中でも子どもたちに心を砕き、向き合っている。それは、教師批判や学校批判報道がどんなに多くなされたとしても、私が出会ってきた日本の多くの教室で経験してきた事実である。 (後略)
これを読んで、本書が教師に寄り添う、教師を支援する意図で書かれた書籍であるとうれしく思った。「学びのシステムとしての授業」「教材からのたしかな学習」「教室における対話協同で学びあう関係づくり」など示唆に富む記述満載である。著者は授業研究の第一人者でもある。理論と実践をいかに結びつけるか、授業研究は学校の教員同士、大学教員との協同で行われて成果をみると思う。そしてそれの恩恵を一番受けるのは生徒である。教師は生徒のために存在する。帯には、「教師とは子供の成長を幸せに感じ、そのことで自らも成長できる専門家のことである」とある。

新刊
『判断力』を強くする - 正しく判断するための14の指針』(ブルーバックス) [新書]
藤沢晃治(著) 、177ページ、講談社 (2012/6/21)、¥ 840

書籍説明に、「狭い範囲でしか考えていない、目先のことに囚われる、優先順位を間違える、確率の小さな危険を過剰に恐れる、「疑う力」が不足している…から、あなたは悔やむことになる。「なぜ、あの時…」を二度と繰り返さないための鉄則集」とあって、すぐに購入した。文科省が進める「思考力・判断力・表現力の育成」を考える上で、何が判断の根拠となるかを整理して考えたいと思った。データをしっかり持っていることもさることながら、判断の基準をどう考えるかである。ビジネス向けの書籍であるが、考えるヒントを得ることができる。「因果関係を間違えない」「選択肢を多い目に設定する」「何が最も緊急か考える」「自分の思い込みを疑う」など授業の指導展開に必要な鉄則でもある。

新刊
『mini版 学校では教えてくれなかった ネイティブにちゃんと伝わる英単語帳』(アスコムmini bookシリーズ) [文庫]
デイビッド・セイン(著) 、215ページ、アスコム (2012/11/23)、¥ 680

ビジネスマン向けのネイティブ感覚の英語シリーズを無数に出している著者の近刊。通勤電車での頭の体操と思って購入した。教科書や辞書が教えてくれない英単語の「微妙な違い」が一目でわかる、画期的な英単語帳とある。日本人には思い込みの英単語のイメージを持っていることがある。そうではなかったのかと気づく単語の解説もある。

旧刊
『クリティカル・シンキングと教育―日本の教育を再構築する』(岩波現代文庫)
鈴木健ら(編著) 、224ページ、世界思想社 (2006/11) ¥ 1,995

「人の意見を鵜呑みにせず自ら考える力」こそが、真の基礎学力である。母語・外国語を問わず、すべての教育の基礎をなす「クリティカル・シンキング」の重要性と伸長のための方法論を8つの視点から平易に解説とある。「はじめに」に2001年4月28日付『朝日新聞』朝刊7面の「思考一新講座」のグレン・フクシマ氏の言葉を引用されている。「英語の会話は、意見の交換が前提になっている。米国の言語学者は、これを『テニス』に例えた。参加者は考え方をボレーのように行ったり来たりさせるわけだ。一方、日本語での会話は、「ボウリング」。だれもが順番に話す機会があるが、発言に他者が反応することはほとんどない。」とあった。授業にもお互いに考え合うinteractive Methodを用いていかねばならないと思う。

旧刊
『思考力の鍛え方 学校図書館とつくる新しい「ことば」の授業』(静岡学術出版教養ブックス)
桑田てるみ(編著) 、248ページ、静岡学術出版 (2010/4/13) ¥ 1,260

この3月に行う免許状更新講習3で、私が担当する「思考力・判断力・表現力の育成」の講習資料をまとめるために、いろいろな書籍を読みあさっている。本学の図書館で見つけた本書は、新学習指導要領が求める教科の枠を越えた「思考力・判断力・表現力」の育成と「言語活動」に関して、生徒には国際的に通用する言語や思考のスキルの育成を考える書籍である。問題解決のプロセスを「可視化」し、ことばの力を鍛え、「考える型」で思考をナビゲートする、生徒が自分で考え表現する力を育てるという、私の考えを支えてくれる書籍であった。思考力は鍛えないと育成できない。

2012年

12月の書籍紹介

新刊
『大事なものは見えにくい』 (角川ソフィア文庫)
鷲田清一(著)、269ページ、角川学芸出版 (2012/11/22) ¥ 780

近代以前の人生は、その環境や性別で生きる道が決められていた。人生の輪郭は幼い頃から見えるものであった。こうしたことから解法を願い、近代を生み出した。そしてひとは自分の存在を自分で選び、決めることができるようになった。しかしながらその自由を得ることで、別の重荷を背負うことなった。できあがった人生の形に責任を持つのは自分となった。自立が大切ではあるが、ひとは他者とのインターディペンデンス(相互依存)でなりたっている。「わたし」の生も死も、在ることの理由も、他者とのつながりのなかにある。確かなことは何もわからない、価値の遠近法が崩れた現代社会のなかで、日常の隙間に生じる違和感を育て、答えの見えない「問い」と向き合う鷲田氏の言葉は、先行き不安な気持ちを持つ若者にも語ってやりたい。

新刊
『英語リーディングテストの考え方と作り方』
卯城祐司(著) 、220ページ、研究社 (2012/9/25)、¥ 2,310

検定教科書と読解テストをつなぐ指導と評価の方法についてまとめたものである。「評価」目的や評価の持つ教育効果を基にしたテストのあり方というより、現場の先生が教科書で実際にテストを作る際にどう考えたり、何を活用したりすると良いかなどをまとめた実践書。明日の授業に追われている人にとっては、有用な参考書であろう。ただ、評価というものの意味をしっかり把握していないと、形式的になる。形成的評価、統括的評価をどう考えるかを十分認識した上で本書を読まれる事を薦める。

新刊
『教師が育つ条件』(岩波新書)
今津幸次郎(著) 、224ページ、岩波書店 (2012/11/21)、¥ 756

いじめ問題や教師の問題行動発覚などに不安が巻き起こる今、社会の鏡である学校において、教師が問われるべき資質能力とは何か。学校や教師の多様で深い現実を知らない、多くの教育課題が議論されたり、評論されたりしている。学校や教師のありのままを理解することが望まれる。学校現場を育てるのは小手先の政策ではない。学校や教師をありのままに理解した上での教員養成が望まれる。教員養成の一端を担う、大学、教員養成センターの教員を心すべきことである。

新刊
『「学び」の復権――模倣と習熟』(岩波現代文庫)
辻本雅史(著) 、288ページ、 岩波書店 (2012/3/17) ¥ 1,134

裏表紙に「近代に学校が普及する以前、日本人はどのように学んでいたのか。近代学校は江戸時代の教育の何を受け継ぎ何を捨てたのか。本書は手習塾(寺子屋)や藩校、徒弟制の江戸期の学びの実態を具体的に描き出し、歴史の側から近代学校を透視する。」とある。現代の教育の再生のカギをどう見いだすかを説く。目まぐるしく変化する社会において、矢継ぎ早に通知を行う教育行政に戸惑い、教育とは何かを見つめ直そうとする機会にかけている教員が、もう一度自分を取り返すためにも「教育とは、学びとは」を再考し、目の前の生徒に望んでほしいと思う。今年再版の書籍で、もとは1999年に角川書店より刊行されている。

旧刊
KIra-KIra (Paperback)
Cynthia Kadohata(著)  272ページ, Atheneum Books for Young Readers;
Reprint版 (2006/12/26) ¥ 691

2005年の「ニューベリー・メダル」を受賞したシンシア・カドハタのこの小説は、美しくユーモアがありながらも涙を誘う。1950年代に日系アメリカ人のタケシマ家がアイオワからジョージアへと移動する物語である。語り手のケイティはまだ幼稚園に通う少女だ。両親は家畜や苗や卵の生産に携わりながらひどい状況と信じられないような月日を耐えていた。けれども、彼らはリン、ケイティ、サミーの3人の子供たちのために、なんとかして愛情のある安定した家庭を作ろうと努力していた。ケイティが信頼し憧れている姉のリンは、アドバイスの達人で、一見うまく教えられないような状況でもけっして引っ込めたりするような少女ではなかった。リンはケイティに、どうして空や海や人々の目はみな特別なのかということから、人種的偏見の不公平さまでのすべてを教える。あるとき、リンのリンパ腫が発見されると、物語は悲痛なものへと変わる。そして、悪化していく彼女の病気を通してケイティは、リンの人生に対する「キラキラ」した見方を思い出そうと全力を尽くすのである。中学3年生くらいから頑張れば読める英文のレベルである。裏表紙の英文の紹介は、kira-kira (kee ra kee ra): glittering; shining Glittering. That's how Katie Takeshima's sister, Lynn, makes everything seem. The sky is kira-kira because its color is deep but see-through at the same time. The sea is kira-kira for the same reason. And so are people's eyes. When Katie and her family move from a Japanese community in Iowa to the Deep South of Georgia, it's Lynn who explains to her why people stop on the street to stare. And it's Lynn who, with her special way of viewing the world, teaches Katie to look beyond tomorrow. But when Lynn becomes desperately ill, and the whole family begins to fall apart, it is up to Katie to find a way to remind them all that there is always something glittering -- kira-kira -- in the future.

11月の書籍紹介

新刊
『日本語と英語―その違いを楽しむ』 (NHK出版新書 391)
片岡良夫(著)、192ページ、NHK出版 (2012/10/5)  ¥ 735

「風呂を取る(take a bath)」ものだと思っていた少年は、ずっと「風呂に入る」ということが分からなかった・・・主体の思考とアクション(動詞)に奉仕する言葉である英語。一方、世界をすでにでき上がっていてそこに入っていく「状態」として捉える日本語。 ハワイ出身の日系二世の父と近江八幡出身の母との間に生まれた著者が、二つの言語の差異を日常的な言葉遣いの中から浮かび上がらせる。『英語で言うとはこういうこと』角川oneテーマ21新書では、日本語を英訳する際に、(1)日本語を骨組みに要約する。(2)英語の機能に沿って話す。という2段階の考え方を200例をもとに説明している。

新刊
『日本人の英語表現』
T・Dミントン(著) 、184ページ、研究社 (2012/6/26)、¥ 1,575

帯に「次の日本語表現を、どんな英語にしたらいいだろうか?_「お待ちしておりました」とお客様に英語で言うときにI've been waiting for you.などと表現していませんか?だとしたら、大間違いです。どこがどういけないのか?日本人は、なぜそうした誤りに陥りやすいのか?」とある。解説はp.83にあるが、waitという動詞の持つニュアンスを知らないことから起こるネイティブをびっくりさせる表現である。訳読など日本語に逐語的置き換えて外国語を理解習得する方法では、ずれは埋まらない。本書は英語表現に結びついたイメージをどう会得するか、英語表現のニュアンスにもう少し敏感になろうという書である。

旧刊
Critical Thinking Skills: Developing Effective Analysis and Argument (Palgrave Study Guides)
Stella Cottrell(著)  282ページ, Palgrave Macmillan; 2版 (2011/5/15) ¥ 1,973

初版をアマゾンで買っていたが、先日学生を連れて英国に行った際に、Waterstones書店で書棚にあったのを見つけた第2版、二色刷りになり読みやすくなった。Reading between lines, critical reading, critical writingなど具体的な学び方の技術をまとめている。3月の免許状更新講習でも紹介しようと考えている。

旧刊
『石橋を叩けば渡れない』
西堀栄三郎、264ページ、生産性出版; 新版 (1999/04) ¥ 1,680

実は滋賀県のT先生が、Facebookで紹介していたので、早速読んでみました。平易な文章で書かれているので、気楽に読める。西堀さんは第一次南極観測の隊長として有名な方で、沢山の困難を乗り越え、多くの隊員をまとめ、目標以上のものを達成するというストーリーの中で、日常の人や物事とのかかわり方、心構えを教えてくれる。「どんな事でも、まずはやってみること。やってみなければ、なにも変わらない。やる前からあきらめる事をしてはならない。」仕事や学校で落ち込んだときなどに読むと励まされますよ。

旧刊
『フレームワーク使いこなしブック』
吉澤 準特(著) 248ページ日本能率協会マネジメントセンター (2010/7/30) ¥ 1,680

私は、ディベートの講習講師を依頼されることが多い。と言っても、そのルールを教えるのでなく、ディベートの持つ論理的な思考の考え方などをお話しさせていただいている。講習では、いつも図解思考として、graphic organizer ともいう、種々のフレームワークを使って論題などを整理していくことが大切であると伝えている。本書はビジネスマン向けであるが、課題を解決していくストーリーを追いながら、フレームワークを学べるしかけは、絵の効果もあって、とても読みやすく、英語の先生にも活用できるものと思う。その整理の仕方が思考力の向上につながる。

10月の書籍紹介

新刊
『英語教育学の実証的研究法入門 __Excelで学ぶ統計処理』
寺内 正典(著) 256ページ 研究社 (2012/8/7)  ¥ 2,940

「英語教育学や第二言語習得などの研究分野では、近年、客観的なデータに基づく実証的な研究が重視されるようになってきている。例えば、同一クラスで4月と7月に行ったテストの平均点を比べて、学生の英語力が伸びたかどうかを検証する場合には、データを「t検定」で処理する必要がある。そうした実証的研究を行う際の研究の手順や調査方法、統計の扱い方などをわかりやすく解説する。特に『Excel』や『エクセル統計』を活用して、簡単に且つ確実に統計処理ができるように、PCディスプレイ画面を取り入れて、その手順を詳しく解説してある。」

新刊
『学習英文法を見直したい』
大津由紀雄(編) 300ページ 研究社 (2012/7/21) ¥ 2,625

英語を外国語として学ぶ日本人にとって、英文法の学習は必要不可欠。コミュニケーション能力を下支えするのも英文法の知識だ。むろん、従来の英文法のあり方が無条件で肯定されるわけではない。本書は、日本人にとっての理想の学習英文法のあり方を問い直し、改めて英文法の意義を再評価する試みである。2011年9月10日に慶應大学で行われた「学習英文法シンポジウム」登壇者のほか、さらに多くの論者の協力を仰ぎ、理想の学習英文法の姿を徹底討論する!

