最初の分掌経験は保健部 -教員集団・生徒達に助けられ-

森  均

更新日:2025年2月28日

 前回(第137号 202323月では)、「教員のキャリア発達のもとは?」と題して、教員の生き方に触れた。教員は教科指導の他、学校経営にも関わるがそれは主に分掌(教務部、生活指導部、進路指導部等)での業務である。教科指導力を高め続けること当たり前だが、それだけでは一人前の教員として教員集団からは認められない。先生方をまとめ、計画を立案・実施していく力も求められるわけで、その意味で分掌での経験は重要なものである。しかしどの分掌に属しても最初は最前線の業務を任される。そんな経験を述べたい。

 さて、私は半年間の雇用である期限付き講師として教員生活のスタートを切った。所属分掌は着任前に決められていて保健部だった。年度末に赴任先が決まる者に選択肢はない。年明け前から次年度の体制を考えなければならない学校としては仕方がないことである。当時そんなことに気づきもしなかったが、私のような4月1日採用の講師も教員採用試験に合格した人も正式に赴任校が決まるのは3月末なので、両者の状況に変わりはない。

 さて、4月当初の職員会議後、保健部に配属が決まった教員が保健室に集まった。何もわからなかったが、保健体育科の教員が中心で養護教諭が実務を担当して運営されていることはわかった。17年後に教頭になってから知ることになるのだが、保健主事が各学校に置かれていて、たいがいは保健体育の教員が任命されているのである。このことは法で決められている。しかし初めての私には何もかもが不思議だった。

 当面の課題は、ゴールデンウィークの合間の平日に実施される体力測定と健康診断であったが、長年蓄積されてきたノウハウがあり教員たちは慣れたものである。私が担当したのは体育館で実施される握力測定であった。マニュアルどおり生徒たちに実施させて、生徒たちに記録させていく。大きなトラブルはなくスムーズに進行した。生徒たちは約10人単位の班で行動する仕組みで、新入生の班は要領がわからずウロウロするが3年生は混む測定種目を心得ていて要領よく舞う立ち振る舞う。

 健康診断の実施にあたっては内科、歯科、眼科等の学校医との調整が大変そうだった。応援の医師も動員されてくるが、ベテランの養護教諭がうまく対応していた。

 ゴールデンウィークが過ぎた頃になると周囲の教員達は私に「採用試験に合格したら幾らでも仕事があるから、まずは採用試験に合格してくれ」と言って、負担のかかる仕事をさせようとはしなくなった。しかし勤務時間内に採用試験の受験勉強はなかなかできないものであり、定時での退勤(当時は1710分)を強く勧められた。

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