教育現場のインターンシップ
大塚 朝美
更新日:2022年5月16日

 教育制度の一環として1900年代にアメリカでスタートしたと言われるインターンシップ。最近、日本でもインターンを受け入れる会社が増えており、日本社会でも馴染みのある言葉となった。就職先を探す大学生、人材を探す雇い主のどちらにとってもメリットのある制度として活用されている。

 教職におけるインターンシップとは、言わずと知れた「教育実習」である。ここ2年間は新学期のスタートする春先に緊急事態宣言が出されており、教育実習も軒並み秋学期に延期となった。コロナ禍3年目の今春は、感染対策なども行いながらようやく多くの学校で春の実習実施が予定されている。近年の教育現場では、電子黒板の導入をはじめ、ICTを取り入れた授業が普通となり、現場で求められることも多様化している。大学の教職課程でもそれらに対応した授業の組み立てに追われているのが現状だ。

 約30年前、Windows 95が発売されて家庭内パソコンが普及し始めた時代、自らも教員免許取得のため母校の中学校で教育実習を行った。英語の音声はテープレコーダーで再生し、プロジェクターを使用した記憶もなく、黒板にひたすら板書をして授業を行う昔ながらのスタイルであった。緊張しながらも何とか2週間の実習を終え、終わった時にはやりがいを感じたのを覚えている。教育現場ではかなり前からインターンシップを実施していたのである。

 立場が変わり、今は学生たちを教育実習に送り出す側となった。実習先で経験するだろう様々な可能性について言及し、できる限り現場で経験しそうな場面を想定して練習を行う。実習中には、実習先で何か困っていないだろうか、生徒達の質問に上手く対応できているだろうか、など心配は尽きない。しかし、3週間の実習を終えて帰ってきた学生たちの報告を聞くと、経験した時間が確実に彼女たちを成長させていることが分かる。人前に堂々と立ち、しっかりこちら側を見て話す姿は、実習前の様子とは見違えるほど変化しており、教育実習という機会がいかに貴重で彼女たちにとって意味のある経験であったかを示している。もちろん、実習が思い通りに進むケースばかりではないが、少なくとも職業選択において示唆を得る機会となることに違いない。

 今年度も本学から12名の学生が教育実習を予定している。それぞれがしっかり現場を見て学べる機会となるよう応援したい。

参考文献
田中達也(2016)「日本における教員養成の歴史と現状」『佛教大学教育学部学会紀要』15, 57-70.

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