新刊
『ネイティブが教える英語の動詞の使い分け』
ディビッド・セイン(著) 290ページ 研究社 (2012/6/26) ¥ 2,100

「この状況、文脈では、どんな動詞をあてるべきか?」
_ 日本人英語学習者がなかなか理解しにくいこの問題を、セイン先生が、実際にネイティブスピーカー数名に調査したうえで、ずばり教えてくれます!


本書の帯には次の問題が掲載されていた。
さて、問題です。次の1~5の例文の空白には、acquire, get, obtain, gain, earnのどれを入れるのがいちばん適当でしょうか?
1. Young people should try to ______ skills that will help them find work.
2. Paul ______ enough money working after school to travel around the world.
3. She ______ the respect of the community with her honesty.
4. I ______ 30 inquiries into the construction project.
5. It took him three months to ________ a work permit in Canada.

新刊
『ゼロからスタート English (イングリッシュ) 2012年 10月号』
ディビッド・セイン(著) ジェイ・リサーチ出版; 季刊版 (2012/9/6) ¥ 800

この9月に学生を連れて英国へ教職のfieldworkに出かけた。そこで、気になったのが、学生の応答が1語や2〜3語でしかできないことであった。"How did you like our classes in Manor School?"と訊かれて、"They are different from Japan."と応えて、英語も気になるところだが、その次の言葉が出てこない。"Because …"とつなげてこそ会話である。相手にも失礼である。本書はシリーズで発刊されているが、この秋のvol.31はそうした短い会話に終わらないtipsがまとめられている。「英会話特別レッスン30」日本人英語の弱点をネイティブ発想で徹底攻略とある。拡がりのある会話をめざすために参考になる。

9月の書籍紹介

新刊
『数学による思考のレッスン』(ちくま新書)
栗田 哲也(著)254ページ 筑摩書房 (2012/8/6) ¥ 840

本書は、算数・数学を中心とした歯ごたえのある問題を解くことを通じて、読者が思考に際して頭の中で起きていることを自覚し、自らの思考力をどうすれば伸ばせるのか手がかりを得ることをめざしている。
帯に記載されている、本書における「頭の使い方」には、
・問題の構造を洞察する
・視点を切り替える
・断片から全体を回復する
・比喩、アナロジーを使いこなす
・紙に考えさせず頭で考える
・異常探知能力でアイデアを生む
・言語の不完全性を自覚する
・結果から説明要素を想像する
とある。
 思考力・判断力・表現力の育成が求められる中、英語教員は英語の枠の中でものを見るのでなく、数学的思考も必要だ。

新刊
『13歳は二度あるか』(だいわ文庫)
吉本隆明(著) 192ページ 大和書房 (2012/8/10) ¥ 630

2005年に単行本と出版されたものの文庫版
吉本ばななさんの父、吉本隆明氏は思想家で、今年3月に亡くなられた。新聞紙上では訃報を告げる記事が多数掲載された。本書は、「13歳は一度しかない」つまり、繰り返し得ない大切なときなのだ、というのが題名の意味であろう。表紙裏に、「先が見えないこの時代。世の中がひっくり返るような出来事がこれから起こらないとは限らない。大切なのは、今の時代の姿を自分で判断すること。社会との関わり方、宗教、国家、犯罪、戦争…。いま、何を見るのか、どう読むのか。"思想界の巨人"が語った、「現代」を生きるということ。」とある。中学生たちへ諭した生活上の心構えとして、新聞をよく読むことを挙げている。HRでの話にいかがですか。

旧刊
『数学ガール』(数学ガールシリーズ 1)
結城浩(著)344ページ ソフトバンククリエイティブ (2007/6/27) ¥ 1,890

美少女ミルカさん、元気少女テトラちゃん、それに僕。三人の高校生が数学にチャレンジ。数学を楽しみ、学ぶことについて考え、異性へほのかな思いに心を動かす……。本書はシリーズ1で、オイラー生誕300年記念出版。
数学ガールシリーズ 2は『数学ガール フェルマーの最終定理 』
数学ガールシリーズ 3『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』
数学ガールシリーズ 4『数学ガール 乱択アルゴリズム』
数学ガールシリーズ 5『数学ガール ガロア理論』(2012/6/1)
と続く。最新刊のがロアの話も新聞紙上で書評が掲載されていた。

旧刊
"Signposts for Balance in Love and Work" 『恋と仕事にスグ効く英語100』
ヴッキーベネット(著)149ページ  IBCパブリッシング (2007/5/25) ¥ 945

オーストラリアの作家兼ビジネストレーナー、ヴィッキー・ベネットが、仕事に恋に悩むあなたへ贈るポジティブなメッセージ。仕事での成功とプライベートの充実を両立させる秘訣をやさしい英語で解き明かす。シンプルで力強い100の英語フレーズが人生の道しるべ (signpost)となる。英語力とポジティブ・シンキングが同時に身につく。
本書は、LEVEL2 TOEIC 350点以上 英検3級以上 (1300語)  "Think About Now, Not The Future "には
 Some people think too much about the past or too much about the future and they forget that now is a great time to be glad and happy about. Stop right now and look around you; you are a person sitting reading this book, happy, Why would you want more than you have in this moment? If you live totally now, life is a lot more fun. When you plan too much for the future or worry too much about what happened in the past. you are likely to feel helpless, If you live in the now, in this moment, then there is very little fear or worry.
"Think About Now, Not The Past "には、
 Things from the past are important to you. as they make up part of what you are today. Many of the things you remember from your past are good to remember; they are happy, and please you. However, some of the things you remember from the past can make you unhappy, hurt, or sad. It is not healthy if you spend too much time remembering unhappy past events and feelings. Try not to spend too much time thinking about your past actions and feelings. Try to think about what is happening to you today, right now. It is important to have some goals for the future and to think about them, but most of your thinking should be about what you are doing now and what you are going to do tomorrow.
とある。

旧刊
『ジャパンFAQ』
デビット・セイン(著)183ページ  IBCパブリッシング (2005/8/30)  ¥ 1,050

日本在住アメリカ人である著者が、自身の体験に基づいて執筆した、日本に関するFAQ。「日本の面積を、アメリカやドイツと比べると?」「日本のオフィスと外国のオフィスの、一番の違いは?」日本人自身が意外に知らない、日本に関する基礎知識を明らかにしながら、日本について外国人に説明するための語彙や表現を身につけよう。

LEVEL4 TOEIC 470点未満 英検準2級以上(2000語)  高校の教科書レベル
What do people do in their free time?

The number one activity is eating out! But other popular activities include karaoke, watching videos, going to the movies, concerts, and sports events. or playing pachinko. Domestic travel is also very popular. Many people travel to the mountains in winter to go skiing and snowboarding. In summer they go to the seaside. And everyone likes going to hot springs resorts in every season!

夏休み(8月)の書籍紹介

新刊
『武器としての交渉思考』星海社新書
瀧本哲史(著) 、336ページ、講談社 (2012/6/26) 903円

ベストセラー新書となった『武器としての決断思考』につづく第2弾。いくら自分の力で決断できるようになっても、いくら高い能力や志を持っていても、世の中を動かすためには自分一人の力ではとても足りない。相手と自分、お互いの利害を分析し、調整することで合意を目指す交渉力が必要。本書は、交渉とは、単なるビジネススキルではなく、ときには敵対する相手とも手を組み、共通の目的のために具体的なアクションを起こしていく―そのための思考法と説いている。

新刊
『英語教師のための第二言語習得論入門』
白井恭弘(著)、168ページ、大修館書店 (2012/1/15)  1260円

岩波新書『外国語学習の科学』の著者が、二言語習得研究の成果から、特に日本で英語を教える際に是非とも知っておきたい知識を選りすぐって紹介している。
●主要目次●
第1章 第二言語習得論のエッセンス
第2章 SLAからみた日本の英語教育
第3章 小学校英語教育のこれから
第4章 中学校英語教育のこれから
第5章 高校英語教育のこれから
第6章 大学生、社会人のための英語教育
である。

新刊
『大修館英語授業ハンドブック 高校編』
金谷憲(編)、382ページ、大修館書店 (2012/04)  4200円

「新学習指導要領に対応した高校の英語授業のために」がカバーの文言である。第1章「高校入学時の指導」、第2章「英語で授業の考え方」第3章「基本授業のパターン」第4章「指導技術」第5章「文法指導のアプローチ」第6章「評価」第7章「教材・教具の取り扱い」第8章「クラスルームマネジメント」第9章「自律的学習者に育てるための工夫」と、教科書を使った授業の展開方法から、「英語で授業」の考え方、技能を統合する指導まで多岐に亘ってカバーしている。付属DVDにより内容を確認することができる。

旧刊
『英作文なんかこわくない 日本語の発想でマスターする英文ライティング』
猪野真理枝(著)、283ページ、東京外国語大学出版会 (2011/4/15) 1680円

日本語は英語と非常に異なる言語構造を持つために、日本人が英作文をすると、日本語をそのまま直訳したような英文を書きがちである。本学の学生にもその傾向が顕著に現れる。思考の言語と表現の言語が異なる場合、両者を中継する言語知識が必要である。本書はその点に着目し、日本語の文法を正しく理解し、その意味に対応する英作文のしかたを学ぶ対照言語学的なアプローチで説明を試みている。
本書は5つのステップから構成:
〈Step 1からStep 3〉文型、立場表現、時間表現などの日英語どちらにも存在する表現形式を比較しながら、英作文の練習をします。
〈Step 4〉日本語にない構造である「無生物主語」と英語にない構造である「主題文」を知り、それらを英語で表現する方法を学びます。
〈Step 5〉日本語をより自然な英文にするために、日英語の「文の基本構造の違い」を知り、「自然な英文をつくる」ための総仕上げをします。

旧刊
"Ever Wonder Why? "
Douglas Smith、144ページ、Fawcett; Reprint版 (1991/11/24)

Why is the color blue used for boys?
Why do worms come out onto the sidewalks after a rain?
Why do chefs wear tall hats?
「なぜ黒猫が不吉と言われるの?」「たまねぎを切るとなぜ涙が出る?」__Ever Wonder Why? は、このような身近にある「はてな?」に答えている。夏簿くつろぎの時間に一読を。センゲージ・ラーニング (2011/1/1)からも学生向けテキストとして出版されている。

旧刊
『子どもに教えてあげたいノートの取り方』
高濱正伸(著)、176ページ、実務教育出版 (2010/4/10) 1470円

文部科学省も、グローバル化に対応するため、「思考力・判断力・表現力」の育成が必要であると声を大きくして学校教育に求めている。思考力などは目に見えない能力である。そこで、ノートづくりは、生徒がどのように考えていくべきか思考を整理するために役立つものであるのではないかと考えていた。書店で平積みしてある本書を見つけ早速購入した。教員の板書を写すのではなく、自分で工夫して書いてみる、そうしたノートの取り方が生徒の理解を深める勉強法になると思われる。本書は小・中学校の児童生徒を対象にしているが、参考になる。

