多様性のあるクラスルーム
大塚 朝美
更新日:2023年5月17日

 2022年度に引き続き、今年度も本学1年生のaクラス担当となった。aクラスの特徴は、留学生の割合が他のクラスと比べて多く、教室内では使用言語が英語にならざる得ない環境であるということだ。今年は、ベトナム、フィリピン、ネパール、ミャンマー、韓国、スペイン、ロシアからの学生をはじめ、名簿に掲載されている名前が日本名であっても外国にルーツのある学生が多く、これまでに外国との関りがなかった日本人学生は22名のクラス内で恐らく5人程度である。アメリカやヨーロッパでは珍しくない状況であろうが、日本国内で多国籍の学生が集まるクラスを担当する機会はそれほど多くない。
 Diversity in the classroom(教室内での多様性)というキーワードをインターネットで検索すると、かつて筆者が大学留学中にサマーコースを受講していたアメリカ合衆国のワシントンDCにあるAmerican Universityのオンラインプログラムのホームページにたどり着いた。The Benefits of Inclusion and Diversity in the Classroomと題して、近年ビジネスの場面でもよく使われるインクルージョン(包括・包含)とダイバーシティ(多様性)が教室内にもたらす恩恵(Benefit)について4点説明されていた。
 1.多様性は認知的スキルと批判的思考力を養う
 (Diversity Improves Cognitive Skills and Critical Thinking)
 2.多様性に触れる経験は大人になってからも役立つ
 (Exposure to Diversity Helps Students Enter Adulthood)
 3.多様性に触れる経験は市民としての心構えをもつ準備となる
 (Diversity Prepares Students for Citizenship)
 4.多様性は創造性を促進する(Diversity Promotes Creativity)
 全員が日本国籍の学生であったとしても、教室は様々な個性が集まる場所である。育った国が違うというさらに多様なBackgroundを持つ学生が集まる教室は、授業を進める上でも色々な要素が複雑に作用し、上手く進む場合もあれば、なかなか困難な時もある。学生たちにとって居心地がよく、学びが建設的である授業を作っていくためには、教員だけの力では到底不可能であり、授業に参加している学生一人一人の協力と心がけが重要となる。1年後にこのクラスの学生たちがどのようなクラスを作り上げるのか、教員としても試行錯誤しながら授業に取り組みたい。また、Benefitsとして挙げられている上記の4点がこの教室内での学びから得られたかどうかも1年の終わりに尋ねてみようと思う。

参考文献
American University. (July 24, 2019). The Benefits of Inclusion and Diversity in the Classroom. https://soeonline.american.edu/blog/benefits-of-inclusion-and-diversity-in-the-classroom/

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