偶然が重なった母校訪問

大塚朝美

更新日:2024年5月26日

 昨年度の教育実習校訪問の際に、偶然にも自分の母校の中学校を訪問することになった。本学からの実習生の母校が私が30年以上前に教育実習を行った母校の中学校だったのである。こんな偶然は滅多に無いことだろう。大学4年生の私は当時、どんな思いで実習を行っていたのであろう。しばし当時の自分の気持ちを思い出しながら母校を訪問した。
 最初に訪問すると、通常は校長先生にご挨拶することからスタートするが校長先生が不在の場合、教頭先生もしくは学年主任や英語科の先生にご挨拶する。訪問した母校では校長先生が不在だったため、校長室で教頭先生とお話することになった。私がこれまでに訪問した学校で女性の教頭先生が対応して下さったことはなかったため、何となく親しみを感じ、第一声のご挨拶直後、今度は2つ目の偶然が起こった。「私、大阪女学院高校の出身なんです。」という一言。「え?そうなんですか!」と学生の教育実習校訪問の任務を一瞬忘れて、女学院の話をしばらくすることとなった。教頭先生も実習生が自分の母校出身であることから懐かしく感じ、親しみを持って下さったようだ。
 話は実習校の様子に戻るが、久しぶりに訪れた学校は変わらない活発な生徒たち、馴染みのある校舎を目にし、自分が実習をした時間にタイムスリップしたようだった。しかしながら、今回は自分が担当する学生が実習生として授業を行い、その授業を見学するという立場である。教室の後ろに座り、50分間の授業を見学したあと、もう1つ授業があるので良かったら見学をどうぞ、と言われ、2クラス分を見学した。学生の授業は生徒と良い関係が築けていることが分かる授業であった。
 当時の私は自分が教育実習を行った学校に、まさか教員という立場でまた訪れることになるとは想像もしなかっただろう。実習中はとにかく必死で毎日の授業準備を行い、試行錯誤しながら生徒達と接していた。実習の最終日には生徒達からの色紙と写真を受け取り、また学校に帰ってきてください、というメッセージも書かれていた。勿論当時の生徒達はもうそこにはいないが、また別の形で母校に戻ってきたと感じた。偶然が色々と重なった実習校訪問であったが、また来年度、母校を再び訪問することになりそうだ。

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