旧刊
『愛と励ましの言葉366日』
渡辺和子(著)、281ページ、PHP研究所 (2006/12) 600円

夏休みは心の充電時期でもある。
本書を読んでほっとした気持ちになってみては。毎日働くだけが人生でなく、時にはゆっくり歩いて行くこともひつよう。心ふさぐ日や人生に迷う日も、「ありのままの自分」を認め、かけがえのない"今"を自分らしく生きましょう。

旧刊
『青い鳥』
重松清(著)、新潮社、 (2007/07) 1680円 文庫版662円

最後の「カッコウの卵」以外のお話の主人公は中学生である。それぞれが、心の中に色々抱え込んでいて、そんな時に村内先生がやってくる。村内先生は中学の臨時講師。村内先生は言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。でも、先生は、授業よりもたいせつなことを教えてくれる。大切なことを伝えるためにやってきて、それを伝えることができればいなくなってしまう。先生に、「もう大丈夫。次へ行かなくても良いです」と、そう言える時がくるようにと、心から祈りたくなる。いじめ、自殺、学級崩壊、児童虐待…すべての孤独な魂にそっと寄り添う感動作。文庫本も出ている。
本書は8つの話が綴られている。
「ハンカチ」:場所限定で言葉が出なくなってしまう精神的病を持ってる女の子。ハンカチを握りしめてじっと学校での時間を耐えている・・
「ひむりーる独唱」:先生をナイフで刺してしまった男の子。カエルを殺しまくってしまう・・
「おまもり」:バスケ部で一緒の子が自転車同士の追突事故で足を怪我してしまう。お見舞いに行った女の子の父はかつて自動車事故で人を殺してしまった過去があり・・ 「青い鳥」:クラスメートのイジメを受けて笑っていた子が自殺未遂をした。その子はもう学校に来ないが、村内先生はその子の席をそのままにし、毎日声をかける
「静かな楽隊」:私立に入り損ね公立中学にしぶしぶ通っているあやちゃん。あやちゃん帝国という怖しい女子の集まり・・聡美は6年生の時の音楽合奏で、カスタネットが上手に打てなかった事が今も頭に蘇る・・・
「拝啓ねずみ大王さま」:洋介の父は電車に飛び込み自殺した。色々な事情で私立中学に通えなくなってしまった洋介は、公立中学に転校したが、レベルの低く、やってられない行事にうんざり・・。
「進路は北へ」 :私立女子中学。小学校からの内部生、中学から入って来た外部生・・・
「カッコウ」:てっちゃんは今守る人、智恵子が側にいる。ある日恩師村内先生を見かけ再会をしに行く。

7月の書籍紹介

新刊
『超デジタル時代の「学び」-よいかげんな知の復権をめざして』
渡部信一(著)  264ページ 新曜社 (2012/2/7) 2835円

本書のタイトルには「デジタル時代」でなく「超デジタル時代」という言葉が使われている。副題の「よいかげんな知の復権をめざして」に惹かれて本書を購入した。「デジタル」とアナログ的な「人間の本質」には相当な距離があり、デジタル化時代にストレスを感じる人間が多いと思う。しかし、著者は、デジタル・パラダイムが崩壊してゆくこれからの「超デジタル時代」、アナログの世界にアプローチする「超デジタル」なテクノロジーは、「便利な道具」にとどまらず、「理屈だけでなく直感的に分かる」「リアリティをもって分かる」など「人間の本質にも大きな影響を及ぼすと述べている。7つのテクノロジー活用プロジェクトを通して、新しい時代の「学び」を紹介している。

新刊
『激論!英文法―英語教師に読んでほしい10の話』
里中哲彦、新津信治(著)  215ページ、プレイス、(2012/03) 1575円

「対談英文法」と題して、かつて月刊誌『現代英語教育』(研究社出版)で展開されたものが改訂され書籍となった。
 コミュニケーション重視の時代に文法指導は肩身の狭い思いをしているが、言語は文化であることを知るためにも文法をよく知ることが大切である。英語や英米人に対する私たちの思い込みや勘違いの中にひそむ「日本人の英文法」をしっかりと見直してみることも必要ではないだろうか。
第1話:「わたし」を取り囲む世界——人称のとらえ方
第2話:誤解表現——日本人の勘違い
第3話:否定と比較——その気分と心理
第4話:時間の捉え方——「時制心」を養おう
第5話:仮定法——真実を語る極意
第6話:助動詞——わかる、助動詞の気持ち
第7話:冠詞——それは脇役、しかしベテランの
第8話:前置詞——その中核的概念に迫る
第9話:関係詞——「情報の流れ」をつかめ
第10話:日本人の英語はどうあるべきか——しっかりしなさい 英語教師

新刊
『英文法の魅力 - 日本人の知っておきたい105のコツ』  中公新書
里中哲彦(著)  212ページ 中央公論新社 (2012/5/25) 777円

河合塾講師の著者が東京新聞・中日新聞の「英語の質問箱」欄に連載したコラムを土台にまとめた英語表現の解説書である。英語習得の要は「英文法」を基盤に、ネイティヴ・スピーカーが普段使う"ツウな文法"を紹介したりしている。日本人にはなかなかピンとこない、ネイティヴ・スピーカーの感覚を授業でも紹介することは大切である。英文法についての105の質問・疑問を、「語源」「語彙」「語感」「語法」「語義」「誤解」の六つのカテゴリーに分けて回答している。

新刊
『英語のバカヤロー 「英語の壁」に挑んだ12人の日本人』ポケット版
古屋 裕子(編集)  223ページ 泰文堂(2012/5/25) 600円

養老猛司(解剖学者)、竹中平蔵(経済学者)、古川聡(宇宙飛行士)、上野千鶴子(社会学者)、坂東眞理子(昭和女子大学学長)、福島孝徳(脳神経外科)など12人の賢人が紹介する、「バカの壁」ではなく「英語の壁」にどう立ち向かったかという話。読者に今後の英語学習への意欲と勇気を与える。2009年に単行本が出たが、この5月文庫本で再版された。12人それぞれの英語に対する「心構え」や「英語マスターの極意」などを、エピソードを読んでみるのも、生徒に話すネタになる。

新刊
『検証 大阪の教育改革――いま、何が起こっているのか』(岩波ブックレット)
志水宏吉(著) 64ページ  岩波書店 (2012/4/7) 525円

「先生、大変です。大阪を助けてください」2012年の正月に著者へ届いた教え子からの年賀状に添えられていた言葉がこのブックレット執筆の動機であると著者は冒頭述べている。大阪維新の会が府議会に提出した「教育基本条例案」のトップダウン的手法や教育現場への介入の姿勢が、批判にさらされている。しかし法案は府議会で可決された。今日の教育界が学力をめぐるグローバル・コンペティション(競争)の時代に入っていることを踏まえ、教育改革の世界的なトレンドについても概観しつつ、真に「格差を超える教育」を実現するためには何が必要かを論じている。

新刊
『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~』
三上 延(著)  メディアワークス文庫 575円

昨年、文庫本で本屋大賞にノミネートされた作品の第三弾。鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に想いを込める。これは"古書と絆"の物語である。今巻の中編三話は全て「壊れた家族」がテーマになっている。大賞ノミネートされた1巻2巻を読んだ上でどうぞ。
 個人的には、私は京都で年3回ある(次回はお盆の頃下賀茂神社での納涼古書市)古書市には毎回2日間通うか、半日は各書店テントを巡っている。昔人が愛した古書の匂いと変わらぬ知識の価値を、ページをめくって体感するときの喜びは言いようがない。そういう古書好きの人がはまる軽い小説である。

旧刊
『教育の方法―心理学を生かした指導のポイント』
井上 知義ら(著) 174ページ 樹村房 (2007/11) 1995円

「教育の方法」というタイトルの書籍には、佐藤学(著)『教育の方法』(放送大学叢書) 200ページ左右社 (2010/7/30)などがあるが、私が気にいったのは、様々な教育方法を心理学を通して説明していることと、見開きの右のページに図解や表などを添付しより具体的なイメージを抱かせやすいようにしている編集スタイルである。「学習者の認知と情報処理」「学習者の認知を考えた教育の方法」「学習者の認知にあった教育の技術」「学習者の認知にあった教育の評価」の4章を扱っているが、現職教員にとってもreminderとして、教育の方法を再認知しておくことが、授業の活動に意味を持って行うことができると思う。

6月の書籍紹介

新刊
"Essential Study Skills: The Complete Guide to Success at University" (SAGE Study Skills Series)
Tom Burns(著)  472ページ Sage Publications Ltd; Third版 (2012/3/26) 2044円

本書は大学生のための学修(習)の手引きである。学生にライティング彌リーディングのコツを話すときに、本書に掲載されているtipsを使うことがある。
たとえば、"How to be creative in your learning"では、
1. Write the whole question in the middle of a really large sheet of paper – A1 or flip chart paper is best.
2. Do not abbreviate the question. Any word that you do not write down is a research avenue that you do not explore.
3. Look at the words in the question. Circle or underline the key words.
4. Write anything and everything that comes to mind when you look at a word.
5. When you have finished, move on and do the same to another word. Keep this up until you have tackled all the words in the question.
6. Then go round again.
とマインドマップの手法や例が書かれている。

新刊
『やり直し教養講座 英文法、ネイティブがもっと教えます』(NHK出版新書 376)
ディビッド・セイン(著) 、224ページ NHK出版 (2012/4/6)  777円

この種の英語本で、超人気ライターのディビッド・セイン。NHK出版では『英文法、ネイティブが教えるとこうなります』に続く第2弾である。前著では紹介しきれなかった代名詞、接続詞、形容詞、副詞などを解説している。体系的な文法書ではないが、通勤の行き帰りの電車の中で気軽に読め、授業でも生徒に話してあげることができるリソースとなる。

旧刊
『考える・まとめる・表現する―アメリカ式「主張の技術」』
大庭 コティ幸子(著)  224ページ エヌティティ出版 (2009/3/25) 2310円

高校生・高校の先生に「ディベートの土台となる考え方」や一般職員の方に「論理的に話すこと」についてのレクチャーを頼まれることが多いので、論理力を鍛える類いの書籍はよく読むことにしている。本書もその一つである。表題は、学習指導要領で「思考力・判断力・表現力」の育成といわれているものとほぼ同じである。図式化して整理する手法が紹介されている。マインドマップだけでなく、サークルマップやトライアングル思考図などが授業でも使えるだろうと思った。

旧刊
『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書)
橋爪大三郎・大澤真幸(著) 352ページ 講談社 (2011/5/18)

 イエスは神なのか、人なのか。GODと日本人の神様は何が違うか?どうして現代世界はキリスト教由来の文明がスタンダードになっているのか?
 欧米の社会の制度やものの考え方など思考の柱となっているものは、キリスト教とその考え方であると思う。西洋の文明のアイデンティティを考えるための一冊である。一神教を理解することから、英語という言語も異なる角度から見ることができると考える。

旧刊
『一日一発想366日』(講談社プラスアルファ文庫)
糸川英夫(著)  457ページ 講談社 (1993/12) 1000円

 古本市でたまたま見つけた本である。アマゾンで購入すれば中古本が105円と出ている。これは買いだと思う。戦闘機、ロケットの開発から、楽器の製作・演奏まで多才な科学者が、集中力、独創力、知的生産の源である「発想の視点と方法」のすべてを明らかにしている。たとえば、
 6月2日 横浜港開港記念日
 —チャンスー
 独創力が生まれつきのものだと考えるのは間違いである。訓練と条件づくりさえあれば、独創のチャンスは万人にある。
 ノーベル賞を受賞された福井謙一さんは、寝床の中でもアイディアを書きとめておけるように、枕元にいつも紙と鉛筆を用意している。さらに、家の中のいたるところにメモ用紙と鉛筆が用意してあって、なにか思いついたとき、そこがすぐに書斎になる。
 トヨタ自動車や松下電器など多くの企業は提案制度を採用しているが、そうした会社の提案チャンピオンたちの発想生活を探ってみると、やはり家じゅうにメモ用紙を置いている人が多い。そのようにして、常に自分の発想を磨いているのである。

旧刊
『ドラことば心に響くドラえもん名言集』
小学館ドラえもんチーム、159ページ、小学館 (2006/9/1) 1260円

我が家でも子どもが小さい頃はドラえもんを見ない日はなかった。大人も安心して子どもに勧められるTV漫画であった。それは、何気ない言葉でも、それだけで元気になるような言葉が話の中であったからだと思う。
 「のび太の結婚前夜」の巻、未来の世界で、のび太との結婚に不安を抱くしずちゃんに、しずちゃんのパパがかける言葉、「のび太くんを選んだきみの判断は正しかったと思うよ。あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね。かれなら、まちがいなくきみをしあわせにしてくれると、ぼくは信じているよ」
 なんて、ほっとする。教室にドラことばを掲示してみてはどうでしょう。私は疲れた時や気が滅入っているときにふと読んでみることがある。

5月の書籍紹介

新刊
『新し研究い時代の英語科教育の基礎と実践 成長する英語教師を目指して』
JACET 教育問題会 336ページ 三修社 (2012/2/29) 2730円

新学習指導要領に完全準拠した英語科教科法テキストとしては一番新しい。「これからの時代の英語教師に求められる資質を高めることをとくに重視し、本書では、「学習者中心(learner-centered)」「インタラクション(interaction)」「言語観・教育観の構築(learner/teacher belief)」などに基づく『ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)』の理念(複言語・複文化主義/行動志向/資質・能力の可視化/省察/自己評価、など)を取り入れ、日本の教員養成現場で受容できるように文脈化することを試みました。」と解説にある。

新刊
"Heart of a Samurai"
Margi Preus 336ページ Harry N. Abrams (2012/2/1) 610円

2010年のニューベリー賞を受賞した作品。この侍は、ジョン万次郎の話である。「fall down seven times,get up eight(七転び八起き)」の人生を送った万次郎、万次郎が体験したことはまるで冒険小説である。米国の子どもたちにも人気の本であるらしい。味気ない副読本より、こうした本を生徒にも読ませてみてはいかがでしょうか。

旧刊
『美しい日本語のすすめ』 (小学館101新書 51)
板東眞理子(著) 192ページ 小学館(2009/10/1) 735円

『女性の品格』の著者、昭和女子大学学長坂東眞理子氏は日本について書き下ろした。生きにくいとされる現代社会では、コミュニケーションツールとしての日本語の力が必要である。人間関係を豊かにし、幸せになるために必要な日本語の作法として、職場で、家庭で、また世界の中で、私たち日本人はどのように日本語で表現すべきなのかを提言している。
【目次】
第一章「あいまいな日本語と、思いやりのある日本語」
第二章「アサーティブな日本語」
第三章「組織で働くための日本語」
第四章「女性の日本語」
第五章「世界の中の日本語と英語」

旧刊
"Teaching Thinking: Philosophical Enquiry in the Classroom"
Robert Fisher, 224ページ Continuum Intl Pub Group (Sd); 3版 (2008/6/15) 3260円

本書の裏表紙解説に、" A highly successful guide to encourage classroom discussion for developing children's thinking, learning and literacy skills containing material on the latest trends in teaching thinking, including dialogic teaching, creativity and personalized learning. This sourcebook of ideas is essential reading for anyone seeking to develop children's minds, to build their self-esteem or to improve the quality of teaching and learning in schools. This is a fully updated third edition of the highly successful guide to using discussion in the classroom to develop children's thinking, learning and literacy skills. This new edition includes material on the latest trends in teaching thinking, including dialogic teaching, creativity and personalized learning. This of ideas is essential reading for anyone seeking to develop children's minds, to build their self-esteem or to improve the quality of teaching and learning in schools."とある。
本書内には有名な学者の言葉だけでなく、子どもたちの知恵のある言葉が掲載されており、考えるということはどういうことかに示唆を与えている。また、読みやすい英語で書かれている。

旧刊
『字幕の花園』(集英社文庫)
戸田奈津子(著) 368ページ 集英社 (2011/9/16) 700円

裏表紙に、「心を揺さぶる名台詞は、生きた英語を学ぶのに最高のテキスト。「ハリー・ポッター」シリーズなどのメガヒットをはじめ、ここ10年の話題作90作品から選りすぐりの会話をピックアップ。他にも秘蔵写真とともにハリウッド・セレブの素顔を紹介する「スターと私のナイショ話」や、字幕のルールづくりに貢献したのは芸者さん(!?)など、業界ウラ話も満載。映画の魅力にあふれたファン必携の一冊。」とある。
今年の入学式での学長の挨拶は極めてユニークであった。映画「モナリザ・スマイル」の映画のほんの一部を紹介し、「大学で学ぶとは」を新入生に語った。本書にもその映画の紹介がある。
Violet: Oh, Katherine Watson. New teacher. Art History. I'm dying to see her." と主演のジュリアロバーツ演じるキャサリンを紹介。
"She came to Wellesley because she wanted to make a difference."などの英文が載っている。 ところで、<Make a difference>とは「何かの行動を起こす前と後とを比べて、明らかに今迄と違った、新たな価値ある変化を作り出すこと」である。「環境を変える」「人生を変える」「世界を変える」make a differenceの気持ちって大切ですね。

旧刊
"The Decision Book: Fifty Models for Strategic Thinking"
Mikael Krogerus, Roman Tschppeler, 224ページProfile Books Ltd (2010/10/30) 1244円

This is the 6th bestselling business book of 2011 - a smart, fun, bestselling guide to making the right choices. Most of us face the same questions every day: What do I want? And how can I get it? How can I live more happily and work more efficiently? A worldwide bestseller, "The Decision Book" distils into a single volume the fifty best decision-making models used on MBA courses and elsewhere that will help you tackle these important questions - from the well known (the Eisenhower matrix for time management) to the less familiar but equally useful (the Swiss Cheese model). It will even show you how to remember everything you will have learned by the end of it. Stylish and compact, this little black book is a powerful asset. Whether you need to plot a presentation, assess someone's business idea or get to know yourself better, this unique guide will help you simplify any problem and take steps towards the right decision.
ビジネスマンが読む書籍である。それぞれのモデルが象限図などで考える方向がわかりやすいように示している。

旧刊
『舟を編む』
三浦しをん(著) 259ページ 光文社 (2011/9/17) 1575円

今年の本屋大賞受賞作である。昨年から売れている本屋ノミネートされている本を数冊購入して読んで、この本がトルのではないかと予想していた。受賞したときは、選者の一人のような気分で嬉しかった(ばかみたい)。文庫本の2冊の『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』も古書を扱っていて気に入っていたが、やはりこれだと思った。
「玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをんの最新長編小説」と解説にあるとおりである。
息抜きに一読を勧める。

4月の書籍紹介

新刊
『英語は要領―60分で英語はわかる―』
山西治男(著) 、173ページ アスコム (2012/1/30) 680円

「英語の「キモ」さえ理解すれば、英語力はラクにアップします。」が著者の主張。英語の本質的なことを、わかりやすく解説している。文庫本で行き帰りの電車の中ですらすら読める。教室で生徒にも話してあげると、みんな納得。著者には『大人のやり直し英語』アスコム(2011)という類書があるが、こちらの方が安価で持ち運び安い。

新刊
『語りきれないこと 危機と傷みの哲学』(角川oneテーマ21)
鷲田清一(著) 186ページ 角川学芸出版 (2012/2/10) 724円

心を引き裂かれる経験、体の奥で疼いたままの傷。どうすれば苦難から身を立てなおすことができるだろうか?傷ついた人々の声を「聴くこと」を課題として臨床哲学を提唱した著者が、心の傷口を静かにおおってゆく「語ること」の意味を真摯に説く。
 第1章 「語りなおす」ということ―
 語りきれないもののために(心のクッション? 「まちが突然、開いた」 語りにくさ ほか)

新刊
『特別授業3.11 君たちはどう生きるか (14歳の世渡り術)』
あさの あつこ (著), 池澤 夏樹 (著), 鎌田 浩毅 (著), 最相 葉月 (著), 斎藤 環 (著), 橘木 俊詔 (著), 田中 優 (著), 橋爪 大三郎 (著), 鷲田 清一 (著) 245ページ 河出書房新社 (2012/3/3) 1260円

3.11で何が問われ、何を学び、どう生きるのか。これからを担う10代から20代に向けて、[国語]あさのあつこ、[歴史]池澤夏樹など、全9教科、紙上特別授業。豊富な注釈、資料データ入り。
国語 「表現する力をつけてほしい」 あさのあつこ
歴史 「きみは世界史の中にいる」 池澤夏樹
倫理 「支えあうことの意味」  鷲田清一
地理 「日本とはどんな場所か? 今後どうなるのか?」 鎌田浩毅
政治 「いまこそ政治の本当の意味がわかる」 橋爪大三郎
理科 「科学は私の中にある」  最相葉月
経済 「経済成長より大切なこと」  橘木俊詔
保健 「いま、こころのケアとは?」 斎藤環
課外授業 「『祈り』の先にあるもの」 田中優
書店には3.11のコーナーが有り多数の書籍が並んでいる。本書はそのうちに一冊である。

旧刊
Techniques & Principles in Language Teaching
Diane Larsen-Freeman (著) 252ペー Oxford Univ Pr (Sd); 3版 (2011/01)

初版は1986年で、その頃の勉強会で教授法の勉強をしたテキストである。今日採用されているよく知られた8つの言語教授法を紹介し論じる。その教授法のいくつかは長期にわたって使われており、そのほとんどは言語教授法を扱った文献のどこかですでに言及されている。それぞれの教授法の段階的な活動のprinciplesが明記されていて、なぜそうすることに意味があるのか、気をつけるポイントは何かが分かるようになっている。本学の英語科教育法Ⅰのテキストの一冊として学生にそれぞれの指導法について発表させている。

旧刊
『英語じょうずになる事典―ネイティブ講師が日本人のために書いた英語あたまをつくる210講』
デビッドバーガー(著) 358ページ アルク (2008/12) 1890円

日本人にとっての「英語の落とし穴」をやさしく解説。ありがちな「間違い例」のケーススタディを通じて、あやふやだった文法・表現を納得して使えるようにさせるのが本書のねらい。
 日本人が陥りやすい落とし穴例では
 「彼女は目を閉じていた」・・×She was closing her eyes.
 「君の夢を見たよ」・・×I saw your dream.
日本語をそのまま逐語的に訳すると訳の分からない文章になることを生徒に例示して説明するのに使える。

旧刊
『英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語』(中公新書)
斎藤兆史(著) 中央公論新社 (2000/05) 798円

グローバル化が叫ばれて久しいが、我々が欧米化することとではない。日本にいながらにして、英米人も舌を巻くほどの英語力を身につけた「達人」たちは、西洋かぶれになることなく、外国文化との真の交流を実践した。岡倉天心、斎藤秀三郎、野口英世、岩崎民平、白洲次郎ら、十人の「英語マスター法」を紹介するとともに、英語受容をめぐる日本近代文化史を描きだしている。

旧刊
『日本人の美質』(ベスト新書)
板東眞理子(著) 206ページ、ベストセラーズ (2011/12/9) 800円

東日本大震災で見られた日本人の行動様式を通して、日本人のつくり出すモノの品質やサービスの良さは言うまでもないが、本来われわれがもっている価値観や考え方にこそ世界に誇れるものではないかと筆者は述べる。『女性の品格』の坂東眞理子が日本人の生き方を提案している。

3月の書籍紹介

新刊
『推論発問を取り入れた英語リーディング指導―深い読みを促す英語授業』
田中 武夫 (著), 紺渡 弘幸 (著), 島田 勝正 (著) 197ページ 三省堂 (2011/08) 2310円

深い読みを促すリーディングの授業には推論の発問(Inferential Questions)が欠かせない。本書は、リーディング指導を活性化するために、推論発問を使って何ができるのかについて、現時点での結論を具体的な形にまとめている。

旧刊
『インストラクショナルデザインの原理』
ロバート・M. ガニェ (著), キャサリン・C. ゴラス (著), ジョン・M. ケラー (著), ウォルター・W. ウェイジャー (著), Robert M. Gagn´e (原著), John M. Keller (原著), Katharine C. Golas (原著), Walter W. Wager (原著), 鈴木 克明 (翻訳), 岩崎 信 (翻訳)  462ページ 北大路書房 (2007/09) 3990円

学習環境や教材などの分析・設計手法を体系化した授業設計(Instructional Design)に「ガニエの9教授事象」 (Gagne 2004)がある。それを知りたくて本書を購入した。
①刺激の受容を確実なものにするために注意を獲得する
②適切な期待感を確立するために学習者に学習の目的を知らせる
③長期記憶から以前に学んだ内容を取り出すように学習者を促す
④選択的知覚を確実なものにするために教材を明瞭に際立たせて提示する
⑤意味的符号化を適切に行えるように学習の指針を与える
⑥反応の生成を伴うパフォーマンスを引き出す
⑦パフォーマンスに対してフィードバックを与える
⑧反応とフィードバックの機会を重ねて用意しパフォーマンスを評価する
⑨多様な実践の機会を工夫し将来の検索と転移を助ける
   
ITを活用した授業設計でADDIE(Analyze, Design, Develop, Implement, Evaluate)モデルに基づいている。

旧刊
"Caring and Sharing in the Foreign Language Class: A Sourcebook on Humanistic Techniques (Methodology)"
Gertrude Moskowitz(著) 358ページWadsworth Pub Co (1978/06)
1 new from $618.21 11   used from $57.08

高校教員なってしばらくして、"Humanistic Approach"にはまった。ニューベリハウスから出版されていた縫部義憲の『人間中心の英語教育』(1985)を何度も読み返した。堅苦しい教科書より、生徒の気持ちを揺り動かす教材をと思ったものだ。このヒューマニスティック・アプローチの提唱者がモスコビッツである。最近になって原著を手に入れた。中古本しか出ていないが、様々な実際的な指導例を一読することで、アイデアが浮かぶ気がする。 Caring and Sharing in the Foreign Language Class shows how to integrate a humanistic approach to language teaching with a planned curriculum to promote student self-actualization and self-esteem. 読者の評に以下のものがあった。 This book offers practical suggestions for teaching in the classroom that is both helpful to the novice teacher as well as the "tired" more experienced one. The index at the end of the book helps teachers to focus in on specific activites for different language points. These activities can supplement and highlight the regular curriculum. The activities clearly define the popualtion that they can be used with, the size of the groups, materials needed, etc. I have recommended it to my students in my educational methods courses and have had my teachers extol the way in which it helps them to round out their lessons. A worthwhile addition to one's professional library.

旧刊
"Materials and Methods in ELT: A Teacher's Guide (Applied Language Studies)"
Jo McDonough (著) 296ページ  Wiley-Blackwell; 2版 (2003/2/17) 3400円

8月に3rd editionが出版される予定である。今回の教員免許状更新講習で教材開発を扱うが、その際に参考にしたのが本書である。
McDonough(2003)は教材をチェック・改作する際のadapting materials(P.77)のポイントを以下のように挙げている。
・Not enough practice of grammar points of particular difficulty to these learners.
・The communicative focus means that grammar is presented unsystematically.
・Reading passages contain too much unknown vocabulary.
・Comprehension questions are too easy, because the answers can be lifted directly from the text with no real understanding.
・Listening passages are inauthentic, because they sound too much like written material being read out.
・Not enough guidance on pronunciation. Subject matter inappropriate for learners of this age and intellectual level.
・Photographs and other illustrative material not culturally acceptable.
・Amount of material too much or too little to cover in the time allocated to lessons.
・No guidance for teachers on handling group work and role play activities with a large class.
・Dialogues too formal and not representative of everyday speech.
・Audio material difficult to use because of problems to do with room size and technical equipment.
・Too much or too little variety in the activities.
・Vocabulary list and a' key to the exercises would be helpful.
・Accompanying tests needed.
Content areasのことを踏まえ、提示方法・手段も考慮する。たとえば、
・文法事項が提示されているだけで、わかりやすさに欠ける、活用には不十分である
 →補足教材の準備、図解などの説明教材を作成、活用型の教材を創作する。
・担当する学習者が特に困難に感じると思われる文法項目の練習問題が少ない
 →追加の練習問題の導入、学習者のレベルに合わせて基礎・発展など2パターン用意したワークシートを用意する。
・読解用本文に未知語が多すぎる。
 →生徒が理解できる簡単な単語に置き換えて口頭で説明したり、類語や語のイメージをつかめたりするよう板書を工夫する。
・教科書記載の理解確認質問は、答えが本文中からそのまま抜き出せるので易しすぎる
 →推論の問いかけ(inferential questions)や「賛成・反対」などの評価の問いかけ(evaluative questions)を考える。
など考えた。最新刊は320ページ Wiley-Blackwell; 3版 (2012/8/21) 4390円である。

2月の書籍紹介

新刊
『推論発問を取り入れた英語リーディング指導―深い読みを促す英語授業』
田中武夫、紺渡弘幸、島田勝正(著) 197ページ、三省堂 (2011/08) 2310円

 中部地区英語教育学会における課題別研究プロジェクトの研究成果をまとめたもの。リーディング指導を活性化するために、推論発問を使って何ができるのかについて、現時点での結論を具体的な形にまとめている。日頃の授業で、効果的な発問はどうすればいいのだろうかと悩んでいる教員にとっては、発問の仕方の整理ができるであろう。思考力、判断力の育成が求められている中、深い読みをどう進めていくかの参考になる。推論発問とはinferential questionsで、テキスト上の情報をもとに、テキスト上には直接示されていない内容を推測させる問いかけである。

新刊
『英語で話すヒント――通訳者が教える上達法』 (岩波新書)
小松達也(著) 208ページ、岩波書店 (2012/1/21) 735円

 「まず日本語で考える」「単語は全部聞き取れなくてよい」「発音よりリズム」「〈最寄り訳〉の発想で」「文学作品を楽しむべし」──。海外在住経験がないというあなたも諦めることはありません。日本語を生かす通訳者の英語術には、大人の学習者にこそ役立つヒントが満載。〈使える英語力〉を身につけるために、必読の一冊! と表紙裏にある。通訳者の立場から見た英語上達の観点、課題を提示している。たとえば、英語の語順は、S+V+O, S+V+Cであるが日本語はS+O+V,S+C+Vとなる。そうした語順の違い無意識に身につけるには相当のインプットによる習慣化が必要であると、そのため、意識化して学ぶことで自動化を図ることが必要と述べている。

新刊
『人を動かす英語』(PHP新書)
ウイリアム・ヴアンズ(著) 224ページ、PHP研究所 (2011/11/16) 756円

 イェール大学で人気のビジネス・コミュニケーション講義を教えるウィリアム・ヴァンス博士が、文法や語彙を超えた別次元の英語能力をつける方法を伝授とある。具体的に言えばもっと順調にいく/フォーマル過ぎる日本人のメール/ビジネス英単語を効果的に増やす戦術/最速で一流の英語スピーカーに近づく秘訣/強調は、大人っぽくする/成功は声に左右されているなど、日本では誰も教えてくれないことが書かれている。たとえば、「フォーマルすぎる日本人のメール」では、Don't forget to bring your laptop. を Do not forget to bring your laptop.と省略形を使わない表現をする日本人が多い。確かに論文等では省略形を使わないが、口語の世界は逆である。省略形を使わない方が、権威的でお説教的になる。

新刊
『下山の思想』(幻冬舎新書)
五木寛之 223ページ 幻冬舎 (2011/12/9) 777円

 新聞の書評でもよく扱われているので読んでみた。「山頂をきわめる。そして、ひと息入れたら下山にかかる。下山に失敗すれば、登山は成功とはいえない。登って、下りる。両方とも登山であり、山は下りてこそ、次の山頂をめざすことができる。」と著者は述べている。坂の上の雲だけを追い求めることはできない。登れば下ることは当たり前で、セットになっている。再出発は一旦下山してからである。エッセイを集めものなので、同じ内容が何度も出てくるところがちょっとだらだらとした感じを持たせるが、下山の観点を持つことにはいいだろう。今年の年賀状には「還暦を迎え、人生には往路と復路があるように思う。これからは人生の階段を一段一段下って行く。往路より少し短めでやや急な復路が待っている。記憶する事と、忘れる事が逆転し始め、少年期に戻り、やがては赤ん坊に還ってゆくことだろう。景色が異なる復路をゆっくりと味わってゆこうと思う。」と綴った。
サラリと 流してゆかん
川の如く
サラリと 忘れてゆかん
風の如く
サラリと 生きてゆかん
雲の如く
   《坂村 真民》

旧刊
『「ことばを遊ぶ」英語指導―中学校から大学までの教育実践』
原田昌明(著)140ページ、研究社 (2005/02) 2100円

 昔、著者の『英語の言語活動 WHAT & HOW』大修館書店 (1991/02)を読んで、中学校向けの文法項目の指導教材のユニーク性に創造的なひらめきのある著者と思ったことがある。この書籍も少し古いものである。書店で棚に残っているのを見つけた。アマゾンで古書籍としては700円くらいで売りに出ている。古書として買えば値打ちがあると思う。全てが実際に使えるとは思えないが、英語を楽しんで使っているうちに、知らず知らずのうちに英語が身につく、学習者が生き生きと活動できる、そうした「遊び心」にあふれた授業のアイデアを、著者自身が実践したものの中から集めて紹介したものである。明日の教材に悩んでいる方に視野を広げて教材探しをするヒントになるだろう。

1月の書籍紹介

新刊
『佐藤学 内田伸子 大津由紀雄が語る ことばの学び、英語の学び』
ラボ教育センター(編)、ラボ教育センター224ページ(2011/11/1)、1680円

 育てたいのは、どんな「ことばの力」ですか?帯に書かれていることばである。ラボ教育センターは、「ことばが子どもの未来をつくる」をあいことばに、母語である日本語を大切にした英語教育を実践してきた。子どもたちの生活から「時間」「空間」「仲間」という三つの「間」が無くなって久しい今の時代に、ことばを使って自発的にコミュニケーションすることが大切とする理念に立って、単に読む、書く、聞く、話すだけでなく、考える力、感じる力、創造する力、表現する力などを支えることばの教育について、フォーラムで話されたことをまとめている。
言語学、発達心理学、教育学の著名な専門家から以下の3つの熱い提言!
1 大津由紀雄「ことばへの気づきを育てる」
 ~日本語と英語の、共通の基盤(ことばの普遍性)を意識して~
2 内田伸子「即効よりも底力」
 ~50の文字を覚えるよりも、「100のなんだろう?」を育てたい
3 佐藤学「協同的学びによる言語教育の展望」
 ~外国語を学ぶことは「もうひとりの自分をつくる」こと

新刊
『ことばワークショップ―言語を再発見する (開拓社言語・文化選書)』
大津由紀雄・窪薗晴夫・西山祐司・池上嘉彦(著)、188ページ、開拓社 (2011/06)、1785円

 表紙裏に、「『ことばの力』を充分生かすためには『ことば』の性質と働きをきちんと心得ておくことが大切です。この本は、日本語や英語を例にとりながら、『ことば』について、楽しく考えてもらうために用意しました」とある。2009年8月14日から16日までの3日間、東京言語研究所主催の「教師のためのことばワークショップ」での講演とワークショップをもとに各講師が書き下ろしたものである。
第I部 言語研究のおもしろさ
第II部 ことばの曖昧性と方言
第III部 文の成り立ちを考える
第IV部 曖昧表現からことばの科学を垣間見る
という構成である。

新刊
『いま、先生は』
朝日新聞教育チーム、208ページ、岩波書店 (2011/10/29)、1785円

 大阪府と大阪市の首長が一体となって突き進めようとしている「大阪府教育基本条例案」は識者の見識から生まれたものであろうか。物事を一つの方向からしか見ていないのではないだろうか。今、教育の現場では、気力を失い早期退職を選ぶベテラン、力尽きて倒れる者、過労死する者、心を病む者、迷いながら教師らしくなっていく新人、非正規雇用でも教えることに情熱をもつ若者……など、日々の教育に向き合う教員がいる。教師という、過酷でありながらなお人を惹きつける仕事の現在に迫り、大反響をよんだ朝日新聞の連載に、新原稿と読者からの「反響編」を加えて単行本化された『いま、先生は』は首長にも一読してもらいたうと願う。

旧刊
『ドリル式 アメリカの小学校教科書で英語力をきたえる』
ジェニファー・キャントウエル(著)、190ページ、朝日出版社 (2007/11/6)1365円

 アメリカの小学生向けの教科書・ワークブックを素材に、英語・算数・理科・社会の問題をドリル形式で楽しみながら解いていき、本物の英語力を身につける本。社会科5年生の内容に、Famous Peopleというテーマが有り、"Who am I?"と説明文から人物を想像させる問題がある。"I was born in Milan, Ohio in 1847. I invented the phonograph, a machine used to record sound. I also developed the electric light-bulb, starting a company that would eventually become General Electric."さて、解答はわかるであろう。英語の授業にも使える英語以外の教科の問題は、明日の授業に即訳に立つかも知れない。

旧刊
『ぼくたちの英語』
黒田龍之助(著) 、296ページ、三修社; 新刊版 (2009/11/20) 1680円

 帯に「英語がなかなか身につかない人、英語をあきらめてしまった人、学校の英語の時間がつまらなかった人、自分の授業に悩んでいる先生たち、そして、英語を勉強したことのあるすべての人へ。若き英語教師たちの「課外」実習。」とあるが、本書は「中学校や高校で英語を教えている教師にむけて」書かれたメッセージである。  平素は気づかずに通り過ぎてしまうところに対し、もう一度考えるヒントを与えてくれる。「世間が期待する英語」「教室で必要な英語」「教師が学習する英語」「プロ教師のための英語」「がんばれ、新人英語教師」という章立てである。  英語教育に直接携わったことがないという著者、専門はスラブ言語学、言語学である。そうした眼で英語教育を見つめてみることは大切である。

旧刊
『英語でよむ万葉集』(岩波新書)
リービ英雄(著) 、217ページ 出版社: 岩波書店 (2004/11/19)

 2004年が初版であるが、2011年11月に15刷が発行されている。英語を母語としながら、現代日本語文学の作家として活躍する著者が、独自の感性で万葉集の約50首を英訳し、エッセイを加えたものである。
正月にふと万葉集と思い、英訳のものでその感覚を比較してみようと思った。
「世の中を 何物(なに)に譬(たと)へむ 朝びらき 漕ぎ去(い)にし船の 跡なきごとし」
沙弥満誓の歌
To what shall I compare
this life?
the way a boat
rowed out from the morning harbor
leaves no traces on the sea.
 人の世、この人生の比喩を問い、実体を哲学として答えるのでなく、実体が消えていくイメージとして答えている。
 「世の中」は無情であると直接答えるのでなく、人間の活動が世界の表層を滑るように横切り、世界の表層で跡もなく消えていくというイメージを持って歌っている。
日本語の状況から判断する高文脈のコミュニケーションは日本人には心地よい。

旧刊
『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』
長谷部誠(著) 、233ページ、幻冬舎 (2011/3/17)、1365円

 スポーツ選手のことばをまとめたものは、『自己啓発』の書としてよく出版される。長谷部誠のこの本は昨年ベストセラーになった。心は『鍛える』ものではなく、『整える』ものであるという考え方は、これまでの根性ものの考え方ではない。長谷部誠はサッカー選手としては、特に特徴がある選手ではなかった。試合を決定するフリーキックが蹴れるわけではないし、突出したテクニックを持っているわけではない。だが、彼はあらゆる指揮官に重宝される日本代表の中心人物である。「集中」彼が心を落ち着かせ、整えるために行っていることは、
・自分を見つめる時間を作る
・尊敬できる仲間と語る
・身近にいる人の姿をじっとみる
・常に最悪の状況を覚悟しておく
であり、彼のキャプテン中間管理職)という役割のコンセプトは「組織全体を常に見て、不足する部分を補うのが仕事」「組織の心(ムード)を整えるのが仕事」である。
クラスを受け持つ担任、学校組織の中で生徒のために改善を常に求めている皆さんも一読されてはいかがですか。

12月の書籍紹介

新刊
『マーク・ピーターセンの英語のツボ: 名言・珍言で学ぶ「ネイティヴ感覚」』(光文社知恵の森文庫)
マーク・ピーターセン〔著〕 299ページ 光文社 (2011/11/10) 700円

帯に「「いかにも英語っぽい表現」ほど、日本人学習者にとっては難しいもの。本書では、特に日本人が気づきにくい、また誤解しがちなニュアンスやレトリックにスポットを当て、有名人の名言・珍言や、小説・映画の名作をネタに楽しく解説。「日本人英語」の弱点を知りつくした著者ならではの視点で、ネイティヴに通じる英語表現の"ツボ"を伝授する。」とある。

新刊
『はげまして、はげまされて~93歳正造じいちゃん56年間のまんが絵日記~』
竹浪正造〔著〕 191ページ 廣済堂出版 (2011/10/4) 1365円

93歳になる正造おじいちゃんが書き溜めた絵日記(というかマンガ)を集めたものです生きることとは、嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと、辛いこと、さまざまな出来事がある。東北の昭和時代の何気ない普段の生活の一コマ一コマが生き生きと詳細かつユーモアいっぱいに描かれており、今この世の中にあって家族の絆を確かめられる、家族を想う気持ちを考えさせられる一冊。この本を読み終えたとき「自分も誰かに優しくなろう」と思えるはずです。

新刊
『本の音』(中公文庫)\
堀江敏幸(著)  269ページ中央公論新社 (2011/10/22) 700円

「愛と孤独について、言葉について、存在の意味について―本の音に耳を澄まし、本の中から世界を望む。小説、エッセイ、評論など、積みあげられた書物の山から見いだされた84冊。本への静かな愛にみちた書評集」とある。取り上げた分野は、「愛と孤独について」「言葉について」「家族について」「悦楽について」「存在の意味について」「空間について」「まなざしについて」である。気に入った一冊をここからさがして見ればいかがかな。

新刊
『京都を走る まちなか編 ―ランでめぐる京都穴場スポット』
秋房麻理(著) 128ページ 冬弓舎 (2011/9/10) 1365円
本書掲載 厳選コース15
(1)松尾山麓と嵯峨野の風情
(2)洛北・洛西名刹めぐり
(3)京の疎水と大学めぐり
(4)山科疎水と旧東海道
(5)鴨川遡上、上賀茂から市原、高野川へ
(6)洛南・下京と秀吉の遺構をめぐる
(7)黒谷から修学院、岩倉へ
(8)滑石越から醍醐を経て、深草トレイル
(9)洛南・伏見めぐり
(10)京の七口と御土居めぐり
(11)京のミステリー・マラニック(その1)
(12)京のミステリー・マラニック(その2)
(13)幕末マラニック(その1 洛中編)
(14)幕末マラニック(その2 伏見~東山編)
(15)京の映画史マラニック
マラニックとはマラソン+ピクニックの合成語。ジョギングブームであるが、京都のコースを走りながら楽しむのはいかがでしょう。コースの全距離を走らなくても走れる範囲でエンジョイすればいいのです。健康とストレス解消、観光巡り言うことないですね。

旧刊
『英語学習7つの誤解』(生活人新書)
大津由紀雄著 220ページ、日本放送出版協会 (2007/08) 735円

1.英語学習に英文法は不要である
2.英語学習は早く始めるほどよい
3.留学すれば英語は確実に身につく
4.英語学習は母語を身につけるのと同じ手順で進めるのが効果的である
5.英語はネイティブから習うのが効果的である
6.英語は外国語の中でもとくに習得しやすい言語である
7.英語学習には理想的な、万人に通用する科学的方法がある
という『7つの誤解』を分かりやすく解きつつ、英語学習についての著者の考えがまとめられている。

旧刊
"Grammar Girl's Quick and Dirty Tips for Better Writing "(Quick & Dirty Tips)
Mignon Fogarty(著) 224ページ Henry Holt & Co (P); 1st Holt Pbk. Ed版 (2008/7/8) 1023円

Podcastから生まれた楽しく読める英文法の実践的なTips集である。小気味良い調子で、時々ユーモアを交えながら、間違いがちな文法のポイント、特にWritingにおける文法上の留意点についてわかりやすく説明してある。教科書的な内容ではなく、まさにQuick and Dirty Tipsという内容である。

旧刊
"A Christmas Memory "(Modern Library)
Truman Capote 〔著〕 128ページ Modern Library; Reissue版 (1996/11/12)

『A Christmas Memory(クリスマスの思い出)』、『One Christmas(あるクリスマス)』、『The Thanksgiving Visitor(感謝祭の客)』の3編が収録されている。カポーティが幼年期に預けられていた母方の祖母と思われる家での、彼を取り巻く人々との生活が描かれている。大阪女学院高校R先生のご推薦であるので、小生も買って読みました。

旧刊
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
加藤陽子〔著〕416ページ  朝日出版社 (2009/7/29) 1785円

12月8日はジョンレノンが暗殺された日として記憶にあるが、少し年配の人にとっては太平洋戦争に突入した開戦記念日でもある。戦争を知らない子ども達が大人になり、現在を享楽している。東京大学文学部教授が高校生を相手に、戦争というテーマで、日清戦争から太平洋戦争までを対話型の授業をおこなった講義録である。日本近現代史を戦争賞賛でもなく、自虐的でもなく、その何故を高校生に考えさせようとするものである。

旧刊
『聖夜の贈り物』
百田 尚樹〔著〕204ページ 太田出版 (2007/11/22) 1200円

百田尚樹の作品では『永遠の0』や『ボックス』『影法師』、最近は講談社文庫から最近出た『風の中のマリア』を蜂の話として面白く読んだ。本書はイブの一夜、五人の女性に起きた五つの奇蹟! 「恵子はクリスマス・イブに、長年勤めてきた会社から解雇を言い渡された。人のことばかり考えていつも損をしている恵子は、この日もなけなしのお金を、ホームレスにめぐんでしまう。ホームレスは「この万年筆で願いを書くと願いが三つまでかなう」と言って一本の鉛筆を恵子に渡すとニヤリと笑ったのだが…。不思議な鉛筆をめぐって起こる奇蹟を描いた『魔法の万年筆』ほか、5人の女性たちをめぐる心揺さぶるファンタジー。」と帯にある。本書の主人公は恵まれない、または絶対的な絶望的状況にある女性たちです。最後には彼女たちは幸福に包まれていきます。女性の先生、一読いかがですか。ちなみにこの本講談社文庫としてつい最近、『輝く夜に』で再版されている。講談社 (2010/11/12) こちらは500円。

11月の書籍紹介

新刊
『武器としての決断思考』(星海社新書)
滝本哲史著、248ページ  講談社 (2011/9/22)、861円

本書は、著者がいま、京都大学で学生に教えている人気授業「意志決定の授業」を一冊に凝縮したものである。今後、カオスの時代を生きていく若い世代にいちばん必要なのは、意思決定の方法を学ぶことであり、決断力を身につけること。もう過去のやり方は通用しないし、人生のレールみたいなものもなくなってしまった。「答え」は誰も教えてはくれない。となれば、自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていくしかない。仕事をどうするか、家庭をどうするか、人生をどうするか? 本書はディベート的思考を易しく解説し、その論理思考を通して物事を判断することが大切と述べている。新刊新書の売れ筋の一冊である。

新刊
『現代語訳 福翁自伝』(ちくま新書)
福澤 諭吉 (著), 齋藤 孝 (翻訳) 、256ページ 筑摩書房 (2011/7/7)、819円

この本は原書ではない。現代語訳にしただけでなく、いわゆる時事評論的な部分を削って、自伝のみを残したダイジェスト版になっている。一万円札の人、 福沢諭吉の幼少の頃からのエピソードなど、こんなに馬鹿でいたずらをやり、大人になっても破天荒な諭吉を知ると、我々の人生に元気を与えてくれる。『学問のすすめ』と同様に中高大学生必読の書。現代語訳なので肩を張らずに読める。

新刊
『書くことが思いつかない人のための文章教室』
近藤勝重(著)、 222ページ 幻冬舎 (2011/9/29)、780円

早稲田大学大学院ジャーナリズムコースの学生たちに「文章を書く上で困ったり、悩んだりしていることがあれば挙げてください」と聞いたところ、
・テーマが与えられても何を書けばいいのかわからず、何も浮かんでこないときもある。
・使い古された言葉ばかり浮かんできて、いい言葉が思いつかない。
・書いたことが伝わるか、不安になる。
・文章の構成(起・承・転・結)がうまくできない。
・どう書き出して、どう終わればいいのか、よくわからない。
・助詞の使い方、とくに「は」と「が」、「も」も難しい。
・題名のつけ方がよくわからない。・読点と段落で迷う。
・文末に苦労する。
と主な回答があったそうだ。
 「文章を書く」とは、長い間の記憶から体験を引き出して描写することだ。自分にはそんな特別な経験はないと考える人でも、うまい引き出し方さえわかれば書ける。また、伝わる文章にしたいなら、くどくどと説明してはいけない。とにかく描写せよ。細部に目をこらして描けば、真に迫る。たとえばさびしい気持ちなら、「さびしい」と書くな。さびしさを表わす「物」を描写してそれを伝えよ。と著者は述べている。ベテラン記者で名コラムニストの著者がありきたりにならない表現法から、書く前の構成メモ術まですぐ使えるコツをやさしく伝授している。講義形式で読者に「練習させる」場(第1章記憶を描写してみよう)や、 ドラマ「北の国から」の一場面をテーマに、物に感情を託す書き方(第2章伝わる文章の秘密)、 文章の組み立て方(第3章そもそも書く手順とは?)など、読者の文章力を無理なく引き出してくれる。

新刊
『「なぜ」がわかる動詞+前置詞』
中川 右也(著) 342ページ ベレ出版 (2011/8/18) 1575円

なぜ? find でなく find out なのか?
なぜ? on school でなく at school なのか?
様々な意味を持ち、表現を豊かにする前置詞・副詞はネイティブが英語の表現をどのようにとらえているか示してくれる。本書では、動詞+前置詞の組み合わせのイディオムを、組み合わさる前置詞のイメージでイラスト図解し「なぜそうなるのか」をとことんわかりやすく解説している。最近流行りのイメージで文法をとらえる解説書の一冊。

旧刊
『子どもを英語嫌いにしない11の法則』(学研新書)
安河内 哲也  197ページ 学研教育出版 (2010/05) 756円

本書は、東進ハイスクール講師で多くの著作を持つ著者が、子どもを英語嫌いにさせない法則を11個紹介したものである。11の法則とは、「20歳で英検1級を目指す」「英語は10年かけて身につける」「まず日本語を豊かに育てる」「小学校までは英語で楽しく遊ばせる」「他人任せにしない」「中学・高校はアクセル全開で」「学校を賢く利用する」「四技能のバランスを意識する」「文法で学習効率を大幅アップ」「大学受験は 一気に力を伸ばすチャンス」「いつからでもやり直せる」
英語ができないことに対しては、「教育熱は高いのに英語ができる人が育たない。なぜ、このようなことになるのでしょうか。大きな理由は、一貫した方針や計画のもとで英語を学んでいないということです。まず、本来なら長期的視野に立ったカリキュラムが組まれるべき中学と高校の英語教育がばらばらで、リンクしていません。さらに授業のやり方も学校や先生によってばらばらです。そのうえ、高校入試や大学入試の受験準備もあり、その時々の最優先課題に合わせ、細切れの英語教育が行われています。さらに塾や予備校のやり方もそれぞれ異なっています。一貫した英語教育の方針がなく、中学と高校の英語の授業が共通のシラバス上にないため、さらに受験などその時々の事情に引っ張られ、言葉は悪いですが場当たり的な英語学習を続けてきたため、子どもの英語力が伸びないのだと、私は理解しています。」と述べている。
「英語嫌いにさせない」とあるが、ネガティブ要素をプラスに変える考え方より、「英語好きにさせる」考え方を展開している。

旧刊
『「なぜ」がわかる英文法』
中川 右也(著) 239ページ ベレ出版 (2009/8/17)

本書では中学・高校で習う文法項目を「なぜそうなるのか」という点にこだわって解説している。私自身も、大学の英文法の授業では、「なぜ?」の連発の授業を行っている。文法指導には、「形(form)」「意味(meaning)」「使用(use)」を併せて教えなければならない。「使用」:どんなときに使う、何故この表現を使うのかをしっかり身につけないと、いわゆるネイティブ感覚にはなれない。理屈がわかれば、英文法は理解して覚えやすくなる。また、なぜそうなるのかがわかれば応用がきく。基本的で全体的な英文法について、その成り立ちや理由を知り、その理由を根拠にして文の意味とニュアンスをつかむことが納得の勉強につながる。

10月の書籍紹介

新刊
『英語で発想できる本 会話がこなれる感じ方、考え方』(講談社プラスアルファ文庫)
牧野高吉著、224ページ、講談社 (2011/6/20)、680円

ここ2~3年、英語を社内公用語化する企業が増え始めている。構文を覚えただけでは、実践では役立たない。日本人独特の思考や表現の慣例でとらえてしまうことが多いからである。本書は、「使ってはいけない表現」と「覚えておけば役立つ表現」が豊富に例示されて、その発想を伝えてくれる。時間を聞くのに、"What time is it now?"と習い、今でもそう教えているが、この表現は古臭いそうである。"Do you have the time?"とtimeにtheをつけて言う方が多いそうである。

新刊
『一億人の英文法―すべての日本人に贈る「話すため」の英文法』(東進ブックス)
大西 泰斗、ポール・マクベイ著、682ページ、ナガセ (2011/9/9)、1890円

「話せる英語」を最速で達成するための文法書。文法用語を極力排し、「配置のことば」である英語の原則や知識の項目を、英語を理解するために最適な順に収録。英語を話すために必要な「ネイティブの意識」を、豊富なイラストとコラムで詳細に解説とある。彼ら二人のコンビがこれまでに出版したものの総まとめ的な書籍である。この一冊を最終版として持っていてもいいのではと思う。

新刊
『やり直し教養講座 英文法、ネイティブが教えるとこうなります』
(NHK出版新書)、デビット・セイン著、208ページ、NHK出版 (2011/4/7)、777円

canとbe able toはどう違う?冠詞や前置詞の使い分けは? A Mr. Smithってどういう意味?「時制の一致」を無視してよいときとは? 中学生レベルの英語でも、いざ使うとなると案外迷ってしまうもの、ネイティブ・スピーカーと文法のプロがタッグを組んで、日本人が苦手なニュアンスの使い分けや、意外な盲点など、英文法のカンどころをおさえているが売り文句。

新刊
『コミュニケーションを円滑にする ほめる英語・励ます英語』
クライド・ダブンボート(著) 、280ページ、研究社 (2011/8/11)、1995円

〈ほめる・励ます〉言葉には、人を明るく元気にする力がある。本書は〈ほめる・励ます〉英語というテーマに絞り込んだ表現集である。外資系企業の方々や英語をよく使う職場や英語社内公用語化のビジネス場面を想定しているが、褒めたり、励ましたりする言葉は教育にも応用できる。「いやな思いをした人を励ます 」「人間関係で悩んでいる人を励ます 」「ちょっと落ち込んでいる人を励ます」などは気の利いた言葉を生徒にかけたいものである。本書は使いやすいように64の状況を設定し、それぞれの表現のニュアンス(上下関係、強さ・弱さ、丁寧さ)や使われる場面などを分かりやすく解説している。
「人生の転機を迎えた人を励ます Encouraging Someone to Take a New Direction in their Life」では、"I worry about you." "I'm looking after your own interests." "You should try something different." "You can overcome your present circumstances." "You know what has be done." "You have it in you." "Everything is possible." "You just have to be open to new possibilities." "You should let go of what's holding you back." "I know it's up to you in the end."とある。同僚にもさりげなく、こうした言葉のメモを机の上に置いてあげたいものである。
音声(MP3)は、研究社ホームページ(http://www.kenkyusha.co.jp/)、及びiTunes Storeから無料でダウンロードできる。

新刊
『これならわかる、使える そうだったのか★英文法 (田中茂範先生のなるほど講義録1)』
田中茂紀(著)、262ページ、コスモピア (2011/8/27)、1575円

帯に「さまざまな英文法の疑問に、30年の研究が生んだ眼からウロコの明快答。」とあるが、NHK出版等からイメージ文法の書籍を多数出版されている田中氏の講義録整理版。
・数えられないappleってどんなapple?
・He is no father.とHe is not a father.とはどう違う?
・There you are./ There you go./There it is. それぞれどんな意味?
・Going, ging, gone!って何のこと?
など、もやっとしたことをすっきりさせてくれる書籍である。

新刊
"The Little Book of Olympic Spirit"
Iain Spragg & Adrian Clarke (編),Carlton Books Ltd (2011/9/1), £4.99

ロンドンオリンピックが来年開催される。それに併せて9月にこれまでにオリンピックで活躍した人の名言が185以上まとめてある。水泳で有名なMark Spitz は 'If you fail to prepare, you're prepared to fail'.と述べている。最後のページには、Gail Devers (American athlete Gold medalist)の言葉で、”Keep your dreams alive. Understand to achieve anything requires faith and belief in yourself, vision, hard work, determination, and dedication. Remember all things are possible for those who believe.”とある。



9月の書籍紹介

新刊紹介(2011. 9 .1)
『英語検定教科書―制度、教材、そして活用』
小串雅則(著)、206ページ 三省堂 (2011/07) 2310円

英語検定教科書を主題に据え、学習指導要領、検定制度、教材・教科書の活用、英語教育の改善について述べた本。著者の小串さんは私の知人で、元文部科学省教科書調査官である。本書は本人から献本していただいた。教科書は法的に主たる教材と位置づけられているが、教科書を学ぶのでなく、教科書で学ぶことが大切である。したがって教科書教材をどう扱うか、その読み込みや補助教材の開発など教員は指導の工夫が求められる。検定に携わってきた著者が、教科書の「意図」や「背景」を把握した上で、指導の工夫の必要性を指摘していることは、「教科書べったりでない教員の工夫を取り入れた授業こそ大切である」と現場教員へメッセージを多くっているように思われる。

新刊紹介(2011. 9 .1)
『CLIL(クリル) 内容言語統合型学習 上智大学外国語教育の新たなる挑戦 第1巻 原理と方法』
渡部良典、池田真、和泉伸一(著) 193ページ ぎょうせい (2011/4/15) 1890円

帯に「外国語教育で名高い上智大学が実践する言語教育理論「CLIL(クリル)」を日本で初めて紹介! ・高い語彙力、読解力がありながら、実践力になかなか結びつかない日本人のために、教科内容・学術分野の知識と言語能力を同時に向上させる最新メソッドを伝授!」とある。
CLILとはContent and Language Integrated Learningの略である。British Councilの説明では、「近年ヨーロッパでは、CLIL (Content and Language Integrated Learning: クリル) という英語教育法が急速に広まっています。これは、理科や社会などの教科学習と英語の語学学習を統合したアプローチです。教科内容を題材に様々な言語活動を行うことで英語の4技能を高めることができ、日本でも子どもたちの発信能力を高め、英語教育の質的向上をもたらすものと期待されています。
同種の教育法にアメリカの内容重視指導法 (Content-based Instruction) やカナダのイマージョン教育などがありますが、CLIL は教育効果を引き出すための具体的な教育技法が体系化されており、この点が前者との違いとしてあげられます。」とある。
本書では、CLILは「4つのC」(Content=内容、Communication=言語、Cognition=思考、Community=協学)を有機的に結びつけるものと解説している。中でもcommunicationとして、「3つの言語」をあげ、「学習言語」(language of learning)は言語材料言語技能で、重要語句や文法項目を指す。「学習のための言語」(language for learning)は、英語で何かを学ぶ際に必要な学習スキルで、ノートの取り方、教材の読みこなし、議論の方法、情報収集法、レポートの書き方、ペアワークの進め方などを指す。最後に「学習を通しての言語」(language through learning)がその二つを結びつける仕組みで、内容情報を得て、それに関する話題でディスカッションしたり、エッセイを書いたり、プレゼンしたりすることを含むとしている。

新刊紹介(2011. 9 .1)
『英語辞書をフル活用する7つの鉄則』
磐崎弘貞(著)  279ページ 大修館書店 (2011/07) 1680円

MLメンバーから書名を紹介いただいた新刊である。 帯には、「語数は多ければ多いほどいい?電子辞書か紙の辞書か?探している語が見つからないのはなぜ?迷える学習者に英語辞書活用法を徹底指南。」とある。「辞書のしくみを知れば情報のありかがわかる」「辞書は文法思考で引こう」「辞書を活かすのは検索スキル次第」「セルフチェックと発信スキルアップに活用せよ」「辞書を活用した語彙学習のコツを押さえよ」「生きた英語に接して辞書をカスタマイズせよ」「自分に合った辞書を見つけよう」と7つの鉄則を紹介している。電子辞書ばやりだが、コロケーションや語彙の深さは電子辞書だけでは物足りない。著者はインターネットの活用も含め、語彙学習のあり方をまとめている。

新刊紹介(2011. 9 .1)
『こんなに厳しい!世界の校則 (メディアファクトリー新書)』
二宮皓(著) 186ページ メディアファクトリー (2011/6/29)

この書籍もMLメンバーからの紹介である。表紙裏には、「あなたは「日本の校則は厳しい」と思っていないだろうか。教育がある以上、世界中に校則は存在するし、それぞれの国情を背負った「厳しい校則」「妙な校則」もいくらでもある。本書では、「マイナス18℃以上の日は外で遊ぶこと」など、世界19ヵ国の「それホント!?」的な校則を多数紹介。各国の思想や事情を楽しく学んでいくうちにやがて「日本の常識」の奇妙さも見えてくる奥深い一冊。」とある。世界の制服のイラストもあり、気軽に読む本である。日頃、生徒指導に奔走しておられる先生、世界にはいろんな校則=規則があるものだと思われることでしょう。ただ、たいていが禁止形である。

新刊紹介(2011. 9 .1)
『「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国』(NHK出版新書 354)
コリンジョイス(著) 森田博之(翻訳) 228ページ NHK出版 (2011/7/7) 819円

本書の帯に、
*順番を守れない人間は嫌いだ
*相手がぶつかってきても自分から謝れる
*弱い者いじめだけは絶対に許せない
*不動産に関する話題は好きだ
*洗濯物が雨に濡れるくらい気にしない
*電車が遅れると誰かに話しかけたくなる
*スコットランドなまりは何となく分かる
こんなあなたなら、きっと歓迎される。イギリスにおいでよ!
とあったので、すぐに購入した。「階級社会はいまも続いているの?」「雨ばかりで憂鬱になるって本当?」「おすすめの料理は何?」こんなベーシックな話題から、社会の真相に迫る奥深いテーマまで、さっと読めた。英国下見の時に確かめてみたい。

新刊紹介(2011. 9 .1)
『下町ロケット』
池井戸 潤(著)  416ページ 小学館 (2010/11/24) 1785円

つい先日、直木賞を受賞した本書。受賞発表後しばらくは書店には在庫はなかった。7月末になって、ようやく平積みで並んだ。とにかく面白い。山崎豊子のエンターテイメント版的な著者である。
その特許がなければロケットは飛ばない――。大田区の町工場が取得した最先端特許をめぐる、中小企業vs大企業の熱い戦い! いやあ、読んでいるうちに本学のことと重なった。極小大学であっても、東大阪の中小企業のように世界に通用する技術を売ることが出来るのだと。元気が出る小説であった。引き続いて、『空飛ぶタイヤ』文庫2冊を読んだ。これはM自動車のトラックのタイヤが外れて通りがかりの母子を襲い母親を死なせた事件を彷彿させる内容。これも一気に読んでしまった。ストレス発散にどうぞ。

新刊紹介(2011. 9 .1)
『峠うどん物語(上)』
重松清(著)  274ページ  講談社 (2011/8/19) 1575円

 市営斎場の前に建つ、一軒のうどん屋、『峠うどん』。暖簾をくぐるのは、命の旅立ちを見届けたひとたち――。 『峠うどん』のお手伝いが、わたしは好きだ。どこが。どんなふうに。自分でも知りたいから、こんなに必死に、汗だくになってバス停まで走っているのだ。(上巻より)中学二年生のよっちゃんは、祖父母が営むうどん屋『峠うどん』を手伝っていた。『峠うどん』のお手伝いが、わたしは好きだ。どこが。どんなふうに。自分でも知りたいから、こんなに必死に、汗だくになってバス停まで走っているのだ。
おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん。そして『峠うどん』の暖簾(のれん)をくぐるたくさんの人たちが教えてくれる、命についてのこと――。
重松清の本は、迷わず買う癖が付いている。今日買ったばかり、これから楽しみに読む。
なお、下巻は8月31日発売予定。


書籍紹介2  中面


教育学・教育技術

ジャンル 著者・編者 発行年 書名 出版社
教育学
金森俊朗
2007
こどもの力は学び合ってこそ育つ
角川oneテーマ21
教育学 本田由紀 2009 教育の職業的意義ー若者、学校、社会をつなぐ ちくま新書
教育学 広田照幸 2009 教育学(ヒューマニティズ) 岩波書店
教育学 苅谷剛彦 2008 教育再生の迷走 筑摩書房
教育学 苅谷剛彦 2008 教育再生の迷走 筑摩書房
教育学 久富善之 2008 教師の専門性とアイデンティティ 勁草書房
教育学 矢野安剛・池田雅之編著 2008 英語世界のことばと文化 成美堂
教育学 矢野安剛・池田雅之編著 2008 英語世界のことばと文化 成美堂
教育学 グループ・ディダクティカ 2007 学びのための教師論 勁草書房
教育学 松下良平 2002 知ることの力ー心情主義の道徳教育を超えて  勁草書房
教育学 山住正己 1987 日本教育小史 岩波新書
教育技術 Melissa Kelly 2008 180 Tips & Tricks for New Teachers Adams Media

英語教育

ジャンル 著者・編者 発行年 書名 出版社
英語教育 織田稔 2000 ことばの研究と英語教育 関西大学出版部

指導法

ジャンル 著者・編者 発行年 書名 出版社
指導法
和泉伸一
2009
『「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育』
大修館書店
指導法 大学英語教育研究会 学習ストラテジー研究会 2006 英語教師のための「学習ストラテジー」ハンドブック 大修館書店
指導法 Norbert Scchmitt 2004 Vocabulary in Language Teaching Cambridge University Press
指導法 Diane Larsen-Freeman 2002 Techniques and Principles in Language Teaching Oxford University Press
指導法 Zoltan Dornyei 2001 Teaching and Researching Motivation Pearson Education
指導法 Zoltan Dornyei 2001 Motivatuional Strategies in the Language Classroom Cambridge University Press
指導法 Jeffrey N. Golub 2000 Making Learning Happen Boyton/Cook Publishers
指導法 Domma M. Brinton, Peter Master 1997 New Ways in Content-based Instruction Teachers of English to Speakers of Other Languages, Inc
指導法 Marguerite Ann Snow, Donna M. Brinton 1997 Content-based Classroom Longman
指導法 David Nunan, Clearice Lamb 1996 Self-directed Teacher - manageing the learning process Cambridge Language Education
指導法 Fred Genesee, John A. Upshur 1996 Classroom-based Evaluation in Second Language Education Cambridge University Press
指導法 Jack C. Richards, Charles Lockhart 1994 Reflective Teaching in Second Language Classrooms Cambridge University Press
指導法 Michael Lewis, Jimmie Hill 1992 Practical Techniques for Language Teaching Language Teaching Publications
指導法 河野守夫 1992 英語授業の改造 東京書籍
指導法 David Nunan 1991 Designing Tasks for the Communicative Classroom Cambridge Language Teaching Library
指導法 Andrew Wright, David Betteridge 1990 Games for Language Learning Cambridge Handbooks for Langauge Teachers
指導法 Paul Davis, Mario Rinvolucri 1990 Dictation Cambridge Handbooks for Langauge Teachers
指導法 Rebecca L. Oxford 1990 Language Learning Strategies Heine & Heinle Publishers
指導法 Andrew Wright 1989 Pictures for Language Learning Cambridge Handbooks for Langauge Teachers
指導法 Gail Ellis, Barbara Sinclair 1989 Learning to Learn English Cambridge University Press
指導法 Paatricia A. Richard-Amato 1988 Making It Happen Longman
指導法 Peter Wilberg 1987 One to One A Teacher's Handbook Language Teaching Publications
指導法 William Littlewood 1987 Communicative Language Teaching Cambridge University Press

英文法・リーディング・英語表現

ジャンル 著者・編者 発行年 書名 出版社
コーパス
投野由紀夫 2007
『日本人中高生一万人の英語コーパス 中高生が書く英文の実態とその分析』
小学館
コーパス
投野由紀夫
2006
『コーパス超入門』
小学館
英語表現
デビット・セイン岡悦子 2010
『その英語ネイティブはカチンときます』
青春新書
リーディング
田中武夫・田中知聡
2009
『英語教師のための発問テクニック』
大修館書店
リーディング
大下邦幸編著
2009
『意見・考え重視の英語授業ーコミュニケーション能力育成へのアプローチ』
高陵社書店
英文法 田中茂範 2009 『新感覚☆わかる使える英文法 1月号』 NHK出版
英文法 田中茂範 2009 『新感覚☆わかる使える英文法 2月号』 NHK出版
英文法 田中茂範 2009 『新感覚☆わかる使える英文法 3月号』 NHK出版
英文法 ジオス教材開発部 2008 『ネイティブの例文でわかる英文法』 ジオス
英文法 安藤貞雄 2008 『英語の文型』 開拓社
英文法 政村秀實 2008 『イメージ活用英和辞典』 小学館
英文法 大西泰斗、P・マクベイ 2008 『ハートで感じる英語塾』 NHK出版
英文法 大西泰斗、P・マクベイ 2008 『ハートで感じる英文法』 NHK出版
英文法 田中茂範 2008 『文法がわかれば英語はわかる!』 NHK出版
英文法 田中茂範 2008 『新感覚☆わかる使える英文法 10月号』 NHK出版
英文法 田中茂範 2008 『新感覚☆わかる使える英文法 11月号』 NHK出版
英文法 田中茂範 2008 『新感覚☆わかる使える英文法 12月号』 NHK出版
英文法 田中茂範 2008 『新感覚☆わかる使える英文法 エクサイズブック』 NHK出版
英文法 阿部一 2007 『「なぜ」から始める実践英文法』 研究社
英文法 織田稔 2007 『英語表現構造の基礎』 風間書房
英文法 田中茂範 2007 『イメージでわかる単語帳』 NHK出版
英文法 田中茂範 2007 『英語感覚が身につく実践指導』 大修館書店
英文法 FitikidesT.J 2006 Common Mistakes in English Longman
英文法 Swan M., Walter C. 2006 『オックスフォード実用英文法パートA:動詞と時制』 オックスフォード大学、旺文社
英文法 Swan M., Walter C. 2006 『オックスフォード実用英文法パートB修飾と接続:』 オックスフォード大学、旺文社
英文法 安藤貞雄 2006 『現代英文法講義』 開拓社
英文法 大西泰斗、P・マクベイ 2006 『ハートで感じる英文法会話編』 NHK出版
英文法 大西泰斗、P・マクベイ 2006 『ネイティブの感覚がわかる英文法』 NOVA
英文法 大西泰斗、P・マクベイ 2006 『ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力』 NHK出版
英文法 畠山雄二 2006 『言語学の専門家が教える新しい英文法』 ベレ出版
英文法 Swan M. 2005 Practical English Usaage Oxford University Press
英文法 政村秀實 2005 『英語語義イメージ辞典』 大修館書店
英文法 大西泰斗 2005 『英文法をこわす』 NHK出版
英文法 智原哲朗・寺秀幸他 2003 Grammar Works 英文構成の定石 金星堂
英文法 田中茂範 2003 『チャンク英文法』 コスモピア
英文法 織田稔 2002 『英語冠詞の世界』 研究社
英文法 阿部一 1998 『ダイナミック英文法』 研究社
英文法 中川信雄 1998 『英文法がつうじない』 研究社
英文法 G. Leech 1996 An A-Z of English Grammar and Usage MacMillan Language
英文法 Tuton ND 1996 Dictyionary of Common Errors Longman
英文法 大西泰斗、P・マクベイ 1996 『ネイティブスピーカーの前置詞』 研究社
英文法 中川信雄 1996 『英文法がわからない』 研究社
英文法 AlexanderL.G 1994 Right Word Wrong Word Longman
英文法 阿部一 1994 『基本英単語の意味とイメージ』 研究社
英文法 池上嘉彦 1991 英文法を考える ちくまライブラリー
英文法 織田稔 1990 『英文法学習の基礎』 研究社
英文法 政村秀實 1990 『図解英語基本語義辞典』 桐原書店
英文法 宮川幸久 1988 中学英語Q&A実用指導事典 教育出版
英文法 R. Quirk 1985 A Comprehensive Grammar of English Language Longman
英文法 荒木一雄 1984 『英文法用例辞典』 研究社
英文法 安井稔 1982 英文法総覧 開拓社
英文法 織田稔、五島忠久 1977 『英語科教育 基礎と臨床』 研究社
英文法 G. Leech 1975 A Communicative Grammar of English Longman
リーディング H.D.Brown, S.Gonzo 1995 Readings on Second Language Acquisition Prentice Hall Regents
英語表現 長部三郎 2001 伝わる英語表現法 岩波書店(岩波新書)

学習法

ジャンル 著者・編者 発行年 書名 出版社
学習法 MEMOランダム編 2008 ゼロから始める英文法 三修社
学習法 ジョセフ コールマン 2008 いろんな英語をリスニング 研究社
学習法 久野すすむ(日偏に章)・高見健一 2007 謎解きの英文法 否定 くろしお出版
学習法 宗宮喜代子(ほか) 2007 道を歩けば前置詞がわかる くろしお出版
学習法 久野すすむ(日偏に章)・高見健一 2005 謎解きの英文法 文の意味 くろしお出版
学習法 松澤善好 2005 英語耳ドリル アスキー出版
学習法 久野すすむ(日偏に章)・高見健一 2004 謎解きの英文法 冠詞と名詞 くろしお出版
学習法 松澤善好 2004 英語耳 アスキー出版
学習法  アーサーヒューズ 2003 英語のテストはこう作る 研究社
学習法 大津栄一郎 1993 英語の感覚(上) 岩波書店
学習法 大津栄一郎 1993 英語の感覚(下) 岩波書店
学習法 千野栄一 1986 外国語上達法 岩波新書
学習法 千野栄一 1986 外国語上達法 岩波新書

言語習得・英語学・その他

ジャンル 著者・編者 発行年 書名 出版社
その他
松森靖夫・古家貴雄
2010
『英語対訳で読む科学の疑問』
じつびコンパクト新書
言語習得 白井 恭弘 2008 外国語学習の科学:第二言語習得論とは何か 岩波書店(岩波新書)
英語学 ジョン ハインツ 西光義弘 1986 日本語らしさと英語らしさ くろしお出版
その他 魚住絹代 2006 いまどき中学生白書 講談社